音響士   作:かげかげ

16 / 36
「水面の卯」編 水面支部との共闘

 「こっちだ!」

 響音とレイ、ハシモが夜並みに暗い森の中を迷わずに走っている。

 先頭を走っているハシモとレイは森の中はどこも草木で埋め尽くしているのに、まるでこの先が分かるように走っているので、2人の後ろを走っていた響音はどうしてこの先が分かるのか気になり、走りながら聞いてみた。

 すると帰ってきた答えは、

 

 「あ〜、俺達『水面』支部は聴覚で聞き取る能力が優れて、聞き取るだけでその場所を探知出来るんだ」

 「その聴覚が優れている事で敵からの奇襲に対応出来るし、逆に僕たちから奇襲する事も出来るよ〜」

 という答えだった。

 聞き取るだけでそこまで出来るハシモ達に響音は(て…敵に回したくないな…)と苦笑いしていた。

 

 「そういえば卯沫は一緒に来ないであの場に留まっていたけどなんか作戦あるの?」

 と響音はふと思い出した。

 響音、ハシモ、レイの3人で向かう時、卯沫はあの場から動かないで、自身の「楽武」である弓を持っていた。

 その弓は弓道の弓よりもやや大きくて白い、まるで神話に出てくるような弓であった。

 

 何故卯沫は一緒に来なかった事を聞くと、ハシモとレイはニヤッと笑いながら、

 「「それはお楽しみだ(です)」」

 と言ってきたのだ。

 そんな回答に響音は(ええ…!?)と心の中で驚いてしまう。

 

 「っと!そろそろ響音くんのお仲間に辿り着くぞ!」

 とハシモはそう言い、響音達3人は気合を入れて、より早く走る。

 

 

 「これはやばいな…」

 リトは今の現状に焦っていた。

 迷子になった響音を探していたリトともか、フィメル、白崎の4人は何処からか飛んでくる黒い塊の弾幕に苦戦していた。

 

 響音と別れて始めはまだ弾幕は飛んで来なかったが、森の中をより進んだ時に異変はあった。

 「…な〜んか見られてないか?」

 と最初に異変を気付いたのはフィメルであった。

 異変を気付いたのはフィメルは背負っていた自身の「楽武」である銃を取り出す。

 フィメルの銃はライフル式の銃であり、持ち手を引いてリロードするボルトアクション方式の銃であった。

 

 「…確かに感じるな」

 とリトもショットガンの「楽武」を構える。

 そんな2人に続けて、もかと白崎も「楽武」を構え始める。

 

 4人は背中合わせに固まり、周囲の警戒を始める。

 そんな緊張感が最大の中、何もない場所からもかに向かって黒い塊が飛んでくる。

 急に現れた攻撃にもかは回避出来ず、腹部に命中し、少し後ろへ飛ばされてしまう。

 

 「もか!?」

 リトは飛ばされたもかへ駆け寄り、傷の手当てをしようとする。

 だが、もかは腹部を両腕で守っており、なんとかダメージを留めていた。

 「リ…リトさん…大丈夫だよ…」

 ともかはヨロヨロと立ち上がるが、もかの両腕は火傷したような傷になっていて、「楽武」を使える状態では無かった。

 

 「よくもやったなっ!!」

 フィメルは黒い塊が飛んできた方向へ銃口を向け発砲する。だが放った弾は空を切り、見えない敵に命中していなかった。

 そして、今度はフィメルの後ろから黒い塊が飛んでくる。

 「危ない!」

 咄嗟に気づいた白崎がフィメルの背中に立ち、その小さい盾で黒い塊を防ぎ、もか達は見えない敵との交戦を始めたのだ。

 

 黒い塊をなんとか躱せるようになっているが、リト達に疲労の色が表れ始める。

 一向にこちらの攻撃は命中しておらず、躱し続けるだけの不味い状況であった。

 

 「こんな朝でも光が見えない森の中で見えない『ノイザー』相手はキツイだろ…せめてそいつが見えれば…」

 フィメルは歯を強く噛み締めて言う。

 このままだと4人とも全滅するから何とか策を考えているが、こんな交戦状態の中、フィメルは中々何も思いつかず、クソッと地面を強く踏みつけてしまう。

 

 だが、そんな状況を打開する時が訪れる。

 

 「皆!!」

 

 響音が飛び出してくる。

 それに誰だか知らない人を2人連れて。

 

 急に現れた響音に全員が「「「「響音!?」」」」と驚いてしまう。

 合流出来た響音に白崎は

 「お前何勝手に迷子になってんだよ!!俺達やばかったんだぞ!!」

 と泣きながら叱っていた。

 響音は事実迷子になっていたので、「ごめんなさい」と申し訳ないに謝っていた。

 これで無事帰れたとしても、全員に叱られる運命が決まった響音であった。

 

 「皆さん大丈夫ですか〜?」

 とレイが背負っている楽武の大剣を引き抜く、ハシモも自身の楽武を懐から取り出す。

 しかし、ハシモの楽武はとても珍しかったので、響音達5人は声を揃える。

 

 「「「「「お札と筆…?」」」」」

 

 「いや、俺の楽武はこの筆だ」

 とハシモは右手に持っている筆を見せびらかせる。

 その筆は普通の筆ではなく、機械が付いている筆で、確かに筆が楽武となっていた。

 

 「レイ、少し響音の仲間達を守っていてくれ、今から強力なやつ書き出すから」

 とハシモはお札に向かって書き始め、レイは「了解です〜」と少しのほほんとした返事をする。

 そんな彼らを響音達は見えない「ノイザー」にも余裕で対応出来る強さがあるのを感じていた。

 

 また見えないか「ノイザー」の攻撃が始まる。

 次に狙ったのは、もかを支えているリトだ。

 リトに向かって黒い塊を放つ。

 リトは黒い塊に反応出来たが、もかを支えている為、回避出来ない。

 リトが出来る事はこれから来る衝撃に目を瞑るだけであったが、それをレイは見事に反応し、持っている楽武の大剣で黒い塊を叩き切り、リトともかを守ったのだ。

 一瞬で2人の前に立ち、敵の攻撃を叩き切ったレイにリトともかは驚いていた。

 

 リトともかの他に、フィメル、白崎、響音にも黒い塊の攻撃迫るが、レイは瞬時に動いて響音達を守ったのだ。

 

 「レイ!!準備は出来た!!任せろ!!」

 ハシモはお札を書き終え、それを投げようと構える。

 響音はそのお札から不思議と轟くような激しい音が聞こえ、今から強力な攻撃を繰り出すのを感じ取っていた。

 

 「了解です〜」とレイがその場から離れると同時に、ハシモは何もない場所へお札を投げ、「爆ッ!!」と唱えると、なんとお札が爆発した。

 その威力は凄まじいもので、あの紙切れと同じのお札が周りの木々を揺らす程の爆発を起こしたのだ。

 あまりの威力で、響音達は目を瞑り、爆発で発生した爆風に当たっていた。

 

 爆発が収まると同時に何かかなり大きい生き物が落ちた。

 それはやはり身体が黒いドットとなっている巨大なカメレオンのノイザーであった。

 

 ■■■ッ!!

 

 ハシモが放った攻撃がよく効いており、そのカメレオンのノイザーは立ち上がり、ハシモへ睨見つける。

 

 「さぁ、反撃だ」

 ハシモはニヤッと笑いながら筆とお札を、レイは大剣を構え、そんな2人に続いて響音達もカメレオンのノイザーへ目を向ける。

 「水面」支部と「夜空」支部の共闘が始まった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。