コピぺすると消えちゃうんですね。初めて知りました。
一応今回は文頭の空白はつけているので違和感を感じた方はすみませんでした。
「なんだろう。身体が軽い。」
治崎の個性で何度か攻撃を受けたにもかかわらず、私の体は未だ無傷であった。
「君は、さっきまで重傷だった筈だ。逃げなさい。」
メガネのヒーローがそういった。
「私は大丈夫。でも、貴方は足、折れてるでしょ。」
右足の脛が真ん中から直角に曲がっている。
「傷は大丈夫。血も止まったし、さっきよりも体が良く動く。」
腹部に大きな傷はあるが、問題なく動ける。
「なんだ? 頭のあれは……まあ、良い。お前か壊理、どっちかいれば計画に支障は──」
「壊理も渡さない。私も着いていく気はない。だから、ここで倒れてくれる?」
デストロイヤーを構え、いつの間にか生えてきた翼で体を支える。
治崎を倒すべく再び連射する。
しかし、治崎の対応も早い。こちらが銃を構えた瞬間、素早く個性で壁を構築した。
けれど今の私はさっきと違う。
銃が撃ち終わると同時に前に走り出しながら装填する。まるで今までやってきたかの様にスムーズに、落ち着いて次弾を装填し、壁を飛び越える。
「遅い」
治崎は再び個性で銃弾を防ごうとする。しかし、私はピッケルを再現して振りかぶる。しかし、砕けた壁の先、治崎はいなかった。
「──そうするよなぁ。お前なら。」
──しまった、壁で視界を誘導された!
背後から治崎の手が私の頭を掴んだ。個性で分解されて意識を奪われる。早く奴から離れなければ──
「何故、個性が出ない……!?」
「なるほど。どうやら神秘は干渉系の個性に対して耐性がある様ですね。」
黒服がそう呟く。
「なら、こうするまでだ!!」
治崎が地面を触り、コンクリートで棘を作り串刺しにしてくる。しかし、結果は変わらない。棘の方が砕け、体には傷一つつかない。けれど、体を殴られた様な衝撃に、思わず呻く。
「良い加減に、離して!!」
治崎の腕を無理やり振り払う。
「チっ……馬鹿げた硬さだな。もうやめだ。」
治崎は近くにいた仲間の体に触れる。
「音本、お前もこんな所で終わるのは嫌だよなぁ……だから、俺のために、死んでくれ。」
次の瞬間、治崎は4本腕の異形になっていた。
「仲間を自分の体に吸収した!?」
メガネのヒーローが驚きに目を見開く。
治崎は組長以外の組員、仲間に対して、情も、関心すら持ち合わせていない。だから、彼は容赦なく組員を殺す事ができるし、私達の監視役の人も容赦なく殺していた。
「お前を生かして捕らえようと思ったが……殺すか。」
背筋が凍った様な感覚が走る。
誰かが私を抱えて飛んでいなければ、やられていた。治崎の挙動が見えなかった。気がついたら腕を振り抜いた姿勢で奴はそこにいた。
「大丈夫!?」
「ありがとう。えっと、誰?」
「僕はデクだよ。」
デクと名乗ったヒーローは、私をそっと地面に下ろし、治崎と私の間に立った。
「ヒナちゃん、だったよね。君は壊理ちゃんと逃げて。大丈夫。ルミリオンやナイトアイ以外にも沢山のヒーローが来てるんだ。君達を保護してくれる。」
デクは飛び出し、治崎に向かって行った。
「今度はお前か? 何人いたって関係ない。」
「行って!」
治崎が棘を出す。
──さっきよりも早い!!
スローに見える景色。
伸びるコンクリートの棘。さっきよりも細く、速さが段違いだ。
デクも負けじと殴る、蹴るで砕くが数が多い。瓦礫を掴んでそのまま治崎に投げつけるが、それすら攻撃に転用される。
「援護する!」
フルオートからセミオートに切り替え、治崎を狙う。
「その手は食わん!!」
いつの間にか、背後から迫っていた棘が私の体を貫いた。
「ふむ……神秘が消えていますね。」
治崎がヒナの身体を貫く直前、頭の上のヘイローが明滅し、消失していた。
「不完全な覚醒ではこの程度の顕現が限界の様ですね……。」
黒服は残念と言った様子で肩をすくめる。
「さて、そろそろ帰るとしますか。彼の相手をするには、少々準備が足りないですしね……。
幸い、サンプルは手に入っている事ですし。」
黒服は、実験の副産物としてヒナの血液、細胞、個性因子、神秘を手に入れていた。それを使って自身の──ゲマトリアの研究命題、『崇高』に近づく事が出来る事を根拠は無いが確信していた。
「ああ、そうだ。こちらを回収しておかないとですね?」
壊理の髪の毛から小さな豆粒大の大きさの何かを外す。
そして黒服は、絶対に有り得ないと頭では思っているものの、どこか確信を秘めた言葉を吐いた。
「さて、ヒナさん。またいつかお会いしましょう。」
壊理を一瞥し、背を向けて歩き出す黒服に誰も気を留める事なく、黒服は一人、不気味な笑い声を響かせながら闇の中に消えて行った。
此処まで読んで頂き、ありがとうございました。