ダンジョンに呪術師が転生するのは間違っているだろうか   作:矢瑠気雑子

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5話 ─結成─

「さて、ケガはないか?神ヘスティア」

 

「う、うん、僕は全然大丈夫だよ。ありがとねセレン君」

 

「俺は特に何もしてないよ。本当に一瞬だったから」

 

「あぁ…そうだね本当に一瞬すぎて向こうに同情しちゃいそうになるぐらいには、ね」

 

ヘスティアは引きつった笑みを浮かべては、先ほどの光景を思い出していた。

セレンが口上を述べ、闇派閥が彼に突っ込んでいったその瞬間、闇派閥の彼らは全員がその四肢をあらぬ方向へと曲げられていた。まるで関節がいくつもあるかのようにグニャグニャだった。地面に這いつくばることしかできない状態になった彼らは、自分たちの状況を理解した時には、その急激に襲ってくる痛みと彼に抱く恐怖の感情のせいか、冷静さは失い満足に言葉を話すことが出来なくなっていた。

現在セレンたちはそんな闇派閥をどうしたらいいものかと悩んでいる真っ最中であった。

 

「このまま放っておいても何もできないと思うが、しっかり憲兵に渡した方がいいか?」

 

「うーん、きっと他にも戦っているところはあるだろうし、今はそっちに駆け付けた方がいいかな」

 

「…いやそれなんだが徐々に鎮静化しているような…誰か来るな」

 

セレンは周囲の状況を確認しようと索敵範囲を広げた。すると数多くの冒険者たちが対応を始めたのか、その数も含めて一気に戦場は収まっていた。

後手に回ったが故に出だしが遅かっただけで、対応が始まればこういった経験が多いのもあって早い。

セレンはもう自分が出ばる必要はないかと索敵をやめようとしたら、複数人こちらに向かってくる気配を察知した。

 

「私たちが来たからにはもう好きには…ってあれ?終わってるはねこれ」

 

「アリーゼ!あまり無策に戦場へ突っ込まないでください!」

 

「団長殿の猪突猛進ぶりは今に始まったことではないだろう、いい加減慣れろポンコツエルフ」

 

「お前らここに来てまで喧嘩しないでくれよ…ただでさえ疲れてるんだからよ…」

 

癖の強そうなやつらが来た、とセレンは最初に抱いた感想だ。

彼女らから発せられるオーラは素人のそれではなく、才色兼備という言葉が当てはまるような人たち。

だが、それ以外の、絡み方というか人間性がややめんどくさそうだった。

 

「…誰だお前ら」

 

「ふふん!よくぞ聞いてくれたわね!」

 

セレンの小さな呟きに一目散に反応した人物。セレンが最も頭がおかしそうだと感じた、例えるなら五条悟だろうか、全く人の話を聞かない雰囲気が、反応した人物から漂っていた。

 

「弱きを助け強気を挫く!たまにどっちもこらしめる!差別も区別もしない自由平等、全ては正なる天秤が示すまま!

願うは秩序、想うは笑顔!その背に宿すは正義の剣と正義の翼!私たちが【アストレア・ファミリア】よ!!」

 

「アストレアの眷属(こども)たちだったのか!」

 

「アストレア…ギリシャ神話の正義を司る神か。知り合いか?」

 

「もちろんさ!アストレアとは天界にいた頃から友神でね!こっちに来た時から会おうとは思っていたんだけど、今の時代的にね、良いタイミングがなかったのさ」

 

「なるほど、ヘスティアの友達なら任せていいか」

 

「ちょっと待ってね!多分もうそろそろガネーシャ・ファミリアの誰かが…」

 

アストレア・ファミリア達に任せてさっさと帰ろうとしたセレン。だがおそらく聴取をしたりする段取りがあるのか、街の憲兵を担っているガネーシャファミリアの到着を待とうとしたそのとき。

 

「呼ばれた気がして参上!品行方正で人懐こくてシャクティお姉ちゃんの妹でリオン達と同じLv.3のアーディ・ヴァルマだよ!じゃじゃーん!」

 

どこから現れたのか、いつのまにか登場しては勝手に自己紹介を始めた少女─名をアーディ。

ガネーシャ・ファミリアのレベル3ということは実力はあるのだろうか、セレンは彼女に視線を移した。

 

「ガネーシャ・ファミリアの奴が来たのならもういいだろ。身動きは封じているし装備も破壊した。もうこっちが出来ることはないから行っていいか?」

 

「ああ!ちょっと待って!せめてファミリアと名前だけでも聞いていいかな?後日改めて話を聞きたいからさ!」

 

「僕らはヘスティア・ファミリアさ!僕が主神のヘスティアだよ!そしてこっちが僕の可愛くてかっこよくて最強な眷属!セレン君さ!」

 

なぜかヘスティアが自信満々に紹介する。その際にまるで自分のものだとマーキングするかのように、力強く抱きしめていた。

その体格に合わぬ大きな胸が形を崩すぐらいにはセレンに密着し押し付けていた。

 

「そういうわけだ。話をするのは構わないがまた明日でいいか。神ヘスティアを早く休ませたい」

 

「う、うんわかった!そしたらまた明日、お昼ごろにバベルの前で集合でいいかな?」

 

「ああ、それで構わない。ではまた明日。ほら、行くぞ神ヘスティア」

 

「セレン君…僕の事をそんなに気を使ってくれて僕は嬉しいよ!でも、その”神ヘスティア”っていうのはやめてくれないかい?なんだか距離を感じて僕は寂しいよ。ぜひ“ヘスティア”と呼んでくれると嬉しいな」

 

「そうか。わかったよヘスティア」

 

「うん!セレン君!それじゃ帰ろう!」

 

「フッ、ああ帰ろう。やっと話が進むな」

 

セレンとヘスティアは並んで帰路へと向かった。セレンの手へ自身の手を絡めるヘスティア。そしてそれを振り払うわけでもなく受け入れ握り返すと、にへらぁとだらしない顔を浮かべるヘスティアはどこまでも愛おしそうにセレンの事をみつめていた。

 

 

 

 

 

それから、ヘファイストスのホームへと帰った二人は順番に風呂に入り晩御飯を終えてようやく落ち着ける状況になった。

それからセレンは上裸になると俯せになり、その上に跨るヘスティア。

彼女の手には小さな針が握られていた。

 

「それじゃセレン君、君に神の恩恵(ファルナ)を刻むよ」

 

「よろしく頼む」

 

「…それにしても、君の背中は綺麗だね。引き締まった筋肉で、肌がすべすべで色白で、なんかこう…興奮してきたよ!」

 

ハアハアと息を荒くし、セレンの背中を撫でまわすヘスティア。その眼はどこか血走っていて危ない雰囲気を漂わせている。

 

「一旦終わらせてもらっていいか?そんなに触られるとくすぐったいんだ」

 

「はっ!僕としたことが、思わず我を忘れてしまっていたよ。ささ、気を取り直してっと…」

 

そういうと自身の指を、持っていた針で小さく傷をつけると滴る血をセレンの背中へと一滴垂らす。

すると波紋が広がると、セレンの背中に炎を模したマークと細かな文字が刻まれた。

こうしてセレンに神の恩恵が刻まれ、ステイタスが現れた。正真正銘、ヘスティアの眷属になった。

ヘスティアはその様子に、ただ満足そうにそしていつもの愛おしそうな、宝物に触れるかのようにその背中を撫でた。

それから、セレンのステイタスを紙に写し、その内容を笑顔で確認するヘスティア。

ジーッと内容を確認するヘスティアは徐々に顔色を悪くし、表情も笑顔からどこか険しいものから驚愕へ、そして最後にはあわあわと焦りを浮かべていた。

 

「…ヘスティア?どうした」

 

「…せ、セレン君、君は一体…いや、まずはこれを見てくれ。君のステイタスだ」

 

 

 

 

────────────────────

 

セレン・アラツキ

 

 

レベル:1

 

力:I0

耐久:I0

器用:I0

俊敏:I0

魔力:I0

 

《魔法》

 

《スキル》

混沌存在(カオス・デア)

不老付与

・他界言語習得

 

千變万華(センペンバンカ)

・任意発動

・呪力消費量によって術式効果上昇

 

 

【天与呪縛】

・呪いの永続付与

・発展アビリティ『呪力』『呪印』『耐異常』『魔導』の常時発現

・全ステイタス・アビリティの超強化

・痛覚倍増

・術式・魔法発動時の制限付与

・制限解除時、状態異常強制付与

・術式・魔法効果増幅

・早熟する

・死なぬ限り効果永続

 

【魔堕呪縛】

・任意発動

・階位昇華

・発動時、全ステイタス超高補正

・判断力低下

解除詠唱(スペルキー)【我が身を喰らい呪え】

 

【呪合渇望】

・戦闘時、全ステイタス超高補正

・戦闘が長引くほど効果上昇

・戦闘時、『呪力』の超高補正

・戦闘時、術式・魔法威力超高域強化

 

【闘争心酔】

・戦闘時、全ステイタス超高補正

・戦闘時、状態異常無効

・戦闘時、相手数が多いほど効果上昇。

 

 

【対等欲願】

・戦闘時、全ステイタス超高補正

・認めた相手との戦闘時、さらに超高補正

・傷を負うごとに効果重複

 

 

────────────────────

 

ヘスティアの隣へと移動し自身のステイタスを覗く形で見るセレン。

その時ふと気づいたが、なぜか異世界の文字を読めていることだ。

そして今文字を書こうと考えた時に自然と日本語からこの世界の文字も浮かび上がることから、スキル欄にある他界言語の習得というのが発動していることが分かった。

そして他のスキル内容を見ると、戦闘時に高い補正が掛かるという点も、スキルが自身の本質や望みが影響されるということを説明されていたから、何となく理解はできていた。

そんなセレンはある一つのスキルを凝視していた。

それは【天与呪縛】。生まれたその瞬間から何かしらの縛りを受ける代わりに強大な力を得られるもの。

要は強制的に何かしらの縛りを課されるのが天与呪縛なのだが、だったら、任意的に縛りを結んだ場合、このスキルは影響を与えるのか、という疑問が浮かんだセレン。

 

「…ヘスティア」

 

「なんだい?

 

「この魔法というのは三つ空いてるが俺は後に魔法を覚えるという認識でいいのか?」

 

「そうだね。ヘファイストスがいうにはこの魔法スロットが開いている数がそのまま将来的に覚える魔法数らしいよ!ちなみに、三つマックスで魔法が発現する人間というの中々珍しいみたいだぜ!基本は魔法適正が高いエルフの子が多いみたいだ」

 

「…なるほど」

 

ヘスティアの話を聞き、思考に意識を沈めるセレン。そんな彼の真剣な表情に気づいたヘスティアは、首をかしげて尋ねた。

 

「なにかあったのかい?」

 

「いや、少しな……ヘスティア、悪いがもう一度ステイタス更新をしてもらってもいいか?試したいことがある」

 

「う、うん。構わないよ」

 

それから再度、ステイタスを更新し紙に写し二人で見る。

すると先ほどのでもたくさん書かれていたスキル欄にまた一つ新しく追加されていた

 

「え!せ、セレン君!これってどうやったの!?」

 

「簡単に説明すると、今俺自身に縛り、要は誓約を設けた」

 

セレンのスキル欄に追加された内容は【闘枷鎖縛】というもの。

内容は以下の通りである。

 

【闘枷鎖縛】

・任意解除

・未解除時、魔法の使用封印、全ステイタス値の低下

・解除時、魔法の使用解除

・解除時、全ステイタスの高補正

・解除条件『自傷』

 

「誓約を設けたってどういうことだい?」

 

「俺の前世の事は覚えてるか?」

 

「覚えてるよ。呪術師っていう呪いの力で、人の悪い感情の集合体である呪霊を祓っていたんだろ?」

 

「そうだ。その際、俺ら呪術師は己に縛りという名の力の制限を自主的に設け、他の能力を上がるというものがある」

 

「なるほど、何かを失う代わりに何かを得る、その失うものが大きいと得られるものも大きいのかな?」

 

「さすがだなヘスティア。その通りだ」

 

「えへへ…!つまり!それで、今セレン君は実際に縛りをして、それがステイタスに反映されたってことか!でもどんな縛りを?」

 

「自傷行為により解除しない限りは、魔法が発現しても容易に使えないのと、常に俺のステイタスが下がる縛りだ。その代わり、解除すれば魔法は普通に使えるし、何よりステイタスが上昇する。なにもせず解除すれば、下がっていたステイタス値が戻るだけだが、自分から傷をつけることでマイナス値からプラス値へと上昇させることに成功したということだな」

 

「おぉ!確かに数字が元の値に戻るより上昇した方が良いね!流石セレン君!天才だ!」

 

「だがあまり縛りをしすぎるのも良くなさそうだな」

 

「ん?どうしてだい?確かに他の神にバレたらうるさそうだから控えた方が良いかもしれないけど、僕は君が無事に生きてくれるのなら何が何でも隠し通すよ!」

 

「フフッそれは嬉しいが、縛りを多く擦ればその分普段の俺が弱くなる。そうなったら不意を突かれたり、俺自身が戦闘だと認識できていない場合スキルによる支援がないのはハッキリ言って不味い。どんなことが起きようとヘスティアを護れる力が必要だ」

 

「セレン君…そんなに僕の事を想ってくれているなんて!」

 

「当たり前だ。ヘスティアがやられたら終わりなんだから優先順位は自然とこうなる。もしお前がやられたとして、俺は他の神の下で眷属になるつもりはないからな」

 

「セレン…君…好き、好きだセレン君!僕は君が大好きだぁぁぁ!!」

 

「わかったわかった。というわけでだ、これからは積極的にダンジョン攻略に取り掛かり早く力を付けるよ。生活資金も作っていきたいしな」

 

「うん、うん!わかったよ!僕も君の負担にならないようにバイトとかで少しでも稼ぐよ!」

 

「そこまでしてもらうのは…いや、わかった。ならヘスティアに頼みたいことがある」

 

「おぉ!なんだい?君のためなら僕はなんでも叶えてあげるよ!」

 

「何でもはいいんだが、…神ヘファイストスに頼んで工房の使用許可が欲しい」

 

「こう…ぼう?」

 

セレンの頼みの内容に思わず驚くヘスティア。

一体彼は何をしようとしているのか。

近い未来、セレンという人物がこのオラリオに震撼をもたらすことを今のヘスティアは知る由もなかった。

 

 




終わり方が今だにわからない…
かなり中途半端な書き方になっていますが、優しく見守っていただけると嬉しいです!
それではまた次回よろしくお願いします!
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