たった三人の財団職員はキヴォトスで何をするのか?   作:Bar_00

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原作時間に入るとは言いましたが、やっぱり先生赴任の二週間前くらいにしてください。次話か次々話で先生が出ると思います。

先生と財団が敵対するのかどうかは神のみぞ知るです。少なくとも最終編かアビドス三章までは遠回りですが良い関係が続くことを明記しときます。



新しい日常の落下

 

 

アビドス商店街は、夜になると静寂に包まれる。

 

昼間の喧騒が嘘のように、ぽつぽつと灯る街灯と自販機だけが淡い光を投げかけ、人通りはほとんど途絶えていた。人気のない街並みは昼間の賑わいの残り香さえも忘れたように、ただ店のシャッターに叩きつけられる冷たい風だけが行き交っている。

 

砂狼シロコは自転車を漕いで学校からの帰路についていた。タイヤがアスファルトを擦る音が静かな夜に微かに響く。夜空を見上げれば、星が無数に瞬き、月明かりが大地を薄白く照らしている。そこまで都会ではないアビドスだからこそ見える景色だ。どこか穏やかで心がほっとする。

 

 

 

しかし、夜空を引き裂くような閃光が空を走った。

 

 

「……何?」

 

 

轟音が後から追いかけてくる。上空を見ると、赤い尾を引いた物体がすさまじい速度で降下していく。視力の良いシロコの目には、それが「人型」であるように思えた。

 

物体は見えなくなるほどの速度で地表へ吸い込まれ、次の瞬間、地鳴りのような振動が大地を揺るがした。

 

「……ヤバいかも」

 

直感的に危険を感じながらも、シロコは自転車のペダルを踏みこんだ。

 

 

 

 

 

落下現場に到着したシロコは、あたりを見渡して息を呑んだ。地面には蜘蛛の巣のように亀裂が走っている。

 

その中心には奇妙な人物が立っていた。全身を覆う白い防護服のような装備。その装備は傷だらけであったが、空から降ってきたことを考えれば、それは軽傷に違いなかった。

 

それは酷く混乱している。ヘルメットの左上に左手を載せていて、()()()()()()()()()()()()()()()()()()思える。

 

 

 

 

「…大丈夫?」

 

自転車を横に停めて、恐る恐る声をかけるとその人物が緩慢に振り返った。頭を上げた防護服の奥から、目が見える。攻撃意思はないようだが、ふらつく姿にはどこか不安定さがあり、今にも意識を失いそうだ。

 

 

しかし彼女(シロコ)を目に入れた途端、その人物は手にしていた近未来的な武器をシロコに向けて構えた。

 

奥に光る目は鋭く引き締まり、兵士の目となった。

 

 

「……!」

 

シロコは反射的に、肩に掛けていたライフルを構えた。足元の小さな破壊片のこすれる音が二人の間の緊張感を際立たせる。

 

 

目の前の武器は見たこともない形状をしていた。

 

灰色と黒い素材でできており、何らかのラインが埋め込まれている。見た目こそアサルトライフルだが、その銃口は鋭く細長く、銃とは思えないほど洗練されたデザインだった。

 

シロコは多くの銃器をホシノ先輩から教わったが、そのような武器は知らなかった。

 

独自生産品あたりだろうか。そして銃器には何の塗装も行われていない。それどころか非反射コーティングすら施されている。

 

 

未知の防護装備を考慮に入れて考えると、所属はおそらく「特殊部隊」だ。そしてヘイローもある。

 

つまりアビドスで、どこかの学園の特殊部隊が活動していることになる。

 

なぜここ(アビドス)に?仲間はどこにいるのか?

 

 

任務中?何のために?なぜ空から?パラシュートは?狙いは私?もしくはアビドス?

 

ただ、私たちの領有するアビドス自治区(居場所)()()()()を起こそうとしているのは確かだった。

 

 

数コンマでそこまで思考し、息を吸い込む。

 

 

「動かないで!!ここはアビドス自治区!貴方は自治区の許可なく領内で軍事的な行動を行っている恐れがある!!」

 

 

「動いたら、撃つ!」

 

 

シロコはじりじりと後ずさりしながら警告し、冷静に目的を見極めようとした。

 

 

その人物は銃のトリガーに手を掛け、おそらくそれを発砲しようとして―――ただ武器のライトが点滅するだけに終わった。何かのエラーが発生したのか、それとも弾切れか、人物はそれを一瞥した。

 

 

シロコは発砲しようとしたが、相手が発砲できないのを感じ取り、踏みとどまった。

 

 

「どうするの!?抵抗しないなら悪いようにはしない!」

 

 

そう声を張り上げるが、相手の戦意は下がらない。

それどころか、その姿勢には訓練を受けた者特有の隙のなさ(プロフェッショナリズム)があった。

 

そうまさに、"ホシノ先輩(最強)"のように。

 

 

それは走り出す、シロコに向かって。銃弾をできるだけ避けるためカーブして。

 

 

(この感じ……本当に特殊部隊?なんでコチラ(アビドス生)に向かってくる?なんのメリットがあって?)

 

 

いや、それは後、今考えるのはどう対処するか。

 

戦闘に不要な戻りかけていた疑念を振り払い、脳のリソースを対処に集中する。

 

 

連絡して(応援を呼んで)もいいけど、きっとその隙にやられる。相手がホシノ先輩ならそうなる。

 

逃げる?それだと一般人に被害が及ぶかもしれない。相手の目的が分からない以上それは避けたいし、アビドスに対して実行的な支配ができていないことの証明になってしまうかもしれない。

 

 

決まりだ。交戦。勝てそうにないなら逃亡。

 

「いいよ、やろうか」

 

 

シロコはWHITE FANG 465(SG550)の光学サイトを脚部関節に向ける。

 

防護服は関節部が弱くなる傾向にある。近寄られる前にそこを破壊する―――!

 

銃撃。接近。銃撃。接近。

 

それを意に介さず、迫る、迫る、迫る。

 

相手は止まらない。銃撃が防護服の表面で跳ねるような音を立て、砂粒が散る。その影がどんどん大きくなり、シロコの胸が激しく鼓動する。

 

 

ついにその人物がシロコに拳を振り上げ―――その瞬間、不意に転倒した。

 

 

体勢を崩し、地面にうつ伏せで倒れ込む。

 

砂煙の中でその人物は動かない。

 

 

「…降参?」

シロコは警戒しつつ、呼びかけた。

 

起き上がらない。何の反応もしない。

 

 

「…大丈夫?」

 

 

シロコは少し躊躇った後、いつでも撃てるように手を使わずに足で揺さぶった。

 

起きない。やられたふりじゃなさそう。

 

彼女を仰向けにして、シロコはヘルメットの中身を覗いた。

 

そこには彼女と同じくらいの年齢の少女が入っていて、頭痛でもしているかのような顔で気絶している。残念ながら指名手配犯でもなさそうだ。やっぱり特殊部隊?

 

でもそれならカバー(援護)ぐらい入るはず。何かしらの問題で輸送中にヘリから落下した?

 

ヘリは見てないし、例え光学迷彩だとしてもそんな音は聞いてない。私の耳ならヘリが来たら分かるはずだ。

 

 

 

脳裏にはある記憶が蘇ってくる。

 

――それはホシノ先輩に助けられた日。記憶喪失で何も分からなくて、お腹がすいて、私がホシノ先輩を襲ったとき、先輩が助けてくれた記憶。暖かい記憶。

 

 

 

彼女の無線機を探すが、見当たらない。

 

(事情)がどうであれ、()()マフラーを巻く(助ける)必要がある。

 

 

 

…私はこの子を助ける。彼女が私を攻撃しようとしたことに違いないけど、彼女が何者であろうが関係ない。

 

いつか先輩にしてもらったように、私は人を助ける。

 

 

彼女の腕を肩に引き寄せ、身体を支える。

 

そして私の家に歩き始める。

 

 

 


 

 

 

 

EMAR-42エマーヨンニー

Electromagnetic Assault Rifle Model-42

 


 

設計思想

宇宙環境で使用可能な軽量・高威力の個人携帯電磁兵器。

 


 

使用状況

個人携行武器として外宇宙支部採用の標準装備。Gen+++技術。宇宙サイトやエリアに向かう敵対存在への対応が可能。

 


 

機能と性能

•駆動方式:

コイルガンをベースに設計。冷却システム内蔵。弾薬はマガジン式で交換可能。1マガジンで50発装填。

 

 

•エネルギー供給: 高性能バッテリー

 

•発射速度: 弾丸速度はマッハ4~6(空気抵抗のない宇宙空間での長距離射撃が可能)*1

 

•発射レート: 毎分300~600発のフルオート射撃が可能*2

 

•弾薬形式:

 

•タングステン(標準弾):

小型で高密度のタングステン合金製。

 

•特殊弾:

異常存在用の弾薬(例:EMP弾、非殺傷硬化フォーム弾)

 

 


 

デザイン

 

外観

•全長:約80cm

•重量:約5kg(軽量化のためアルミニウム合金とカーボンファイバーを使用)

•カラー:黒と灰色を基調にしたマットな仕上げ。非反射コーティングで目立たない設計。

 


 

主なパーツ

 

1.バレル:

•内部に多層コイルが設置され、発射ごとに順次通電。

•外部に放熱フィンを搭載し、熱暴走を防ぐ。

 

2.エネルギーパック:

•グリップ内蔵型の交換式バッテリー。

•一回の充電で約500発の発射が可能。

 

3.照準システム:

•内蔵ホログラフィックサイト

•長距離用には赤外線および紫外線モードの切り替えが可能。

 

4.レール式アクセサリー取り付け部:

•ライト、レーザー、グレネードランチャーなどの追加装備が可能。

 


 

特殊弾薬の設計

 

標準弾:

•タングステン合金弾:高密度で貫通力に優れる。*3

 

特殊弾薬(一例):

1.プラズマ弾:発射時に高熱のプラズマを生成し、目標に高エネルギーを放出。

2.EMP弾:電子機器を無力化する電磁波を放出する。

3.フォーム弾:対象を拘束する高速硬化ポリマーを放出。

 

 


 

特徴

 

•AIアシスト:内蔵AIが自動的に弾薬の切り替えや射撃精度の向上をサポート。

•安全機能:暴発防止や味方識別システムを搭載し、誤射を防ぐ。

 

 

 

 

 

 


 

 

 

「これ最強じゃないですか?EMAR-42(エマーヨンニー)。なかなかカッコイイですけど」

 

財団用携帯で資料を見ているロボット(SCP-001-JP-R)のエージェントの言葉が移動中の車内に響く。その見た目はバックパッカー(低予算旅行者)そのもので、市街地に溶け込むためのものだ。だが移動中に仮眠をとって(スリープして)いたために服には皺ができていた。

 

「そういえばコイルガンはあまり見ませんね。キヴォトスなら似たような研究がありそうなもんですが」

 

 

コイルガンはキヴォトスではあまり研究されていない。

 

「頑張って開発しても、結局、銃の方が安くて強いんだよな」

 

獣人(SCP-001-JP-A)がハンドルを片手に、そしてもう片手でコーヒーを飲みつつ疑問に答える。

 

その目線は前方の道路をしっかりと捉えている。車内は静かで、時折車両の振動とエンジン音だけが響く。

 

「予算かけても銃を超えなきゃ意味ないし、そもそも空気冷却ができない真空な宇宙での代替品ってだけの話だ。そんで財団が最高なものを作れただけ。このキヴォトスじゃあロマン追求するような人間じゃないと、別に必要ないんだよ」

 

「今の財団じゃあ、まだ技術的に手が届かないんだよ。弾も標準弾ぐらいならいけるだろうが、特殊弾頭は無理だ。そんで本体は絶対に無理。あと弾が高価すぎる」

 

 

「撃ってみたいなぁ…」

 

「バカをいうな。Gen+++(逸脱技術)って書いてあるだろ?そもそも俺たちのクリアランスには配給されることはないだろ」

 

「カイザーにでも分析されたらヤバイですね。だからウチらですか。()()()()()()()()()()

 

「まったくだ…そんなわけで()()()がこんな辺境(アビドス)まで移動してるわけだ。まったく、瞬間移動でもしてみたいよ」

 

 

財団機動部隊あ-11("捜査一課")の面々はそれぞれ動き始める。

 

()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

*1
アサルトライフルの弾丸速度はマッハ2~3

*2
通常のアサルトライフルに少し劣る程度。

*3
高密度(室温では約19.25 g/cm³)かつ高融点(約3422℃)であり、加速時に発生する高熱や圧力に耐えやすい。一発あたり150ドル〜300ドル。





過去財団「誰?」

現行財団「誰?」

結構難産でした。あと展開の都合上前回行ったアンケート内容は前後したり、大分遠くなったり、予告内容から変更されたりすると思います。全体の内容が面白いことは保証します。


あとbox構文で文字と枠線に「余白」を開けられるようになったので背景枠線だった時()よりも、今までの話が()()()()()()()()()()()()()。こんな風に。


次回:「声が一つ増えた日常」
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