たった三人の財団職員はキヴォトスで何をするのか?   作:Bar_00

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SCP財団はカイザーに対してフロント企業が連合した姿として振る舞い、シェア率拡大を景気に、両者は経済的に、軍事的に対立してきました。
しかし、ビナーの存在が認知され、アビドス砂漠の土地を入手する必要があるため、カイザー上層部にだけ、財団として姿を部分的に見せることになりました。

過去編です。大分前のことです。


機動部隊ニュー-7("下される鉄槌")活動録
交渉


 

 

SCP財団の渉外役としてやってきた朝野は、カイザーコーポレーション本社の応接室に一人、静かに座っていた。

 

部屋の大きな窓からは、キヴォトスの繁栄を物語る街並みが広がっている。その一方で、目に映る高層ビル群と無機質なコンクリートジャングルは、まるで人々の感情を圧し込むかのように冷徹な雰囲気を漂わせていた。時計の針が無情に刻む音だけが、室内に静寂をもたらす。空気は重く、温度は適温だが、朝野の心の中には焦燥が渦巻いている。

 

30分が過ぎ、彼は無言で待たされていた。カイザーコーポレーションのトップ、プレジデントが自らのペースで物事を進めることは、予想していた通りだった。しかし、待機の時間が長くなるほど、朝野の苛立ちは増していった。時計を見つめ、深いため息をつく。冷静さを保つために、何度も手のひらで机を叩くような仕草を繰り返しながらも、内心でその時間が無駄に感じられてならなかった。

 

だが、彼はその時間が無駄ではないことを知っている。プレジデントのような男を相手にするには、心の余裕が必要だ。この無言の待機こそが、プレジデントの真意を読み取るための貴重な時間であることを、朝野は確信していた。

 

ようやく、部屋のドアが静かに開き、プレジデントが姿を現した。背後には数人の部下が立っているが、プレジデント自身は杖をつき、冷徹な姿勢で室内に入ってきた。無駄のない動作でゆっくりと歩み寄る。その姿勢のまま、プレジデントは朝野をじっと見つめた。

 

「ようやく来たか」

 

朝野は冷静にその一言を発した。心の中で舌打ちをしそうになったが、その感情を表に出すことは許さない。微動だにせず、表情に変化を与えることなく、言葉を続けた。

 

プレジデントは一瞬、目の電子表示を細めると、ゆっくりと部屋に足を踏み入れる。

 

感情深げな口調で「どうやらお待たせしたようだな。だが、()()()()()()()()()()()()」と言った。

 

その言葉には、無駄な時間をかけることでプレジデントが優位に立とうという意図が透けて見える。朝野はその言葉を無視し、即座に次の会話に移ろうと心の中で決めた。

 

「まぁ座れ」

 

朝野は、カイザーの懐の中でまるで(プレジデント)のように言葉を発し、挑発的に椅子を指し示した。

 

プレジデントは表情一つ変えずに椅子に腰を下ろすと、杖を手元に置き、腕を組んだまま静かに朝野を見つめる。その姿勢には、まるで王座に座った支配者のような威厳があったが、その冷徹な目には僅かながら不愉快さが滲んでいる。

 

 

「そう怒るな。早速本題に入ろう」

 

プレジデントが挑発に乗らず、冷静に言った。やはり「大人」というのは面倒極まりないな、と朝野は心の中で独りごちた。

 

プレジデントはゆっくりと椅子に腰を下ろし、杖を手元に置くと、腕を組んで朝野を見つめる。

 

「君たちが求めているのは、このカイザーコーポレーションが所有する土地、アビドス砂漠の一部だな。"ビナー"の確保に必要だと」

 

プレジデントが冷静に言う。

 

「その通りだな」

 

プレジデントは無言で朝野を見つめ、そのまま数秒間の沈黙が流れる。プレジデントはまるで朝野を試すかのように、その視線を解かずに続けた。

 

 

「土地を貸し出すにしても、君たちにはいくつかの条件をつけさせてもらう」

 

プレジデントが、やっと口を開く。

 

「ビナーを確保するために土地を使うということだが、それだけでは我々の利益にならない───」

 

 

 

朝野はすぐに冷徹な笑みを浮かべる。瞬間、彼にスポットライトが当たるかのような錯覚を覚えた。カリスマ性だ。場の主導権は朝野に流れ始める。

 

「───いつから冗談が下手になったんだ?えぇ?プレジデント。カイザーPMCの発掘現場、アレ(ビナー)にたびたび襲撃されているだろう」

 

プレジデントは、その言葉に一瞬だけ眉をひそめ、そしてゆっくりと尋ねる。

「…どこから知った?」

 

「君の後ろの人間(側近)に聞いてみたらどうだ?」

 

朝野はプレジデントの背後に立つ側近たちを軽く見やりながら、冷静に言った。残念ながらそこにはスパイはいない。ただのフェイクであり、内部分断を誘発させるものだ。

 

「…スパイか」プレジデントは後ろを振り返らずに言った。少し動揺したが、予測できている答えだ。

 

その言葉に側近たちは震えあがり、次々と私ではないと弁明の言葉をかけようとするが、プレジデントはそれを右手で制するだけでとどめた。その冷徹な態度に、部屋の空気が一瞬張り詰める。

 

 

「君たちも()()()()()()()()()()我々(財団)に入りこもうとしたネズミ(スパイ)()()が捕獲されているがね」

 

朝野は続けて言ってやる。

 

プレジデントはその言葉に一瞬だけ眉をひそめた。その通りだ。我々はスパイを何人も送り込むが、誰一人として連絡をよこさない。人のメモリ(脳味噌)の中でも覗けるのか、バケモノめ。

 

「………」

 

「私が予測するに、君たちが要求したいのは我々が手を出している分野での独占権か何かだろう?」

朝野は慈悲を与える神のようにふるまった。

 

なんとしても、カイザーは復権を目指さなければならない。

 

財団のフロント企業はあらゆる分野で我々を押しつぶす。どこからどこまでが財団のフロント企業なのかは分からないが、さまざまな分野での人材と顧客がカイザーから流出している。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!

 

どう足掻いても彼ら(財団フロント企業)は優秀すぎるのだ!!

 

あちら(財団)からこちらに「フロント企業だ」と公開されている一部範囲だけでも我々は確実に負けている。

 

値段で勝っている?我々の劣悪な環境がどこからか電子的に拡散された(ネガティブキャンペーン)おかげで顧客は大幅に減少した!一部の幹部は労働環境の改善を行わなければ未来はないというが、それが行われるなら値段は釣り上げざるおえない!!

 

値段が上がれば客は買わない!!カイザーという名前を下して再出発することさえ幹部会議で話されたほどだ!

 

 

そして彼ら(財団)は連合として我々の警備会社やPMCに襲撃をかけてくるのだ!

 

我々がカイザーの利権を維持するために"()()"を始めたが、明らかに押されている。ゲリラ的に襲撃され、脱走者が続出している!!

 

そして連邦生徒会とヴァルキューレはこの出来事を黙認している!!あそこにも財団がいるのか、我々がやりすぎた自業自得として見ているのか、分からない。

 

 

 

 

まさに大赤字。だが、財団との交渉現場を今回(アビドス)の一件で確保できた。

 

業績悪化に焦っている幹部連中から引っぱたかれ、プレジデントは交渉のために場に出ていた。

 

これが失敗すれば、彼のキャリアはここで終わる。

 

こちらにアドバンテージはある。落ち着け。落ち着くんだ。プレジデントはカイザーに入って、初めて行った交渉のように焦っていた。だがなんとか外面は保ち、朝野を威圧できている。

 

プレジデントは威厳を取り戻すように鷹揚に頷く。

 

「その通りだ。ビナーを確保する前哨基地としてこの土地を借りることには反対しないが、その代わり、我々が既に関わる分野で君たちがこれ以上干渉することを許さない」

 

プレジデントは冷や汗をかきながら、焦る気持ちを必死で隠そうとした。

 

「これを断るようならば、()()()()()

 

緊張するプレジデントの言葉は滑る。彼が出した条件がどれほど無謀だったかは、言葉を発した瞬間に理解した。相手に圧倒的な優位性があることを忘れ、どうしても威圧的に強気で出たかった。だが、それが仇となった。

 

その瞬間、プレジデントは底知れぬ恐怖を感じた。彼の理性が崩れ始めているのが分かる。

 

朝野は少し黙って考え込み、口を開けた。プレジデントにはその時間が何千倍にも引き延ばされて感じた。

 

プレジデントには一つ、大きな過ちがあった。それは、カイザーコーポレーションよりも強大な企業との交渉経験がほとんどないことだ。彼は自分の得意分野、すなわち規模の小さい企業との交渉には慣れていた。だが、セイント・ネフティスのような大企業、ましてや財団相手では通用しない。

 

彼は非常に利口だった。自分の役割と能力、そしてそれ以外のことをよく理解していた。セイント・ネフティスのような大企業との交渉は渉外部門の専門家の仕事であり、プレジデントが出るべきではないということを、彼はよく理解していた。

 

彼が今まで関わってきた相手にとっては、威圧こそが最良の戦術だった。PMCの武力をちらつかせ、もしもの場合を仄めかせるだけで、相手は黙る。その威圧が、彼にとって唯一の「交渉術」だった。だが、財団のような相手には、その手は通用しない。彼は譲歩を知らなかった。そして、今その経験不足が、プレジデントを崖っぷちに追い込んでいることに気づかないわけではなかった。

 

 

 

「───プレジデント」

 

朝野(財団)が冷たくその名を呼ぶと、プレジデントは一瞬、息を呑んだ。

 

我々(財団)を舐めているのか?」

プレジデントは一瞬、目を見開き(電子表示を拡大し)、そして軽く肩を震わせた。朝野は冷徹な視線で、プレジデントの目を真正面から見つめ続けた。朝野は少しの間、プレジデントの反応を見てから、威圧を続けるためにさらに鋭く言葉を続ける。

 

「いつカイザーに尻尾をふると言った?それは君らへの利益が多すぎる。我々(財団)のフロント企業PMCが君たちの部隊を何度退けたのか忘れたのか?そのメモリ(脳味噌)は飾りか?」

 

 

「君たちが私たち(財団)に何をしたか見てみろ。私はフロント企業連合の代表として君たちにやってきて『()()()()()()()()()()()()()()()』と言ったよな?()()()()()()()()()()()()()()とも言った。だから忠告を聞くべきだと言うんだ。なのに君たちは酷くそれ(襲撃と吸収)をやりたがった」

 

朝野は冷笑を浮かべながら、プレジデントを見据え、立ち上がり、演説を始める。

 

 

「戦争はもう終わっている。君らの経済基盤は眼球のように引き抜かれた。脳のあった場所に穴が広がる、空っぽの組織だ。戦争は終わった!ようやく!君たちに"これ以上(継続戦闘能力)"があるのか?」

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()君たちにはもはや無理だ!企業債権でどこまで耐えられる?そして誰がそれを買う?」

 

 

「PMCの反乱鎮圧能力も戦闘能力ももう限界だ!世間でさえ君たちを冷たい目で見ている!プレジデント(カイザー)!これは和平条約(降伏宣言)を兼ねてた最終通告だ。我々がアビドスの土地について話すことで、君たちが降伏宣言を持ち出してくると思った我々が愚かだったようだ!!」

 

「"それ(賠償)"で仕舞いにしてやると言っているんだ。君たちのアンサーは『はい』か、『Yes』しかないんだよ!」

 

その演説をヒートアップさせ、プレジデントに選択(降伏)押し付ける(迫る)

 

 

プレジデントは必死に、なんとか言葉を絞り出す。

 

「分かった、分かった…君の言う条件で、いや、PMC基地以外のアビドス砂漠は君たちにやろう。他にもいろいろ約束(賠償)しよう。だから、こちらへの襲撃と業務妨害を止めてくれ…我々も、もう襲撃しないと約束する」

 

 

(財団)はプレジデントの反応に満足したように頷いた。

 

 

 

 






アビドス砂漠Getだぜ。
(市街地は含まれないものとする)

市街地を手に入れたことをアビドス自治区にばれたらどう考えても厄ネタですからね。財団は広大な領域を手に入れることができて喜んでいます。エリアとか色々建てられますからね。


一部セリフにSCP-5000や反ミーム部門ハブ作品からの引用やオマージュがあります。

Q.最終編どうなるの?
A.主人公たちの活躍奪いませんよ。


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