30分間の実戦を終え、次は各陣営のスカウトが始まる。
スカウトが始まる前に実戦に参加した受験者達の傷を癒す休憩時間となっていた。
音響士には戦うだけではなく、傷を癒す音響士もいて、音響士の救護班として一緒に戦っている。
やはり音響士なので、「楽武」を持っているが、その力は相手を癒す効果が持つ「楽武」である。
響音達も実戦で傷つけられた所を診て貰い、治して貰っていた。
受験者達は今、休憩室で診て貰いながら休憩しており、皆が先程の実戦でぐったりとしており、少し仮眠を取ったり、お菓子等の軽いものを食べていた。
響音、白崎、黒狼の3人は一緒に椅子で休んでおり、響音はあんまり目立つ傷はないが、白崎は右頬に軽い切り傷がついていたので、絆創膏がそこへ貼っており、黒狼は実戦の刀を振りまくったので右肩を痛め、湿布を貼っていた。
黒狼もあの最後の戦闘で、ギリギリの戦いをし、なんとか勝てた所を実戦終了のアラームが鳴った所であった。
「ところで響音?なんで雄大と俺を戦わせたんだ?戦っている間、ずっと気にはしてたが」
丁度右隣の椅子に響音が座ってたので、思っていた事を白崎は話す。
それには黒狼も同じで、響音の左隣の椅子から聞こうとしていた。
白崎が聞いてきた事に対して、響音はどう言葉に表現するか考え、相手に伝わるように頑張って話してみる。
「あ〜、なんていうかな?この試験会場に入った後に色んな人の様子を軽く見ていたんだ。そりゃあ緊張や不安いっぱいな人、それに対して自信満々な人が多かったのを感じていたんだ」
「この実戦の時に、黒狼から白崎の事を聞いて、結構自信がない事は聞いてたし、頑張ろうとする気持ちがあるのも伝わってたから、丁度雄大が現れた時、ふと白崎と戦わせた方がいいかなって思ったんだ」
「結構無理やりな感じで悪かったけど、白崎もやれるんだって思ってほしいのがあったし、白崎が持っている『音』もなんだか自身を隠している感じに聞き取ったからなんだ。白崎の持っている『音』はそんな自信を無くすほどの『音』ではないから」
と響音は白崎に伝える。
それには白崎ははぁ?と疑問になっていた。
(確かに俺は自信なかったのあったけど、そんな軽い思いつきで戦わせたのかこの人は!?)
と白崎は驚きながらそう思っていた。
本当になんなんだこの人は、あんな強そうな人と思いつきで戦わせて…
だけど、あんな人に俺は勝てたんだよな…
それについては俺自身でも驚いてるし、今でも盾で殴った左手に熱が入ってるのか熱し、そんな悪い熱じゃないな…
ただやっぱりこいつは変人や
なんか『音』って言ってるし
と白崎は不機嫌にしていた顔を緩め、自身の左手の熱を確認するかのように開いたり閉じたりし、何処か自信がついているように響音と黒狼は見えていた。
「そういえばあの雄大の一撃、よく盾で防げたの俺自身で驚いてるけど、『ピアノ』にあんな力あるのか?」
そう思い出した白崎は響音に聞いてみる。
それを聞いた黒狼も『ピアノ』が違う使い方が出来た事に驚き、興味を示している。
それに対して響音は説明を自身の経験で始める。
「確かに『ピアノ』は攻撃を与えた相手を弱体化させる一般音弾だけど、実は応用があるんだ」
「白崎が盾で防げたのがその応用で、盾で触れた攻撃の勢いを弱めるって事も『ピアノ』が出来るんだ!」
「『ピアノ』がそう出来たなら、『フォルト』でも何か応用が出来るかも!いや!もしかして色んな応用があるかもしんない!」
と語り始める響音は、段々と楽しくなり、まるで小さな子供みたいに楽しく説明して、白崎と黒狼はほんと不思議なやつだなと聞きながらそう思っていた。
「そろそろ休憩を終えて、音響士からスカウトが始まるから移動するぞ。動ける準備をしてくれ」
ともうすぐスカウトが始まる事を審査員が休憩室に入り、休んでいる受験者達へ伝えた。
そろそろかと受験者達は何処にスカウトされるのか?
それとも、スカウトされないで何処も所属しないで戦うようになるのか?
緊張感と不安が混じっている気持ちで、受験者達は休憩室に出た。
また審査員の後を受験者達はついて行くと、また違う部屋の扉がある。
その扉は実戦の部屋に入る時の扉ではなく、ごく普通の扉であるが、そこでスカウトが始まると察した受験者達は、その扉から凄い気迫が放っているように見えていた。
「では、入るぞ」
とそんな受験者達の気持ちとは違い、審査員はその扉を何も感じないで開ける。
そこには、あんま物が置いてない部屋であるが、目の前には横長に横テーブルが並び、それに比例して、誰かが座っている。
いや、受験者達なら察して分かっていた。
彼ら彼女らが音響士の精鋭の人達だとという事に。
「ここからは受験番号で呼んで、音響士の皆さんの前に立ってもらう。そこからどの陣営にスカウトされるか始まる」
と審査員は今いる受験者の受験番号を取り出しながら、スカウトを始めるようとしていた。
「では、受験番号5、前へ」
審査員がそう言うと、一気に空気が重く感じ、スカウトが始まった。
スカウトが始まってから何分か経つ、そんな何分間が何時間経っているとその場にいた受験者はそう勘違いしていたという。
やはりスカウトされる受験者はいるが、スカウトされない受験者もいて、選ばれたいのに選ばれなかったと悔しがっていた。
「次、受験番号51、前へ」
と次の人の番号を審査員は言う。
俺の順番かと白崎は前へ行く。
黒狼は白崎の前に呼ばれており、2〜3つの陣営からスカウトされたが、その中で選んだ陣営は『夜空』という支部を選んだ。
…もし俺も『夜空』に呼ばれたら、そこを選びたい
と心の中で白崎は思い願いながら、音響士の精鋭達の前に立つ。
精鋭達の前に立つとより緊張感が強くなる。
白崎が前に立つと直に6〜7つの陣営の音響士が手を上げる。それには白崎を見ている受験者達は驚きの声を漏らす。
手を上げた陣営は、かなり強者が入っている陣営が手を上げていて、白崎はその陣営にも気になるが、その中に黒狼が入った『夜空』も手を上げていたので、白崎は迷わずに『夜空』を選んだ。
親友と共に戦える事で安心感があるので、願っていた『夜空』が手を上げていたのに白崎は喜びを感じていた。
白崎のスカウトはこれで終わり、次の受験者のスカウトがまた始まる。
「次、受験番号60、前へ」
最後に呼ばれた受験番号60、60の番号を持っているのは響音で最後に呼ばれた。
響音が前へ立つと、白崎と同じように6〜7つの陣営が手を上げる。
また白崎と同じ数の陣営からスカウトが出た事でスカウト終えた受験者達は驚く、しかし、白崎とはより驚いていた。
それはきっと試験会場の前で、ヘッドホンを外した時にかなり苦しんだ状態の受験者が、まさかここまでスカウトされている事でより驚いたからだ。
ここまで響音を求めるのかは、きっとスナイパーからの弾を持っている槍で叩き落としたからである。
手を上げた陣営の中には、やはり強者揃いの陣営もあるが、響音には心に決めていた陣営があった。
それはここまで自身を強くさせてくれた人達で、両親を「ノイザー」によって殺され、自分1人の子供なのに、まるで家族のように接してくれたのが今スカウトとして来ている。
そんな彼らの陣営の名は『夜空』…
もか達が今目の前で手を上げている。
だから自分は皆と一緒に戦いたいと願っていたんだ。
響音は迷わずにスカウトしている陣営から1つを選んだ。
「『夜空』でお願いします!!」
これで白崎、黒狼、響音がもか達の陣営『夜空』のメンバーとして戦うようになった。