パルプンテは最後までとっておく   作:葉虎

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エミヤを聞きながら書き殴った。

勢いで……やってしまった。

みんなのスルースキルが…今、試される!!

アチャ男 VS 銀髪君 完全決着編!

この話書いてて、誰が主人公なのか…作者にも分からなくなってきた。


第13話

金髪君がorz状態となり、三つ巴の均衡が崩れる。

 

銀髪君とアチャ男は金髪君はもう既に眼中に無いようだ……

 

最初に動いたのは銀髪君。

 

徐々にアチャ男から距離を取り始め……物陰に入る。

 

なんだ?どうしたんだぎんぱ……って、なにぃ!?

 

「ば、馬鹿な……」

 

物陰に行った銀髪君はすぐさま戻ってきた。

 

手に……スタンドタイプの掃除機を携えて……

 

 

スタンドタイプ。

持ち手部分に本体がついた縦長のタイプ。

スリムなため、すきまなどに収納できる。

ワンルームやひとり暮らしにおススメの一品(ポケ○ン図鑑的な声)

 

前回はハンディタイプだった…

 

ハンディタイプ。

手軽に使える小型の掃除機。

場所を選ばず使え、省スペースでも置いておけるのがポイント。

腰より高い位置の掃除や自動車の掃除などに便利。(ポ○モン図鑑的な声)

 

 

はっ、あまりの衝撃に脳内に変な声が…だが……

 

「アイツ進化してやが……って、なんだと!?」

 

目を凝らしてよく見れば、奴のは唯のスタンドタイプではない。

 

サイクロンだ。サイクロン式の掃除機である。

 

しかも通常一個の筈が、三つ付いている。

 

その仰々しさに息を飲む。

 

いや、俺だけではない。アチャ男もまさかのウェポンに驚いている。

 

「……ふっ」

 

そんな俺達を尻目に、銀髪君はドヤ顔でスイッチを入れる。

 

動力源は彼の魔力だろうか?スイッチに鼓動し、回転し始めるサイクロン。

 

それぞれ回転方向が違い、どこか…そこで廃人とかしている金髪君が本来持つはずの乖離剣を思わせる。

 

ちょっとカッコいい。だが…

 

《あぁもう!!なんですか!!やかましいですね!!》

 

吠えるローズ。指先に居るため、辛うじて聞こえるがもう少し離れていたら、あの銀髪君の手にある掃除機の音に掻き消される事だろう。

 

ローズが怒るのも無理はない。半端じゃない喧しさ。

 

恐らくは銀髪君の魔改造とサイクロン三つのせいだ。

 

普通は此処までやかましくはない。

 

結界があるからいいが、もし、俺が張っていなかったらえらい騒ぎになった事だろう。

 

時間も時間だし。

 

ワンルーム?使えねぇよ。こんな喧しいやつ。昼間でも苦情が来るだろう。

 

……今、結界を解いたら銀髪君の将来はどうなるだろう。

 

私……気になります!!

 

ちょっと、危ない好奇心に駆られていると…

 

 

「……くっ、と、投影開始」

 

サーチャーが音声を拾う。

 

銀髪君に気おされていたアチャ男もようやく動き出した。

 

 

手にはカッターナイフ、ペーパーナイフ、彫刻刀が数本。

 

 

掃除機を両手で構える銀髪君。

 

文房具主体な刃物を手に持つ、アチャ男。

 

 

……今、結界を解いて……ついでに義姉さんに通報したら……

 

…止めとこう。夜に一人で出歩いてるのが知られたら俺まで叱られる。

 

そんな事を考えている間に、戦いが始まった。

 

 

先手は銀髪君。

 

掃除機の特性ゆえか、集める…つまり、集束に適しているのだろう。

 

攻撃方法は魔力法。ヘッドのない。掃除機の吸い込み口からテニスボールくらいのサイズだろうか?

 

銀色の魔力弾が放たれる。

 

速度はあまりなく、辛うじて避けているアチャ男。

 

着弾し、少し地面が抉れる事から、そこそこの威力はあるようだ。

 

だが、アチャ男も負けてはいない。

 

避けつつ、距離を少し詰め文房具を投擲…そして…

 

「……壊れた幻想……」

 

爆発する文房具。

 

威力は……ロケット花火よりやや激しい爆発。

 

 

しかし、投擲の為、あまり飛距離が伸びず……。

 

詰められて、即座に距離を取ろうとする銀髪君の行動もあって、

 

こちらも届かない。

 

 

……す、すげぇ。

 

あまりの緊張感に息を飲む。

 

射程距離は銀髪君の方が長く、攻撃の届かない位置を保ちながら魔力弾を放つ。

 

対して、射程距離は銀髪君には劣るものの、連続して投擲、攻撃が出来るのがアチャ男。

 

距離を詰め過ぎた場合、銀髪君の魔力弾を躱すのが難しくなるのだろう……。

 

適度な距離を保ちつつ、反撃をしている。

 

 

息もつかせぬ勝負。

 

この戦いは最初に一撃を喰らった方が恐らく負ける。

 

魔力を使った戦いにしては互いに威力は低いが…

それは相手にある程度の防御能力が備わっている場合だ。

 

 

プロテクションはおろか、バリアジャケットすら両者にはない。

 

はっきり言って、互いに防御能力は0に近い。

 

だが、攻撃力はそれなりにある。

 

一発貰った方がそこから崩される。

 

 

現在の戦況は互角……。いや、僅かに……

 

「アチャ男…優勢か?」

 

此処にきて銀髪君の動きが悪くなり始める。

 

原因は……

 

「あぁ、そりゃそうか。重そうだもんなそれ……」

 

得物の大きさ重量を見れば、どう見ても掃除機を振り回している銀髪君の方が体力を使う。

 

こりゃ決まったか?

 

「はぁ、はぁ……こ、こんな小競り合いじゃ埒が明かない……。どうだ?互いに次の一撃で勝負を決めるというのは?」

 

苦し紛れにそんな提案をする銀髪君。

 

はは、そんなことしなくても、このままいけばアチャ男の勝ちだ。

誰がそんな提案に……「いいだろう…」乗るんかい!!

 

ビシッと虚空にツッコミをいれる。

 

何?馬鹿なの?

 

唖然とする俺を尻目に、二人は足を止めて、次の一撃の準備を始める。

 

「はぁぁ!!」

 

慎重に魔力を掃除機に込めていく銀髪君。

 

サイクロンが回転し、ビリビリと視認できるレベルの電気が迸る。

 

ちょっとカッコいい。

 

だが……

 

「……全力には耐えられなそうだな」

 

銀髪君が慎重になっている理由は其処だろう。

 

若干、掃除機から煙が出始める。

 

ちょっとでも魔力を込めすぎたら、その瞬間……あの掃除機は爆散するだろう。

 

幾つ…デバイスを作ってきたのだろうか?

 

その一つ一つの限界点を見極め、扱ってきたからこそ身に着いた魔力のコントロール。

 

俺のような特典に頼った天性の物ではなく、銀髪君の努力の塊。

 

彼が己の力を全力で振えるデバイスを手にした時……一体、どれほどの物になるか……

 

 

対して……

 

 

 

 「I am the bone of my sword.」 

  ―――――― 体は剣で出来ている。

 

 

 

アチャ男も詠唱を開始………

 

 

 「Steel is my body, and fire is my blood.」

  血潮は鉄で 心は硝子。

 

 

目を瞑り、詠唱をするアチャ男

 

 

 「I have created over a thousand blades.」

  幾たびの戦場を越えて不敗。

 

 

ただ惜しむべきは……

 

《?どうしたのですか?お前様、突然、鼻歌など…》

 

いや、『エミヤ』が流れないからさぁ~。つい……

 

そんな事をやっている間に……

 

 

 「Unknown to Death.」

  ただの一度も敗走はなく、

 

 

 「Nor known to Life.」

  ただの一度も理解されない。

 

 

呪文が詠唱されていく……

 

アチャ男も相当練習したのだろう……

 

流暢な英語。

 

駅前留学でもやっていたのだろうか?

 

 

 「Have withstood pain to create many weapons.」

  彼の者は常に独り 剣の丘で勝利に酔う。

 

 

いよいよだ…

 

あと2節で…ついに発動する。

 

《お、お前様……ま、まさか…必殺技ですか?》

 

ローズも何時の間にか興味津々だ。番組が終わったのだろう…

 

銀髪君の方は、無事魔力を込め終わったようだ。

 

ゆっくりとアチャ男の詠唱の完了を…待……って、

 

何ゆえに銀髪君は相手に銃口?というより、吸い込み口を向けているのだろう…

 

 

 「Yet, those hands will never hold anything.」

  故に、生涯に意味はなく。

 

 

ニヤリと笑う銀髪君…ま、まさか……

 

 「So as I pray, unlimited…「隙だらけだぞ!!」」

 

「躱せ…」

 

《お前様?何を…》

 

 

――たわけ、躱せと言ったのだアーチャー!

 

思わず叫びそうになる。

 

何故なら……

 

詠唱の最後の最後で、銀髪君の渾身の一撃が放たれたのだ……。

 

斜に構え、目を瞑って…詠唱に集中していたアチャ男にその一撃が躱せる筈もなく……

 

勝敗は……決したのだった。

 

 

 

「ははは…あっはっはっは!勝った…勝ったぞ!!」

 

渾身の一撃を受けて、吹っ飛び、倒れ伏して動けないアチャ男。

 

それを見届け、勝利の余韻に酔う銀髪君が高らかに笑う。

 

「ふん、急所は外してやった、死にはしないだろう」

 

いや、死ぬって……。

 

「……とはいえ、こちらも限界か…。なのはの処に行っても無駄だな」

 

壊れたのだろう…忌々しそうに手に持っていたデバイスをその場に捨てて立ち去る銀髪君。

 

っと、いけね、銀髪君を結界から出さないと…

 

 

後に残ったのは、倒れ伏す。アチャ男と……

 

「ま、マジかよ……」

 

ガサガサと茂みから出てきた金髪君。って、まだ居たんだね……。ま、そうか。結界から出てないしね。

 

 

「……これ、あいつの……」

 

ゴクリと唾を飲む金髪君。きょろきょろと左右を見渡し、人目がないのと、アチャ男が動かなのを確認すると…バッと銀髪君の捨てて行った掃除機を抱えて駆け出した。

 

 

 

金髪君も結界の外に出す。残ったのは俺とアチャ男。

 

「……生きてるか?」

 

恐る恐るアチャ男の様子を伺う。

 

返事がない……ただの屍のようだ…

 

《サーチ……バイタル確認。お前様…残念ながら……》

 

マジか……って、

 

「うぉい!!ヤバいって!」

 

慌ててザオリクを唱える。

 

まさか、最初にこの呪文を使うのがアチャ男だとは思わなかった……

 

見る見るうちに息を吹き返し、生気を取り戻していくアチャ男。

 

効果は抜群だ!!

 

「さて……アチャ男はもう大丈夫そうだ。」

 

ふぃ~焦ったぜ………。

 

アチャ男がどうなろうと知った事じゃないが、目の前で死なれたら目覚めが悪いしな。

 

それにあんな原因で死んだら性質の悪い悪霊になりそうだ。

 

那美さんに迷惑を掛けちゃいけない……。

 

「さてっと、ジュエルシードはどうなってるかな……」

 

トベルーラで飛翔し探索開始。

 

程なく、なのはを見つけた。丁度、状況はクライマックス。

 

 

「封印すべきは忌まわしき器。ジュエルシード!」

 

「リリカルマジカル。ジュエルシード、シリアル21。封印!」

 

無事、原作通りに魔法少女となり、ジュエルシードを封印したようだ。よかった……。

 

次回からはユーノの怪我も良くなり、結界も自前で張るだろう。

 

結界を解除し……

 

「ふぁ……疲れた。帰って寝よ。」

 

なのは……それにユーノよ。

 

あとよろ!

 

そう、心の中で告げ…俺は寮へと帰るのだった。

 

 

 

――Side Yuuno Scrya

 

なんとか封印が出来た……

 

「やったね。ユーノ君」

 

「うん、ありがとう。なのは」

 

それにしても、なのはは凄い。持っている魔力量もそうだけど、初めてで此処まで戦えるなんて……

 

だけど…気になることがある。

 

何時の間にか張られていた結界。……そして、僕たちがジュエルシードを封印した後、それは解除された。

 

タイミングを見計らっていたかのように。

 

見られていた?

 

……この町に僕たち以外にも魔導師が居る?

 

だとしたら目的は何だ?ジュエルシードだとしたら……

 

「ユーノ君。帰らないの?」

 

「あ、そうだね。」

 

いや、そうと決めつけるのは早計だ。

 

僕は判断を保留し、なのはと共に帰路に着いた。




やっちまった。

すまん…アチャ男。

本来ならアチャ男が勝つという結果で書いていたんだが、どうしてこうなった?

原因は分かっている。此処でアチャ男が勝ったら、当初予定していたアチャ男の
強化計画に繋がらないからだ!

だがその代償として、銀髪君がとんでもない下種野郎に……。

変身シーンで容赦なく攻撃を叩き込むのが、銀髪君クオリティ。

そして主人公が完全傍観者スタイル。

まぁ、此処でしゃしゃり出ても…戦いにならないからねェ。

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