「何をするんだ、ビーデルさん」
「下がっていろ」
俺の命令にベジータと悟天が地上に降りた。
「むしゃくしゃするわ」
「だからって、八つ当たりするような子じゃないだろ、君は」
俺は悟飯の側頭部に回し蹴りを叩き込んだ。
吹っ飛んでいく悟飯。
俺は高速移動で悟飯を追いかけ、背後に回り込み、両手を組んで地面にたたき落とす。
悟飯が激突した地面に穴が開く。
「くっ……!」
ベジータとの戦闘でボロボロになっている悟飯がおぼつかない足取りで立ち上がる。
「もうボロボロね」
「お前、何者なんだ?」
「何者って、あなたの奥様のビーデルよ?」
「違う!」
「……………………」
「ベジータさんと悟天を従わせている。一体、二人に何をした? それに、ビーデルさんまで」
「だから、私はビーデルだって言ってるでしょ?」
俺は悟飯の懐に一瞬で潜り込んでアッパーを浴びせた。
宙に舞い上がる悟飯に、俺は拳を乱打した。
「反撃しないと死んじゃうわよ?」
「お前がビーデルさんじゃないってことはわかってるんだ」
「じゃあどうして反撃してこないのかしら?」
「それは……」
「私の体に傷をつけたくないってことよね?」
俺は悟飯の頭を掴み、その顔面を地面に押し付けて数メートルほど引きずった。
「あなたは何もできなくても、私は痛めつけるわよ」
そこに、遠くから気功波が飛んできた。
俺は咄嗟にかわした。
気功波が飛んできた方を見ると、ピッコロの姿が。
「ぴ、ピッコロさん……」
「悟飯、情けないぞ」
「ピッコロさん、私の邪魔をしないでくれませんか?」
「黙れ。俺は知っているぞ。貴様がみんなの体に入り込んで何かしていることを」
ピッコロの言葉に悟飯は気づいた。
「やはり、何者かが体を乗っ取ってるんだな?」
「ベジータに悟天、ピッコロを頼む」
二人がピッコロに襲い掛かった。
「さあて、悟飯くん?」
「気安く僕の名前を呼ぶな!」
俺は悟飯の頭を踏みつけた。
「ぐわああああ!」
「超サイヤ人にならないの?」
「超サイヤ人になった瞬間に僕の体を乗っ取る気だな? その手には乗らないぞ」
「困ったわね」
その時、俺は悟空たちの気を察知した。
「と、父さん……」
二人はパオズ山に向かい、トランクスだけがこちらへとやってくる。
来い、パン。
パンの気の動きがいったん止まり、折り返してこちらへ猛スピードで向かってきた。
到着したパンが地上に降り立つ。
「パン!?」
パンが悟飯を見下ろす。
「パパ、ただいま」
「パン、おかえりなさい」
パンが俺に駆け寄って抱き着いた。
「ママ!」
「パン、そいつから離れるんだ!」
振り返るパン。
「どうしたの? パパ」
「そいつはママじゃない!」
「何言ってるの? どこからどう見てもママだよ」
「そうよね。何を言ってるのかしら、あなたのパパは?」
悟飯が俺を睨め付ける。
「お前、まさかパンにまで?」
「なんの話かしら?」
「とぼけるな!」
パンが俺を見る。
「パパとママ、喧嘩してるの?」
「パパが悪い子になっちゃったから、お仕置きしてるのよ」
パンは悟飯の方を向き直る。
「違うんだパン! ママの体に何者かが乗り移ってるんだ!」
「そんなことがあるわけないじゃない」
「どうして信じてくれないんだ? そうだ、お父さんは。お父さんなら!」
「おじいちゃんはお腹空いたって言って先に帰ったわよ」
「パン、お父さんを呼んできてくれ」
「無理よ。お腹を空かせたおじいちゃん、役に立たないんだから」
パンが俺を見る。
「パパなんか放っておいて行きましょう?」
「悟飯くん、そういうことだから、頭を冷やすのね」
俺とパンは悟飯を置き去りにその場を離れた。
一方、ピッコロは虫の息になって放り出されていた。