俺はピーチを育てるため、宇宙を旅している。
パンはピーチがいるならと聞かず、地球に残ろうとしたものの、俺はそれを拒否して無理矢理連れてきていた。
とは言うものの、人の住んでいそうな惑星が見つからない。
第七宇宙は俺が地球へ向かう際にほとんど制圧し切っていた。
かくなる上はピーチに第六宇宙を制圧させるか。
俺は宇宙船の進路を第六宇宙に合わせる。
すると、その先に艦隊が現れた。
艦隊から通信が入る。
「そこの宇宙船! この先へは通さんぞ!」
聞き覚えのある声だった。
武内……じゃなくて、第六宇宙の破壊神シャンパの声だった。
「パパ、あれは何なの?」
「神様の艦隊だ」
「神様?」
疑問符を浮かべるピーチ。
俺は艦隊の通信に応答する。
「こちらコソット。その先へ通していただきたい」
「嫌だね! 誰が第七宇宙の連中を通すか!」
「貴様、第七宇宙の破壊神様を通さぬというのか?」
「破壊神だと!? 嘘をつけ! 第七宇宙の破壊神はビルスのはずだ!」
「言ってなかったか? 変わったんだよ」
「へっ! ビルスを超えられるものがいるはずがない! わかったらとっとと帰りな!」
「カミンとオレンはどうしてる?」
「そういや、何者かが第七宇宙に手を出したら容赦しないと言われたと伝えろって言ってたなあ! まさかお前のことか!?」
「ご名答」
「バカにしやがって! 今そっちへ行ってやる!」
シャンパが天使のヴァドスと共にこちらの宇宙船に乗り込んできた。
「女二人と男一人か」
「第六宇宙の破壊神シャンパか?」
俺の問いにシャンパは。
「だから何なんだよ!?」
こいつをピーチのエネルギーにするのも面白そうだ。
しかし、今のピーチの力で抑え込めるだろうか。
「ピーチ、お前のエネルギーにしてやれ」
「何をするつもりだよ?」
シャンパが疑問符を浮かべていると、ピーチはジェル状になってシャンパに襲いかかる。
「なんだこれ!?」
シャンパに覆い被さりのその体を包み込むピーチ。
「うわ!」
ピーチはシャンパの体内へと吸い込まれるように入り込んでいく。
「うわああああ!」
悲鳴を上げるシャンパ。
「シャンパ様!?」
と、焦るヴァドス。
「ヴァドスさん、よそ見をしてる場合じゃないと思うよ」
「え?」
戸惑うヴァドスに俺はジェル状になって覆い被さる。
「きゃああああ!」
俺はヴァドスの体内に潜り込んだ。
「ピーチ、体の方どうだ?」
「すごいエネルギーよ、パパ」
「このまま第六宇宙へ乗り込むぞ」
「うん」
俺は宇宙船を第六宇宙領域へ向けて発進させる。
「コソット様」
と、椅子に座っているパンが口を開いた。
「その人たち、神様なんですよね? 神様を乗っ取るのってまずいと思うんですけど」
「何を言ってるんだ今更? デンデだって神様だろ?」
「でも、格が違うというか……」
「だからなんだ?」
「いえ、なんでもないです」
その時だ。
シャンパの体からピーチが飛び出す。
「きゃあ!」
壁に叩きつけられるピーチ。
「貴様、破壊神を乗っ取ろうなんて随分と調子がいいじゃねえか。あん?」
「あら、ご主人様になめた口を利くのね」
刹那、シャンパを強力な激痛が襲う。
「ぐっ……!」
シャンパの瞳が赤く染まる。
「シャンパって言ったかしら。あなたのご主人様は誰?」
「ピーチ様です」
上出来だよピーチ。
シャンパはピーチの下僕と化した。
「ヴァドスはどうかね」
俺はヴァドスの体から這い出た。
「ヴァドス、ヒットの居場所へ案内しろ」
「かしこまりました、コソット様」
ヴァドスは杖でヒットの居場所を導いた。
宇宙船は示された光の道を辿り、ヒットのいる惑星へと到着する。
「ヒットはこの星で一仕事を行っているはずです、コソット様」
と、ヴァドスは言う。
ヒット。時飛ばしの使い手。
俺はこいつの能力をモノにするため、次のターゲットと決めた。
宇宙船を惑星に着陸させる。
惑星を散策し、ヒットを捜す。
何者かの小さな気が一つ消える。
ヒットが誰かを片付けたのだろう。
気の消えた方へ向かってみる。
すると、ヒットの姿を見つけた。
ヒットは俺に気づくとこちらを見た。
「何だお前は?」
その言葉にヴァドスが答える。
「ヒットさん、こちらは第七宇宙の破壊神コソット様です」
「破壊神? ビルス様じゃなかったか?」
「いいえ。代わられたそうですよ」
「そうか。それは知らなんだ」
「ヒット。悪いがお前の体をいただくぞ」
「何だかわからんが、お前は敵ということでいいんだな?」
刹那、ヒットの姿が消え、俺の真後ろに移動していた。
「がはっ!」
吐血する。
見えなかった。
速いなんてもんじゃない。
時間そのものが止まったような、そんな感覚。
「今のが時飛ばしというやつか」
「知っているのか」
「そんな姑息な手段を使わず正々堂々と戦ったらどうだ?」
「いいだろう。相手をしてやる」
俺はヒットに飛びかかる。
ヒットは俺の攻撃を悉くかわしてみせた。
「ふん。遅いな」
「なに?」
「遅いと言ってるんだ」
ヒットの重い一撃が、俺の体を吹っ飛ばす。
「ぐっ!」
俺は壁に叩きつけられた。
こんなにも強いのかヒットは。
「ヴァドス!」
「はい!」
ヴァドスが杖でヒットの動きを封じる。
「何をする!?」
「コソット様の命令は絶対です」
「よくやったヴァドス!」
俺はヒットに向かって光線を放つ。
「うわああああ!」
ヒットはチョコレートになって地面に落ちた。
俺はチョコレートになったヒットに近づくと、それを手で拾った。
「いただきます」
俺はヒットのチョコレートを口に放り込み噛み砕いて飲む。
甘くて美味しい。
ほっぺが落ちそうである。
俺はヒットの姿に変身してみる。
時飛ばし。
うん、ばっちりだ。
俺は元の姿に戻る。
「ヴァドス、行くぞ」
俺はヴァドスと共に宇宙船に戻る。
「お帰りなさい、パパ」
と、ピーチが出迎える。
そういや今気づいたが、シャンパのエネルギーを吸収したためか、ピーチは赤ちゃんから少女の姿になっていた。
「ピーチ、成長が早くないか?」
「あのデブ猫のパワーが想像以上だったの」
「デブ猫?」
俺はシャンパを見る。
確かに。
「シャンパ、お前少しは痩せたらどうだ?」
「俺はこの見た目が気に入ってんだよ!」
「そうか。まあいいけど」
宇宙船を発進させる。
「お前ら二人を艦隊に届けないとな」
「それには及びません」
ヴァドスはそう言った後、シャンパを見た。
「行きましょう、シャンパ様」
ヴァドスとシャンパは光に包まれて飛んで行った。
あの光、屋根も通り抜けるのか。