魔動戦記ガンダム リリカルなのは   作:無者

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 パソコン投稿は楽だけどその分、文章量が増えてしまって……
 いきなり、七千字やら八千字やら、急に文章が増えてびっくりしている方もいるかと思いますが、楽しんで行って下さい。


第三話 その日、少年は運命と出会う

 ヒユが月村家に住むことが決まって早一週間。その間に、ヒユはこの海鳴市の地理をある程度、把握することが出来た。

 ヒユ自身も歩き回って、この街を回っていたのもある。

 それ以上に、すずかが案内役を買って出てくれた事が大きかった。彼女が放課後時間を利用して、この街の案内をヒユにしてくれたのだ。

 そして今日、すずかの学校や図書館、駅前や砂浜……そして、もう一人の友達である高町 なのはの家族が経営している『喫茶 翠屋』を紹介された。

「ここのシュークリーム、有名なんだよ。」

「そうなんです……そうなんだ。」

 言葉に詰まりながら、そう返した。

 店の中に入ると、すずかと同い年位の女の子が「いらっしゃいませ……あ、すずかちゃん!!」と、とてとてと駆け寄ってきた。

「この子は……すずかちゃんのお友達?」

「うん、ヒユくんって言うの。」

「初めまして。私、高町なのは!あなたのお名前は?」

 天真爛漫な笑顔で、自己紹介をする少女……高町 なのは。

「こんにちは。すずかさんの家で世話になっている、ヒユ・プロスペクトと言います。」

 丁寧に返すヒユになのはは嬉しそうに「うん!よろしく、ヒユくん!」と返した。

 なのはは二人をテーブル席に案内する。、メニューを見る。

「おすすめは、何かありますか?」

「うーん……ケーキとかも美味しいけど、一番おいしいのはシュークリームかな。ウチに来た人、みんな買ってくれるんだー!」

 ヒユは、ふむ……と考える。

「コーヒーとシュークリームをお願いします。」

「私はエスプレッソとショートケーキね。」

 なのはは伝票に注文を書き、「はーい、ちょっと待っててね?」と言って、裏に引っ込んで行った。

「そういえば、探し物は見つかったの?」

 ヒユは少し逡巡する。

(この石がカギになりそうなんだけど……言っていいものか、どうか………。)

「……とりあえず、見つかる目途は立ったよ。この石が鍵になりそうなんだ。」

 ヒユは懐から、菱形の青い宝石を取り出す。

「わぁ、綺麗だね。」

 すずかが触れようとする。その手をヒユがそっと止める。

「触らない方が良い。」

「えっと、どうして?」

「封印しているから、大丈夫だとは思うけど……この宝石には、願いを叶える力があるらしいんだ。」

 それが何故、触らない方が良いと言う事になるのか分からない。と言った感じですずかが首を傾げる。

 ヒユは説明を続ける。

「多分、ロストロギアだと思う。願いを叶えるだけなら問題ないんだけど、これは、願いを歪めて叶えてしまうんだ。だから、これに不用意に触れたら、下手をしたら、この街が消えてなくなるかも。」

 すずかはぎょっとして、慌てて手を引っ込める。

「そんな危ないものがあるなんて……。」

「調べた限り、これが複数個落ちていた。だから、見つけても触らずに、出来れば連絡をください。」

 すずかはこくり、と頷く。

 そして、タイミング良くなのはがシュークリームとケーキをテーブルに置いた。

「お待たせ………!?」

 なのははピタリと動きを止めてしまった。その様子をおかしく思ったすずかは、なのはに呼びかける。

「なのはちゃん。どうしたの?」

「——二人とも、これ、何処で見つけたの!!?」

 急に大きな声で、まくし立てる様に質問をする。それに気圧され、ヒユは「えっと、昨日砂浜で……。」と答える。

「……ごめん、それ、譲ってくれないかな?」

 その言葉に首を横に振るヒユ。

「すみません。それは出来ません。」

「お願い!お礼はきっとするから……それは、危ない物なの。」

 その言葉に、ヒユとすずかは顔を見合わせる。二人は、ある可能性を思い浮かべる。

 それを確認するように、ヒユが口を開いた。

「………それは、これがロストロギアだからですか?」

 なのはは再び動かなくなる。

「どうして、それを――」

「なのはさん。お店の営業が終わったら、少し、時間を頂けますか。」

 ひとまずヒユは、話をここで区切る事にした。

 

 ヒユはなのはと連絡先を交換し、翠屋の営業が終わるまで、図書館でこの世界の地理や法律など、様々な書物を読み漁っていた。

「……ねえ、ヒユくん。なのはちゃんって、もしかして……。」

「……多分、なのはさんは魔導師なのかもしれない。」

 ヒユは、なのはの首に下げられていた赤い宝石を思い出していた。パンドラから、念話が来たので、ほぼ間違い無い情報ではあるが、この魔法の無い世界である筈の無い物である。

(——あれはデバイスだ。もしかしたら、この世界にあの宝石を持ち込んだ存在か……或るいは、回収に来た存在が、なのはちゃんの素養に目をつけて利用して?)

 ヒユは、見当もつかなかった。一体、この街で……いや、この星で、何が起ころうとしているのか。

 これ以上考えても、憶測の域を出ないだろうと、ヒユは本を読むことに集中する事にした。

 

 それから、1時間後……なのはとヒユとすずかの三人は、公園で落ち合った。しかし、翠屋で出会った時とは違い、肩にフェレットを乗せて現れた。

「あなたは、何者なの?魔法使いなの?」

 なのはの質問に、ヒユはポケットから、懐中時計……パンドラを取り出した。

「あなたと同じです。パンドラ。」

『はい、マスタ―』

 ヒユの声に応える様に、パンドラは淡く輝く。

「わぁ、これが、ヒユくんのデバイスなんだ。」

『初めまして、レイジングハートと申します。』

『初めまして、マスターヒユのデバイス、パンドラです。』

 なのはのデバイス……レイジングハートが、ヒユとパンドラ、そして、すずかに礼儀正しく挨拶をする。

「……もしかした、すずかちゃんも、魔法の事知ってたり?」

「えっと……うん。アリサちゃんも知ってるよ。」

 アリサも知っていると聞き、なのはは「えぇ!?」と大声を上げる。

 すずかはなのはに、経緯を簡単に説明した。それを聞いて、なのはは驚いたり、悲しんだり、心配したり……様々な表情を見せてくれた。

「ふええ。そんな事があったんだ……あ、もしかして、あの時のジュエルシードの反応って!!」

「たぶん、なのはさんが思ってる通りです。僕は、あの時に次元犯罪者と戦っていたんです。」

 なのはは「次元犯罪者?」ときょとんとしていた。しかし、なのはとは別の、驚いた様な声が響いた。

「次元犯罪者だって!?」

 誰かの声が辺りに響く。すずかとヒユは、キョロキョロと周りを見回すが、声の主は見つけられない。

「……ああ、そっか。あの、此処です。此処此処!」

「にゃはは……二人とも、私の肩を見てくれる?」

 二人はなのはの言葉に従い、肩を見る。すると、なのはの肩に乗っていたフェレットが喋り出した。

「初めまして。僕はユーノ。ユーノ・スクライアって言います。」

 二人は口をパクパクとさせながら、フェレット――ユーノを見つめる。

「「ふぇ」」

「ふぇ?」

「「フェレットが喋った―――――――!?!!?」」

 二人の叫び声が、公園に木霊した。

 

「すいません。驚かせてしまって……」

「こっちこそごめんね……ユーノくん。」

「すみませんでした。ユーノさん。」

 二人と一匹は、しょんぼりして、謝る。

「えっと、ヒユさん。僕の事はユーノで結構ですよ。」

「はい、それなら僕も、ヒユで大丈夫です。」

 ヒユは差し出された手……否、肉球を掴む。

「えっと、それでジュエルシードと言うのは、この宝石の事でいいんですか?」

 パンドラから、青い宝石……ジュエルシードを取り出す。

「あ、はい。そうです。」

 ヒユは、なのはにジュエルシードを手渡す。

「それで、ユーノさん……ユーノ。どうして、この世界にロストロギアがあるの?」

「それは………僕のせい、なんだ。」

 ユーノの話では、ユーノは遺跡の探索を生業としている部族の出らしい。スクライアとは、苗字ではなく、部族名であるとのことだ。

 そして、遺跡探索中に見つかったジュエルシードを、時空管理局の次元航行船に引き渡した所、その船が事故に遭ってしまったらしい。その結果、地球にジュエルシードがばら撒かれる事態に陥ったらしい。

 管理局に、その旨を報告し、その回収に動いてくれる事になったが、手続きに時間がかかる為、その間に被害が出るかもと危惧したユーノがそれを回収するために動いた……その結果、ユーノは動けなくなるほど、消耗してしまい、なのはに頼る事になってしまったらしい。

「……話を聞いてて思ったんだけど」

 すずかがおずおずと手を上げる。

「ユーノくん、別に悪くないんじゃ?」

「……あれを見つけたのは僕だから。だから僕が、責任を持って正しい所に持っていかないといけないんだ。」

 ヒユは、なのはが利用されているという考えをやめる。ユーノが嘘を吐いていると、感じなかったからだ。

 しかし、それと同時に、今度は別の可能性を考える。

「……もしかしたら、誰かがジュエルシードを利用しようと?」

「……まさか、そのせいで次元航行船が沈められて?」

 ヒユとユーノは互いに顔を見合わせる。

「僕が戦った次元犯罪者は、ジュエルシードを利用して強くなってました。もしかしたら、その可能性もあるかと。」

 それを聞いて、なのはは「じゃあ、早く回収しないとだね。」と言った。

「そうだね、その可能性がある以上、誰かの手に渡る前に僕たちでジュエルシードを集めよう。」

 ひとまず、ここは解散となった。ジュエルシードは発動しないと、その存在が確認できない程、微弱な魔力であるらしく、発動を確認できたら、すぐに現場に急行し、封印するという流れになった。

 

 それから数日、ヒユは月村邸で、お茶会が開催されていた。

 ヒユは、到着した高町なのはとユーノ……なのはの兄である高町 恭弥を出迎えた。

「こんにちは。ヒユくん。」

「こんにちは。なのは。」

「元気にしてたかい?」

 ヒユは、なのはにある事を尋ねた。

「ご家族には、もう……?」

「うん……みんな、最初は反対だったみたいだけど、ちゃんと話したら、分かってくれたの。」

 ヒユは、なのはに家族だけにでも話した方が良いと言っていた。そして、なのはは高町家の面々に、魔法の事を話したらしい。その際に、両親、兄と姉には猛反対されたが、現状、なのはとヒユしかジュエルシードの封印が出来ない事、そして、知ってしまった以上見て見ぬ振りは出来ないというなのはの思いを伝えると、それ以上反対はされなかった。ただし、やるからには全力でやるようにと送り出してくれた。

 当然、魔法の事を知っているアリサにも事情を説明した。その際、アリサは非常に驚いていたが、協力できることがあるなら力になると言ってくれたようだった。

 そして、このお茶会は、息抜きも兼ねてすずかとアリサが提案してくれた物でもあったのだ。

「ヒユ、久しぶりね。」

「久しぶり、アリサ。」

 なのはを連れ、テラスに出ると、アリサがヒユに挨拶をした。そのまま二人で雑談をしていると、なのはがぷくーっと頬を膨らませた。その様子に気付いたすずかが「どうしたの?」と尋ねる。

「ヒユくん、まだなのはのこと呼び捨てで読んでくれないんだもん。」

「ああ、ごめんなさ、ごめん、なのは。」

「うん、いいよ!」

 名前を呼ぶと、なのはは目に見えて機嫌が良くなる。そうして四人は雑談をしていると、ユーノが猫に追いかけられる。なのはとすずかが止めようとするが、すばしっこく走る猫を捕まえることは出来なかった。そこにタイミング悪く、ファリンが紅茶とお菓子を乗せたお盆を持ってやってきた。

「皆さーん!紅茶とお菓子、持ってきました――————あわわ!!?」

 二匹はファリンの足元をぐるぐると回る。それを見ていたファリンが目を回してしまい、ふらっと倒れそうになった。

「危ない!!」

 すずかとなのはがファリンを支えようと飛び出した。しかし、なのはは足を縺れさせて転んでしまう。

 なのはがいれば、ぎりぎりお盆を支える事も出来ただろうが、運悪く、なのはは倒れてしまった。

(落ちちゃう!)

 すずかはお盆が落ちると思い、目をぎゅっと瞑ってしまう。しかし、いつまでたってもカップの割れる音は聞こえなかった。

「——危なかったぁ。」

 そっとすずかが目を開けると、ヒユの顔が目の前にあった。すずかは一瞬きょとんとした表情をする。次の瞬間、顔を真っ赤にして、あわあわとした表情になった。

「……はっ、ごめんなさいです!!すずかちゃん、ヒユくん!!」

 ファリンが慌てたように二人に謝った。

 

「まったく、あの子ったら……。」

 ノエルは騒ぎ声を聞き、頭が痛そうに額を抑えた。

「あの子らしいっちゃあの子らしいけどね。」

 カップの紅茶を一口飲む。それから、忍は恭弥に話しかけた。

「それにしても、なのはちゃんまで、魔法に関わっていたなんてね。」

「ああ、俺も知らなかった。」

 二人は窓の外を見つめる。忍と恭弥の視線は、なのは、すずか、アリサ……そして、ヒユに向けられていた。

「せめて、何があっても支えられるように、あの子たちの帰れる場所を守らないとね。」

「………そうだな。」

 二人は、決意に満ちた瞳で四人を見つめた。

 

「へえ、そうなんだ。」

「にゃはは。」

「それでね―――」

 それに気づいたのはなのは、ユーノ、そして、ヒユの三人だった。

「ヒユくん、ユーノくん!」

「行こう、なのは!」

 真っ先にユーノが駆け出し、その後を追うように、ヒユとなのはが走り出した。

「ちょっと!どうしたの!?」

 アリサが困惑した様子で立ち上がる。その拍子に、椅子が後ろに倒れてしまった。

「ジュエルシードだよ!二人とも、そこで待っててね!!」

「すぐに戻るので、心配しないで!!」

 静止の声を振り切る様に、二人は林の中へ飛び込んでいった。

 

「いた、けど……?」

「わぁ、おっきい……!」

 少し、開けた場所に、巨大な生き物が佇んでいた。三角の耳、グレーと黒のトラ模様の経路。鋭い爪を持った獣。

――――それは、誰がどう見ても、猫にしか見えない生物だった。

「なんで、あんなに巨大に……?」

「多分、大きく成りたいって願いを、ジュエルシードが叶えたから………?」

 困惑しながら、なのはとヒユはセットアップを済ませる。そして、ユーノも辺りに結界を展開する。それは封時結界と呼ばれる物で、指定した空間を切り取り、結界内でどれだけ破壊をしても、結界を解除すれば元通りに戻す事が出来る便利な魔法だった。

 そして、封印砲を放とうと試みるが

――——!!

 ヒユが突然、猫の前に立ちふさがる。装備されている盾を構えたと同時に、雷が襲った。

「ヒユくん!!」

 煙が上がり、ヒユの姿を覆い隠した。

「バルディッシュと同じ、インテリジェント・デバイス……魔導師、ロストロギアの探索者か。」

 静かな、けれど、はっきりと鼓膜を揺らすその声は、丁度猫の顔……その先にある、木の上から発せられた。

「あの子は……?」

 なのはが視線を向ける。

 木の上に立っていたのは、金髪の長い髪をツインテールにした、黒衣に身を包んだ少女だった。右手に握られているのは、少女の身長ほどある、斧の様な形状の黒い杖だ。

「ジュエルシードは、頂いていきます。」

 少女がなのはに向かって、凄まじい速度で接近する。

『Scythe,form』

 少女の持つ杖の、金色の宝玉から、電子音が響く。その声と同時に、杖が変形し、黄色い魔力の刃が展開される。

『protection』

 レイジングハートの機転で、ピンク色の円形の魔法陣……ラウンドシールドが展開される。

「きゃあ!?」

 魔力の刃となのはのラウンドシールドの激突。辛うじて少女の攻撃を凌ぐ事が出来たが、その衝撃に罅が入ってしまった。なのはは思わず悲鳴を上げる。

 再び少女はなのはに突撃する。

『fryer,fin』

 空を飛ぶことで、難を逃れる事が出来た。なのはは思わず「ふう。」と安心の溜息を吐く。

「どうしてジュエルシードを狙うの!」

 少女はその言葉に、動きを止める。僅かに目を細めた少女は言葉を紡ぐ。

「言ったって、なにも伝わらない。」

「え……?」

「邪魔をするなら――力尽くで奪うだけ。」

 少女は杖を変形させ、魔力弾を放つ。

「フォトンランサー」

 小さく呟き、杖を横に薙いだ。魔力弾がなのはに直撃し、なのはは意識を保つことが出来ずに落下する。

「なのは――!!」

 ユーノがなのはの下に駆けつける。幸い、傷は付いていなかった。

 すると、少女がなのはを見つめて、「ごめんね……」と小さく呟いた。その声は誰にも聞かれる事は無く、少女は猫の下に飛び去って行った。

 

「ぐぅ……!!?」

 ヒユは、突如として襲ってきた頭痛に苦しんでいた。

『助けて……お願い。母さんを――フェイトを、助けて!!』

 ヒユには、特殊な能力があった。それは、人の意思……感応波を感じ取る能力である。それが、何者かの感応波を文字通りダイレクトに、ヒユは感じ取っていた。そして、その思いの強さによって、ヒユの頭痛が増していく。

「あなたも……あの子の仲間?」

 金髪の少女が、ヒユの前に立つ。ヒユは頭を押さえながら、「だれ……?」と問う。

「ごめんね。ジュエルシードは、貰っていくよ。」

 少女がヒユの頭上を飛びさり、猫の悲痛な叫びが聞こえる。

「ジュエルシード、封印。」

 少女がジュエルシードを封印し、そのまま飛び去って行く。

 少女が遠ざかるにつれ、ヒユの頭痛の弱く、小さくなっていく。

 少女が完全に見えなくなった頃、ヒユの頭痛も消えたが、その頃には、ヒユは意識を保てず、意識を失った。

 

 ヒユとなのはが目覚めた頃には、既に日は傾き、空が茜色に染まっていた。

 二人はベッドに寝かせられていたらしく、目が覚めると、アリサはなのはに、すずかはヒユに抱き着いていた。

「もう、心配したじゃない……!」

 アリサは絞り出すように言った。

「ヒユくん。良かった……本当に良かった!」

 すずかの声は潤んで、やがてしゃくり上げる様な声に変わっていた。その様子に、ヒユは「ごめんなさい。」と小さく呟いた。

 

 二人が泣き止んだ頃、見計らっていたかの様に忍が部屋に入ってきた。忍に続くように恭弥が、その肩に、ユーノがひょこっと乗っている。

「あ!良かったぁ……二人とも、目が覚めたんだね。」

「はい、すいません。心配を掛けてしまって………。」

「ごめんなさいなの……。」

 二人は肩を落とす。忍は笑顔で「良いって良いって。気にしないで?」と言う。しかし、それでも二人は曇った表情のままだった。

「それで、ユーノ君から事情は聞いたよ。」

 びくっと肩を震わせるなのは。忍は話を続けた。

「今回、あった事は元々、危惧してた事だった訳だけど……正直、二人にはこれ以上、ジュエルシードの探索はして欲しくない。」

 なのはが反論するように、「でも……!」と声を出す。忍はそれを右手を前に出して静止する。

「でも、二人じゃないと、難しいってことも分かってる。だから、今後はノエルと恭弥、それから、士郎さんの三人が一緒に行動するようにしようと思ってるの。」

「………俺は、まだ納得してる訳じゃない。でも、なのはは諦めたくないんだろう?」

「……うん。まだ、私はあの子の事を良く知らない。だから……。」

 なのはは言葉に詰まりながら、自分の意思を告げる。

「なら、俺は精一杯支えるだけさ。だから、なのはは真直ぐ自分の意思をその子に伝えればいい。」

 花が咲く様な、輝く様な笑顔で、なのはは恭弥に「ありがとう!」と言った。

 

 それを後目に、ヒユは一人で考え込んでいた。

(あの声……あの子とよく似た、けれど違う。あの声は、誰なんだ。)

 ヒユは、あの時聞こえた声について考えていた。

(助けてって……母さんと、フェイトを助けてって言ってた様な……胸が締め付けられる様な、あんな悲痛な気持ちで――——)

 深い、深い、悲しみと絶望を感じさせた謎の声の正体……それが分かるのは、数週間後の事だった。

 ヒユは、何処か納得していた。此処に来る前、感じ取った悲しみの正体は、恐らくこの声だったのだと。

 なら、自分のする事は、たった一つだと、ヒユは決意のこもった目で窓の外を見つめた。陽は沈み、空に星が輝き出している。

(——あの子を助ける。そして、母親も助ける。それが、僕が此処に呼ばれた理由。)

 ヒユは、星空に誓った。

 




 pixivに投稿しているのと話数が違うので間違いそう……
 まあ、間違わないように気をつけます(笑)
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