音響士   作:かげかげ

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実践編 中盤

 「ハァ…ハァ…」

 白崎はただいま朽ちた街の中を走っていた。

 そして、装備している「楽武」は、片手には小さな盾を、もう片手には振りやすいサイズの剣を持っており、使っている「楽武」は片手剣だ。

 

 今、「音響士試験」の実戦が始まり、30分間のサバイバル中であった。

 受験者全員が試験用の「楽武」を装備終えると、受験者それぞれ、この実戦の場に降ろされる場所が指定されており、移動用の車で降ろされた。

 

 白崎はこの片手剣なら使いやすし、小さいが盾もあるから安心だと思い選んだ。

 黒狼は昔、軽く剣道をやっており、その為黒狼が選んだのは刀であった。

 あのヘッドホンの青年、響音は槍を選んでいた。

 

 黒狼と別れた白崎は、1人だと危険だと判断し、黒狼と一緒に戦おうと黒狼を探している。

 確かにこの実践は個人個人で競うような雰囲気であるが、チームを作っては駄目というルールはなかった。

 なので、下手したら1対2など不利な状態とかが出来る為、白崎の判断は正しかった。

 

 白崎は黒狼を探していると、何処からかバイタルの音が聞こえてくる。

 それはこの実戦の場所で、受験者同士が戦い、片方が勝ち、片方が敗れた事の知らせの音であった。

 そして、壁側に大きなモニターがあり、それぞれ受験者の顔写真が写され、敗れた人にはバツのマークがつけられていた。

 ただいま残された受験者は白崎含め、15人程度になっていた。

 残り時間はあと15分。

 

 それには白崎は

 「…!! もう戦ってんのかよ!?」

 と驚き、心の中では傷つけられる恐怖が出ていた。

 だが、まだ黒狼は倒させてなく、黒狼の顔写真にバツマークが付いてない。その為、早く黒狼と合流しなければの気持ちが出ていた。

 

 そんな急いでる白崎を見つける他の受験者がいた。

 その受験者が使っているのは飛び道具の銃であり、スナイパーライフルだ。

 この試験に使われている銃の弾は「気絶弾」と言われる特殊な弾で、相手の体に命中すると強烈な振動を与え、気絶させる事が出来る弾であった。

 そして、受験者でもやはり「音響士」として選ばれる才能があり、スナイパーライフルで白崎に狙いを定めていた受験者はより強力な一撃を与える為に念じながらこう呟く。

 

 「…『音弾装填、フォルト』」

 

 そう呟くと、持っているスナイパーライフルが少し輝き、発射される弾の威力が上がる感覚がその受験者に伝わった。

 フォルトは「一般音弾」の一つで、その能力はシンプルにそのまんまの意味で「強く」である。

 つまり通常の威力と違い、より火力が出る「一般音弾」である。

 

 フォルトの力を得た受験者は、引き金を弾き、その弾を白崎へ向けて放つ。

 発射された弾はスナイパーライフルから光を貰い、そのまま白崎へ向けて飛んでいく。

 白崎はそのスナイパーが後ろにいるのを気づいてない。

 これには白崎がやられると思われた。しかし…

 

 「よっと!!」

 と白崎の頭上から誰かが落ちていき、その放たれた弾を持っている槍で叩き落とす。

 急に人が落ちてくる音に白崎は驚いて振り返り、スナイパーは驚愕していた。

 

 その隙を見逃さなかったのか、弾を叩き落とした後、直に持っている槍をスナイパーへ槍投げの要領で投げる。

 スナイパーはまだ驚いてたので、飛んでくる槍の餌食になったのか、投げられた場所に砂煙が立ち、そこからバイタルの通知音が鳴る。

 

 白崎はそんな光景を目にし、今目の前にいる受験者へ怖がりながらゆっくり目を向ける。

 この試験で1人しか付けてないヘッドホンが目に入る。

 そう、白崎の前に現れたのは響音だった。

 

 「刺さらないの分かるけど、結構強めに投げちゃったから大怪我してないといいな…」

 と響音は結構強く投げてしまった事に対して不味いかもと思い、急いで槍を取りにいく。

 この試験で使われる接近戦の武器は全部刺さらない、切れないの模擬の武器であるが、あの響音の投げた槍にはかなり危ないのを白崎は感じていた。

 

 「本当に何者なんだよ響音…」

 と後から来たのは、白崎が探していた黒狼であった。

 まさかのここで黒狼と合流出来た事で、白崎は安堵していた。

 

 「…まぁ、こうして一緒に白崎を探してたんだ」

 と黒狼は響音と一緒に行動していた理由を話していた。

 黒狼も同じく白崎を探していたが、道中で響音が他の受験者と戦いながらいたが、あまりの数に疲れてたから隠れて休んでいた。

 それを黒狼は見つけてしまい、戦闘になると思われたが、その時響音が「なんか疲れてるから休みたい。戦うならもう少し時間が経ってからお願い。」とマイペースに言い、調子抜けた。

 お互いに休憩しながら自身の過去を話したら、「よし!一緒に戦おう!」と響音が言い、こうして一緒に白崎を探していたという。

 

 それを聞いた白崎は唖然としていた。

 なんてマイペースな人なんだと。

 

 これにはスカウトに来ていた音響士の皆さんも

 (なんか凄いマイペースな人居るんだけど…)

 と思い、もか達は何故か凄い恥ずかしくなっていた。

 

 そんな話をしていると残り時間はあと5分となり、残り人数10人となっていた。

 もうすぐでこのサバイバルが終わるという安心感を白崎と黒狼は感じ始めていたが、そこへ他の3人の受験者が現れる。

 

 「待ちな」

 とその3人の中でリーダー格の人が響音達を呼び止めた。

 丁度目の前にそのリーダーが居て通れなくなり、背後に2人が立ち、後ろの通路を塞いだ。

 これは戦うしかないと察し、響音達はそれぞれの「楽武」を構え始める。

 

 「俺は雄大(ゆうだ)、優秀な音響士になるために有名な陣営に入るため、倒させて貰おうか」

 とリーダー格の人、雄大は持っていた試験用の「楽武」ロングソードを構え始める。

 

 雄大は現代種、響音達と同じこの世界の人種であるがとても筋肉質で、ロングソードの一撃が大剣並の威力になりそうと響音達は感じた。

 他の2人は雄大と比べそんなに筋肉質でなく、扱いやすい盾なしの片手剣を構え始める。

 

 今、実戦最後の戦闘が始まる。




「登場人物紹介」
 雄大 勝斗(ゆうだ かつと)現代人
  響音達の前に立った大柄の筋肉質な男。
  昔、やんちゃしていたのか、かなりオラオラな感じの青年であった。
  その筋肉で敵を倒す事が出来る彼だが、実はお化けがかなり苦手なのは何とか隠そうとしている。
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