ドラゴンボール 転生したらベビーだった件   作:桂ヒナギク

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17.パン 後編

 金色のオーラに包まれた大猿パンが更なる変身を始める。

 大きかった体が小さくなり、曝しを巻いた体毛のある胴体に、破れたはずのズボンが出現し、超サイヤ人4への変身が完了した。

「今度の私は、ちょっと強いよ?」

 パンが目にも留まらぬ速度で俺の背後に移動する。

「……!?」

 全く見えなかった。

 こ、殺されるかもしれない。

 俺はパンに対して恐怖を覚えた。

 だが、同時に意地でも乗っ取ろうという、強い思いが芽生えた。

 俺は振り返るとパンに乱打を浴びせた。

 パンはかわすことなく攻撃をくらい続ける。

 いける、いけるぞ!

 スピードはあるが防御力はなさそうだ。

 パンは、何を考えてるのか、ガードの姿勢を崩し、両手を力なく下にさげた。

「ハハハ」

 笑い出すパン。

「何がおかしい?」

「ごめんね。自分のあまりの強さに、正直驚いてるのよ」

「笑うな!」

 俺はパンを叩き落した。

 パンは瓦礫に突っ込む。

 瓦礫をどかし、立ち上がるパン。

 ゆっくりと、浮かび上がってくる。

「私とあんたとでは、力の差が付きすぎちゃったみたいね」

「ほざけ!」

 俺はギガンティックミーティアをパンに叩き込もうとした。

「ふん」

 パンが華麗に攻撃をかわした。

 隙がない。何とか隙を作ってその体をいただきたいとろだが。

 振り返ると、パンが俺に向けて手のひらを突き出していた。

 気合で地面へ突き落とされる俺。

「とどめを刺してあげるわね」

 パンが両手を腰の横で構える。

「10倍、かーめーはーめー波ー!」

 パンの強力なかめはめ波が接近してくる。

「「「ベビー様!」」」

 悟天、トランクス、ブラが俺の盾になろうと、前に飛び出してきた。

「どけ貴様ら!」

 俺は三人を薙ぎ払い、かめはめ波を受け止める。

 俺の勝ちだ、パン。

 俺はジェル状になると、かめはめ波の中をすり抜けるように進み、パンの体へ接近していく。

「その体もらったー!」

 俺はパンの傷口から体内に潜り込むことに成功した。

「はあああああ!」

 パンの意識を奪い取った俺は、そのエネルギーを一気に吸収し、超サイヤ人4を解いた。

 俺はゆっくりと地面に着地する。

「やったじゃねえかパン!」

 と、悟空が駆け寄ってきた。

「終わったのね、パン」

 ビーデルもやってくる。

 俺はパンの体内に卵を産み付けた。

 悟天とトランクス、ブラが俺の破片を探す。

 俺は三人にテレパシーを送る。

 パンは落とした。大丈夫だ。

 驚いたような顔をする三人。

「パン、疲れたでしょう? お家に帰って美味しいご飯作るわね」

 俺は悟空、ビーデルと共に、パオズ山へと向かう。

 その夜、悟空とビーデルが寝静まったころ、俺はこっそり二人の体内に入り込み、卵を産み付けた。

 俺は寝室へと移動する。

 ベッドではパンが静かに寝息を立てていた。

 寝顔も可愛いな、パンは。

「ん?」

 気配に気づいたパンが目を開けてこちらを見た。

「まだ起きてたんですか、ベビー様?」

「ああ、ちょっと眠れなくてな」

 パンはベッドから立ち上がる。

「ベビー様、ちょっとだけ散歩でもしましょう」

 俺はパンと家を出た。

「私、ベビー様だったら絶対に戻してくれると思ってました」

「かなりヘビーだったけどね」

「申し訳ありません、深手を負わせてしまって」

 そこへ悟天がやってくる。

「悟天遅いぞ」

「すみません」

 悟天は静かに家へ入っていった。

「でもそのおかげで私、超サイヤ人4をものにできました。そういった面では、ベビー様にはとても感謝してるんですよ?」

 パンはそう言って、超サイヤ人4に変身した。

 その強そうないで立ちは、ただただ美しく、ただただかっこよかった。

 俺はパンを抱きしめる。

「ベビー様?」

「パン、俺パンが好きだ。二度と手放したくない。これからは喉が渇いたら俺のところに来い。超神水なんてやばい水飲むな」

「ご、ごめんなさい……」

 顔を見合わせる二人。

 俺たちは口づけをしようとした。

「ベビー様!」

 どこからともなく、ブラが現れた。

「「うわあああああ!?」」

 俺とパンはびっくりして飛び上がった。

「ブラか。脅かすなよ」

 てへへ、と笑みを浮かべるブラ。

「ところでベビー様。今度、私にも稽古をつけてくださいね。私も、超サイヤ人4になりたいですから」

「あ、ああ。そのうちな」

「やったー。それじゃ」

 ブラはそう言って飛び立った。

 その時だ。俺の意識レベルが低下し始めた。

「ベビー様、どうしたんですか? ベビー……」

 パンの声がだんだんと聞こえなくなってくる。

 俺は完全に意識を失い、目の前が真っ暗になった。

 ベビーの意識が浮上する。

「やっと出てこれたな」

「ベビー様?」

「貴様は、あの時の雌ザルじゃないか」

 パンは戦闘態勢に入る。

「お前、いつものベビー様じゃないわね。誰?」

「俺こそが本物のベビー様だ。今までのやつは俺の体を乗っ取っていただけにすぎない」

「それでも、私にとってのご主人様はあの方だけよ。出ていきなさい!」

「出ていくのはやつの方だ! これは俺様のものだ!」

 んあ?

 がたがたうるせえなあ。

 俺は気合で体からもう一人のベビーを追い出した。

「きゃあああああ!」

 未発達のベビーが奇声を上げる。

「こいつだわ!」

「お前は俺には不要だ。地獄に帰れ!」

「ふん」

 ベビーは逃げ出した。

「待て!」

 俺はベビーを追う。

「きゃあああああ!」

 ベビーは奇声を発して眩い光で俺の目をくらませた。

「ど、どこだ!?」

 ベビーの気が地球から遠ざかっていく。

「逃げたか」

「あいつ、戻ってくるでしょうね」

「力をつけてな」

「でもベビー様も、私たちの体からがっつりエネルギー吸収してるから、強くなってるでしょう?」

「まあな。もう誰にも負けねえ」

「さあ、もう遅いし、戻りましょう?」

「いや、先に戻ってくれ」

「え?」

「俺はちょっとやりたいことが」

「わかりました。では、終えたら戻ってきてくださいね」

 パンは家に入っていく。

 俺は人々が寝静まった時間を利用し、地球人全員をツフル人化していった。

 こうでもしなきゃ、平和な世界にできねえ。

 作業を終えた俺は、パオズ山へと戻る。

 家に入ろうとすると、ウイスとビルスが現れた。

「ウイスにビルスじゃないか。なんだ?」

「お前のその口の悪さはなんとかならんのか」

「神様だからって偉そうにしてんじゃねえよ雑魚が」

「何だとお!?」

「まあまあ、落ち着いてください」

「それで、何の用だよ?」

「お前の破壊神就任が正式に決まった」

「マジか」

 俺が、破壊の神様だと?

「不服だがお前が第七宇宙の破壊神だ」

「それで、就任式への招待状を持ってきたわけか?」

「話が早くて助かる」

「あ、そういえばこの間、シャンパの使いが地球を破壊しに来たぞ」

「ああ? そのことか。それはお前を偵察に来たんだとよ」

「俺を偵察に? なぜ?」

「お前、俺とのバトルで本気を出さなかっただろう? あいつ、お前が本当に強いのか確認したかっただけなんだとよ」

「ほおう」

「それと、お前がこの世界に来た理由がわかった」

「なに?」

「お前はこの世界の救世主となるべく、異世界での死を利用して呼び出されたんだ。あそこで亡くなってなければ、この世界には来なかっただろうね」

「そうか」

「で、だ」

「まだ何かあるのか?」

「お前はベビーではない」

「だとしたら俺は誰なんだ?」

「それは、僕の口からは言えないよ」

「俺がベビーの姿をしているのは?」

「それはお前にとって必要な姿と能力だからだ」

「頭の整理がつかん」

「まあ、とりあえず必要とあらば吸収しろ。21号の時みたいにな」

「お菓子にして食べろと?」

「やり方は任せるよ。それだけ言いに来た。就任式の前には迎えに来る」

「あ、ああ……」

 ウイスとビルスは去っていった。

 俺は、いったい何者なのだろうか。

 ただ、名前もわからないので、便宜上ではあるが、ベビーと名乗っておく。

 

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