俺は三人より先に、地球へとやってきた。
正史ではベビーは地球人たちを次々に卵で洗脳していたが、俺はするつもりはない。ベジータも放置だ。
「うんと……」
何をするべきか。全くのノープランだった。
「おい、貴様!?」
その声に振り返ると、なぜかベジータの姿があった。
「邪悪な気配に気づいて来てみたが、何者だ?」
「ただの……風来坊だ」
「風来坊だと?」
「君は……?」
「俺は誇り高き戦闘民族のサイヤ人、ベジータ様だ! 貴様のその
「……………………」
「おおかた、俺たちサイヤ人への復讐に来たのだろう?」
「待て。君と戦うつもりは毛頭ない」
「黙れ」
ベジータが攻撃を仕掛けてくる。
致し方ない。
俺は体をジェル状に広げ、突っ込んできたベジータに覆いかぶさった。
「何をする気だ!?」
「不本意だが君の体をいただく」
「何だと?」
俺はベジータの体内へと浸透していく。
「ぐ!」
苦痛に顔をゆがめるベジータ。
「はあ!」
ベジータの体を乗っ取った俺は、その体の気を開放し吸収した。
流石、悟空に次ぐエネルギーだ。パワーが満ちてくる。
しかし、ベジータを放っておいたら攻撃されるよなあ。
俺はベジータの体内に卵を産み落とし、孵化させておいた。
けど、ベジータはバビディの術でも操れなかったからなあ。卵でうまくいくか。
俺はベジータの体から抜け出した。
「ベジータ、俺に忠誠を誓うか?」
「もちろんでございます、ベビー様」
チートスキルじゃねえかよベビーのやつ。しかし、なんで俺はベビーになったんだ?
「今はなんもやることないからな。帰っていいぞ」
「俺では役に立ちませんか?」
「そういうことではない。自由行動だと言ってるんだ」
俺は感じる強い気の方へ向かう。
待てよ? サイヤ人どもを俺のしもべにしておけば、色々と都合がいいな。だが厄介なのは悟空だ。やつは主人公補整で卵の効力が現れないかもしれない。ま……何とかなるだろう。
俺は強い気を感じた街へと繰り出した。
そこには、パレスという女の子とデートをしている悟天の姿があった。
気を開放すると、悟天が俺に気づいた。
「パレスちゃん、逃げるんだ!」
「え、なんですの? 悟天様?」
「いいから逃げるんだ!」
「わかりましたわ」
パレスはそう言って、駆け足で去っていく。
「何者だお前!?」
「……風来坊だ」
「風来坊? なにをわけのわからないことを言ってるんだ。お前からは邪悪な気を感じる」
「悟天とか言ったな。俺のしもべになってもらうぞ」
「そう簡単にいかせるかよ」
悟天が突撃してくる。
俺は攻撃をかわし、カウンターの蹴りで悟天を吹っ飛ばした。
「うわああああ!」
悟天がビルへと突っ込んで壁にめり込んだ。
「パレスちゃんの前で、かっこ悪いじゃねえかあ!」
悟天が超サイヤ人に変身すると、連続気功弾を放ってきた。
俺は降り頻る気功弾の嵐の中を縫うように突破して悟天の眼前に躍り出た。
「……!?」
距離を取る悟天。
俺は高速移動で悟天の背後へ回り込んだ。
「速いな」
「お前が遅いんだよ」
「なんだって!?」
俺は悟天の回し蹴りを受け止め、ジャイアントスイングをして投げ飛ばした。
遠距離になると、体勢を立て直した悟天がかめはめ波を放ってきた。
俺はかめはめ波の中をすり抜け、ジェル状になって悟天の傷口から体内へと入り込む。
「ぐ!」
苦痛に顔をゆがめる悟天。
「はあ!」
悟天の意識を奪った俺は、その体中の気を吸収し、超サイヤ人を解いた。
ゆっくりと降下して地上に着地する。
「お強いのですね、悟天様」
パレスが目をキラキラと輝かせながらこちらを見ている。
「あら? 悟天様、お怪我をしてますわ」
悟天の傷の手当をするパレス。
アニメだと処置に使ったハンカチをパレスの顔に被せて飛び立っていったんだよな。
「ごめん、パレスちゃん。急用を思い出したから、デートの続きはまた今度ね!」
俺はそう言うと、パレスを置いて西の都へ向かって飛び立った。
「悟天様……」
どこか寂しそうな表情で