楽しんで行ってください。
アリサは、目の前の光景を現実のものとは思えなかった。
転がっている男たち。白銀のロボット。それが男を次々と倒したのだろう。驚いたのは、眼鏡をかけた気弱そうな男が豹変したと思ったら、アニメの様に変身し、ロボットと凄まじい戦いを繰り広げた。
そして、ロボットは捕まり、巨大なビームを受けて倒されたように見えた。
――だが、違ったのだ。
男は倒したと思い、大笑をしていた。それがピタリと止んだと思ったら、いきなり上を向いた、
それを見ていたアリサもすぐにバッと上を向いたのだ。
そこにいたのは、神々しい二本角の巨人——の様に見えた。実際は、男よりも小さい位の大きさであるのに、そう錯覚させられるほど、重厚な存在感を放っていた。
時は僅かに遡る。
男も、アリサと同様……否、それ以上に大きく見えていた。それは、存在感と一緒に放たれるプレッシャーによって、男は蛇に睨まれた蛙の様に動けなかった。
(馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!動けん。この僕が全く動けない。怯えている?圧倒されている?いや、そんな物では済まないほど、もっと違う何かを感じる!!)
それに反応できたのは、男の生存本能故だろう。獣同然に戦い続けてきた、男の経験が体を動かしたのだ。
「シュート」
いつの間にか、右手に握られていたライフルから、紫の閃光が放たれる。
それを避ける男だったが、動けた事を喜ぶ暇は無かった。
(なんだ、あれは!凄まじい魔力が込められていた。俺があの宝石に頼って生み出した魔力弾よりも威力が上だと!?認めるか、認める物かよ!!)
「俺に力を寄越せ!!青き宝石よ!!」
それは眩い光を放った。光が収まると同時に、男は変貌を遂げていた。
白かった肌は浅黒く染まり、以上に肥大した右腕の筋肉は、ホースの様に太い血管が脈打っていた。
「げははははははははは!!凄まじい力だ。この力さえあれば、管理局だけじゃない。次元世界全てを征服する事だって出来そうだ!!!」
飛び上がって、少年に殴りかかる。少年はそれを迎え撃つが、それを肉体で相殺しながら近づく。殴られそうになった所を少年は上昇することで事なきを得る。少年の足元を凄まじい風が通り抜けた。
「このままじゃ、被害が拡大するだけだ。パンドラ、ごめん。すこし無茶をするよ。」
『わかりました、マスター。制御はお任せを』
少年の廃部のブースターに取り付けられた二本の杖が分離し、少年の前に展開する。円形の魔法陣を展開し、赤紫の光球が現れる。
それを見ていた男はニヤりと口角を上げ、手を前に翳した。
「げはははははははは!それなら俺もやってやる!!」
男も魔法陣を展開し、その中心部に光の玉が現れ、それが巨大になっていく。
「デストロイ・スマッシャー!!」
「穿て、雷の槌『ミョルニル』!」
二つの閃光がぶつかり合った。
閃光が収まり、空に浮かんでいたのは、白銀の装甲を纏った少年だった。男は元の体に戻り、地面に墜落していく。少年は急いで男に向かい、体を抱えて地面に横たえる。
「これは、預かります。」
そう言って、少年は男からデバイスと青い宝石を取る。
『マスター。この宝石は恐らくロストロギアかと。』
少年は、自身のデバイスであるパンドラからそんな事を聞く。
「ロストロギアって、過去の文明の遺失物だったっけ。」
『はい。恐らく、これで奴は強化されたのでしょう。恐らく、魔力炉と同じ……いえ、それを遥かに凌駕する程のエネルギ―量です。封印する事を推奨します』
その意見に少年は僅かに逡巡する。
「……分かった。じゃあ、お願いしてもいいかな?」
『yes,sir.』
手の中で、淡い光が宝石を包み込んだ。光が消えると、宝石から怪しい雰囲気は感じられなくなっていた。
「ありがとう。パンドラ。」
『このくらい、大した事ではありません。』
そういうと、フッと少年を包んでいた装甲が消える。
「なんとか、勝った――――」
短く声を上げると、少年はそのまま後ろに倒れてしまった。そして、そのままゆっくりと、少年の瞼は落ちていった。
「なんだったの。あれ……」
アリサは終始、困惑から抜けられなかった。
「アリサちゃん!大丈夫!?」
気が付けば、すずかが戻ってきていた。その後ろには、今はここにはいない友人の兄、高町 恭弥とすずかの姉である月村 忍、そのメイドのノエルが付き添っていた。
「よかった。アリサちゃん!!」
抱き合う二人の姿に、その場にいた面々も安堵する。
「そうだ、アリサちゃん!あの子はどうなったの!?」
アリサは「あ!?」と慌てて立ち上がり、恭弥たちを先導した。
廃墟の奥へと進んでいくアリサたちだったが、奥に入るとその光景に誰もが絶句した。
地面や壁にはあちこちに穴が空き、中心部は底が見えない程、深い穴があった。アリサとすずかを攫ったであろう男たちのところだけが穴もなく、平らな地面だった。
『ヒユ、起キロ。ヒユ、起キロ。』
聞こえてきた電子音声に、はっとした一同は、その音声が聞こえた方に目を向ける。
緑のボールがぴょんぴょんと跳ね、そのすぐそばに一人の少年が倒れ、その向こうに細身の男性が倒れている。防弾チョッキを着ていることから、誘拐犯の一味である事は明白だった。
「ちょっと、あんた大丈夫!?」
「しっかりして!ねえ!!」
アリサとすずかは少年の体を揺らす。しかし、一向に目を覚ます気配は無かった。
「お嬢様、私が確認して参ります。」
「ええ、お願いね。ノエル。」
ノエルは少年の容態を確認するが、特に問題は見られなかったようで、忍に彼を車に乗せて休ませてくる旨を伝えそのまま建物を出て行った。緑のボールもその後に続いて出て行った。
「ねえ、この惨状、どう思う?」
月村 忍はこの光景について、あまりに現実味のない事である為、恭弥にそう投げかけてしまった。
「少なくとも、夜の一族関連の事ではなさそうだ……しかし、こんな事が出来る兵器なんて無さそうだが……」
「そう……。」
忍はすずかに事情を聴くが、すずかも知らないと言った。しかし、アリサはそれを聞かれた瞬間、拙くなりながらも忍に事のあらましを話した。
「なるほど……そんな事があったの。」
サイレンの音が近づいて来るのが分かった。恐らく、警察が到着したのだろう。
「とりあえず、警察に事情を説明しなくちゃね。」
「ああ、そうだな。」
忍と恭弥は残り、すずかとアリサを帰した。
二人が外に出ると、アリサは両親が来ていて、無事を泣いて喜んでいた。アリサはそのまま両親と家に帰り、すずかはノエルとあの少年と共に屋敷に帰っていった。
――疲れたなぁ。
少年は眼下にある岩肌に雪が舞い踊るような波飛沫を見る。
その瞳は酷く憂鬱で、髪に落とされた一滴の墨の様に真っ黒な色だ。
――父さん、母さん。今、行くよ――
少年は、崖から身を飛び出し、真っすぐに海に沈んでいった。
――ああ、懐かしい夢を見た。
少年は、暖かい布団をはがし、ベッドから降りる。
そこは、何処か気品のある部屋だった。少年が眠っていたベッドは大きく、大人二~三人は余裕で横になれそうだ。隣に備えられた椅子には、紫の髪の綺麗な少女が眠っていた。その隣にあるテーブルの上に少年が持っていた懐中時計……デバイスが置いてあった。
「……ごめん。きっと、助けてくれたんだよね。でも、僕はやらなきゃいけない事があるから行くね。」
少女を起こさぬよう、小さな声で言う。するとそこに緑のボールが転がってくる。
『ヒユ、起キタ!ヒユ、起キタ!』
少年……ヒユは急いでハロを抱き上げる。「しー!」と必死でハロを抱えて声を出さないよう押さえつけている。
「ううん……。」
僅かに身じろぎをした程度で、少女が起きる様子は無かった。それにホッ、と胸をなでおろす。
「ハロ、静かにして。この人が起きちゃうでしょ。」
それを理解したのか、緑のボール……ハロは静かになる。
「ふう。」と僅かに溜息を洩らし、窓の外を見る。空はまだ薄暗く、日は登っていなかった。
ヒユはハロを抱えてゆっくりとドアを開ける。そうして廊下に出て、出口を探すためにヒユは歩き出した。。
(広い家だなぁ)
のんきにそんな事を考えてヒユは玄関ホールに辿り着いた。階段をゆっくりと下る。ヒユは周りに人がいない事を確認しながらゆっくりと外に出ようとした。
「お待ちください。」
(――!?)
ヒユは驚き、飛びのく様に後ろを振り返る。
「出て行かれるのですか?」
そこにいたのは、メイド服に身を包んだ女性だった。
「せめて、お礼だけでもさせては貰えないでしょうか。ヒユ様」
「……どうして、僕の名前を?」
ヒユは扉に手を掛け、いつでも開けられるようにする。
「そこの可愛らしい方が教えてくださいました。」
彼女の指差す先は、ちょうどヒユの胸のあたりに抱えられた物……ハロであった。
「そうですか。この子は僕の親友なんです。」
「それで、どうでしょうか。お探しの物があるなら、私たちにも手伝えるやもしれません。」
その言葉に、ヒユは僅かに目を細める。
「ありがとうございます。けれど、大丈夫です。僕の探し物は、僕でなければ探せないので。」
くぅ、と小さく何かが鳴る。それから少しして、お腹を押さえるヒユの姿に、メイドは「………少々お待ちください。」と言い、何処かに行った。ヒユは、その言葉に従い、大人しく待つことにした。
「こちらをどうぞ。」
メイドが白い皿を手に戻ってきた。そして、差し出した皿の上にはサンドイッチと牛乳の入ったコップが乗っていた。
「……これは?」
「サンドイッチにございます。」
ヒユは恐る恐る、サンドイッチを手に取る。そして、それをゆっくりと口に運んだ。
「————!」
ヒユは目を輝かせて口いっぱいに頬張る。口いっぱいに頬張っていた所為か、喉に詰まらせてしまったらしく、ヒユはドンドンと胸を叩く。
「ヒユ様、こちらを。」
ヒユは差し出されたコップをひったくる様に取り、ごくっ、ごくっ、と音を立てて牛乳を飲む。
「ぷはっ……ありがとうございます……えっと………。」
「ノエルと言います。」
メイド……ノエルは、皿を差し出し、「落ち着いて食べて下さい。食べ物は、逃げませんので。」といった。
その言葉にヒユは頷く。ゆっくりと食べた。
いつの間にか、テーブルと椅子を持ってきてくれたノエルに、ヒユは感謝の言葉を述べて座った。
既に玄関ホールに日が差し込んで、明るくなったくらいでヒユはサンドイッチを呑み込んだ。
ドタドタと騒がしい音が聞こえる。その音は、最初は小さかったがだんだんと音が大きくなっていき、そうして玄関ホールに現れた少女は、肩で息をしていた。
「ああ、起きたんだね!よかったぁ。」
ホッ、と胸を撫でおろす少女は、ヒユを見て笑顔を浮かべる。
「……少し、長居しすぎました。」
ヒユは立ち上がり、再び扉から出ようとする。少女はそんなヒユを引き留めようと扉の前に立ちふさがった。
「あの……。」
ヒユは困った表情を浮かべる。
「ごめんなさい。あの、えっと私、月村 すずかって言います。それから、ほら…あの……お礼、言ってなかったでしょ?」
「え?」
「あの時のお礼、言ってなかったでしょ?だから…ありがとう……。」
ヒユは何のことか分からなかった様だが、とりあえず「どういたしまして?」と返した。
「あ、あの!アリサちゃん……私の友達も、今日くるって約束だったんです。それまで、此処にいることは出来ませんか!?」
深々と頭を下げる少女——すずかの姿に、ヒユは押し黙る。
(出来れば、一刻も早く此処を出ていきたいんだけど……こんなに必死で頼んでくるのを断るのは、流石に……。)
ヒユは、結局断る事が出来ず、少女の誘いを受けることになった。
ヒユは、案内されるまま、廊下を歩く。
「こちらになります。」
とある部屋の前のドアを、ノエルが開ける。そこは、応接室の様だった。真ん中にテーブル。それを挟み込む様にソファが置いてある。
「いらっしゃい。まあ、座ってよ。」
入っておく側のソファに座っていたのは、月村 すずかに似た女性であった。紫の長髪に整った顔……可愛い、と言うよりは、美しい……それでいて長袖の白いロングTシャツとショートパンツというラフな格好で、親しみを感じさせる。
「はい、失礼します。」
ヒユはその言葉に従って、ソファに腰かける。
「私は、月村 忍。今朝会ったすずかの姉よ。」
「初めまして。僕はヒユ…ヒユ・プロスペクトです。よろしくお願いします。」
礼儀正しく挨拶をする様は、見た目不相応に見える。小学生くらいの少年から、すらすらとそんな言葉が出てくるのは、違和感しかない光景だった。
「まずはお礼。私の妹を助けてくれてありがとう。」
深々と頭を下げる忍にヒユは慌てて言葉を紡ぐ。
「あの、大丈夫です。人として、当たり前の事をしたって言うか、その……とにかく、頭を上げて下さい!」
初めて、慌てた姿を見せるヒユに、忍とノエルは少し、安心感を覚えた。
「………ふふ、ごめんなさい。困らせちゃったわね?」
微笑む忍の姿に、ヒユは安心した様に顔を綻ばせる。
そうしてると、ノエルが二人分のカップとティーポット……そして、クッキーをテーブルに置く。そして、紅茶を注ぐ姿は気品すら感じさせる程、洗練されていた。
「紅茶は嫌い?」
「……いえ、飲んだことが無いものだったので。頂きます。」
ヒユは、紅茶を一口飲んだ。
「……美味しいです。」
「そう、良かったわ。ねえ、ノエル。」
「はい。」
そうして、クッキーと紅茶を飲みながら談笑をしていると、ドアをノックする音が聞こえた。
「どうぞ。」
忍がそう言うと、ドアが開く。
「失礼します。アリサお嬢様がいらっしゃいました!」
入ってきたのは、メイドの少女、すずかと金髪の少女を連れて入ってきた。
「いらっしゃい、アリサちゃん。」
「はい、忍さん。それと、あなた……名前は?」
ヒユに名前を問いかけるその少女は、じっとヒユの瞳を見つめた。
「ヒユ・プロスペクト、です。よろしくお願いします。えっと――」
「私はアリサ・バニングスよ。よろしく!ヒユ。」
アリサはヒユに右手を差し出す。ヒユはそれを見て、頭に?を浮かべる。
「ヒユ君。これは握手って言うの。手をお互いに握る挨拶みたいな物よ。」
忍の解説を聞き、恐る恐る右手を差し出すヒユ。
アリサは差し出された手を握り、手を振る。
「ありがとう。ヒユ。あんたが助けてくれなかったら、私もすずかもここにいなかった。」
目じりに涙を浮かべながら、感謝を告げるアリサ。
「別に大したことはしてませんよ。」
ヒユは謙遜するが、すずかがそれを否定する。
「ヒユくんがいなかったら、私、あのまま襲われてた。だから、せめて感謝の言葉だけでも受け取って?」
ヒユは、少し間を開けて、「はい。」と返事をした。
「それで、一つ聞きたいんだけど……あなたは一体何者なの?」
何者か、と問われてヒユは固まる。
「それは、どういう?」
忍は、ヒユに事のあらましを話した。すずかとアリサ……二人が証言した事と、目を疑う様な光景。そして、ロボットと愉快犯の一人が激しい戦闘を繰り返し、最後はロボットが勝った事。ヒユが何故、あんな行動が出来たのか。
忍の知りたい事とはつまり、ヒユの正体についてだった。
数秒、ヒユは考え込む様に顔を俯かせる。
「すみませんが、これから話す事は、出来れば誰にも話さないで下さい。」
そして、意を決した様にヒユは顔を上げ、話し出した。
「僕は、この世界の人ではないんです。」
「……?つまり、どういう事なの?」
いまいち意味が掴めない様子の忍。アリサやすずか、ノエルたちも言葉の意味が分からないようだった。
ヒユは説明を続けた。
「宇宙に星が幾つもあるように、この地球以外に、世界は無数にあるんです。」
ヒユの説明は、俄には信じ難い内容だった。
次元世界と呼ばれる無数に存在する異世界の存在。そして、その無数にある世界には、魔法が存在する事。
――少年が、その世界に於いて魔導師……魔法使いと呼ばれる存在である事など、様々な話が少年の口から出された。
「——とは言っても、魔法の存在しない世界の方には、信じられないですよね。でも……パンドラ、セットアップ」
『OK.my master.』
部屋の中が、光に包まれる。光が止むと、ヒユの座っていた場所に、白銀のロボットが現れた。
「なるほど……それが魔法って物?」
忍は恐る恐るロボットに話しかけた。すると、顔の部分が開き、少年の顔が覗く。
「そうです。この装甲が僕のデバイス『パンドラ』です。」
『よろしくお願いします。皆様。』
その場にいた面々は、機械音に戸惑いながら返事を返す。そして、ヒユはその装甲を解除した。
「デバイスを起動するまで、この装甲……バリアジャケットと言うんですが、それが展開されるんです。」
「……なんか、ファンタジーってよりも、SFっぽい感じなのね。」
アリサのその言葉にヒユは思わず苦笑いを浮かべる。
「そうですね……魔法と科学の融合という点で見れば、確かにSFと言っても間違い無いですね。」
「因みに、私も魔法を扱えたりしない?」
「あ、それ、私も気になる!」
ヒユは少し考えながら、首を横に振る。
「魔法の資質があるかどうかは、設備がある場所でないと判断が出来ません。」
「じゃあ、デバイスなしでも魔法は使えないの?」
「訓練すれば出来るでしょう。ですが、デバイス無しで魔法を発動させるのはかなり難しいです。」
それを聞いて、二人は落ち込む。
「でも、こんな武器が無くても、御二人は互いに助け合っていたじゃないですか。それはすごい事です。」
その言葉に、アリサとすずかは顔を見合わせる。
「僕には力がありました。でも、アリサさんとすずかさんには、抵抗できる力が無かった。でも、御二人は互いを――そして、名も知らなかった僕の事を助けようとしてくれました。それは、誰にも出来る事ではないです。だから、胸を張って下さい。」
その言葉に二人は顔を少し赤らめながら笑う。
「なんだか、照れくさいわね。」
「うん。嬉しいんだけど……。」
暖かい雰囲気に包まれ、色々な話をした。ヒユにとって、一番大きな出来事は……
「そういえば、ヒユ君はこの世界で住む場所とかあるの?」
「ああ、心配しなくて大丈夫ですよ。一応、野宿道具は一式持ってきているので。」
その言葉に、皆は驚く様に目を見開く。
「色んな世界で、サバイバルをしてきたので、一通りのことは出来ます。食料も川や山、海など、獲れる場所が豊富なので。」
その言葉に、皆は哀れなモノを見る様にヒユを見つめた。
「ねえ、ヒユ君。良かったら家に住まない?」
「え?」
「探し物をする間、ずっと野宿するのも大変でしょう?此処だったら衣・食・住も揃っているし、ね?」
「ですが、それではご迷惑をお掛けする事になります。」
ヒユは、申し出を断ろうとする。しかし、アリサやすずか、それにノエルやメイドの少女——ファリンまでもヒユに泊まっていく様に引き留める。
留めに忍がヒユに告げた。
「それに、あなたは恩人だもの。それに、一人増えたくらいでそこまで迷惑にはならないわよ。それに、ノエルのご飯は美味しいのよ?」
その言葉に、ヒユは朝のサンドイッチを思い出す。
(確かに、あのサンドイッチは美味しかった。料理は得意じゃないし、あれを毎日食べられるなら泊ってもいいかもしれない。)
少年は、ご飯に弱かった。
「分かりました。暫くの間、よろしくお願いします。」
こうしてヒユは月村家の厄介になることを決めた。
父親の御下がりのパソコンが手に入ったのでそれで投稿しているんですが、パソコンの知識皆無なので、これでいいのか迷いながら投稿しています。
スマホと違っていいなと思ったのは、全体の文章が見やすくなったので推敲しやすくなったことですかね。