ドラゴンボール 転生したらベビーだった件   作:桂ヒナギク

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23.本当の名

 俺は魔人である。名前はまだない。

 目の前には大魔女マーバ。彼女は俺の生みの親だ。

「オゾットは失敗だったが、今度はどうなんだ?」

 マーバの隣に立っているアリンスが彼女に訊ねる。

「さあ?」

「さあ? じゃないんだよ」

「とりあえず、コソットとでも名付けておこうかのう」

「コソット?」

 疑問符を浮かべるアリンス。

「お前さんはコソットじゃ」

 マーバが俺に向かって言う。

「コソット……」

「コソットよ、外の世界へ行き、ベビーというやつを退治してくれはせぬか? 放っておけば、いずれこの大魔界にも来るじゃろう。そうなればこの世界は終わりじゃ」

「わかった」

 俺は飛び上がると、大魔界を発ち、宇宙へと繰り出した。

 邪悪な気を感じ取った俺は、その場所へと向かう。

 そこは、ドクターミューの研究施設。

 そこで悟空、トランクス、パンの三人が、ベビーと戦っていた。

 三人に圧倒され、破壊されたベビーの破片が、逃げ出すミューの中へ入り込んだ。

 俺はミューを追い、宇宙船に潜り込んだ。

「何がベビーだ? 誰が主人かもわからなくなった愚か者め」

 ミューの首が吹っ飛び、ベビーが飛び出してくる。

 俺はベビーを狙ってビームを放った。

「なんだ!?」

 ビームをくらったベビーはチョコレートになった。

 俺はチョコレートベビーを拾うと、口に放りこんで噛み砕き、飲み込んだ。

 俺の姿がベビーへと変わり、意識を失った。

 そして、次に目を覚すと、コソットとしての全ての記憶が吹き飛んでいた。

「は!?」

 我に返ると、そこは大魔界だった。

「思い出したようじゃな」

「コソットとしての記憶は戻ったが、外の世界の記憶はなんだ?」

「……?」

「この世界はドラゴンボールというテレビ番組の中だ」

「何を言っておる? 夢でも見ていたんじゃないか?」

「夢?」

 言われてみれば、車に撥ねられる直前の記憶がない。

 だが、俺は大魔界以外の世界の話を知っている。

「不思議そうな顔じゃな。じゃがそれは意図的なものじゃて。私がお前さんにベビーに関する記憶を植え付けるために、時の巻物をお前さんを作る時に混ぜたからのう」

 と、時の巻物だと?

「そういうことだったのか」

「よくぞ戻ってきてくれたな」

「ただいま」

「それで、また行くのか?」

「ああ。俺には破壊神としての役割もあるからな」

「破壊神?」

「ビルスの後継」

「なんだってえ!?」

 驚き飛び上がるマーバ。

「お、お前さん、どれだけ力をつけたのじゃ?」

「それは聞かない方がいい」

「そうか? なら聞かんよ」

 そこへグロリオがやってくる。

「おい、行くぞ」

「あ、ああ」

 じゃあな、と俺はマーバに言い残すと、グロリオの操縦する飛行機で地球へと帰還した。

 天界にはパンの姿があった。

「おかえりなさい、ベビー様」

「コソットだ」

「コソット……様?」

「俺はベビーじゃない。コソットだ」

「じゃあ、次からはそう呼びますね」

 俺はパンを抱きしめる。

「俺がいなくて寂しくなかったか?」

「寂しくないわけがないじゃないですか。赤ちゃんにはなってしまうし……」

 あ!——と、何かを思い出したように、パンは口を開いた。

「ママがパパを生き返らせてほしいみたいで」

「けどドラゴンボールは使われちゃってるぞ」

「ナメック星ってところのドラゴンボールなら、何度でも同じ願いを叶えられるって聞きましたよ」

 確かにその通りではあるのだが、ドラゴンボールを使うと、マイナスエネルギーが溜まり、邪悪龍が現れかねない。

「ダメだ。邪悪龍が現れかねん」

「……そうですよね」

 パンは悲しそうな表情を見せた。

「パン、もしかして悟飯がいないと困る?」

「私も、パパにはいてもらいたいです」

 致し方ない。なにかの折に悟飯を生き返らせるとするか。

 パンを放した俺は、神殿に向かって歩き出した。

「どうしたんですか?」

「疲れたから寝る」

 俺は神殿の寝室に移動し、ベッドにダイブするのだった。

 

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