音響士   作:かげかげ

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「水面の卯」編 水面支部

 今、響音は目の前のうさ耳の少女、卯沫(うまつ)に色々と聞いていた。

 

 ここは湖の中にある支部、『水面』支部で、こうして息が出来るのはこの支部全体に酸素の膜が覆っており、それで呼吸が出来ていた。

 酸素の膜から外はもう湖の中で、魚達が泳ぎ、湖の水草から出てくる酸素の泡が浮かび、太陽は湖の屈折で揺れて映っている。

 

 そんな幻想的な支部の光景に響音は見入れてしまった。

 今も寝ていた身体を起こし外に出て、今の景色を見ている。

 そんな響音の様子に卯沫は優しく後ろから見守っていた。

 

 「お?青年起きたのか?」

 と卯沫とは違う男性の声が聞こえ、響音は後ろへ振り返る。

 そこには白衣をし眼鏡をかけた青年が、何か薬品を作っているのかフラスコを持っていた。

 青年の隣には羽根の生えた小さなウサギのような生物が飛んでいる。

 

 「ハシモ、その子の怪我、大丈夫そう?」

 卯沫はその飛んでいるウサギに視線を向けて聞いてみる。

 ハシモと言われた青年は「あぁ大丈夫、軽い頭痛みたいだ」と話す。

 どうやらハシモは医師のようだ。

 飛んでいるウサギはもう大丈夫だよ!と言っているのか、その場で1回転宙返りして、元気なのを卯沫へ伝える。

 

 響音はそんな生き物に興味を持ち、

 「そのウサギのような生物ってなんて呼ばれるの?」

 となんて呼ばれる生き物なのか聞いてしまう。

 それに卯沫は優しく答える。

 「これはウトという生き物で、主に配達とかしてくれる生き物なんだ。水の精霊の生き物で、夢に関する生物でもあるんだ。」

 と答えてくれる。

 

 「水の精霊で夢に関する生物か…」

 と響音はよりウトに興味が持ち、マジマジと見ている。それに対しウトはマジマジと見てくる響音に怖がり、また宙返りするとパッとその場から姿を消す。

 ウトが急に消えた事で、響音は驚いてキョロキョロと見回し、ウトを探し始める。

 

 そんな探し始める響音の様子にハシモと卯沫は笑い、「もういないよ」と卯沫は言う。すると卯沫は自身の事を紹介始める。

 「私の名前しか教えてなかったけど、こう見えて私は精霊の血も含んでいて、動物種ウサギ族の血と自然族水の精霊の血の混ざった混血なんだよ〜」

 と卯沫はふわふわと衝撃な真実を話した。

 

 その真実には響音は驚いた。

 精霊族は自然を操る高貴な存在であり、中々会える事が出来ない種族でもあった。

 その混血が今目の前にいる事に響音は驚いて腰を抜かし、後ろへ倒れてしまった。

 驚いて腰を抜かした響音にハシモは「そりゃあそう驚くよな〜」とまるで懐かしく感じながら頭をウンウンと振っていた。

 

 そんなゆっくりとした時間の中、大剣を背負った1人の男性が急いで走ってくる。

 「マム〜ただいま戻ってきた〜」

 と手を振って来る銀髪美形の青年が卯沫の元へ辿り着き、「レイ、おかえり、どうだった?」と卯沫は聞いてみる。

 

 「うん、マムの言った通り『ノイザー』が何匹かいたから倒してきた。だけど、『ノイザー』を生み出している本体はまだ倒してないよ」

 と銀髪美形の青年レイは報告する。

 『ノイザー』と聞いた瞬間、響音はすぐに反応し、「『ノイザー』!?」と聞き返した。

 響音達「夜空」支部はそのノイザーを倒すのも任務の一つだったので反応してしまった。

 

 「実はこの支部の周りの森によく『ノイザー』が現れていたから卯沫達がよく倒してたんだ〜それに、『ノイザー』に襲われて遭難した人達も見かけたりするから、森の入り口まで護衛し送り帰したりもしてたの」

 と最近の出来事を卯沫は話した。

 それに響音は、迷いをする森の中を迷わずに救援し、『ノイザー』も撃退出来る「水面」支部の凄さを感じていた。

 

 そう響音は感じていると、卯沫はイヤリング等を付けているうさ耳をピンッと伸ばし、ハシモとレイも険しい顔をし、何かを聞き取り始める。

 響音の人の持つ音を聞き取る事が出来る耳でも聞こえないので、響音はど…どうしたの?と急に静かに集中する3人に驚く。

 

 「誰かが『ノイザー』と戦っている音が聞こえる…」

 と卯沫はそう言葉を溢す。

 それに対し響音は全然聞こえておらず、圧倒的な聴覚を持つ卯沫に驚きつつ、誰かが『ノイザー』と戦っているのを気になっていた。

 「だな。使っているのは銃あるな」

 「あと、1人だけ剣と盾使う人いますね〜」

 ハシモとレイはその戦っている人の武器を音だけで判断出来た。

 

 ハシモとレイも圧倒的な聴覚をしており、響音は2人にも驚いたが、ある言葉に引っかかる。

 

 ん?1人だけ剣と盾を使う人…

 

 「…あ!!

 

 と響音は思い出して声を上げる。

 急に大声を上げた響音に卯沫達3人はビックリして響音に顔を向ける。

 

 「その盾と剣使う人、僕の仲間です!」

 響音は慌てて伝え、早くそこへ向かわないと思い焦り出す。

 焦り出している響音に「落ち着いて」と卯沫は優しく声をかけ、

 「響音君の仲間なのね、じゃあ早く助けないとだから卯沫達も行くよ」

 と卯沫は言い、卯沫達「水面」支部が一緒に戦ってくれる事となる。

 

 卯沫達は向かう前に早く準備を始める。

 卯沫達の準備が終わる間、どうか間に合って欲しいと響音は湖の水面へ目を向けて願っていた。




 「登場人物紹介」
卯沫 蒔菜(うまつ まな) 動物種と自然界のハーフ
 2つの種族の血を持つウサギ族の女の子。「水面」支部のリーダー。
 とてもふわふわした感じの彼女だが、水の中でも泳ぐ事が出来、水中で呼吸する事も出来る。
 ただ水が深い所が苦手であり、本人曰く「深い所ってなんか暗くて怖いし、怖い生き物もいるから」という事。
 そんな彼女が使う「楽武」は弓で戦い、そのウサギの耳で周囲の音を拾い、いち早く索敵や奇襲も出来るという。

薬剤 ハシモ(やくざい はしも) 現代人
 「水面」支部に属する現代人の眼鏡をかけた男性。
 彼は医者の技術があり、「水面」支部で仲間の身体を診たり、水の精霊である「ウト」も診たりしている。
 そんな彼でも戦闘する事が出来、特殊な「楽武」である筆で戦う。

氷青 レイ(ひょうせい れい) 現代人
 「水面」支部に属する銀髪美形の青年。
 卯沫の事をマムと呼んで慕っており、自身の「楽武」である大剣を軽々振り回して戦う事の出来る力持ちである。
 とても優しそうであるが、怒らせると恐ろしい人でもある。
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