真っ暗な夜から太陽が顔を出し、新たな1日が始まる。
この日が総合訓練の日で、もか達は朝早くから「ラビスタ」支部へ向かっている。
特にもかはまだ眠たいのか、大きな欠伸をしながら歩いている。
一体ラビスタ支部はどんな作りの支部なんだろう?
大きさどのくらいだろう?
など、全員がこれから総合訓練になる支部の雰囲気を予想していると、やがて辿り着き、まず最初の一言が……
「「「「「「「「で……でけぇ……」」」」」」」」
であった。
ラビスタ支部は他の支部よりもかなり巨大で、その大きさは東京ドームと同じく、様々な施設があるのが見ただけで分かった。
そう もか達が驚愕していると……
「ようこそ。『夜空』支部の皆さん方」
誰もいない筈なのに後ろから急に話しかけられた。
あまりに気配を消し、後ろへ回り込まれた事に、全員がすぐに後ろへ振り向き、それぞれの楽武へ手を伸ばす。
それに対し、後ろへ現れた彼は、「すまないすまない」っと慌てて謝り、彼が持っていたハットから人数分のカップに入った紅茶を取り出し、もか達へ渡す。
ただの帽子から紅茶を取り出した動きに、全員が「おおっ」と驚き、彼はマジシャンであることを察した。
「失礼、私はラビスタ支部所属の竹花 文明(たけはな ぶんめん)。お出迎えに参りました。」
と文明は話し、支部内の案内をしてくれる。
もか達は貰った紅茶を恐る恐る飲んでみたが、とても香りが良く、美味しく飲んだ。
ラビスタ支部内はやはりかなり広く、食堂や資料室、会議室などの沢山の施設があり、現代人の他に、動物種、未来人などの多くの音響士達が居座っていた。
そんな多くの種族に、響音は目を輝かせて、周りをキョロキョロと見渡しながら文明に付いて行く。
文明に付いて行ってると、
「お!響音じゃん!お久しぶり!」
と誰かが駆け寄ってきた。
響音は誰だろうと思い目を向ける。
「やこさんとちぎりさんだ!お久しぶりです!」
黒狼、白崎、響音の3人が初任務の時にお世話になった やこ と ちぎり の2人であった。
黒狼と白崎も「「お久しぶりです!」」と挨拶をし、もか達は初めて顔を合わしたので、互いに自己紹介をした。
「ほんま響音達とまた顔合わせられて嬉しいよ~元気やったか??」
「今日君たちがいるって事は、今回の総合訓練に参加だよね?皆さん宜しくね!」
と、やこ と ちぎり は明るく話しかけてくる。
そんな2人の性格に、もか達は朝から感じていた総合訓練への緊張感は少し和らぎ、ホッと安心出来た。
「さて、もうすぐ開会の挨拶が始まるから行きましょうか。やこさんとちぎりさんも行きますよ」
と待ってくれていた文明は、そろそろ会場へ向かおうと言う。
文明に言われた2人は「「はぁい」」と返事をし、もか達と一緒に向かう事となった。
「着きましたよ」
と文明は言い、目の前の扉を開ける。
そこに広がっていた光景に響音は……
「これが……総合訓練……!」
そう声を漏らす。
今、このラビスタ支部に何十箇所の支部の音響士が集まっており、まるでお祭り会場となっている。
この光景には、もか達も驚き、目を丸くする。
「お!響音見ろ!『水面』支部もいるぞ!」
「本当だ!……あ!『狛犬』支部もいる!」
黒狼は「水面」支部の卯沫達を見つけ、響音は「狛犬」支部のおうか達を見つける事が出来た。
「さて、もうそろそろ開始の挨拶が始まるからここで待っていて下さいね」
と文明は案内を終えて離れる。
やこ と ちぎり の2人も「待たね!」と声を掛けて、文明の後に続く。
そして、今、総合訓練は開始された。
開会の言葉を終え、多くの音響士が交流を始める。
「僕達も始めたいけど、この中で誰に学ぼうかな?」
と もか は言い、「そうだなぁ……」と全員が悩んでる中……
「君たちが『夜空』支部?響音君いたら僕とお相手良いですか?」
と誰からか声を掛けてきた。
その声色はとても爽やかであった。
誰だろう?と一同が顔を向ける。
「僕は丁嵐 丁(あたらし てい )。このラビスタ支部の音響士であり、配達員さ」
と自己紹介をする。
その姿は確かに配達員の姿であり、彼とトレードマークである帽子とマフラーがとても似合っていた。
丁に指名された響音は目をぱちくりし、
「え~と、自分ですか?」
と、まさか全く交流のない支部の音響士から声が掛かるとは思っておらず、驚いていた。
「そう!君だよ!一回相手になって欲しいと思ったからさ!」
丁は響音が居たことに、声を大きくし喜ぶ。
「実は僕は、ちぎり の兄で、君の事を聞いていたんだ。そして、いつか戦ってみたいと思っていたから、こうして出会えて良かったよ」
と、どうして響音を知ったかを丁は話す。
「「「え!?ちぎりさんのお兄さん!?」」」
と、これには響音の他に、白崎と黒狼も一緒に驚いていた。
そんな驚く響音達に丁はニヤニヤと面白がっていた。
「ということは、君たち2人が黒狼君と白崎君だね?それなら君たちも一緒にどう?」
と、丁は2人も誘って、1対3で模擬戦をしようと考える。
「え、3体1ですか……?」
「そう、こう見えて僕は3体1でも戦えるよ」
黒狼は不安になって聞いてみたが、丁は余裕そう戦えると話す。
そんな丁の様子に白崎は、
「おい、これ俺達の事を舐められてないか?」
と、黒狼と響音に聞こえる程のボソボソ声で話す。
「いや、丁からはそんな雰囲気は感じられない。本当に俺達3人でも戦える気配を感じられる」
「自分も黒狼さんと同じ、かなり強い雰囲気を感じるよ」
と、黒狼と響音の2人は丁の実力を雰囲気で感じられ、「マジかぁ~」と白崎はいきなり強敵との戦いに肩を落としていた。
黒狼達3人は話し合いを終え、丁へ向き合う。
「分かりました。俺達3人で戦います」
と伝え、丁は待ってましたとやる気を出す。
黒狼、白崎、響音の3人対、丁1人の模擬戦が始まろうとしていた。
「登場人物紹介」
・竹花 文明(たけはな ぶんめん) 現代人
ラビスタ支部の音響士であり、マジシャンをしている男性。しっかり者であり、優雅な姿でたたずんでいる。
彼の使う楽武はハットであり、マジックを駆使してノイザーと戦う。