続きはアニメ版ヒロアカが最終回を迎えた後にでもと思ってます。
「誰だ。お前ら……?」
謎の五人。全員が頭の上に天使の輪のような光る光輪を浮かべている。その中心に立つ一人の男性を除いて。
そして、その中に、明らかに見覚えのある少女が一人。
「チナツ、この子をお願い。」
「はい、先生。」
チナツと呼ばれた茶髪の少女はヒナを抱き上げ、適切に治療する。
「なあ、先生。ここはもしかして、先生の故郷なのか?」
銀髪の少女は先生と呼ぶ男に問う。
「それは分からない。私の故郷にも、あんな格好をしている人は見かけなかったしね。」
男──先生は治崎に対して怒気を孕んだ瞳を向ける。
「さて、どういう状況なのか分からないけれど──この子に何をやってるの?」
静かな怒気。たったそれだけなのに、この場にいる全員が気圧された。
「質問に答えろ。誰だ、お前らは!」
「私はシャーレの先生だよ。さあ、答えて。
──この子に何をした。」
僅かにたじろいだ様子を見せる治崎。
「そいつは俺に逆らった。だから見せしめにしたまでだ。」
「そう……じゃあ、覚悟はいいかい。」
銃を構える4人。治崎も手を構えていつでも個性を発動できるようにする。
「ダメ! お願いやめて! 私がいくから、この人たちにも手を出さないで!!」
「出来ない相談だな、壊理。こいつらはここで排除する。」
治崎は個性を発動し、そのまま圧殺しようとする。
「イオリ、お願い。」
「ああ、任された。先生!」
銀髪の少女──イオリは銃のボルトを引く。
「遅い!」
他の3人が、先生とヒナを抱えて飛ぶ。
イオリは横に飛び出し、治崎に照準を合わせる。
「覚悟しろ!」
一発、治崎は首を傾げて避ける。そして右手で尖らせた岩石を投げる。
少女はそれを避けて二発めを撃つ。しかしそれを治崎は腕で防ぐ。
「ぐうっ!!」
三発めはスライディングしながら治崎の右の方に周り、ガラ空きの胴に打ち込む。
「がはっ!」
治崎は膝を着き、四つん這いになる。
「抵抗するな。大人しくしろ。」
治崎の頭に銃口を突きつける銀髪の少女。
「先生。とりあえずこの子の治療はできました。ですが、しっかりとした医療機関でなければこれ以上の治療は厳しいです。」
ヒナを見ると、腹部の傷から出血は止まっていた。しかし、顔色は以前悪いままだった。
「しかし、この子、『ヒナ委員長』にそっくりですね?」
青い髪の少女は首を傾げる。
「ヒナ委員長、だと……。」
治崎は困惑した表情を見せる。周りのヒーロー達も同じく、困惑した様子だった。
「ああ、そういえば言ってませんでしたね。私はゲヘナ風紀委員会の行政官、天雨アコと申します。まあ、あなたとはもうよろしくしないでしょうが。」
和かに挨拶しているが、その瞳は冷え切っていた。
治崎は追い詰められ、ヒナの治療もとりあえず彼女達がやってくれた。これでチェックメイト……とはならなかった。
そこに現れた闖入者によって、状況は変わる。
天井が崩れて上から巨大な男と一人のドラゴンの様なヒーロー、二人のヒーローの少女が落ちてきた。
「麗日さん!?」
「デクくん!?」
イオリはそれに気を取られて治崎から目を離してしまった。
「まだだ。まだ終わってない!」
その隙に治崎が個性を発動。地面が隆起し、二人の人物を押し上げる。一人は治崎であり、もう一人は壊理である。
離れた位置にいた壊理だが、そのまま治崎の下に運ばれる。
「壊理ちゃん!!」
デクが飛び出し、壊理に向かって手を伸ばす。瓦礫を足場により高く高く飛び上がり、手を伸ばす。
壊理の瞳に、僅かな希望の火が灯った……。
──助けろ。緑谷出久!!
デクの瞳には後悔の念と壊理を助けるという意思が宿っていた。
──ヒナちゃんが繋いでくれた手を──
絶対に諦めない不屈の意志を胸に
──あの時離してしまった手を──
真っ直ぐに、どこまでも愚直に
──今度は絶対掴むんだ!
手を伸ばし続ける。
──ああ、ダメだ。この人たちも、諦めない
壊理は困惑していた。自分たちを助けようとするヒーロー達の姿に
──私が助かるまで、絶対に……
ギュッと赤いマントを握る。ツノからキラキラと光る何かが溢れる。
──もう一度……あの優しい手に!
壊理はデクに向かって跳んだ。
「え……り、。」
目が覚めた。全身が気だるい。お腹がズキズキ痛む。白い、白衣が私の上に掛かってる。
上にはデクさん。そしてデクさんに向かって落ちていく壊理。そのツノからキラキラとした何かが溢れていた。個性が暴走している。
「う、ぁぁあ……!」
お腹のそこから何かが迫り上がり、口から赤い血が溢れる。そんな事には構わず、手を伸ばし、力を振り絞る。
絶対に助けなくちゃいけない。またあの悲劇を繰り返す訳には行かない! 今度こそ、壊理を助けるんだ! だから動け!!
「大丈夫よ。貴女は休んでて。」
そっと頭を撫でられる感触に視線を頭上に向ける。
そこにいたのは、頭の上に私と同じヘイローを浮かべている少女だった。
「さて、流石にあれは厳しそうね。」
「な……で、ここ、に……?」
ありえない。だって、この世界は、
「ヒナ、お願い。」
キヴォトスではない、筈なのに……
「ええ、任せて。」
──なんで、空崎ヒナがここにいるの?
真上に向かって跳躍した彼女は、デクさんに迫るコンクリートの棘を的確に撃ち抜き、破壊していく。
壊理とデクさんの距離がゼロになり、凄まじい量の棘が迫る。
しかし、デクさんの体が緑色の稲妻を纏った瞬間、全てが粉々になった。治崎が隆起させたコンクリートでさえ、一瞬で粉々に……
凄まじい風圧に思わず目を瞑る。
「……大丈夫だよ。私が守るから。」
風圧が遮られた。全身が温かい何かに抱かれる。
ゆっくりと目を開くと、黒い髪の大人が、優しい……慈しむ様な目をしていた。不思議と、この人が誰なのか分かった。
「せん、せ?」
「そうだよ。よく頑張ったね。」
「あ……あぁ……。」
頬に温かい何かが伝う。
何故? どうして? そんな疑問ばかりが頭をよぎる。
瓦礫の崩れる音がする。
「あぁ、ダメだ。壊理……お前は俺のものだ。」
ふらついた足取りで、大男の元に歩く治崎。
「おやじの宿願を果たすために、お前がいるんだ──壊理。」
大男を分解する。そして、自らの体に纏わせる事で巨大化して、地上に向かって飛翔した。
「せんせえ、お願い。──私を地上に連れてって。」
「でも、その体じゃ無茶は──」
「お願い……! 今あの子を止められるのは、私だけだから。」
先生は悩んでいる。彼の性格を考えるなら、きっと止めたい筈だろう。死にかけている生徒や子供をこれ以上働かせるのは絶対にしない。
でも、生徒の切実な願いを聴き逃せるほど大人ではないのだ。
「その話、協力させてくれないか?」
そこに割って入ってきたのは、丸いコスチュームきたヒーローに肩を貸してもらいながら歩くメガネをかけたヒーローだった。
「私、ウラビティって言います。私の個性を使えば、その子の体の負担を最小限にして上まで運べます。」
なんで手伝ってくれるのだろう。そんな疑問が表情に出ていたのかは分からないが、メガネのヒーローは私の方を見て、フッと笑った。
「……君には、助けられた。そして、変えようの無いと思っていた未来も変えられると言う事実を私に教えてくれた。ヒーローとして君を助けるのとは別に、一個人として、その恩を返したい。私が連れて行けたなら良かったが、生憎、この足では足手纏いにしかならないからね。」
自嘲気に笑うメガネのヒーロー。
「あ、りがと……メガネのヒーローさん。」
「ナイトアイだ……。君に感謝を──ありがとう。」
「ぐうぅぅっ!!」
──ワンフォーオールで体を破壊しても、間に合わない!
デクは、治崎を倒し、荒れ狂う巻き戻しの力に苦しめられていた。
──ダメっ、止まって! お願い!! 止まって!!
壊理もまた、自身の個性を必死に抑えようとしていた。
──このままじゃ、デクさんが、お父さんみたいになっちゃう。だから──止まってよぉ!!!!」
ふわり、優しい手のひらが、壊理の頭に置かれる。
「えり、だいじょおぶ。心を落ち着かせて? ゆっくり息を吸うの。」
優しく、語りかける姉の声に、壊理は自分の個性の放出が徐々に収まっていくのを感じる。
「そうよ、その調子。ゆっくり、ゆっくり、」
優しく包容され、壊理は心地良さそうにする。ヒナが背中を優しく叩くと、壊理の瞼が段々と閉じていき、やがて眠ってしまった。
「えり、良かった──。」
ヒナも壊理に覆い被さる様に、眠ってしまった。
「彼女達を急いで救急車に! 一人は腹に大穴が開くほどの重体だ!」
程なくして救急車が到着して、ヒナは壊理と共に病院に搬送された。
此処まで読んで頂き、ありがとうございました。
ひとまず、完結と言う事で、いつになるか分かりませんが、投稿する予定ではあるので気長に待っていただけると幸いです。
しつこいようですが、此処まで読んで頂き、ありがとうございました!