たった三人の財団職員はキヴォトスで何をするのか? 作:Bar_00
アンケートは同票だったのですが、黒服があんな脅し文句を言っているのにクリスマスパーティしている場合じゃないですよね。というわけでアリウスの話を進めます。これもクッション回ですけど。
スクワッド…?
まぁ次回かなぁ………。
それと高坂管理官もそろそろ活躍させたいんですけどね。
インシデント-アリウス以降の見たい話についてアンケートを実施中です。
12月25日の昼時、
朝野はフォークで七面鳥を小さく切り分け、皿に置いた。黒服の手元に置かれたグラスにコーラを注ぐ。
そして目の前に座る黒服を冷静な視線で見据えた。
「さて、君は我々のクリスマスを台無しにしてくれたわけだが、食べるかい?」
黒服は微かな笑みを浮かべ、目の前の紙皿を眺めた。「それはご親切に。ただ、こういったものはいただくにしても、場違いな気がいたしますね」
「遠慮するな」
朝野は肩をすくめた。「これも財団の“厚意”だ。君がここに現れるまでにどれだけコストがかかったかを考えれば、七面鳥くらい大したことはない」
黒服は軽く首を傾けた。「それでは、ありがたく頂戴いたします」
「まずは、クリスマス休暇ぶち壊し犯の君の弁明を聞こうか」
朝野はフォークを再び手に取り、皿に視線を落としながら淡々と言った。
黒服は一瞬間を置き、冷静な声で答えた。「弁明というほどのものではありませんが、財団の技術に興味を持つのは当然のことでしょう。私どもが目指すものを実現するには、それがどうしても必要なのです。すぐに、というわけではありませんが……」
黒服はわざとらしくため息をつき、わずかに笑みを深めた。「好奇心の高い子供に面白い文庫本を与えたら、一晩で読み終えてしまうでしょう。我々は
「それと……予算を使うには月末に入手した方がいいのでは?」
朝野は七面鳥を口に運び、咀嚼しながら少し考え込むように間を取った。そして、フォークを皿に置き直し、冷ややかな目を黒服に向けた。
「私個人としては、年明け後の方が良かったかな。ウン」
フォークを置いた手を机に組みながら、朝野は静かに言葉を続けた。
「我々の結論を言おう」
黒服は軽く頷き、静かな声で促した。「どうぞ」
「君は解放される。我々は、ある条件下でなら、財団の技術を使わせてもいいと考えている」
黒服の目が微かに輝いたが、表情は動かない。「それは朗報ですね。その条件とは———」
「いや、
朝野は黒服の言葉を遮り、冷たい声で続けた。「君たちが財団の監視下で我々の技術を使った実験を行う許可を出す、という話だ」
黒服は小さく笑い、柔らかな声で答えた。「ふむ……それは合理的でしょう。あなた方の技術の安全性を確保するためには、当然の措置だと思います。しかしながら、その条件であるならば精々『半額』ですかねぇ」
朝野の目がわずかに鋭くなった。「まぁ、落ち着け。私たちが思うに、神秘を探求する君が欲する技術とは、
「整理しよう。君は『
黒服は沈黙し、穏やかな表情でただ聞き入っていた。
朝野はその反応を観察しながら続けた。「歴史から消え去った我々をどこで知ったのかは知らないがな」
七面鳥を切り分けながら、朝野は冷たい声で核心を突いた。「神秘を探求する君が欲する技術とは、『
黒服は軽く目を伏せ、フォークを持ち上げて七面鳥を口に運んだ。そして、何も言わない。
「どうした?食事中で話せないか?」
朝野は軽く笑いながら尋ねたが、その目は笑っていなかった。
黒服は紙ナプキンで口元を拭い、静かに答えた。「いえ、ただあなたのお話が非常に興味深かったものですから。続きを伺う方が得策かと思いました」
「さて、我々は君らが軍事目的で現実錨を欲しているのだと考えていない。対話部門は君の精神構造が我々の研究者と極めて酷似していると言った。私もなんとなくそれは分かる。君は探求者であり、
朝野は言葉を切り、黒服の目をじっと見据えた。そして、低い声で続ける。
「君の目的は現実描環境下における『生徒』に対する実験だ。違うかね?」
黒服は柔らかな微笑みを浮かべた。「えぇ、
「よって、私たちは君の主な目的が『スクラントン現実錨の技術』ではなく、『その装置を使うこと』だと考察する。技術提供はあくまで『もしできたら』の話だ。あんな値段で我々の
「反証は?」
黒服は軽く首を振り、敬意を込めた声で答えた。「ありませんとも」
朝野は机に肘をつき、冷たい目で黒服を見下ろした。「では交渉成立だ。我々は君が述べた交渉金額満額によって、当サイト-8142監視下のもと、君がスクラントン現実錨を使用することを認める。これが契約書だ」
黒服は楽し気にサインをした。
「私の解放はいつになりますか?」
「まだ時計型デバイスの研究が終わっていない」
「あぁ、はい、そうですか…」
「まぁ、そんな君のために『笑ってはいけない』シリーズを焼いたDVDを持ってきておいた。あのテレビの番組は何も映らないからな。あと、我々の文明の文庫本も。私のオススメさ」
深夜00:00。
私たちアリウスはマダム「ベアトリーチェ」の指示の元、財団と呼ばれる施設の襲撃に来ていた。マダムは財団が保有する技術を求めているらしい。
正直に言って、私たちが持っている、あの「
アリウス督戦隊は特殊な役割を持つ組織だ。食料事情から士気が低くならざる負えない通常部隊を、後ろからマシンガンで前に叩き出さなきゃいけない。マダムはこちらに食料を少し多く与えることでその対立を保っていた。
私はご飯を食べたかった。だからマダムに擦り寄り、督戦隊に入った。生存本能が私を導いた。私はクズだ。かつての友人を撃った。初めて撃った時の顔を忘れられない。友人は死にはしなかったが、友人の表情筋は死んだし、私のも死んだ。
今日も私は仲間を撃たなきゃいけない。
私こと督戦隊の隊員は敵の「ライン-A」とされる場所で通常部隊と一緒に走っている。監視カメラがある以上、集団で隠密する意味がないらしい。
息を吐くのと同時に軽く溜息をつく。他隊員にバレないくらい軽いものを。だがそれは逆に私の心を沈めた。
私はいつまでこれをやったらいい?
その先にあるのが、私の死体だとしたら?
どうして私は此処にいる? どうして私はこんな事をしている?
どうして… どうして私は死ぬしか未来がないのに生きているのか?
…やはり、マダムの言う通り、
| ► オペレーションセンター |
|---|
部隊司令部セクションが管轄する、巨大な作戦司令部です。サイト-00シリーズと比べて広大なサイト-8142管轄区域の、機動部隊とフィールドエージェントに指示を発します。
オペレーターは背後の緊張感を肌で感じながら、振り返って報告を上げた。
「敵発見。西方面よりおよそ500。
一瞬、作戦室内に沈黙が落ちる。隊長が短く息を吐き、口を開いた。
「当たってほしくない予言が当たったな。」
朝野管理官から聞いていた「黒服」の脅しを思い出す。
隊長はそのまま落ち着いた声で命令を下した。
「監視所人員を直ちに退避させろ。ライン-Bに
オペレーターが指令を無線で伝える間、隊長は即座に次の段階へと進んだ。
「オンラインの第一、第二中隊を西へ割り当てろ。寝ている第三と第四も起こして西に配置。第五と第六は東に回せ。前線が崩れた時のための予備と陽動だった時の為だ。」
オペレーターが指示を受けて動き始めるのを横目で確認しながら、隊長はさらに指令を続ける。
「寝ているエージェントを全員叩き起こせ。機動部隊隊員じゃなくてもだ。すでに起きているエージェントには直ちに戦闘配置に着かせろ。事態は急だ。」
オペレーターが即座に返答する。
「了解しました。第三、第四中隊への通知と同時に進行します。」
隊長はわずかに眉をひそめ、次の命令を口にする。
「近隣のフロント企業に常駐している機動部隊に援軍を要請しろ。そしてアルファ-1にもだ。この規模の脅威なら、奴らの出番だ。今どこにいるか分からんがな」
「アルファ-1への要請、即時開始します。」オペレーターは無駄のない動きで端末を操作していく。
最後に、隊長は作戦室の端にいる別のオペレーターに視線を向けた。
「あ-3には研究員たちの避難を誘導させろ。エリアまで誘導させろ。」
その一言で全ての命令が整い、作戦室内は緊迫した空気に包まれた。遠くのモニターには敵の動きが映し出されているが、その動きは速い。猶予はあまりないことが全員に伝わる。
隊長は、モニターに映る敵の接近速度を見つめながら小さくつぶやいた。
「やはり事前展開していないとレスポンス力が落ちるな…だが、間に合わせる。」
その声は冷静だが、確固たる意志が込められていた。
「ふむ、ちょうどいいですね。見せて貰いましょうか。
その少女は興味深げに微笑んだ。少女はコーラとポップコーンを用意し始めた。