後で、直すかも。
最近なのはちゃんの様子がおかしい……。
アリサちゃんもそれを感じているようで、私たちに相談してくれない
なのはちゃんにイライラしているみたい……。
私もちょっと心配だ。
「どうしちゃったんだろう……」
そんな事を考えながら、私は家の門を潜る。
そこで……
【…えっく……ここどこ~~】
女の子の泣き声が聞こえてきた。
えっと……。
ありえないものを見た。
俺は目をつぶり、眉間を軽く揉んだ後にちらりと確認してみる。
目に映に入ったのは金色の髪。日本では珍しいかもれ知れないが、このクラスにもアリサ・バニングスという少女がいる以上、まぁありだろう。
このクラスで見たことがない顔……いや、正確には近い未来にクラスメイトになるであろう顔なのだが…。現時点ではまだクラスメイトには居ない。
次に目に入ったのは、女子の制服とは似て非なる……いや、色だけは似てるのか…白いワンピースが目に入る。どうやら、私服のようだ。
そして最後、足が地面に着いていない。
ふわふわと浮いている。
というか教室を飛び回っている。だが、他の生徒は気が付かない。
……スリーアウト!!なんじゃこりゃ!!。
頭を抱える。
今だけは、もって生まれたこの目が恨めしい。
父親には劣るが、生まれつき持った霊力。
そして薫さんお墨付きの霊視能力はバッチリとその姿を捉えていた。
フェイト・テスタロッサ?いや……まさか。
アリシアの方か!
「……?」
あ、ヤバい。目があった。こ、こっちくんな!!
【いま目が……見えてるの~?】
反応するな。目を合わせるな。無視だ。無視するんだ俺。
ヒラヒラと目の前に手を翳すアリシア?
ぐるぐると俺の周りを旋回するアリシ以下略…。
ゼロ距離でジッと目を見つめてくるアリ以下…。
耐えた。耐えたぞ俺。不動の精神力だ。よく頑張ったぞ俺。
流石に零距離美少女は物凄い攻撃力があった……。
【そ、そんなに見つめられたら照れちゃうよ……】
「お前が照れるんかい!!」
反射的にビシッとツッコミをいれる。
……はっ、しまった。
【へっ?や、やっぱり。君、私の事が見えるんだね!?っていうか…今、触っ……】
咄嗟に霊力を纏ってしまった。
父さんのようにアホみたいな馬鹿霊力こそないが、此れくらいなら俺にもできる。
霊力の使い方は薫さんと那美さんに少し指導を受けた。
二人が言うには霊力量などは普通の退魔師以下。ただ、呑み込みの速さは天才的とのこと。
結構すぐ使えるようになった……。すまん、神様チートだ。
ただ、前にアリサにも言ったが刀などに纏わせることはできない。せいぜい自分の身体のみ。
それも除霊できるほどの霊的攻撃を与える威力はない……。いいんだ。魔力なら誰にも負けないから……。
とりあえずだ……
【ねぇ!?見えるんでしょ?聞こえるんでしょ?】
あ~もううっさいな。
無視だ……鋼の精神だ。初志貫徹……。
じ~。
無視されているのだが、懲りずにまた零距離視線。生きていれば吐息が分かるレベル。
そして……
【…///】
てれりこ…
「このくだりはいいって!!」
ツッコまんぞ……って、しまった。
くそ、染みついた感覚で咄嗟にツッコミを入れてしまう。
「えっと……」
その様子を隣の席から困ったように見ているのはすずかちゃん。
【あっ!?すずか!すずか!すずかの他にも見える人がいたよ~♪】
お前が連れてきたのか。
がっかりだ…がっかりだよ。
三人娘の良心だと思っていたのに。
何かと絡んでくるバニングスとやたらと話しかけてくるなのはちゃん。
そして、二人の蛮行にブレーキを掛けていた良心だったのに。
「ブルータス……お前もか」
担任の先生が入ってきたのは、俺が項垂れるのと同時だった。
《どうしたのです?お前様》
授業中、何時もならローズと一緒に何かしら暇を潰しているのだが、何時になく真剣な様子?で授業を聞いているように見えるらしい俺に怪訝そうに話しかけてくる。
隣の席からもチラチラと視線を感じる。
そして…その元凶は。
【ねぇ、ねぇ。君、耕二君って言うんでしょ?槙原耕二君。私はね。アリシア。アリシア・テスタロッサっていうの!】
ふわふわと俺の周りに纏わりついて話しかけて来た。
クラスの様子を見るに皆いつもどおり。特殊な力を持っている連中。なのはちゃん、アチャ男、金と銀髪君も
どうやら見えていないようだ。
【えっとねぇ~。私はね、ミッドチルダっていう所に住んでたんだけどね。気が付いたら知らない場所で…。お母さんを探してウロウロしてたらすずかがね、見つけてくれたんだ。】
うん、聞いても居ない状況説明ありがとう。何だこれ、俺とプレシア陣営になんかフラグたった?嫌だなぁ~。
《なぁ、ローズ。念の為に聞くが……俺の目の前に何がいる?》
《何って…ご学友の瀬田様がお座りになっていますよね?》
どうやら、アリシアの姿は確認できないらしい。俺の前の席の瀬田?君という回答が来た。
あれ?瀬田って名前だったっけ?前の席だから偶に話をするんだけど、いっつも向こうから話を振ってくるから名前を呼んだことがない。よし、瀬田君ね…覚えた。
にしても、すげぇな。ローズ…俺もまだうろ覚えなクラスメイトの名前を覚え…「はい、じゃぁ次は、遠藤君。答えてみて」
先生に指を差されて立ち上がる俺の前の席の瀬田君…改め、遠藤君。って…
《……》
えっと…
《そ、それにしても、お前様。急に何が居るかだなんて…何かあったのですか?》
誤魔化してる…
まぁ…なんだ。触らないでおこう。それよりもだ。
【ねぇ聞いてる?でね、此処学校っていう所なんだよね。いっぱい子供がいるねぇ~。私にもお友達とか出来るかなぁ】
いい加減…喧しくなってきた。
指先…中指に霊力を集中。親指で中指を固定。発射準備オーケー。
喰らえ…
ビシィッ!
【っ!?痛ぁああい!!】
ちっ、やっぱり成仏はしないか……。まぁ、ただのデコピンだしな。
俺の渾身の霊力デコピンを喰らったアリシアはすずかちゃんに泣きつく。
泣きつかれたすずかちゃんはと言えば、よしよしと慰めつつ、こっちを軽く睨んでくる。
うぉ、すずかちゃんのあんな顔…初めて見たかもしれない。で、でも俺悪くないもん。
学校に関係のない物を持ってくる君が悪いのだ。
そんなすずかちゃんの奇行に……
「?月村さん。どうかしましたか?」
先生が気が付く。まぁ、傍から見たらパントマイムしてるように見えるからねぇ。
「え?えっと……その…」
先生の言葉に皆もすずかちゃんに注目する。困った表情のすずかちゃん。有りの侭に説明する訳にもいかないからねぇ。さて、どうやってこの場を切り抜けるか…
「こ、耕二君が…で、デコピンをして…」
ちょっ、おまっ!!
「槙原君?」
すずかちゃんの証言により一気に視線は俺の方へ集中する。
人柄の良い、一部では人気のある彼女にそんな事をすれば…
「ま、槙原ぁ。お前!」
「この野郎。すずかちゃんに何てことを!」
男連中を始め、非難の嵐。
中でも……。
「こ、耕二!!すずかに何してるのよ!!」
「すずかちゃん大丈夫!?」
烈火の如く怒り始めるアリサとすずかちゃんの身を心配するなのは。
ど、どうやって収集付けるんだよこれ?
「す、すいません。ちょっとふざけ合ってました。ごめんね。すずかちゃん」
合わせろや!
「う、うん。こっちもごめんね。アリサちゃんもなのはちゃんも大丈夫だよ。」
空気読み職人すずか。見事に俺の意図を理解してくれた。
「はい、みなさん。授業を再開しますよ。槙原君と月村さん。授業中ですよ。ふざけ合うのは休み時間にしなさい。」
ふぅ~。どうにかなったようだ。
《それで、お前様?何がどうなっているのですか?正直、今の一連のやり取りの意味が分からないのですが……月村様は何故あのような嘘を…》
あながち嘘って訳じゃないんだよなぁ。デコピンしたのは本当だし。対象が違っただけで…。
【えっと…ごめんね。私がうるさかったからだよね。】
もういいよ。
【あ、それとね。すずかがね。後でお話がしたいんだって。】
まさかすずかちゃんからその単語が出るとは……。
はぁ~とため息を吐く。
帰りてぇ…。
放課後、俺は話をする為にすずかちゃんの家に向かっていた。
すずかちゃんは先にアリサと一緒に車で帰って行った。
正直、バックれようかと思っただけど。そうも行かない。お目付け役が居るからだ。
《それじゃ、出発~♪》
ふわふわと先頭を行くアリシアである。
ありがた迷惑な事に案内するとの事で、車には乗って行かず俺の所に残った。
俺としてはすずかちゃんと話をするというより、こいつを返却しに行くのが主要目的だったりする。
とりあえずだ……。
「インテ……」
かしこさを上げる。
《ローズ、念話のチャンネルを調整する》
こういう応用はアリサの専売特許なんだが…。何とか行けるか?
他人に繋げる要領で、目の前のアリシアに。
《あ~、あ~。こちら槙原。ただ今テスト中。アリシア、聞こえたら応答せよ》
《お、お前様…突然何を……はっ、これが毒電波という奴ですか?お、気を確かに!》
失礼な事をほざくデバイスを無視して、色々調整しつつ、語りかけ続ける。
もちろん地域は半径3mに限定してだ。無いとは思うが妹?と犬コンビが釣れたら困る。
やがて…
【へっ?何?こ、耕二君が話しているの?】
よし、ミッションコンプリート。
《? 私にも毒電波が!?》
《あ~、ローズ。こちら姿は見えないが、故アリシア・テスタロッサさん。
んで、アリシア。俺は今、念話で話しかけている。ローズってのは俺のデバイス。OK?》
【ね、念話って…。こ、耕二君。魔導師だったの?】
≪まぁね~。所でさ、アリシアさんよ≫
【なぁに?】
俺はピタッと立ち止まる。正直、本意じゃないんだけど仕方がない。
≪こっち、すずかちゃん家と逆方向だけど≫
別に行きたい訳じゃないけど、このままだと何処に連れて行かれるか分からん。
【へ……嘘!?】
マジだよ。
俺は正確なすずかちゃんの家は知らないが、高級住宅街に住んでいることくらいは知っている。
そして、徒歩で行くならソコソコ距離があるという事も。
という訳で……
≪バスで行くから…ついてこい≫
【……はい】
この頼りにならない案内役は放っておいて、自分で動いた方が良さそうだ。
何処か憎めない幽霊少女に溜息を吐きつつ、俺は歩き始めた……。
そして……
「………」
「………」
その俺の後を付いてくる二つの影に気が付くことがなかった。
すずかちゃんの家に着いた俺達。
前世の記憶から、月村家のセキュリティーに警戒していたんだけど…、
姉と違い、しっかり者のすずかちゃんはきちんと対処をしていたようで、
特に反応はしなかった。
忍さんは恭也さんとデートとかで、リア充もげろ……とか思いつつ、
生ノエルとファリンさんに迎えられ、生メイドさんに若干テンションが上がりつつも、何とか自粛。
部屋に通され、メイドさんたちは退散し、俺とすずかちゃんとアリシアの三人となる。
んで、早速アリシアの事についての話になり、まぁすずかちゃんと一緒に学校に来た経緯はアリシアが勝手に語っていた通りなのだが……
この後だ。互いになんでアリシアが見えるのかという話題に発展したのだが…
この時の俺のファインプレーを自分でも褒めたい。
若干、影を差しているすずかちゃん。…そして下手に月村家の事情に首を突っ込みたくない俺…。
二人の利害を一致させるために……。
「父さんがさ、昔から幽霊が見える人で…俺もそれを受け継いだみたい。すずかちゃんも同じような感じ?」
先手を取った。退魔師とか、霊力とかそっち方面に話が及ばないように。
幽霊が見えやすい一般人ですよ。ってな感じで。
魔導師云々はアリシアを口止めしてある。
すずかちゃんも暫くは真意を疑ってたみたいだけど、最終的には誤魔化せた。
そして今後、アリシアの事をどうするかという話になり…。
【私は…お母さんに会いたいな…】
ぼそりと…アリシアが呟いた…。
……関わり合いになるつもりなんて無かったのになぁ。
お母さんに会いたい…か。
会って、どうするのかは知らない。けどな…
転生前の自分……。唐突に死んでしまった俺。
前世の幾つかの心残りの一つ。
両親より早く…死んでしまった事だ。
だから…
【ーーっ!?】
スッとアリシアに手を伸ばす。また、でこぴんされるのかと。アリシアはギュッと目を閉じた。
そんなアリシアの様子に内心罪悪感を覚えつつも…
【あ……】
そっと頭を撫でた。
突然撫でられて困惑するアリシアに…
「……分かった。お前が母親に会えるように協力……いや、会わせてやるよ。」
俺は幽霊にはなれなかったけど…
もし、アリシアのように幽霊になっていたとしたら…
やっぱり、会いたいと思うだろうから。
言葉を伝えたいと願ったろうから。
だから俺はこの目の前の女の子のお願いを…
叶えてやりたいと……そう思ったんだ。
投稿。
今回はアリサの出番なし。
最近、プロジェクトクロスゾーンをやってるんだけど…。
ゴッドイーターのキャラにアリサってキャラがいるんだが、
そのせいか、耕二&アリサのユニットを妄想してしまう。
2人が連携して攻撃したらこんな感じかなぁ~。みたいな。
まぁ、雑談はさておき本題に戻る。
今回から冒険してみる。
活動報告でもぼやいたが、いくつか考えたプロットの中で一番破天荒なもので話を進めてみた。
どうなるのかは俺にも分からない。
後を付けていた二人のうち、1人は新キャラ。もう1人は既にチラッと登場しているキャラだったりする。
分かった人はすごい。