パルプンテは最後までとっておく   作:葉虎

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作者的にもどうしてこうなった回。

予め言っておこう。

リトルバスターズに感化された訳じゃない。

どちらかというと超平和バスターズに感化された。


第16話

どうしてこうなった……

 

もはやテンプレと化してきているが、許してほしい。

 

俺だって不本意なんだ。

 

だがしかし……

 

「よし、では『アリシアちゃん、お母さんを探す団』の結成を此処に宣言する!」

 

【わぁ~~♪ありがとー】

 

「えへへ♪面白くなりそうだねぇ~♪」

 

小学生らしく秘密基地と銘打った廃ビルに集まる5人の少年少女たち。

 

握り拳を振り上げ、堂々と甲高い声で宣言をしたのは茶色いショートカットの十人居れば十人が美少女と断定するであろう少年。そう、少年なのだ。

 

見た目は完全に美少女の癖に…だが、男なのだ。

 

名を相川歩という。

 

別にゾンビでも魔装少女でもクソ虫でもない。隣のクラスの男の娘。

 

まぁ、両親の名前を聞いたが彼の息子という訳では無いようだが…

 

けど、絶対に親戚か何かだろ!!

 

そんな少年に拍手をしながらお礼を言うのは、幽霊少女。

 

アリシア・テスタロッサ。団結成のきっかけとなった少女である。

 

そして、楽しそうに買ってきたお菓子を食べているのは、我が不詳の義妹である。

 

HGS患者。所謂…超能力者であるアリス・C・クロフォード。

 

そして、ちょっと離れた位置。というか我関せずで俺の事を冷たい視線で見るのは、

 

アリサ・R・ヴァルド。

 

現時点で天才デバイスマイスターの片鱗を見せており、

戦闘面でも俺の相棒と呼べる存在である。

 

そして…

 

大魔王様の魔力とドラクエの呪文全て。なんちゃって日門草薙流、そして最近はミッド式魔法も

齧り始めた。魔法剣士槙原耕二。

 

以上の五名が此処に集いし少年少女である……。

 

すずかちゃんはこの場には居ない。

 

というか、段々疎遠になりつつある……。

 

まぁ、塾とかで忙しいとか……すずかちゃんまでこっちきたら、バニングスが完全に孤立しちゃうとか

問題があるからかもしれないが。

 

それらしい人を見かけたら連絡すると、ごめんね?と謝りながら告げられた時は固まってしまった。

 

まぁ、アリシアは未だにすずかちゃん家にいるんだけど…。

 

最初は俺に付いてこようとしてたんだけど、断ったのだ。

 

うちの寮には退魔師が居るから。

 

まぁ、那美さんがアリシアにどうこうするとは思ってない。だけどなぁ。

 

万が一、薫さんに見つかったらなぁ。

 

……いや、流石に薫さんもこんな小さい女の子相手に十六夜は抜かないと思うけど……。

 

……抜かないよね?

 

っと、そんな感じで今一つ不安だったので、丁重にお断りした。

 

街中での単独行動も避けるように注意した。

 

まぁ、本人はぶーたれてたが。

 

 

さて…いつまでも現実逃避してないで話を戻そう。

 

つか、此処にいる面子はなんだよ!!

 

まともな人間、相川しか居ねーし!!

 

いや、まともじゃないかもしれないが。

 

ダモーレでステータスを探れば分かるが、怖くて試していない。

 

だが、それよりも怖いアリサさんの冷たい視線。

 

声に出さなくても分かる。どういうこと?っと視線で訴えかけて来ている。

 

取りあえず、アリシアが学校に着てから、すずかちゃんの家に行った件までを説明し…

 

すずかちゃんの家の辺りで視線がさらに強まり、陽気な春の気候なのにも関わらず、凍てつく身体に震えながら、続きを語り始める。

 

つか、此処からは俺もよく分からないんだ。

 

簡単に言えば、アリシアの姿が見える相川と義妹の二人が頼んでもいないのに妙な正義感を発揮し、ずけずけと首を突っ込んできた。それだけなんだが。

 

流れ的にはすずかちゃんの家に行った日。

 

俺と一緒に帰ろうと思っていた義妹。そして偶々、下校時義妹と一緒のクラスの相川が義妹を発見。

 

当たり障りなく帰りの挨拶をしようとした所で、俺の後ろをふわふわと浮かんでいるアリシアを発見し、

興味本位に後を付け、すずかちゃんの家に着いたところで帰ればいいのに。

 

律儀に待ち続け。

 

んで、話を終えて帰宅する俺と見送りに来たアリシア、すずかちゃんの二人と遭遇し。

 

代表して俺に問い詰める義妹。

 

誤魔化そうとする俺。

 

姿が見える事に興奮し、アリシアがぺちゃくちゃと経緯を説明。

 

なし崩し的に、暗くなってきたので解散し…。

 

次の日の放課後。帰ろうとアリサと二人で校門を出たところで、義妹、相川、アリシアの襲撃に会って…

 

 

「今に至るわけですよ」

 

「あなたってつくづく色々な事に巻き込まれるわよね。」

 

「まぁ…な。否定はしない。でもさ…」

 

「?」

 

「お前の一件は巻き込まれて良かったよ。もし、あの場に俺が居なかったらと思うと…ぞっとする。」

 

あれだけはこの巻き込まれ体質に感謝だな。

 

「こ、耕二…///」

 

「て、照れるなよ。俺まで恥ずかしいじゃないか……///」

 

二人して顔を赤くして俯く。そこに…

 

 

「はいそこぉーー!!二人でイチャイチャしない!!」

 

割って入ったのは義妹。どうやら無視されていたのが気に食わなかったようだ。

 

その言葉に二人して咳払いをする。うぉ~~。なんだこれ?滅茶苦茶恥ずかしいんだが…

 

「それで、アリシアっていう子はそこに居るの?正直、幽霊なんて非科学的な物は信じられないけど…」

 

どうにか落ち着いたアリサが言う。ふむぅ…アリサには見えないようだ。

 

「アリサ。ちょっと俺と手を繋いでみろ」

 

俺の申し出にちょっと頬を赤く染めるアリサだが。言われるがままに差し出した俺の手を取って、しっかりと指と指を絡み合わせて手を繋ぐ…。って、あれ?

 

普通に手を繋ぐはずだったのだが…まさかの恋人繋ぎ…ま、まぁいい。重要なのはそこじゃない。

 

「高い霊力を持った人間と接触することで一時的に霊力が上がるってことがあるらしいんだ。さらに言えば、俺は見る事だけならソコソコの評価を貰ってるからな。その辺りの影響で…どう?此れで見えたりしない?」

 

「え、えぇ……見える。金髪の女の子…よね?」

 

「あぁ…これでアリサにも見えたな。まぁ、いちいち俺の手を握ってなきゃいけないっていうデメリットがあるが…」

 

俺の言葉にギュッと少しだけ握る力を込めて…

 

「私にはむしろメリットだわ…ずっと耕二の温度を感じてられるもの…」

 

微笑むアリサ。

 

思わず顔が赤くなる。そして…

 

「でもさぁ、その名前長すぎない?」

 

「そうかな~」

 

【そうだね~。私もうなんて名前だったか忘れちゃった♪】

 

残る三人はスルーすることにしたらしい。色々話し合っている。

 

今ならこっそり帰れるんじゃないかと若干、アリサの手を引きこそこそと出て行こうとした所で…

 

「よし、じゃぁお兄ちゃんは何がいいと思う?」

 

義妹に声を掛けられた。

 

ちっ、折角帰れると思ったのに。

 

此処で無理に返っても家で義妹が騒ぐのが目に見えている為、諦めて話に付き合う事にした。

 

しかし…

 

「何が?」

 

「この団の名前だよ。ちゃんと聞いてろよな」

 

俺の問いに答えたのは相川。

 

何やらご立腹のようだ。

 

「……なんたらバスターズとかでいいんじゃないか?」

 

取りあえず、記憶を遡り案を出して見る。

 

リトルバスターズとか…

 

幽霊も居るし超平和バスターズとか…そんな感じの名前で。

 

「バスターズ!なんかカッコいいな!えっと…アリシアちゃんのお母さんを探すバスターズ。略して…」

 

「アリシアバスターズだ!!」

 

おい…それは……。

 

「バスターズには倒す者達とか追い払う者達とか言う意味があるわ。和訳するならアリシアを倒す者達、アリシアを追い払う者達っていう感じになるのかしら」

 

アリサが解説する。

 

「う~ん。アリシアちゃんを筆頭とする倒す者達っていう風にも取れるんじゃないかな」

 

「それは駄目だ!不公平だ。う~ん。じゃぁ、略してアスターズにするか。ほら、メンバーの名前に

『あ』が付いてるし。」

 

あゆむ。

 

ありす。

 

ありしあ。

 

ありさ。

 

なるほどね…。まぁ、俺は…

 

こうじ。

 

ついてないんだが…

 

「もう、それでいいよ。」

 

ど~でもいい。

 

「よし、決まり。今日から俺たちはアスターズだ。それでだな。早速だけど幾つか決めなくちゃいけないことがある。」

 

場を仕切るのは相川。まぁ、俺とアリサ以外は盛り上がってるし、俺たちはそこまでノリ気じゃないから好きにすればいいけどねぇ…。

 

「それは、アスターズを率いるリーダーだ。」

 

「相川でいいじゃん…」

 

間一髪いれずツッコむ。だって、やりたそうにしてるし、既に仕切っているし。

 

本人も乗り気。別に反対する意見もないという事もあり、あっさりと決まった。

 

「よし、それじゃ俺がやるぞ。じゃ次だ。」

 

まだ何かあんの?そろそろ子連れにゃんこの再放送があるんだけど…

 

「団員たちの呼び名を決めたいと思う。槙原も言っていたが、相川とか…苗字じゃなんか違う。それに、アリシア、アリサ、アリス……紛らわしい名前が多いからな」

 

呼び名ねぇ…

 

「んじゃ、まずは俺から。何かある?」

 

相川が意見を募り…

 

「クソ虫…」

 

ぼそっと呟いたのはアリサ。

 

「ちょっ、それは悪口だから。それに俺、リーダーだよ?」

 

【あいちゃんとか?】

 

「なんか女の子っぽくて嫌だ」

 

「あ~いあいとか?」

 

「いや、むしろ名前よりも長くなってる上に…俺はおさ~るさん♪じゃね~♪」

 

歌ってるし、ノリノリじゃねぇか。

 

「じゃ、最後は槙原。何かまともな意見は?」

 

「……だんちょー。で」

 

俺の言葉に固まる相川……そして、ふるふると震えだす。

 

「いいな…それ」

 

気にったらしい…

 

「だんちょ♪」

 

ちょ。の部分を舌足らずな口調で言う義妹。不覚にもちょっと可愛いとか思ってしまった…

 

はっ、いかん。あれは、知佳さんではない!見た目だけ、見た目だけ。中身は女神と小娘だ……。

よし、落ち着いた。

 

【だんちょっ】

 

マネをしながらちょっとアレンジを加えるアリシア。残念だったな。二度目だそんなに可愛く感じない。

 

「だ、……団長」

 

恥ずかしいのだろう。ちょっと顔を赤らめつつぼそりというアリサ。やヴぁ、何この娘。ちょう可愛いんですけど…。

 

「俺は団長で決まり。じゃぁ、次は槙原だな」

 

俺?

 

「耕二は…耕二ね。今更変えられない。」

 

「う~ん、おにいちゃんはおにいちゃんだしなぁ~」

 

【じゃぁ、私も耕二って…呼び捨てで呼ぼうかなぁ】

 

「耕二か…普通に名前呼びだけど、反対意見は?」

 

「別にいいよ。それで。ただ、その理屈で行くと俺もアリサはアリサなんだよなぁ」

 

「私もそれで…むしろそれがいいわ」

 

即答するアリサ。変なあだ名を付けられるよりはいいのだろう。

 

「んじゃ、二人は耕二とアリサに決定っと。残るは……」

 

義妹とアリシア。

 

そういえば、義妹に関しては…義妹よ。って呼称してたっけな。流石にまずいよな…。

 

「じゃぁ、クロフォードから。アリスだから…アリなんてどうだ?」

 

なんだそのアクセント。まるで…

 

「中東の方に沢山そうな名前ね。」

 

アリサに同意。

 

「やだ。そんな可愛くないの…」

 

「ルイスとかキャロルとかはどう?」

 

「それって、アリスから来てるよな?」

 

ルイス・キャロル。不思議な国のアリスの著者である。

 

流石アリサと言うべきか……けど、小学生が知ってるのか?

 

【えっとねぇ……クロフォードだから…クロちゃんは?】

 

「クロ……。猫みたいで可愛いかも♪」

 

まぁ、猫の名前に割とあるしね。

 

「耕二は?なんか意見ないか?」

 

「クロでいいんじゃないか?本人が気に入ってるなら」

 

義妹はクロに決定。

 

「じゃぁ、最後にアリシアちゃん」

 

「そりゃ、もうミー君だろ。」

 

間一髪いれず答える。クロちゃんと言えば、ミー君。

 

【なんで!?それ男の子の愛称だよね?君が付いてるし】

 

「名前から考えようぜ?えっと~。アリとかは?」

 

提案する相川…じゃなくって、だんちょー。

 

つか一度やったボケ。みんなもうツッコまない。

 

だんちょー涙目……。まぁねぇ。ボケはスルーされるのが一番きついからねぇ。

 

アリシア・テスタロッサね……。

 

転生前のオタク脳から割り出せば…。

 

シア、テッサ、テスタってとこか

 

まぁ、個人的にテスタって聞くとエグゼビーストという声が脳内に聞こえてくるんだが…。

 

ソコソコやり込んだからなぁ。もはや不治の病になりつつある。

 

今後の事を考えれば、テスタロッサから取った名前じゃない方が良いか。

 

フェイトが来るかもしれんし。

 

まぁ、そのころにアリシアが居るっていう保証もないんだけど…。

 

となると…

 

「シアになるのかなぁ…」

 

「シア……シアちゃん…うん。なんか響きがいい。」

 

俺の呟きに反応するのは義妹もといクロ。

 

【シア……えへへ、そんなあだ名で呼ばれるの初めてだよ。】

 

どうやら、納得したようだ。

 

「よし、みんなの呼び名も決まった事だし、此処に改めて…アスターズ結成の宣言をする!!」

 

高らかに腕を振り上げて宣言するだんちょー。

 

アスターズ。後に管理局を震撼させる………かもしれない。集団が結成された。




一番破天荒なプロット。

今後どうなるか…俺にも分からない。

アリシアに友達を作ってあげたかったんだよぉ~~。

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