たった三人の財団職員はキヴォトスで何をするのか?   作:Bar_00

25 / 27

今回のお話は世界観の補足だと考えてください。本筋にそこまで関係ないのでスナック菓子代わりに楽しんでもらえれば結構です。

今回の話は財団フロント企業、学校法人プリチャードがいかにしてできたかの話です。

これを閲覧する上で、以下の行動を行わなければ、表示が死ぬほどダサくなるので気をつけてください。

1.”ホームページ”から先は横向きで見ること。
2.「メニュー」の「閲覧設定」から「挿絵表示」を有りに設定してください。しないと多分萎えます。

この二つの措置は”あるロゴ”を上手く表示する試みです。

ちなみに、登場するプリチャード氏は非財団職員です。




プリチャード学院とは

 

深い夜の帳が降りる中、私、マリック・プリチャードは財団連合の長であり良き友でもある朝野君と、静かなレストランの一角に座っていた。今日もまた、日常を忘れてしばし意義深い話を交わす時が来た。彼との対話は、いつも私にとって特別なものだ。彼の鋭い洞察力と冷静な理性に感心し、彼の言葉の一つ一つに耳を傾けることは、私にとって学びの時間そのものであった。

 

朝野君は、資本家として名を馳せるだけでなく、学問と教育に対する深い理解を持つ人物だ。そのような人物と話すことは、何事にも代えがたい喜びだ。私にとって、それはまるで小さな子供が友人と一緒にゲームを楽しむような、無邪気で楽しい時間だった。

 

朝野君はいつも通り、簡潔な言葉で笑みを浮かべながら、自らの考えを語り始めた。その表情は変わらず冷静さを保ちながらも、その言葉には確信と熱意がにじんでいる。彼の声は、静かな自信に満ちており、どこかカリスマ的な魅力を感じさせる。

 

「我々はもっとできるはずだ」

 

少しの世間話の後、場が温まったところで朝野君が切り出す。私は彼を見つめ、黙って耳を傾けた。

 

「我々はもっと上手くできるはずだ」

 

彼は続ける。

 

「生徒も、獣人も、機械人も、三種族まとめての学術機関『自由教育機関』、そして高校のさらに上を、貴方が『大学』と呼ぶソレが作りたい」

 

その()()は、私にとってまさに新鮮だった。もちろん、それを思いつかなかったわけではない。過去に提案したこともあったが、理解されることはなかった。皆が口を揃えて「不可能だ」と言ったのだ。

 

キヴォトスでは、生徒、獣人、機械人はそれぞれ別々の場所で教育を受ける。生徒は生徒の学園で、獣人は獣人の学び舎で、機械人は機体に()()宿()()()()()で教育される。もちろん、それぞれを分ける理由には合理性がある。差別を避けるため、そして教育のカリキュラムが異なるからだ。

 

しかし、私が提案したのはその逆だった。三種族が同じ場所で学び、互いに競い合い、切磋琢磨することで、結果としてより良い教育が生まれるという理論だ。そして、高校卒業後には「大学」という新たな選択肢を提供するというものだ。

 

だが、私が考えていたことを実現するためには、大きな障壁がある。生徒の学園が自治権を持っている以上、この新しい形をどこに置くのか、それが問題だ。だが、彼の言葉は、私の思考の枠を超えていた。

 

「資金も、人材も、土地も、我々は提供できる」

 

朝野君の言葉には、確固たる力強さがあった。彼が見据えている目標は明確で、そのために必要なものを惜しみなく提供するという強い意志を感じる。『財団連合』の支援がなければ、多くの大規模な事業は実現しないということを、私はよく理解していた。

 

「『自由教育論』を説いた()()()()()()()、実現できる」

 

朝野君の視線が私に注がれ、彼の目には信頼と期待が溢れている。そう、私が提唱した『自由教育論』――その考え方が、彼には何か特別な意味を持っているらしい。私は無言でそれを受け止める。

 

彼の視点に共感し、彼が語るビジョンの力強さを感じた。そう、私が求めているのは、ただの制度改革ではない。キヴォトスが次のステージに進むための、根本的な変革だ。しかし、私は彼に言わなければならない。厳しい現実を。

 

「『()()』を、『()()』を――」

 

朝野君は私の心情を無視するかのようにその言葉を、慎重に、そして確信を持って続ける。

 

「従来の“学園制度”から脱却し、キヴォトスは次のステージに移行することができる。私はそう信じている」

 

彼の視線が再び私を捉える。

 

私が彼に抱いている感情は一つだ。朝野君は、私がこれまで抱えてきた『大学』という概念を、二週間ほど前に再度練り上げて発表した代物を、ひときわ鋭く評価している、そして言ったことを確実に実行に移す力を持った人物である。資本家として成功を収めているだけでなく、彼は教育に対して深い理解を持っている。そして、私が光を浴びることなく信じてきた『大学』論を、彼は高く評価し、共に築くべき未来を見出している。

 

「君の言う通りだ」

 

私は静かに言葉を続けた。

 

「確かに、財団連合にはその力がある。君が言うように、既存の学園制度を越え、三種族が共に学び合う新しい形の学術機関、そして高校の先として『大学』を作る――それは非常に革新的な試みだ。誰もやってこなかった試みだ」

 

朝野君はその言葉に反応することなく、ただ黙って私を見つめた。その目には、すでに次のステップを見据えた冷徹な計画と、それを成し遂げるための確信があった。再び彼の視線が私を捉える。私は彼の言葉を受け入れながらも、心の中でやはり疑念が湧き上がる。

 

「だが、私には一つ疑問がある」罪を告白するかのように、私は苦々しく、苦々しく告げる。

 

私は口を開く。

 

「『自由教育論』は君の解釈通りだ。だがそれを実現するためには、社会全体の理解と協力が問題だ。()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

私はワインを一口あおり、グラスをテーブルに置く。残ったワインがゆらゆらと揺れている。

 

「…私は、不可能だと思う」

 

そして、自身の冷たい機械の頭部のアイカメラを手でふさぐ。そのアイデアは、私にとって魅力的でありながらも、これまで何度も否定されてきたものだ。最初は非理解ゆえの冷笑だと思っていたが、次第にそれが現実の重みを持って感じられていた。

 

朝野君は静かに頷く。しかし、その頷きには同調の意味は感じられなかった。

 

「いいや、可能だ。()()()()()()()()()()()()、私は金を出すと言っているんだ。確かに理解と協力は必須だ。しかし学問を発展させることは、キヴォトスの未来を導くことに他ならない。だからこそ、我々が引っ張っていかなければならない」

 

「マリック、貴方の脳味噌が必要だ。共に、この道を歩んでくれ」

 

その瞬間、私の胸にひときわ強い感情が湧き上がった。朝野君が私に信頼を寄せ、共に歩む道を選んだという事実――それは私にとってただの言葉以上の重みを持っていた。

 

「…分かった」

 

私は彼に向かって、ゆっくりと頷いた。

 

「決意を固めよう。共に新しい学問の場を作り上げるために」

 

朝野君は笑みを浮かべ、私に右手を差し出した。

 

私もまた、挑戦的な笑みを表示して右手で彼の手を握る。

 

そして、私たちはその夜の食事を終え、未来を共に切り拓くための計画を始める準備を整えていった。

 

 


 

 

朝野君が帰りの車に乗り込む直前、私は一瞬弱気を見せた。自分でも驚くほど珍しいことで、何かが心の中で揺らいだのだ。多くの学問を収め、称賛を受けてきた私にとっても、"大学"というアイデアは一度も実現してこなかった。それが本当にできるのか――その疑念がふと心に湧き上がった。

 

ワインが機体の消化機関(器官)で消化され、コアメモリ(電脳)に酔いが回っている頃は良かった。その酔いが、私の心を少しだけほぐしていた。ゲームの攻略法を話すように、私たちは色々なアイデアを交換してきた。しかし、外気の冷たさが酔いと夢を冷まし、私は現実を見つめる。

 

「……やっぱり私たちは間違ってるんじゃないのか。"それ(大学)"を作り出すことなんてできるわけがない」

 

彼は車のドアに手を掛けたところで止まって、振り返る。彼は笑って答えた。

 

()()()()()()()?やったことがないんだ、試してみないとわからないだろう?」

 

彼は唖然とした顔で彼の顔を見ている私に挑発的な笑みを浮かべ、そして視線を離し、車のドアを閉める。

 

たしかに、正気とは思えない計画かもしれない。だが……彼のいう通り、やる前に諦めるのは早すぎる。

 

私もまたタクシーを呼び止め、乗り込む。私は車窓から見える街並みに目をやった。目の前の計画が実現するとは限らない。しかし、彼の言葉が頭を離れない。あの言葉が、私に新たな希望を抱かせていた。

 

タクシーが私の職員寮に向かって動き出した。タクシーなら目的地までそう時間もかからないが、その時間すら今は勿体ない。手元のメモに、現状考えうる全てを書き込んでいく。

 

 

 


 

 

 

 

学校法人プリチャード学院

我々は知らない、知ることはないだろう。だが我々は進むのだ。

Ignoramus et ignorabimus. Sed procedemus.

ホーム

受験生の方へ

生活・就職

学部一覧

教員

アクセス

 

 理事長の言葉

 

 

人類はこれまでにおよそ25万年もの歴史を歩んできた。しかしその歴史のうち特筆すべきは僅かこの4000年に過ぎない。

 

我々は25万年に渡って何をしていたのか?そのほとんどを、理解の外にあるものを恐れて、洞窟の中で小さな焚火を囲み身を寄せ合って過ごしていたのだ。太陽が昇る理由の未知よりも、呪いや魔術こそが恐るべき『理外のもの』であった。そして我々はそれらを『神』と、あるいは『悪魔』の手段と呼び、許しを乞い、救済の祈りを捧げた。

 

時は流れ、それらは次第に衰え、我々の理解は多く広がった。恐れるべきものは数を減らし、世界はより理に適ったものへとなり始めた。しかしそれでも、不可解なる式は決して消え去りはしなかった。まるで世界が不条理と不可能を必要としているかのように。

 

人類は恐怖から逃げ隠れていた時代に逆戻りしてはならない。我々は尖兵として立ち上がり、未知に立ち向かわなければならない。人類の他に(ことわり)を思考する者はいない、我々自身が立ち上がらなければならないのだ。

 

人類が科学で照らされた世界で生きていけるように、他の人類が恩恵の光の中で暮らす間、我々は暗闇の中に立ち、未知と戦い、理解の内に封じ込め、人々の恐怖を遠ざけなければならない。

 

 

探求し(Seek)熟考し(Consider)実践せよ(Practice)

- 朝野理事長

 

 学長の言葉

 

 

知的生命体諸君、科学せよ。これが全てだ。

 

- プリチャード学長

 

 概要

 

学校法人プリチャード学院は大学院、大学、高等学校、中学校、小学校、幼稚園を運営する学校法人です。財団連合の朝野氏とマリック•プリチャード氏の共同によって創立されました。

 

設置している施設

・プリチャード学院大学院

・プリチャード学院大学

・プリチャード学院高等学校

・プリチャード学院中学校

・プリチャード学院小学校

・プリチャード学院幼稚園

 

プリチャード学院はキヴォトスにおける初の「大学」と「大学院」を設置する教育施設です。「大学」「大学院」はキヴォトスにおける学問の最高機関として、専門知識の探求、研究、そして社会への貢献を目的に設立されました

 

従来の高等学校や学園とは一線を画し、学問的探究と実践的教育の両面に重点を置き、科学、技術、経済、哲学といった幅広い分野を網羅することで、未来のリーダーを育成することを目指します。

 

さらに、大学院ではより専門的な研究が行われ、キヴォトスの発展に寄与する学問の創造を目指します。高度な研究機関として、他学術機関との連携を図り、未知なる課題の解決に取り組みます。

 

また、プリチャード学院高等学校の生徒は、他の高等学校との同時在籍が可能です。 これにより、生徒はより幅広い学びの機会を得ることができ、それぞれの学園での経験を活かしながら、自身の興味や将来の進路に応じた学習を進めることができます。これは、学問の自由を尊重し、個々の生徒が最大限の能力を発揮できる環境を提供するというプリチャード学院の理念に基づいたものです。

 

ただし、兼任生はプリチャード学院における高度な研究および機密性の高いプロジェクトへのアクセスを制限されます。 これにより、技術や知識の不正流出を防ぎつつ、安全かつ公正な学習環境を維持します。重要度の高い研究への関与は、学院における単独在籍者、もしくは特定の審査を経た学生に限定されます。

 

 

 

 プリチャード学院の歴史

 

それまでのキヴォトスでは、各学園が独自の教育体系を持ち、それぞれの自治区で優れた教育を行い、それぞれの研究組織が独自に研究を行っていました。つまり、より共同的な研究や、自治区を超えた学問の追求を行う機関は存在していませんでした。

 

このような状況を受け、財団連合の朝野氏はキヴォトスの発展には「より他種族包括的かつ中立的な学術研究機関」が必要不可欠であると判断しました。そこで朝野氏は、かねてからの知人であり高名な学者でもあるマリック・プリチャード氏に共同設立を持ちかけました。

 

プリチャード氏は科学・社会学・哲学の分野で権威を持ち、中立的な総合教育・研究機関の必要性を強く主張していた人物です。彼は「教育の発展なくして社会の進歩なし」という理念を掲げており、財団連合の支援を受けることでそれを実現できると考えました。

 

こうして、財団連合の資金と組織力、プリチャード氏の学術的知見を組み合わせる形で、キヴォトス初の大学を含む総合教育機関「プリチャード学院」が創設されることになったのです。

 

 

設立初期の試み

 

学院創設にあたり、最も重要視されたのは「学問の自由と融合」でした。従来の学園制度に縛られず、あらゆる分野の研究者や学生が集い、学際的な知識の交流ができる場を目指しました。

 

このため、学院では以下の方針が採られました。

1.専門性と総合性の両立

•各学問分野を深く研究することはもちろん、異なる分野を横断的に学ぶカリキュラムを導入。

•理論と実践のバランスを重視し、社会に貢献できる人材の育成を目指す。

 

2.他学園との協力

•既存の学園との学術的な交流を促進。

•一部の学園の高等部生がプリチャード学院の授業を受講できる「兼任制度」を導入(ただし、特定の専門研究にはアクセス制限を設ける)。

 

3.中立的な学問機関としての役割

•どの学園にも属さず、純粋な学問の場としての立場を確立。

•学問研究において政治的・軍事的影響を受けない独立性を維持。

 

 

また、プリチャード学院では、異なる背景を持つ学生たちが共に学び、互いに切磋琢磨することを重要視しています。キヴォトスの教育環境においては、生徒、獣人、機械人の三種族がそれぞれ異なる学園で教育を受けることが一般的でしたが、プリチャード学院ではそれぞれの種族が同じ場所で学び、共に成長する場を提供しています。このような異なるバックグラウンドを持つ学生たちが同じキャンパスで学び、知識を共有し合うことによって、より多様な視点と価値観を学び合い、未来の社会におけるリーダーとして必要な柔軟性と視野を広げることができます。

 

この取り組みは、学院が掲げる「学問の自由と融合」の理念に基づいており、生徒一人ひとりの成長を促し、異文化理解と共生を通じて、より良い社会を築くための人材を育成することを目指しています。

 

 

 

発展と未来へ

 

プリチャード学院は、キヴォトスにおける学問の最高機関としての役割を果たすために設立されました。創設者であるマリック・プリチャード氏は、「知識こそが社会を導く力である」と考え、学問の探求を通じてより良い未来を築くことを目標に掲げました。

 

プリチャード学院は設立から今日に至るまで、「学問の中心地」としての役割を果たし続けています。多くの入学者が社会で活躍し、キヴォトスの発展に貢献しています。

 

現在も、学院はAI、量子力学、倫理学などの未知の学問領域への挑戦を続け、キヴォトス中の研究機関と連携して新たな価値を創造し続けています。

 

 

 

 

 





プリチャード氏は非財団職員だったのですが、設立時から財団についての説明を受け、財団に非常に協力的な立場を取っています。財団は優秀な人材を学院を通して獲得しています。

あと、朝野は普通に”お飾り”ですね。プリチャード氏が実質的に運営しているので、あまり影響力はないです。そもそもサイト-8142管理官とO5業務と理事長兼任したら死にます。確実に過労死ルートです。

プリチャード学院が舞台の場になることはないと思いますが、アビドス編で背景設定として働く可能性があったため、念のためにこのような話を挟みました。

参考:
SCPフロント-JP
http://scp-jp.wikidot.com/scp-front-jp



  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。