音響士   作:かげかげ

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「水面の卯」編 勝利の一矢(いっし)

 響音は新たな音弾、「ラビット・ステップ」を身に付け、カメレオンのノイザーを追い詰める。

 新たな音弾の力は凄まじく、響音はより素早く動いており、ノイザーを翻弄し、ノイザーを一人で追い詰めている響音の姿に、この場に居た全員が驚愕している。

 

 「響音君…君は一体…?」

 レイは現代人である響音が卯沫と同じウサミミを生やし、動きさえ卯沫と同じように動ける響音の姿に、本当に現代人なのか?と怪しんでいた。

 「おい!レイ!早く卯沫の所へ行くぞ!」

 とハシモの一声で、レイはハッと意識を戻した。

 二人は急いで左足を抑えてる卯沫へ駆け寄った。

 

 「ごめんね…足くじいちゃった」

 と卯沫は申し訳なさそうに謝る。

 すぐにハシモは捻挫した左足を診て、丁度持っていた包帯を腰に着けているポーチから取り出し、巻き始める。

 

 「…アイツ何者なんだ?現代人なのに、卯沫と同じウサミミを生えて、しかもあの動きさえも卯沫と同じだから、本当に俺と同じ現代人だと思えない」

 ハシモは包帯を巻きながらそう言った。

 それに対し卯沫は

 「確かにあんな事出来る現代人は珍しいし、少し恐ろしく感じるけど、一つ言える事は、響音君は悪い事はしないって事」

 「あんなに必死に戦ってるから私はそう思うんだ」

 と今一人で立ち向かっている響音の姿を見ながら言い、ハシモは卯沫の考えに確かにそうだなと共感し、響音の事を少し信頼する事が出来た。

 

 響音は鋭い跳び蹴りを繰り出しているが、段々と息が上がっており、カメレオンのノイザーも大分弱っているのか、動きが鈍くなっていた。

 弱っているノイザーを見た卯沫は「私の『音弾』を放てばあのノイザーに止めをさせるのに…」と悔しそうに呟いてしまった。

 

 「じゃあ時間稼ぎすればいいの?」

 と後ろから声が聞こえ、卯沫は振り返る。

 そこにはもか達「夜空」支部4人がいて、リトが真剣な顔で卯沫を見つめていた。

 

 「そうだけど…」と卯沫は真剣に見つめてくるリトに戸惑ってしまう。けど、時間稼ぎをすれば良い事が分かったリトは直ぐに4人に指示を出す。

 「だったら!私とフィメルで響音と一緒に足止め!白崎はここでそのウサギの娘達を護衛!もかは休んでて!行くよフィメル!」

 「分かった!!」

 とリトは駆け出し、フィメルもその後を追う。

 

 

 (ヤバい…もう身体中が痛い…早く倒れてくれ!)

 

 響音の身体はもう悲鳴を上げていた。

 こうして新たな音弾を駆使していたがまだ慣れていなかった為、身体全体に負担がかかり、段々と響音の動きが悪くなる。

 カメレオンのノイザーも響音達から与えられたダメージで弱り始めていたが、少しふらつき始めた響音を見て、チャンスだと思い、弱った身体に鞭を入れるように段々と攻撃を激しくし始める。

 

 鉤爪、体当たり、噛みつき…

 そんなカメレオンのノイザーは響音に休みを与えないように繰り出す。

 それらを跳んで躱していた響音は着地した瞬間、足をよろけてしまった。

 

 よろけた響音にチャンスだと思い、カメレオンのノイザーは直ぐに左の鉤爪でなぎ払った!

 そのなぎ払いを響音はもろに食らい、遠くに飛ばされてしまう。

 

 ノイザーは一旦体勢を立て直す為にまた周りの風景と溶け込もうと透明化始める。

 飛ばされた響音は地面へと叩きつけられ怯んでしまう。そして、また透明化するノイザーを見て、ヤバい!と立ち直ろうとしたが間に合わない。

 

 ■■とノイザーは響音を嘲笑い、透明化を進める。

 

 その時、雷の弾丸がカメレオンのノイザーへ直撃し、透明化を止められた!

 あまりの電撃にノイザーは苦しみ始める。

 

 「また透明化させるかよ!」

 リトは透明になろうとしていたノイザーへ、自身の音弾を撃ち込み、痺れさせたのだ。

 お陰でカメレオンのノイザーの動きを止められた。

 

 「よし今度は俺だ!『音弾装填』!」

 一時的に動けなくなったノイザーへフィメルは自身の音弾を発動させる。

 フィメルの楽武であるライフルがカチャと鳴り、少し輝き始め、ノイザーへ向けて撃ち込んだ!

 その時に響音はフィメルの持つ音を聴き、その音はまるで周りの音を消すような大きな音であり、例えるとエレキギターや大太鼓の圧倒的な音で、雑音を消し去るような音を感じていた。

 

 フィメルの弾は見事にノイザーの左肩を撃ち込み、■■ッ!!と苦しそうに鳴き声を上げた。

 強力な一撃を与えたのにまだカメレオンのノイザーは立っていた。

 そんな姿に「どんだけタフなんだ…」とリトは驚いて呟く。

 

 もうカメレオンのノイザーは動けるようになり、■■■■!!!と怒っているのか大声で鳴き、再び透明化をしようとする。

 …しかし、透明化が始まらない。

 

 カメレオンのノイザーは何故透明化出来ないかと自身で■■…?と不思議そうにすると、フィメルは不適に笑い始める。

 

 「ほんとお前が特殊な能力持ちでよかったよ…俺の『音弾』は相手の特殊な能力を一時的に封じる事が出来る音弾だったから、ほんと相性がよかったからさ!!」

 

 フィメルの持つ『音弾』はその言葉通り、相手の特殊な能力を封じる音弾であった!

 だからカメレオンのノイザーは透明化する事が出来なかったのだ!

 

 ■■!?とカメレオンのノイザーは驚いていると、ノイザーの頭上から直ぐに跳んで来た響音が、ノイザーの頭目掛けて強力なかかと落としを食らわせた。

 あまりの強力なかかと落としであった為、ノイザーの顔面は地面へ叩きつけられた。

 

 その時、「みんな離れて!!」と後ろから卯沫の声が聞こえ、リト、フィメル、響音は直ぐにカメレオンのノイザーから離れた。

 

 カメレオンのノイザーはよろけながら立ち上がると、目の前には、卯沫が輝く弓を構え、周りの空気から水を集め、一つの矢にしていた。

 その矢にノイザーは恐れ、急いで反撃しようと黒い塊を生成しようとするが遅かった。

 

 卯沫は充分に溜められた矢を放つ。

 それは卯沫の『音弾』であり、その矢はカメレオンのノイザーを撃ち倒す矢であった。

 

 「『水兎』(すいと)ッ!」

 卯沫の放った矢は巨大な水の兎となり、カメレオンのノイザーへ襲い掛かる。

 カメレオンのノイザーは黒い塊を生成が間に合わず、その巨大な水の兎に飲み込まれ消滅した。

 卯沫の放った矢は水の優しく流れるような音が響音には聴こえていた。

 

 カメレオンのノイザーは無事に倒され、全員がこの勝利に喜んでいた。




 「音弾紹介」
 雷帝の一手(らいていのいって) 使用者 リトリッパー(リト)
  リトの特異音弾。自身に雷の力を得て、素早さと力上げる音弾。
  強力な雷の力を得た事で、「雷帝」という名前を付けたという。

 封業儡剛(ふうごうらいごう) 使用者 フィメル
  フィメルの特異音弾。この音弾は敵の能力を一時的に無効にする音弾であり、今回のノイザーみたいな敵に匹敵の音弾。
  エレキギターなどの激しい音がノイザーみたいな雑音を消し去るように聞こえると響音は言っている。

 水兎(すいと) 使用者 卯沫
  卯沫の特異音弾。自身に流れる水の精霊の血を活用し、巨大な水の兎を矢として射貫く音弾。
  周りの空気から水の矢を作るので、矢無しで打てるという利点がある。
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