たった三人の財団職員はキヴォトスで何をするのか?   作:Bar_00

27 / 27

貴方のよく知る「かの博士」とは別人です。

生徒→日本人名
機械人→欧州圏名
獣人→”あだ名”(本当の名前とは別に)

なんか投稿ミスって同時投稿になっちまったがまぁいいかぁ!よろしくなぁ!



パラヒューマンに対するオリエンテーション

 

(教室。講師の生徒が教壇に足をかけ、数歩だけ歩き、机にたどり着く。彼女は頭を机に強打し、気絶する)

 

「おやすみなさいと、こんにちは」

 

「まずは自己紹介だ」

 

「講師らしき生徒がぶっ倒れ、教壇とは真逆の席にいる一人の生徒が話し始めたことに疑問を抱いているかもしれないね。ひとまず聞きたまえ」

 

「私は“ブライト”博士。財団から一時的に貸し出されている、親切で有能な教育者であり、ヒト神経科学(Human Neuroscience)とヒト分子遺伝学(Human Molecular Genetics)の権威だ」

 

「そしてある意味では亡霊。魂だけが残っていると言ってもいいし、システムバグのような存在と言ってもいい。」

 

「君たちは幸運だ。“ブライト”博士の講義が聞けるというのは、ある意味では名誉だ。ある意味ではな。なにせ前回の講師用ホストはサルだった。意味ある言葉を出すのに毎回パソコンの合成音声を使わなきゃいけなかった。めんどくさいったらありゃしない」

 

「だが、やはりサルの体で行った講義は実に愉快だったよ。ウホウホ言いながらも、君たちの先輩たちは真面目に話を聞いてくれた。」

 

(生徒たち無言。彼女は満足げに頷く。そして頭を机に強打し、意識を失う)

 

(教壇で倒れていた講師は突然起き上がり、黒板にチョークで“意識ドリフト症候群”と書く)

 

「さて、続けようか」

 

「私の異常性について、ちょっとだけ」

 

「私の異常性は、意識消失時に発動する。倒れる、寝る、頭を撃たれる、いずれにせよ——。」

 

(チョークをくるりと回しながら)

 

「私は“適切な人型の脳”にスライドする。オプションは問わない」

 

「“適切”って何だ?簡単さ、人型生命体であること、脳があること、そしてちょっと運が悪いこと。それだけで十分だ。サルでも、チンパンジーでも、機械人でもいい。言語機能があれば、こうやってオリエンテーションもできる」

 

(聴講者の一人が小さく息を呑む)

 

「もっとシンプルに言うと、『これがオリジナルの私の体か?』と聞かれれば……」

 

(両手を広げて、生徒たちに問いかける)

 

「答えは“No”だ。これは植物状態の生徒の体だ。見た目はまあまあだろ?結構いい拾い物だった」

 

「ある研究チームがね、“この体を動かし続ければ脳が刺激されて、もしかしたら意識が戻るかもしれない”っていう訳でね。おっと、話が逸れたな。君たちにはそこまで関係ない。まだね」

 

「いいかい?これは“選ばれる”ものじゃない。“私が選ぶ”んだ。君たちが無防備で、眠っていて、私がカフェインを切らしたせいで意識を失っていて、君の隣にいたら——それだけで、私の次の授業は君の口から始まるかもしれない」

 

(前列の生徒一人がビクリと肩を揺らす。彼女はその反応をじっと見て、にやりと笑う)

 

「だから私の講義は、ちょっとスリリングだろう?次に誰が講義するか、わからないんだ。君たちの一人が、明日、私になるかもしれない」

 

「まあ、私が抜け出して数分もすれば君の記憶と意識が戻ってきて、『なんで私は講義を40分もやっていたんだ!?』ってなるだけだから、大した問題じゃない」

 

「さて、本題に入ろうか」

 

「君たちは、いわゆる“パラヒューマン”と分類される存在だ。人類三種族から逸脱した、ある種のエラーだ。もっと言えば、“正常な世界”が想定していない余分な変数」

 

「君たちが『自分が人間である』と信じていること。それは社会からすれば、ただの誤差だ」

 

「だが——それがどうした?」

 

(彼女は歩き出す。教壇を降りて、生徒たちの列のあいだを静かに歩く)

 

「この学院は、その”逸脱”を矯正する場ではない。ましてや消し去る場でもない。君たちが“どのように”逸脱したかを知り、それと共に生きる方法を模索する場だ」

 

「以前、あるパラヒューマンが“自分は普通だ”と強く信じていた。実験の最中、その子は異常性を無意識に使い、財団スタッフを消し飛ばした」

 

「…だがね、彼女は最後まで“自分は普通の人間だ”って言い続けてた。自分がやったのにも関わらず、取り返しのつかない逸脱が起きたのにね」

 

「私もまた、自身がある出来事(収容違反)で死亡するまでは普通の人間だと思っていた。だが違った。私はパラヒューマンとして、今ここに立っている」

 

「君たちは正常ではなく、異常である」

 

「だが、それを正常に見せることが可能なら、その価値は同じだ。」

 

(彼は静かに、手を広げる)

 

「例えるなら、制御されていない嵐は——ただの最悪な自然現象だ。街を焼き、命を奪う」

 

「だが、制御された“都合の良い嵐”は——」

 

「『神風』と呼ばれる」

 

「だからこそ、自分を知ること、自分を制御することが——この場所の意味なんだ」

 

(彼女は唐突に、講義室の隅に置かれた椅子に座る。まるで授業を受ける側に回るかのように)

 

「例えば、君が炎を放つ異常を持っているとする。学校は君に“炎を出すな”とは言わない」

 

「だが、“どこで(Where)”、”誰に(Who)”、”なぜ(Why)”、出すのかは問う。どうやって(How)は聞かない。自身の行動に三つの疑問詞を定義せよ。異常はただの性質だ。それを悪に変えるのは、制御できない人間の手だけだ」

 

「君たちに求められること」

 

「君たちは、君に潜む異常を制御しなければならない。君たち自身の手で、自分の“逸脱”と折り合いをつける。それがこの学院の意味であり、我々パラヒューマンが生き残る方法だ」

 

「異常存在とは失敗の産物だ。財団に閉じ込められている異常存在は多くの命を奪っている。今も誰かが死んでいるかもしれない。だが、同時に、私はここで他の人間の肉体を通して教育を継続している。…どうだい、皮肉だろう?」

 

「君たちはまだ選べる。君たちにはまだ、意志がある。だからこそ問う」

 

「自分の異常とどう向き合う?どう折り合いをつける?それが、君たちの“生き残り方”だ」

 

(静かに立ち上がる。講義室の照明がふたたびちらつき、時計の秒針の音が響く)

 

「もし——もし君が、自分の異常を制御できなかったなら」

 

(目を細め、冷たい声で続ける)

 

「そのときは私が君を使わせてもらう。実験は——継続されなければならないからね」

 

(背後のスクリーンが勝手に切り替わり、「講義終了」の文字が浮かぶ)

 

「それと——忘れないこと。“The Big Brother is watching you.”財団が、君たちを。君たちが、君たち自身を」

 

「では、またどこかで」

 

(そう言って、“ブライト”博士は廊下に姿を消した。)

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

愉悦部 in キヴォトス(作者:山崎五郎)(原作:ブルーアーカイブ)

ブルーアーカイブの世界に転生した、とあるヒナ推しの元先生のお話。


総合評価:2312/評価:6.57/連載:62話/更新日時:2024年12月31日(火) 17:49 小説情報

貴方は一般的な生徒である。(作者:ホシのユメ)(原作:ブルーアーカイブ)

貴方は一般的なミレニアム生である。▼1年生からスタートで3年生に本編の予定。


総合評価:5102/評価:7.93/連載:26話/更新日時:2025年12月27日(土) 22:12 小説情報

キヴォトスinドブカス成り代わり(作者:ソリダコ)(原作:ブルーアーカイブ)

朝起きたらブルアカの世界で禪院直哉になっていた男の物語▼ブルアカ未プレイで右も左も分かんない主人公はこの先やっていけるのか▼そんなお話です▼ついでに主人公はブルアカ未プレイで旧ツイッターやpixivで軽くキャラがわかる程度の知識です▼そういう作者も未プレイで二次創作でのふわっふわ知識なので間違っている箇所が多々あるかもしれないのでご注意ください▼『ウルト兎』…


総合評価:19439/評価:8.64/連載:216話/更新日時:2026年04月06日(月) 19:00 小説情報

カヤちゃんが征く!(作者:無名のカヤ推し)(原作:ブルーアーカイブ)

▼ 連邦生徒会長の光に脳を焼かれ、その後自分の目指すものを見つけた不知火カヤが、FOX小隊やRABBIT小隊と共にシャーレに所属して先生とキヴォトスのことを解決していくお話。▼


総合評価:3870/評価:8.55/連載:53話/更新日時:2026年04月21日(火) 21:04 小説情報

透き通る世界に響く雷鳴(作者:おやおや、おやおやおやおや)(原作:ブルーアーカイブ)

ある日、ブルーアーカイブに鹿紫雲ハジメとして転生?した主人公▼ブルーアーカイブをろくに知らない彼にこの世界で生きていけるのか。そしてもう一度青春を謳歌できるのか…▼ちなみに作者もブルアカと呪術廻戦は少ししか知りません。ブルアカは最近始めましたが全然分かりませんタスケテ…▼そして彼は時々鹿紫雲一に思考を乗っ取られます。つまり戦闘狂ですね。色んな人に迷惑をかける…


総合評価:3148/評価:8.2/連載:75話/更新日時:2026年04月29日(水) 19:00 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>