その日、俺は辺境の惑星を、先代の破壊神ビルスの指示で破壊しているところだった。
惑星の人々を蹂躙し、最後に惑星を破壊する。
その破壊する者の姿が端正な顔立ちをしたパンであったのが、唯一の救いだろう。
パンに殺されるのであれば、この惑星の住民も本望ってところではないか。……いや、誰も救われていないか。
「ウイス、生命反応は?」
「いいえ、もうありませんね」
「じゃあ、この星、もういらないね」
俺が地面を蹴って飛び立とうとすると、茂みから傷だらけの男の子が現れた。
「やめ……て……」
男の子はそう言うと、意識を失って倒れた。
「ふん」
俺は男の子に手のひらを向ける。
気功弾を放とうとする俺の脳裏に、パンの声が響く。
「やめてください、ベビー様」
「どうした?」
「よく見てください」
俺が倒れた男の子を凝視すると、腰に尻尾が巻かれていた。
「サイヤ人?」
俺は男の子の頭に手を置き、記憶を読み取った。
名はターブル。ベジータの弟だった。
こいつがここにいるってことは、グレもいるのか?
茂みで何かが音を立てるのを聞いた俺は思わず振り返った。
「誰だ!?」
グレだった。
「グレ……」
「どうしてこんなことをするのですか?」
「先代の指示なんだ」
「あなたが同じことをされたらどんな気持ちになりますか?」
「俺に失うものなんて何もないんだよ」
俺はグレに手のひらを向けた。
「消えろ」
気功弾がグレの体を粉々に吹き飛ばした。
「何やってんだお前!?」
起き上がったターブルが俺の背中に拳を入れる。
「うん?」
何かが触れる感触を覚えた俺は振り返った。
「君、ベジータの弟だよね?」
「兄さんを知ってるのか?」
「うん。私の従順なペットよ」
「……!?」
驚くターブル。
「君はサイヤ人みたいだからね。特別にしもべにしてあげる」
俺はジェル状になってパンの体から飛び出した。
脱兎のごとく逃げ出すターブル。
逃げながら振り返るターブル。
俺はターブルの体に覆い被さった。
「なにをするんだ!?」
俺はターブルの体内に浸透する。
「うわあああああ!」
ターブルに入り込んだ俺は、その意識を奪い取る。
俺はターブルに卵を産み落とすと、その肉体から飛び出した。
「おい、起きるんだ」
俺の言葉に反応してターブルが起き上がる。
「行くぞ」
「はい」
俺たちはウイスに掴まると、ビルス星へ飛んだ。
「ウイス、あとでこいつをしごいといて」
「わかりました」
俺とパンはウイスに地球へと送られた。
「おや? 何やら空気が重苦しいですねえ」
「この気、もしかして?」
ベビーの気だ。
悟空を除くサイヤ人たちが、俺たちを取り囲む。
「ま、まさか?」
「そのまさかだ」
顔に刺青を入れた白髪のベジータが、俺の問いに答えた。
「偽物は消えるがいい!」
ベジータベビーの一言で、サイヤ人たちが俺を襲う。
パンが俺を庇うようにカウンターを浴びせる。
「ほおう。メス猿にそんな力があったか」
「退いてろ」
俺はパンを後方に放り投げた。
ベビーがパンの方へ移動しようとする。
俺はベジータベビーの足を掴んだ。
「お前の相手は俺だろう?」
「ふん。いいだろう。貴様を殺してからあの小娘の体をいただくとしよう」
今、俺とベビーの戦いの火蓋が切られた。