その日の朝。
目を覚ました俺が横を見ると、パンが可愛い顔をしてまだ眠っていた。
昨夜はお楽しみの時間だった。
できたらできたで、その時はその時だ。
俺はベッドから降りる。
「うーん……コソット様、そこは……」
パンの寝言。
こいつはどんな夢を見ているのだ。
「龍! 朝ご飯よー!」
階下から母さんの声。
俺は部屋を出ると、階段を降りてリビングに移動した。
テーブルには朝食が用意されている。
昨日はパンに食べさせたからな。
今朝は俺が食べるとしよう。
俺は席に着くと、朝食を口に運ぶ。
いつもの母さんの手料理なのに、久しぶりに食べた気がした。
「龍、今日は一日いるの?」
「いや、出かけようかなって思ってる」
「そう。家にいるなら薫をお願いしようと思ったんだけど、出かけるんじゃ仕方ないわね」
「薫は?」
「夏休みだからって昨日は夜更かしをしてまだ寝てるわ」
「そっか」
朝食を食べ終えた俺が部屋に戻ると、パンは目を覚まして起きていた。
「おはようございます」
「おう、おはよう」
「今日はどうするんですか?」
「そうだな。レックを探そう」
「レック? 誰ですか?」
「あー……」
俺はパンにターニアのことを説明した。
「そのレックという方がこの世界にいるんですね?」
「たぶんな」
俺とパンは家を出る。
「でも、地球にいるとは限らないですよね」
「しかしこの世界では生命のいる星は見つかっていない」
「何か手がかりがあればいいのですけど」
俺とパンは行く当てもなく歩き出す。
せめてレックの気がわかれば瞬間移動ができるのだが。
その時、クロノアが交信してきた。
「コソット様、聞こえる?」
「クロノア?」
「よかった。届いたみたいね」
「どうやって交信してるんだ?」
「スーパードラゴンボールで別世界への扉を開けたでしょ。そのおかげで新たな歴史の巻き物が生まれたの」
「そうか。巻き物で交信してるんだな?」
「そういうこと」
「うん? と言うことは巻き物を使えば自由に行き来ができる?」
「そうね」
「ありがとう、助かったよ。こっちに来て、戻る方法がわからなかったからな」
「それにしても、あなた妙な姿をしてるわね」
「これが本当の姿なんだよ」
「そうなのね」
「クロノア! 頼みがある!」
「なに?」
「巻き物でレックという人物を探してくれ!」
「わかった。探してみる。見つかったら連絡するわ」
通信が切れる。
「一気にゴールへ近づきましたね」
「そうだな。案外早く見つかるかもしれない」
「それじゃあ、連絡を待ってる間、この世界を案内してもらえますか?」
俺はパンに地球を案内して回る。
そうしているうちに時間が経ち、クロノアから通信が入る。
「コソット様、レックを見つけたわ」
「どこに行けば会える?」
「こっちに戻ってきて」
「え?」
「いいから!」
俺とパンは刻蔵庫に移動した。
「連れ戻してどうするんだ?」
「これを使って」
「うん?」
渡された巻き物にレックの姿が映っている。
「これは?」
「もう一つの世界の惑星レイドックよ」
「なるほど。巻き物で移動すればいいのか」
「そういうこと」
俺とパンは惑星レイドックに降りる。
城下町は訪れた平和により賑わっていた。
「ここがレイドック……」
パンが歩きながら城下町を見渡している。
「城へ行けばレックに会えるのか」
俺とパンは城を目指して歩く。
「何だお前たちは?」
城の門番が俺とパンを止める。
「レックに会いたい。ここにいるんだろう?」
「王の許可なきものは通せない」
「なぜだ?」
「今は城内への立ち入りが厳しくなっている。諦めてくれ」
「なんとかしろ」
「あんたもしつこいなあ。わかったらとっとと帰ってくれ」
俺とパンはいったんその場を離れた。
城下町で情報を集めると、どうやら城内に賊が入り込み、荒らしまわって去っていったことがわかった。
王は賊の行方を追うため、事態が解決するまで城内へ誰も通すなと言うおふれを出したそうである。
その賊は宇宙の帝王の復活の野望のため、星のマークが入ったオレンジ色の美しい球を探して城に訪れたとのことだった。
ドラゴンボールのことであろう。そして、賊はフリーザ軍で間違いはなさそうだ。
「パン、城に戻るぞ」
「でも、入れませんよ?」
「いい考えがある」
俺とパンは城に戻る。
「なんだ、また来たのか? 何度来ても同じだぞ」
「宇宙の帝王について情報を提供するため、王に謁見を求めたい」
「なに? ちょっと待ってろ」
門番は城内に伝令を入れる。
「いいだろう。通れ」
門が開き、俺とパンは城内に入る。
「なるほど。その手がありましたか」
「王室へ行くぞ」
俺とパンは階段を登ると、東へ折れて突き当たりを北上し、再び階段を登って玉座へ。
「なんじゃ? 客人か?」
王の前に移動する俺とパン。
「何用じゃ?」
「宇宙の帝王の関係者は俺が倒してやる。その代わり、レックに合わせて欲しい。ここにいるんだろう?」
「レックか。今はライフコッドに出かけておる」
「何かあったのか?」
「なに、おめでたじゃよ。あいつもやりおるのう。助けてくれた村娘のターニアとの間に子どもができておった」
何をやってるんだ王子。
いや、どっちがやったかは知らんが、一大事なのには変わりなかった。
「ライフコッドにはどうやって行けばいい?」
「城の宇宙船で送らせよう」
俺とパンは宇宙船まで案内され、ライフコッドへと送り届けられる。
見たことのある村並みだ。
俺とパンはターニアの家に向かう。
扉を開け、中に入ると、赤ん坊を抱いているターニアとレックの姿があった。
「やっと見つけたぞ、レック」
振り返るレック。
「君たちは?」
「あっちのターニアがお前を探している」
「え?」
ターニアが疑問符を浮かべる。
「あたしがレック兄ちゃんを探してる? 何だろう? そういえば夢の中でレック兄ちゃんを探してて見知らぬ惑星に宇宙船が墜落したわ」
だいぶ混じってんな。
「ごめん、ターニア。いきなりいなくなって」
「え? 意味がわからないよ。レック兄ちゃんはここにいるじゃん」
「いや、そうじゃないんだ。夢の世界で勝手にいなくなってごめんって」
「それあたしが見た夢だよ。レック兄ちゃんは関係ないじゃん」
「いや、関係あるんだよ。僕、今まであっちの世界にも実際に行き来してたから」
「え?」
「ムドーにやられた時、僕はあっちの世界にいたんだ。ターニアと実の兄妹だっていう世界にね」
「何を言ってるのかわからないよ」
確かに普通に聞いたらおかしい話である。
「レック、今、再びあっちの世界との道が開通している。会いに行ってやれ。地球という星にいるぞ」
「本当かい?」
レックはターニアの方を向く。
「ターニア、僕行ってくるよ。あっちでまた会おう」
「え? レック兄ちゃん?」
レックはルーラを唱えて夢の世界の地球へと飛んでいった。
「ルーラ使えるんだ」
「これで私たちの役目は終わりですね」
「いったん戻ろう」
俺とパンは刻蔵庫に戻り、夢の世界の地球のカメハウスへ向かった。
カメハウスではレックとターニアが再会を果たしていた。
「レック兄ちゃん、急にいなくなって心配したんだから」
「ごめん、ターニア。僕も色々あって」
「あたしね、お兄ちゃんを探して宇宙を旅してる時、夢を見たの。その夢ではあたしとお兄ちゃんは赤の他人で、二人の間に子どもができてたの。なんだか不思議な感じがして」
俺は部屋に入る。
「お兄ちゃんが見つかってよかったな」
ターニアは俺を見るなり驚いた。
「あ、あなた私の夢に出てきた人にそっくり!」
「いや、それ夢じゃないと思うぞ」
「え? どうなってるの?」
「俺とレックは両方の世界を行き来したんだ」
「え?」
疑問符を浮かべるターニア。
「ちょっと待って。頭が追いつかない」
「深く考えると混乱するから考えるな」
「うん」
レックはターニアに告げる。
「ターニア、僕はそろそろあっちに戻るよ。子どものこともあるしね」
「お兄ちゃん、せっかく会えたのに、またどこか行っちゃうの?」
「どこも行かないさ。ただ、あっちでターニアに会うだけだよ」
レックはルーラを唱えようとする。
「待て、レック!」
「なに?」
「こっちのターニアも連れてってやったら? 互いの世界を行き来するのは面倒だろう。こっちのを連れてけば、お前と同じようになるんじゃないか?」
俺はそう言って夢見の雫を渡した。
「これは、グランマーズさんの……」
レックはターニアを見る。
「ターニア、行こう」
「え? なに? どう言うこと?」
レックはターニアの手を取ると、ルーラで現実世界のライフコッドへ飛んだ。
俺とパンは刻蔵庫に戻り、巻き物でライフコッドのターニアの家に飛ぶ。
「え、あたしが二人?」
ターニアはもう一人のターニアを見て驚いている。
「これって?」
その時、二人のターニアが光に包まれ、合体を遂げた。
「ターニア?」
レックがターニアを見つめる。
「思い出した。あたし、レック兄ちゃんと兄妹だったんだ。幼くして両親を亡くし、二人だけで星に住んでた。でも、こっちでは血の繋がってないレック兄ちゃん。全部わかったよ。そういうことだったのね。だから、この星が大魔王の手先に襲われた時、レック兄ちゃんが二人いたんだわ」
ターニアは赤ちゃんを見る。
「なんか不思議な感じ」
レックを見るターニア。
「レック兄ちゃん?」
「うん?」
「あたしと、結婚してくれますか?」
よかったなレック。
「パン、帰ろう。二人きりにしてやりたい」
「そうですね」
俺とパンは刻蔵庫に戻った。
いや、もうネタが……