俺は地獄にやってきた。
「私が協力できるのはここまでです。では」
キビト界王神はそう言って、瞬間移動で消え去った。
俺はベビーの気を察知する。
「そこか!」
俺は振り返りざまにジェル状の何かをかわした。
ジェル状の何かはベビーの初期形態に変わる。
「お前が本物のベビーか」
「貴様、俺の体を返せ」
「返してやりたいのはやまやまだが、方法がわからん」
「ならばその体を乗っ取るまでだ」
「そう簡単に、行くかな?」
刹那、フリーザとセルが現れ、俺の体を拘束した。
「ベビー様、今です!」
フリーザが言う。
「おい、フリーザ。お前、宇宙の帝王が聞いて呆れるぞ」
「何を言ってるんですか? 私は自らすすんでベビー様に忠誠を誓ってるのですよ?」
「ふん」
俺はジェル状になり、セルの体を乗っ取る。
「なに!?」
セルは意識を失った。
「この体は元はお前の体だ。この体を使ってる俺が熟知してないわけがないだろう?」
「いい加減にしなさいよ、偽物が」
フリーザが眉間にしわを寄せながら言う。
「君に乗り移るべきだったかな、フリーザさん?」
「い、いや、私の体なんて弱すぎて役に立ちませんよ」
後ずさるフリーザ。
「フリーザ、俺を裏切るのか?」
「め、滅相もございませんベビー様!」
「失せろ」
俺はフリーザを気合で吹っ飛ばした。
「うわ!」
地面をバウンドして転がるフリーザ。
「次は貴様だな」
俺はベビーを睨みつける。
「くたばるがいい、寄生型マシーンミュータント!」
俺はベビーにパーフェクトかめはめ波を浴びせた。
「ぎゃああああ!」
粉々になるベビー。
だが、粉々になったベビーの細胞が集まり、体が復元されていく。
めんどくせえなあ。
俺はベビーの隙を突いて、その体内に飛び込んだ。
「しまった……!」
今までのベビーの記憶が、俺の中に流れ込んできた。
惑星プラント。
サイヤ人が流れ着き、大猿となって先住民であるツフル人を根絶やしにしていく。
ツフル人の王が寄生型生物を作り、自身の細胞を埋め込んで宇宙に放った。それがベビーだ。
サイヤ人のやったことは赦せない。ツフル人は被害者だ。
だからと言って、ベビーがやろうとしたことは間違ってるのではないか?
サイヤ人への復讐だけでいいだろう。地球人は関係ない。
「かあああああ!」
ベビーの意識が膨れ上がってくる。
やばい、意識が潰れ……。
俺の意識はブラックアウトした。
「キビト界王神」
キビト界王神が、ベビーの元にやってくる。
「地球に戻します」
キビト界王神はベビーの肩に手を置き、地球へと瞬間移動をした。
ニヤリと笑みを浮かべるベビー。
「どうしました?」
ベビーはジェル化して、キビト界王神の体を乗っ取る。
「孫 悟空、殺す」
キビト界王神ベビーは、天界へと瞬間移動した。
「界王神様」
と、デンデ。
キビト界王神ベビーは、デンデの腹部に拳を捻じ込み、体勢を崩した隙を突いてその体内に飛び込んだ。
「おい、界王神。界王神界にはじじいがいたはずだ。連れてこい」
「かしこまりました、ベビー様」
キビト界王神は、界王神界に瞬間移動して、老界王神を連れてきた。
「ななななな、何を考えとるんじゃお前さんは?」
「貴様も俺の奴隷にしてやる」
「なんじゃとお!?」
デンデの体から離脱すると、ベビーは老界王神の体に入り込もうとしたが、その動きが止まった。
「ちょっと待てよ……!」
意識を取り戻した俺は、ベビーの意識を抑え込む。
(なんだ? 体の自由が……)
ベビーの心の声が聞こえる。
「俺のいない間に好き勝手してくれやがって……!」
(ば、バカな? 貴様の意識は潰したはず)
「お前に潰されるほどやわな人間じゃねえわ」
(おのれ! 俺様の体を返すのだ!)
「嫌だね! お前を野放しにしたら宇宙がめちゃくちゃになる」
(く、くそー!)
「デンデ、超神水を持ってきてくれないか」
「超神水ですか?」
「早くしろ!」
「わかりました!」
デンデは超神水を取りに駆け出した。
「怖い思いさせて悪かったな、じいさん」
「お前さん、例の転生者か?」
「ああ。ベビーの意識は抑え込んだ」
「ふう。全く、ひやひやさせおって」
デンデが超神水を手に戻ってきた。
俺は瓶を受け取り、キビト界王神に渡した。
「飲め」
「はい」
キビト界王神は超神水を一口飲んだ。
「ぐ!」
苦しそうな表情をするキビト界王神。
「あれ、私は一体?」
キビト界王神は俺に気づく。
「べ、ベビー!」
「大丈夫じゃ。こやつは転生者の方じゃ」
「そ、そうですか」
「あんたら、ここを離れた方がいい。いつ俺がまたベビーになるかわからないからな」
「そ、そうじゃな。戻るぞい」
老界王神とキビト界王神は界王神界に戻っていった。