俺はトランクスの前に立ちふさがった。
「ビーデルさん」
「トランクスくん、私と組手してくれない?」
「僕とビーデルさんが? やめておいた方がいいと思いますよ」
ぴょこんとパンが俺の後ろから顔を出した。
「ママね、さっきパパと喧嘩して、ボコボコにしちゃったんだよ」
「へえ。あの悟飯さんがビーデルさんに?」
「ママがダメなら私は?」
「パンちゃん、俺、宇宙船の操縦で疲れてるんだ」
トランクスは、「そういうことだから」と、立ち去ろうとする。
「トランクスくん」
俺は去り際のトランクスの手首を掴み、後方へ放り投げた。
弧を描いて床に伏すトランクス。
「いきなり攻撃するなんて、よっぽど組手をしたいんですね?」
すっくと立ちあがるトランクス。
俺は力を失ったかのように、体を前かがみに折り曲げた。
「ビーデルさん?」
ビーデルの背中から、にゅるっと体を離脱させる俺。
「お、お前は!?」
「久しぶりだな、トランクス」
「パンちゃん!」
パンはニヤリと笑みを浮かべ、トランクスに襲い掛かった。
トランクスはパンの攻撃をかわして背後に回り、首筋にチョップをして気絶させた。
「役立たず」
「お前は誰だ?」
「忘れたのか、ピタルへ運んだ少年のことを」
「……!」
「思い出したみたいだな。俺はあの時、パンの体に入り込んでてな。最初にパンを下僕にさせてもらったというわけだ」
「なんだって?」
「トランクス、君も俺の奴隷になれ」
俺はトランクスに接近しながら体をジェル状に広げた。
「は!?」
トランクスに覆いかぶさり、その体内に入り込んだ。
「呆気なかったな」
俺はパンを見る。
「おい、いつまで寝てるんだ雌ザルが」
パンは目を開けて起き上がった。
「役立たずで申し訳ありません、ベビー様」
「聞こえていたのか」
「私ではトランクスに力及ばないので気絶したふりをしてました」
「そうか」
「ところで、パパはどうするんですか?」
「悟飯か。俺は舐めプをするあいつが嫌いでな。捨て置け」
ポンッと音を立てながら、俺はトランクスの体を飛び出した。
トランクスの体が力を失って倒れた。
パンは確か、悟空が黄金の大猿から超サイヤ人4になるきっかけだったな。
「パン、頼みがある」
「はい?」
「悟空の覚醒に一躍買ってくれないか?」
「おじいちゃんの覚醒?」
「その時になればわかる」
となると、ベジータの体を借りることになるな。
俺はベジータの気を探る。
しかし、ベジータは気を極限まで落としているのか、見つけることができなかった。
「お兄ちゃん、帰ってきたの?」
と、そこにブラが現れる。
「お、お兄ちゃん!」
ブラが倒れているトランクスに駆け寄った。
「あんたがやったの?」
ブラが俺を見て言う。
そういえば、こいつもサイヤ人の端くれか。
「ブラってのは君だね?」
「そうだけど、何?」
「俺はトランクスのお友達でね。倒れてたから運んできたんだ」
「それはどうもありがとう」
超サイヤ人4のパワーを抑え込むにはもっと力が必要だな。こいつのサイヤパワーもわけてもらうか。
パンがブラを羽交い絞めにする。
「な、なにするのよ!?」
俺は身動きの取れなくなったブラの体に入り込んだ。
「うっ!」
パンが
「うるさいわね。一体、なんの騒ぎよ?」
ブルマがやってくる。
「あ、ママ」
「なに?」
「お兄ちゃん、倒れちゃってたんだって」
「そうなの?」
トランクスを見るブルマ。
「起きなさい、トランクス」
「う……。ああ、母さん」
「トランクス、あんた大丈夫? 長旅で疲れてるんじゃない? 少し休みなさい」
「はい」
トランクスがブルマに介抱されながら寝室へと向かう。
さて、悟空を覚醒させるためにひと暴れするか。
「おい、ビーデル。いつまで寝てる?」
俺が離脱して倒れていたビーデルが起き上がる。
「うん? ああ、ブラちゃん……」
「寝ぼけているのか?」
「え? あ、ベビー様ですか」
「ママ」
と、パン。
「あら、パンじゃない。いつの間にか帰ってきてたのね」
「すまんな、ビーデル。俺が君の体を借りている間に帰ってきたんだ」
「そうなんですね」
「二人は先に帰れ」
俺はそう言い残して、ブルマの元へ移動した。
「ねえ、ママ」
「なに、ブラ?」
「パパはどこにいるの?」
「あの人の行く先なんて知らないわよ」
「そう。じゃあ、ママの体もらうわね」
「え? もらう?」
俺はブラの体から飛び出すと、驚き戸惑うブルマの体内へ飛び込んだ。
「呆気なかったですね、ベビー様」
と、ブラが言う。
「普通の地球人だからな。ブルマは」
そこに、パンがやってくる。
「なんだ、パン。帰れと言ったはずだろう」
「パパがおじいちゃんと接触しました」
悟飯と悟空以外は俺の支配下だ。問題なかろう。
「構わん」
しかし徒党を組まれたら面倒だ。
それに、クリリン、ヤムチャ、天津飯たちが残ってる。
18号も無限エネルギーだからな。敵対したら厄介だ。
「ブラ、俺を亀ハウスに運んでくれ」
「かしこまりました」
俺はブラと共に亀ハウスに移動した。
「やっほー!」
「あん?」
クリリンが出てくる。