新生紀日本国召喚   作:空気の破壊者

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今回は海戦です。まぁ結果はお察し。


第伍話『ロデニウス沖海戦』

中央歴1639年4月25日 マイハーク港

 

 ついに、ロウリア王国が4000隻以上の大艦隊を出港させたという情報が伝えられ、マイハーク港に基地を置くクワトイネ公国海軍第2艦隊は艦船を集結させていた。

 各艦は帆を畳んで港に集結し、来たるべき決戦の準備をしていた。その数は約500隻、マイハークにある軍民問わずにクワ・トイネが戦力投入できる船の全てであった。

 

「壮観だな」

 

 提督パンカーレは海を眺めながら呟く。

 

「しかし、敵は4000隻を超える大艦隊、我々は何人生き残る事ができるだろうか」

 

 パンカーレは側近のブルーアイに思わず本音を漏らしてしまう。圧倒的な物量の前にどうしようもない気持ちがこみ上げる。

 

「提督、海軍総司令部から魔信が届いています。」

 

「読め」

「はっ!本日夕刻、ニホン国の艦隊8隻が援軍として、マイハーク沖合に到着する。彼らは我が軍より先にロウリア艦隊に攻撃を行うため、観戦武官1名を彼らの旗艦に搭乗させるように…との事です。」

 

 その報告を聞いたパンカーレは目を見開き、驚いていた。

 

「何!?たったの8隻だと!!??800隻か80隻の間違いではないのか?」

「…間違いではありません」

 

「やる気はあるのか??彼らは…。しかも観戦武官だと?8隻しか来ないなら観戦武官に死ねと言っているようなものではないか!!明らかに死ぬと解っていて、部下を送るような真似は出来ないぞ!」

 

「……私が行きます」

 

 少しの沈黙が流れたもののブルーアイが覚悟を決めた顔でそう、発言した。

 

「しかし…」

 

「私は剣術では兵学校で首位でした。なので最も生存率が高いのは私です。それに、あの鉄龍を飛ばして来た日本の事です。もしかしたら勝算があるのかもしれません」

 

「すまない……ブルーアイ…頼んだぞ。」

 

「はっ!」

 

 その日の夕刻、ブルーアイは目を疑っていた。その船は彼の常識からすればとてつもなく大きかった。日本との接触の際に第一海軍が200m超えの船を臨検したという話を聞いていたが、自分たちの仕事の成果を誇張するために嘘をついていると思っていた。

 

 しかし、今彼が見ている船たちは遠くの沖合いに停泊しているにも関わらずとてつもなく大きく、そして帆が付いていない。

 

 しばらくすると一際大きな船から、金属で出来た飛行機械が飛んできた。

 

 事前に連絡は受けていたが、どうやら彼らの作った乗り物らしい。それが近づくにつれ、大きな風を受けながら沖合へ移動した。フワフワのシートに座り、ほとんど揺れずに「それ」は進んだ。ワイバーンよりも遅いが、遥かに快適で人が大量に運べる。やがて軍艦が見え、その大きさに驚愕する。

 

 いったいなんだこの大きさは?!まるで海上に浮かぶ城塞ではないか!

 

 彼がそんなことを思っていると重VTOLはやまとの後部甲板に降り立つ。その飛行機械から降りるとブルーアイは艦橋に案内される。

 

「この戦闘護衛艦やまと艦長、そしてロデニウス派遣特別編成艦隊司令の足立です。」

 

 ブルーアイに初老の見た目をした男、やまと艦長の足立が紹介してきた。

 

「クワトイネ公国第二海軍観戦武官のブルーアイです。この度は援軍感謝いたします」

 

「いえ、同盟国として当然のことをするまでです。早速ですが我々はロウリア軍の船の位置を既に把握しています。」

 

「既に敵の位置が分かるというのか?!」

 

「はい、彼らはここより西側500kmの位置に航行しており、船足は5ノット程度と非常に遅いがこちらに向かってきています。我が艦隊は明日の朝に出航してロウリア軍と戦闘する予定ですのでそれまではゆっくりとしていってください。」

 

 その言葉にブルーアイは二度も驚いた。一つは彼らは既にロウリア軍の位置を把握しているということ。もう一つは自分たちだけでクワ・トイネ海軍の協力を得ずに4000隻以上の大艦隊に挑むつもりということだ。

 

 翌日早朝、ロデニウス派遣特別編成艦隊は出航し、その様子にまたもブルーアイは驚愕する。

 

 速い!我が軍の帆船最大速力を遥かに凌駕している。そして、他の艦との距離が遠すぎる。密集する必要はないのか?

 艦隊は約20ノットで西へ向かうと、水平線の向こう側にロウリア王国の大艦隊が姿を現した。

 

◆◆◆

中央暦1639年 ロデニウス沖

 

 パーパルディア皇国から派遣された国家戦略局のヴァルハルは観戦武官としてロウリア王国東方討伐海軍に同乗、艦隊を指揮する海将シャークンと話し合っていた。

 

「あなた方列強は我々を文明圏外の蛮族だと思っているだろうが蛮族には蛮族なりの戦い方ってもんがある。よく目に焼き付けておけ。」

 

「…お手並み拝見させていただきます。」

 

 ロウリアは文明圏外の蛮族、か。この男の言う通り本国もそう見ているが、正直文明圏外とは侮れない。ロウリアは規模で言えば文明国にも匹敵する。どの様な戦い方をするのか……見ものだな。

 

「ん?なんだあれは!」

 

 そんなことをヴァルハルが思っていると、ロウリア兵達が何やら騒ぎ出していた。なぜなら水平線ギリギリのところに巨大な船がいくつも航行しているのだ。しかも島ひとつありそうなほどの大きなの船が、だ。

 

「あれは…光の矢か?!」

 

 ロウリア艦隊に光の矢が向かってきていることに彼が驚いていると、前方の軍船数隻が爆発を起こして海の藻屑となった。その状況にヴァルハルもシャークンも頭が追いついていなかった。

 

「おい!お前ら!船に掴まれ!」

 

 取り敢えず、シャークンは指示を出したものの戦局に影響を与える筈もなく、ただただ自軍の損害が増えていく。

 

ドオオオオオオン!

 

「うわぁ?!」

「ぎゃああ?!」

 

 凄まじい爆発と悲鳴は数分続き、収まったところで辺りを見回すと艦隊の3分の1は消えていた。かろうじて攻撃を免れた船もあったがほとんどの船が燃え盛り、煙が立ち昇る中、巨大な船がロウリア軍に向かってくるのが見えた。

 

「クソッ!我が国は古の魔法帝国とでも戦っているのか?!」

 

 シャークンは思わず愚痴を漏らし、ヴァルハルも思わず困惑の声を上げる。

 

「な、なんなんだ…あの船は……?!」

 

そう、やまとである。

 

◆◆◆

同刻 ロデニウス沖

ロデニウス派遣特別編成艦隊 旗艦やまと

 

「全艦、対艦ミサイル発射!戦自のF−2もミサイル発射だ!」

 

 日本艦隊と日本本土から直接飛来した戦自のF−2スーパー改から発射されるのは旧式の対艦ミサイルだ。恐らくこの際に在庫処分してしまおう、ということなのだろう。

 

「な、なんだこれは…」

 

 ミサイル(光の矢)が大量発射される光景を見たブルーアイは何が起きているのか理解が追いつかなかった。

 

「レーダーに感あり!敵航空戦力が近づいて来ています。」

 

 オペレーターの報告と同時に艦橋のモニターに何個もの点が表示される。

 

「対処はCIWSで……いや、近場に展開している戦自のF−15に相手させろ。我が艦隊は作戦に集中だ。」

 

「了解、メジロ小隊へ各機、艦隊へと近づいている敵航空戦力を殲滅して下さい。」

 

『こちらメジロ1、了解した。よっしゃァ!行くぞお前らァ!』

 

 オペレーターとの通信の後、メジロ小隊のF−15J改弐はマッハ3という凄まじい速度で敵航空戦力の方へと、対艦ミサイルとは別の方向へと飛んで行った。

 

「対艦ミサイル全弾着弾………敵艦隊の被害拡大を確認!作戦をフェーズ2に移行、主砲の発射準備完了しました。いつでも撃てます!」

 

 F−15改弐が飛んでいくのと同時に対艦ミサイルが着弾した報告が上がり、それを聞いた足立は次の命令を下した。

 

「目標12時の方角、主砲、撃ちぃーかたぁー始めー!」

 

ドオオオオオオン!

 

 やまとの46cm砲が火を吹き、近代化された誘導砲弾のその大火力によってロウリア軍の船はどんどん沈んでいく。

 

「っ…………?!」

 

 観戦武官のブルーアイはこの光景に戦慄し、言葉が出なかった。目の前で自分達が恐れていたロウリア軍がなす術なく撃沈されていくのだ。

 

 「国連艦、射撃を開始しました。」

 

 ブルーアイが戦慄している傍らで国連艦がその船体前方についている主砲で攻撃を加わえ、更にロウリア船を沈めていく。

 

 砲弾の雨が降り注ぎ、木片が飛び散り、海がロウリア兵の血で赤く染まっていく。そんな苛烈極まる攻撃が数分続いたところで日本艦隊はロウリア船に近づき、降伏勧告をした。

 

「ロウリア軍に勧告する!ただちに降伏せよ!貴船らは航行を停止し、こちらの指示に従え!」

「りょ、了解した!指示に従う!」

 

 結果としてロウリア軍は敗北……否、『大』敗北。4400隻のうち半数は沈められ、残存兵は捕虜となった。このロデニウス沖大海戦は日本によるロウリア王国に対する蹂躙の序章に過ぎないのだ。

 

〜コラム〜

○ロデニウス派遣特別編成艦隊

旗艦 N2リアクター搭載型戦闘護衛艦「やまと」

タイコンデロガ級ミサイル巡洋艦2隻

アーレイバーグ級ミサイル駆逐艦5隻

 

ロデニウス派遣特別編成艦隊と言えば聞こえはいいが、中身は戦自の『やまと』と国連軍西太平洋艦隊の一部だけなのだ。

 





次回は5月17日に投稿します。

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