スレイブエミヤと英霊エミヤ   作:晃晃

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赤い外套を纏った男の襲撃

「うわぁあああ」

 

彼女に触れようとしたとき、矢が雨の様に降ってきた。

 

「ゴホッゴホッ…」

 

凄い煙だ。あの怪物ができるな芸当じゃない。じゃあ誰が…

 

「見知らぬ土地とはいえ、正確に狙ったはずなのだがな。防がれたか。」

 

聞いたことがある声だ。聖杯戦争でこんな弓を扱えるクラスと言えば、

 

「アーチャーか。あいつ!」

 

それよりも、彼女が見当たらない。煙が消え視界がはっきりすると、赤い外套を纏ったアーチャーと少女が相対していた。

 

「誰だ!貴様。いきなり、攻撃するとはどういうこだ。」

 

少女いや、羽前京香がアーチャーに怒鳴るような問いかけをする。

 

「ふん。どうやら私の知っている聖杯戦争ではないようだ。そして、ここはもはや冬木ではないということか。これはいい。衛宮士郎をキャスターから救おうと思っていたところ、間に合わなかったのでな、いやはや、こんなことになるとはな。」

 

依然、この異世界のような場所でもあいつの態度は変わらなかった。

 

 

「どけ。女。俺の要件はお前ではなく、そこの衛宮士郎にある。」

 

あいつは今俺に用があると言った。あいつ、そもそも柳洞寺に来ていたのか。ってことは、キャスターもこの気味の悪い世界いるかもしれない。

 

「質問を無視するとはいい度胸だ。もしや貴様、神とやらに関わりがあるのか?」

 

緊張が走る。今にもこの両者で戦闘が起きそうだ。

 

「神だと。もしや、神霊が召喚されたなどと言うのではあるまいな?」

 

神霊。この聖杯戦争で召喚されるのは過去功績を残した英雄をサーヴァントととして呼び出し、殺し合う。だから、呼び出されるのは英霊だけだ。それよりワンランク上の神霊など聖杯戦争で呼び出されるはずがない。と遠坂が言っていた。

 

「話がかみ合わないな。身なりも怪しい。やはり醜鬼か、貴様。」

 

彼女が怒りとともに、刀を抜く。アーチャーを本気で屈服させるつもりだ。

 

「キャスターといい、女の激情というのは実に御し難い。手を引くのなら、今の内だぞ。英霊と人間が戦うなど、結果など知れているがな。」

 

相変わらずの皮肉屋だ。しかし、アーチャーの皮肉口は止まらない。

 

「では、一撃だけ。一撃を与えたら、退散するとしよう。」

 

「屈服の時間だ!」

 

彼女が先に仕掛ける!

 

「乱れ山桜!」

 

これまでの剣筋とは違い、さらに早く、さらに強く、まるで一回の攻撃で何連撃も打ち出されているようだった。俺は刀がどう振り下ろされているのか凝視できなかった。そう、ただ動かず見ているだけだった。

 

あのアーチャーはというとさっきまで余裕ぶりをかましていたが、急な攻撃に押され劣勢に置かれている。

 

パリーんっと高い音を鳴らし、

 

あの双剣も一瞬にして壊れ破られた。

 

「くっ…」

 

双剣がいとも簡単に壊れて焦っている。そうして、奴は瞬時に羽前京香を脅威と見なし、一気に後退。

 

アーチャーが距離を取る。弓か!

 

「避けろ!」

 

彼女は俺の声を聞き、アーチャーの唐突な矢の射出をなんとか避けた。あいつ、本気で殺すつもりか。一矢一矢に殺意を感じた。

 

「いやこれは驚いた。私の速射を耐え凌ぐとは、ランサーを思い出すな。いや剣戟そのものはセイバーの真似事かな。」

 

あいつを最初見たときはランサーと戦っていた。見ていたのは一瞬だったが、それでもアーチャーは相当強い。

 

「さっきからベラベラと何を言っている!この強さ明らかに、人間由来じゃない。やはり、魔防隊の敵だ!」

 

「君は私を何かと勘違いしていないか?周りにいたあの化け物どもは一掃したしたよ。ここまでの会話で、この世界について君は何か知っているようだな。では、聞くがな―」

 

「おい!アーチャー。」

 

アーチャーの口を止める。ずっと彼女とアーチャーを戦わせるのはいけない。そう判断したから。

 

 

「俺に用ってなんだ。俺に用があってこんなことまでして来たんだろ。」

 

「ほう。お前から用を聞かれるとはな。キャスターに令呪を奪われて敗北した身が、まだ戦う気か?ただ戦うだけでは無く、お前はこの世界でも彼女を救おうと自らを犠牲にしようとした。それだけにとどまらず、まだ正義の味方なぞと求めている。」

 

「俺はまだ戦える!たとえセイバーと失っても、一人になったとしても。」

 

俺は…こんなところで聖杯戦争を降りるわけにはいかない。まだ、誰も救えていないんだ。

 

アーチャーの顔色が変わった。その表情は怒りや呆れを超えている。

 

「戦う意義の無い衛宮士郎は、ここで死ね。自分のためではなく誰かのために戦うなど、ただの偽善だ。お前が望むものは勝利ではなく、平和だろ。そんなもの、この世のどこにもありはしないというのにな。」

 

「なぜそんなにこの男を憎む。貴様。」

 

彼女が口を挟む。アーチャーはその問いかけさえも無視し、

 

「ふん。ではここまでだ。衛宮士郎。本当はさっき情報手に入れるために聞き出そうとしたが無駄なようだ。私はマスターである凜を探す。幸い、マスターとの繋がりはまだ感じるしな。次にお前にあったときがお前の死地だ。」

 

「遠坂もいるのか!?セイバーは!?」

 

「この世界にいる可能性は高い。現時点に俺とお前がこの異質の世界にいるようにな。だが、今のセイバーのマスターはキャスターだ。お前ひとりでは到底勝てやしない。忠告はしたぞ。さらばだ。衛宮士郎!」

 

そんな物騒な言葉を残し、あいつは帰った。羽前京香はアーチャーを追いかけようとしたが、奴が霊体化しているので、場所が全く分からなかった。

 

「聞きたいことが山ほどある。」

と言われ、俺は彼女は彼女の組織の寮に向かった。

 

 

 

 

――数時間後――

 

 

私はあの謎の赤く褐色肌の男と戦闘後、七番組寮に戻ったのだが、

 

「また男の子を拾ってくるなんて珍しいね、京香。」

 

ソファーに足を組みながら座っているのが、出雲天花。

 

「いやこれが本当なのか、信じ難いんだが、本当に頭が痛い。」

 

本当にそうだ。彼、衛宮士郎は魔術とかいう異能をもっている。異能は桃を食べることによって女性だけが身に付くと言うのに。この魔都では明らかに異常事態が起きている。

 

「はい、京香さん。」

 

この七番組寮管理人兼、私の奴隷が彼、和倉優希だ。

 

「ありがとう。優希。」

 

淹れてくれたコーヒーを飲み、報告資料をまとめる。彼の話で特に異常なのはこの世界のことを知らなさすぎることと、「聖杯」「サーヴァント」などという単語がちらつく。彼が言うには、自身は魔術師で何でも叶えられる聖杯を求めて戦争をしていたんだとか。その戦争にはサーヴァントという過去の英雄を召喚し、殺し合う。そんなバカげた話だ。

 

「士郎さんの話って本当なんですかね?いや非現実的っていうか、」

 

優希が笑いながら話しかけてくる。そこにすかさず、天花が優しく優希に抱き着く。

 

「本当ならそんな話無視するのが普通なんだが、あの男が使う能力は明らかに異質だった。だからますます、あのアーチャーとか言う男も謎だ。」

 

総組長に報告することが多い。コーヒーの一気に飲み干し、報告書作成を行う。今、魔都では異常事態が起きている。いち早く、私が総組長となり、醜鬼どもを滅ぼさねば。




ちょっといろいろ抜けてるところもあるかと思いますが、勘弁してください。暖かい目で見守ってください。

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