音響士   作:かげかげ

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不穏の始まりの雨

 

 おうかとの激闘を終えて3日後、響音は自身の支部、『夜空』支部へ帰還する所だった。

 おうかの強力な一撃で、その3日間はベットで安静していて、今は万全に回復していた。

 

 おうかに勝てなかった事にまだ『夜空』支部へ帰れないと響音は思っていたが、目覚めてからいきなりおうかから「うん!帰って良い!」と言われた時は唖然としていた。

 そこで初めておうかは響音に、音響士としての覚悟を確認する為の戦いだと説明し、納得した。

 だが、早く帰りたいという気持ちの焦りで折角回復したのに、緊張感が解けてドッと疲れてしまった。

 

 響音がやっと『狛犬』支部から離れる日、おうか達は響音をお見送りする。

 その時におうかは響音へアドバイスをする。

 

 「響音よ、アドバイスとして、暫くの間、お主は特異音弾は使用禁止で、一般音弾と楽武で戦うように」

 

 と話した。

 つまり響音が覚えてきた『二重奏』、『ラビット・ステップ』、『狼爪脚』を使わずに、自身の身体能力と楽武で戦えと言う。

 

 まさかの事を言われ、どうして!?と響音は突っかかりそうになるが、おうかは

 「お主は自身の特異音弾に振り回されて、余計な体力を使っておる。それに、そればかりに頼ってばかりだと後からきっと大変になってくる」

 と話した。

 

 そのおうかの説明はしっかりと的を得ていて、確かに余計な体力を使っていると響音は初めて感じられ、今後の課題を見つけられた。

 

 そんなおうかとのやり取りを終えて、響音は今、コンバイ街から『夜空』支部へ向けて歩いていた。

 

 響音は歩きながら、特異音弾を使わないでどう戦うかと考えながら足を進めていた。

 「『二重奏』、『ラビット・ステップ』、『狼爪脚』を使わず……か……、戦えるだろうか自分……」

 と不安になっていた。

 

 その不安は天気にも影響されてたみたいに、太陽が全く見えない程曇り、まるでコンバイ街が元気無いようにやや暗かった。

 この天気を見て、なんだかこれから雨が降りそうだなと響音は嫌そうに思っていた。

 

 「早く帰らないとだな……」

 響音はそう呟き、急ぎ足で『夜空』支部へ向かう時……

 

 ピピピッ!

 

 自身のスマホから着信音が鳴る。

 スマホを取り出すと もか からの電話だった。

 一体どうしたんだろうと思い、響音は電話を繋げる。

 

 『あっ!響音大丈夫?怪我ない?』

 

 とその声は何処から焦っているように聞こえたが、どうやら心配していただからかなと思った。

 しかし、支部内の雰囲気は何故かドタバタとしているのが聞こえ、(なんかあったのかな……?)と響音は少し疑問になっていた。

 

 「うん、大丈夫だよ。長くなっちゃったけど、今から戻るね」

 「そういえば、なんかバタバタしてるの聞こえてくるけど、もかさんなんかあった?」

 

 そう響音は気になったので聞いてみると、急にもかの様子が少し変わり、その事を話すのが戸惑い始めていた。

 『え……え~と……』

 

 「……もかさん、お願い聞かせて欲しい」

 

 そう戸惑う もか に響音はお願いで畳み掛けると、やっと もか は話す決心をする。

 

 

 『……実は医務室に休んでいた らんま が消えたんだ……しかも「ごめん」だけ書かれた紙と支部のエンブレムを置いて……』

 

 

 そう もか は驚愕の事を話す。

 どうして消えたのか?

 何でエンブレムを置いたのか?

 色んな疑問はあるが、それら全部は分からず、今『夜空』支部の全員が らんま を探そうとしていた。

 

 らんま が消えた事に衝撃が走り、響音も らんま を見つけ出そうと走り出した。

 

 ……今、『夜空』支部に不穏な空気が流れ、雨がポツポツと降り始める。

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