大蜘蛛のノイザーは倒されて3日後、気絶していた響音は目を覚ます。
そこは見知らぬ天井で、布団に寝かされていた。
「……ここ何処だろう?」
目を覚ましたばかりなのか、軽く頭痛を感じ、頭を押えながら起き上がり、部屋の襖(ふつま)に手を伸ばして開ける。
そこには絶景の光景が広がっていた。
周り一面は桜で囲まれており、満点に咲き誇っており、響音は、「わぁ……」とあまりの綺麗さに見とれていた。
「お??起きたかお主??」
と左廊下から誰かが話しかけてきた。
話しかけてきた方へ振り向くと、天犬おうかがそこに立っていた。
「あれ?おうかさん……?」
響音はおうかが居たことに驚く。
その後、ここは何処か聞こうとするが、その前におうかが答え始める。
「ようこそ、おうか達の支部、『狛犬支部』へ!」
この後、響音はおうかに支部内を案内されながら移動していた。
あの支部の周りに咲いていた桜は一年中咲いており、どうやらこの場所の神聖な力を受けて、散ることが無い桜と化していた。
そんな神聖な力を受けている場所でもあり、音響士としての支部でもあり、お社としてお賽銭やおみくじするために人々が訪ねてくる程、有名な場所でもあった。
「狛犬支部」の造りはとても和風で、なんだか心が落ち着いてくるのはこの造りのお陰だろうかなと響音は感じていた。
そんなお社の渡り廊下を歩いている2人、そして、目的の部屋に前に立つと、「さぁ、こっちじゃ」とおうかに部屋の中へ招かれる。
響音は恐る恐る入ると、そこはただ広い部屋で、まるで道場のような部屋であった。
部屋の中には大蜘蛛のノイザーと戦った時のメンバー、銀次やヒロ、桜達が居て、劉は包帯に巻かれていて、まだ完全回復してないのに銀次達と一緒に居座っていた。
そんな彼らに響音はまるで自分を待っていたような感覚を覚えた。
そして、響音の楽武である槍がこの部屋の壁に立て掛けてあった。
「あ!ここで預かっていたのか!」
と響音は急いで自身の槍を取りに行き、その後をおうかはゆっくりと歩いていた。
「おうかさん!預かってくれてありがとう!」
響音は自身の楽武を預けてくれたおうかへお礼を言うと、「どうもいたしましてなのじゃ!」とおうかは言ったが、その後、真剣な顔になり話し始める。
「……なぁ、お主に聞きたい事があるけどいいかの?」
そう話すおうかの顔は何処か覚悟を決めているような顔をしており、聞く事だけなのにどうしてそんなに真剣そうな顔をしているのだろうと響音は不思議に思っていた。
「?いいですよ?何の事だろう?」
おうかの聞きたい事に響音は何の事か分からずに頭にハテナを思い浮かんでいた。
……おうかは少し息を吐いて話し始める。
「……お主、音響士を続けたいか?」
「え……」
思っていなかった質問に響音は唖然と驚いてしまう。
だが、聞かれた事なので響音は自身の思っている事を答える。
「そ、そりゃあ続けたいよ。でもおうかさん、どうしてそう聞くんです?」
と答え、逆にどうしてそう聞くのか聞き返す。
響音の答えにおうかは「そうか……」と言い、戦闘の構えを取る。
いきなり戦闘の態勢取ったおうかに響音は驚き、
「え!?どうしてそんな臨戦態勢を取るの!?」
とその臨戦態勢の理由を求めた。
まだおうかは戦闘態勢を緩めずに、真っ直ぐ響音を見つめ、逃がさないよう捉えている。
「ここでおうかを倒して見せよ!!お主が音響士を辞める決意を固めなければ、この『支部』から出させないぞ!!」
とおうかは理由を答えてくれなかった。
響音は理由が分からないままの状態に心の中で(くそッ!!)と苛立ち、自身の槍を構え始める。
今、「狛犬」支部のリーダーであるおうかが響音の前に立ち尽くしていた。