響音の一撃がおうかに当たる。
あのおうかへ一撃を当たった事に、「狛犬」支部の全員は驚いていた。
だが、自身の身体を小さくした反動が響音に襲い、苦痛の顔を浮かべていたが、それでも倒れずに立ち上がっていた。
「……ここで負けちゃダメなんだ」
響音がふと話し始める。
それは響音の秘めていた覚悟の表れだと感じ、おうかはしっかりと耳を向けていた。
「自分は、目の前で両親を喰われて、本当は寂しかった!!」
「けど、そんな時に『夜空』支部の皆や、おうかさん達の他の音響士と出会えた事で段々と寂しさは無くなったんだ……」
「だからッ!!これからも皆と一緒に戦いたいから、音響士を辞めたくないんだッッ!!」
秘めていた気持ちをおうかへぶつけた響音、それは響音が持つ覚悟であった。
「……そうかっ」
とおうかはニヤッと笑みを浮かべていた。
そんな笑みを浮かべたおうかに、これから何かしてくると察し、響音は拳を構え、再び戦闘態勢を取る。
満足した答えを聞けたおうかは、右腕に付けていた錫杖(しゃくじょう)のキーホルダーへ左手を伸ばす。
その左手でなんと……引きちぎって取ったのだ!!
おうかの突然の行動に、響音は困惑していた。
引きちぎったキーホルダーを持ったまま、おうかは構え、こう答える。
「……解除」と。
そうするとキーホルダーだった錫杖は元の大きさの錫杖となり、がっつりとおうかの左手に収まっていた。
キーホルダーではなく、『ピアノ』の小さくの性質を利用した音弾の応用で小さくした本当の錫杖であった。
だが、ただの楽武の錫杖でなかった。
錫杖から漂う神々しく圧倒的な雰囲気に響音はより警戒する。
おうかは元の大きさに戻した錫杖を構えると、その先から雷の刃が現れ、その場の空気を重くする。
おうかの特異音弾は「狛犬召喚」、モチマルという狛犬を召喚する特異音弾であるが、錫杖自体が特別な力を持ち、狛犬が持つ雷の力を錫杖に込めて扱う事が出来る。
歴代の使用者が扱ってきた錫杖であった。
雷がゴオゴオと強く鳴り始める。
おうかが錫杖を使う事に、観戦していた劉達は戸惑い、ヒロが急いで響音に向けて、
「響音ヤバイッ!!逃げろッ!!」
と叫んでいた。
だが、響音は逃げなかった。
ここで逃げる訳いかないと強く思っていたからだ。
響音はそんなおうかへ対抗しようと、
「音弾装填、『狼爪脚』!!」
劉から得た音弾で迎え撃とうとしていた。
道場中がバチバチと電撃が伝わっていた。
その強さはリトの扱う雷よりも強く、それは神が扱う程の雷、『神雷』であった。
おうかは極限まで高まった神雷を響音へ向けて放つ!!
「行くぞぉ!!『神雷波』ッ!!」
神雷の刃が響音へと迫っていく。
迫ってくる神雷に響音は全力の技を放つ。
「いっけぇぇぇぇぇぇ!!」
響音の放った『狼爪痕』の爪の斬撃と神雷の刃がぶつかり合うが、神雷が爪の斬撃を飲み込み、そのまま響音へ襲い掛かる。
身体全体に脅威的な雷が命中し、皮膚を黒く焼き、焼ける臭いが漂ってくる。
やがて神雷が収まると、そこにいたのは、黒く焼けて倒れていた響音であった。
あまりに脅威的な雷であった為、死んだかと思われたが、まだ息をしていたので、劉達は安心していた。
そんな倒れている響音に対し、おうかは満足そうに笑い、
「うむ!!合格じゃ!!」
と響音の事を音響士として認めたという。
~「お社の狛犬」編 完~