【あとがきにお知らせ】
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中央暦1639年 7月10日
シオス王国 セリオス・バフォート城
「海魔討伐はこのような手順になっているようです」
「なるほどな」
シャオス提督が国連とネルフから聞いた海魔討伐作戦の概要をセリオス10世に説明していると、海軍の人間が入ってくる。
「失礼します!」
「どうした?今は会議中だぞ?」
「報告申し上げます!本日未明にパ、パーパルディアの軍船の大量の残骸と乗組員が浜に流れ着いておりました!」
パーパルディア皇国の軍船が大量に流れ着くなど、あり得ないことだ。天地がひっくり返らない限りは。
「なんだと?!パーパルディアは列強国……監察軍でも海魔相手に負けるはずは……」
流石のシャオス提督も動揺する。軍属の人間が最も彼の国の強さを把握している。だからこそ、信じられなかった。
「乗組員の話によると、皇国監察軍を滅したのは……す、すい、す……」
動揺のあまり震えていて彼の声が何も聞き取れない。
「す……?聞こえないぞ?申してみよ」
「……水龍です!」
一瞬の沈黙が流れる。
「……はぁ?!」
王城は、混乱に陥った。
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同刻
シオス王国北部沿岸
シオス王国から水龍の情報を聞いた海魔討伐隊は、先遣隊として国連軍による強行偵察を命じた。
「ついに、義理を返せる時が来た!」
「国連軍を噛ませ犬と思って貰っちゃ困るぜ!!」
そう意気込んだ国連軍のユーロ試験機がゴーマ空港から離陸していく。
「アイツか!」
「デケェ!」
そうして彼らの瞳に映ったのは、長い胴体、立派な立髪、堅牢な鱗を持つ巨大生命、まさに東洋の竜とも言うべき存在だった。
「各機、攻撃を開始せよ!」
ユーロ試験機から対艦ミサイル、エグゾセAM39が飛んでいく。しかし、水龍は水魔法を用いて海水を操り、全長100m級の巨大な津波を発生させた。
「まさか、このトカゲは誘導弾を知っているのか?!」
電波が海水の壁に減衰され、誘導弾が水龍から外れたのだ。
「チッ、敵生体に通常兵器の効果認められず!ネルフにエヴァ出撃を要請する!」
ユーロ試験機は、その圧倒的な力に成す術がなかった。
◆◆◆
国連の護衛機が強行偵察した報告を受けて、ネルフは討伐本隊として最終号機の出動を命じた。
「ねぇトウジ、ケンスケ。作戦はないの?」
一応、上司であるトウジやケンスケに作戦があるかシンジは訊く。
『作戦?あー……特にないかな。国連の護衛機で歯が立たないなら君頼りだし』
『まァ、敵の龍さんは海操るから気ィつけや』
「うん、分かったよ」
シンジは、LCLの中で深く呼吸する。
「ふぅ……最終号機、発進します!」
最終号機は光の翼を展開して、水龍がいる沖合まで飛んでいく。
「見つけた」
最終号機が水龍を見つけると、着水の水飛沫と共にビゼンオサフネを肘パイロンから取り出し、戦闘態勢に入る。
「これは、海の壁か!」
海の壁の向こうにいる、6体の水龍が最終号機をとり囲む。
「はぁー!!」
ビゼンオサフネを振り回すが、ことごとく避けられてしまう。
「なんでッ、当たらないんだ?」
たしかに、水龍の体に当たっている。しかし、その六つの鱗をオサフネの刃がすり抜けていた。
『海水の屈折を操って、幻影を作り出してるんだ!』
「だったら、水を吹き飛ばせば……」
シンジがそう言った直後、A.T.フィールドが魔法障壁と摩擦する鈍い音が鳴り響き、そこから発生した余熱と両位相フィールドの圧力で海水は臨界点に到達、水蒸気爆発を引き起こした。
「何も見えない……!」
巨人の視界をその巨体をも覆う蒸気が塞ぐ。
「どこ?」
『シンジ、下や!!』
「?!」
シンジが気づいた時には、白い闇の中から現れた水龍が最終号機の身体に巻きつき、首を締め上げていた。
「ぐッ……!放、せ……!」
『敵生体、エネルギー密度上昇中!』
科学班の言う通り、水龍は魔力の増幅を始め、締めつけを強くする。特殊装甲もその圧に耐えかねて凹み始めた。というか——熱い、明らかに温度が上がっている。
『これは、トロワの時と同じ?まさか……自爆する気か!!』
「させるかァッ!」
水龍の企みを察したシンジは、すかさず上空へと飛んでいった。急激な気圧と温度の変化に、水龍は魔法障壁によって耐えているようだが、限界が近い。
「うおおおおおお!!」
そして最終号機はその重量を利用しながら急降下に転じ、水龍を海面へと叩きつけた。落下の運動エネルギーを利用し、マイクロブラックホールを並べたビゼンオサフネの斬撃を喰らわせた。
ギャアアアアアア?!
マイクロブラックホールの重力に引っ張られた水龍は、傷口から徐々にぶちまけたパズルのピースのようにバラバラになっていく。
「はぁー、勝った……疲れたぁー!!」
『お疲れ』
その後、バラけた水龍をエヴァが担ぎ出していった。
◆◆◆
セリオス・バフォート城
「あの……水龍に勝った……?!」
「まさか、海魔だけでなく伝説級の水龍までをも倒すとはな……」
まるで神話のようなエヴァと水龍の戦いを前に、孤島の王城は動揺に包まれた。
今回で今年最後ですね。1年間で文章力や構成力は伸びたんじゃないかなーと壱話と見比べて成長を感じたり、しなかったり。
そして、作者が来年から受験生なので、パ皇編はボリュームがデカいので多量の時間を要するということで、受験関連がひと段落つくまで月一更新はお休みさせて頂こうと思います。
再開まで気長に待ってくださると幸いです。