あの「音響士認定試験」を終え、黒狼、白崎、響音の3人は初の任務に向かっている。
その任務の内容は
『ただいま妖精界で、エルフの村人1人1人が消えている。最初は迷子ではないかと森の中を村の捜索隊が探したが1人も見つからなかったという。そこへ他の音響士も送ったが見つからず、増援として黒狼、白崎、響音の3人はそこにいる音響士と共に解決してくれ』
という任務をそれぞれのスマホに受け取っていた。
音響士になってから少し経った時に初の任務だったので、3人にかなりの緊張感が走る。
妖精界に行くには別の世界と繋がっている「ゲート」に入らないとそこへ辿り着けない。
なので、3人はただいま「ゲート通過所」というゲートの現れた場所に設備を投資し、沢山の種族が通りやすくした建物へと向かう。
「音響士」に認められた事で、3人に合う「楽武」が決まる。
黒狼と白崎は実戦で使ってた「楽武」と同じく、刀と片手剣と小さな盾だったが、響音だけは既に自身の「楽武」を持っており、届いた「楽武」を返したのだ。
響音が持っている「楽武」は、実戦と同じく槍であるが、その槍は不思議なボタンが付いており、そのボタンは何なのか聞いてみた黒狼であったが、それは見てからのお楽しみって事で内緒にされた。
その槍は睦月が響音に渡す為に作られた「楽武」であり、響音は早く使いたいと願っていた「楽武」であった。
電車やバスを使い、響音達3人はやっと目的の「ゲート通過所」へと辿り着く。
初めて「ゲート通過所」に着いて3人はこう思った。
…あれ?なんか駅みたいな場所だな
そう「ゲート通過所」の作りはまるで駅であり、ロータリーやタクシー、駐車場もあり、近くにはカフェなどのお店も展開されている。
そんな「ゲート通過所」の売られている商品は、こちらの世界の売り物もあるが、その先の世界の売り物も売られていた。
ここの「ゲート通過所」は妖精界なので、何か儀式に使うような道具や、お守り系なのが沢山売られていた。
そんな「ゲート通過所」に3人は任務で生死を掛けた戦いをするのに浮かれてしまい、まるで修学旅行をしている学生さんみたいに楽しい気持ちが溢れてしまう。
だが、そんな気持ちになってはいけないのを忘れてはないので、3人は妖精界に続く「ゲート」に向かいながら、「ゲート通過所」の内装を見て楽しむ事にした。
「さて、目的のゲートの前に着いたが…怖くね?」
そう黒崎は口を溢す。
ただいま3人、目的の「ゲート」の前に着いた。
「ゲート」がある部屋の内装は、小さな部屋となっていて、2〜3人が入れる部屋となっている。
そこの部屋だけでなく、妖精界に繋がる「ゲート」はいくつかあり、2〜3人入れる部屋が沢山あった。
そして、目的の「ゲート」は扉状になっており、そのドアノブを開くと、人が吸い込まれる程の吸引が発生するのを聞いており、黒狼と白崎は開くのを躊躇している。
だが響音はそうではなく、興味津々の子供のようにその扉の全体を見てから、ドアノブを触るだけにしようと手を伸ばす。
それには黒狼は、「おい!?間違えて開けるなよ!?」とまだ心の準備が出来てないから響音にそう言い、響音は
「大丈夫だよ〜ドアノブさえ回さなければ〜」
とドアノブに手をかけたその時、
「…あ」
響音から拍子抜けした声が聞こえる。
しかも、その「ゲート」のドアノブを開いてしまう。
それには黒狼と白崎は一瞬思考が停止する。
何故響音が拍子抜けした声をあげたのかは、響音のドジで、何もない所に足を躓いて、その勢いでドアノブを回したからである。
そんなまぐれな事はそうそうないのに、響音はやってしまった。
開き切った「ゲート」から、響音達3人を吸収し始める。
かなりの吸収力だったので、例え足を踏ん張っても耐えることが出来ない程、今いる人達を吸い込もうとしていた。
黒狼と白崎は吸い込まれながら、とんだドジを踏んだ響音に対して、
「「響音ぇぇぇぇぇえ!!」」
と責め、響音は自身のドジが原因と分かっていたので、響音も吸い込まれながら
「ごめんんんん!!」
と叫んでいた。
全員を吸い込む事が出来たか「ゲート」は、開いたり扉を勝手に閉じ始め、ガシャンと扉を閉めた。
響音達は「ゲート」に吸い込まれていると、やがて妖精界へと辿り着く。
妖精界は様々な妖精が住み着く神秘的な世界となっており、ほとんどが自然の物で作られている。つまり、機械や鉄が全くない、木々と共に生きる世界となっている。
その世界は魔力を資源として活用する事が出来、それを活かした道具が沢山ある。
そんな世界に響音達が住む現実界と繋がる「ゲート」が勝手に開き、そこから3人が出てくる。
初めての「ゲート」だったのか、3人とも着地が上手くいかず、ドミノ倒しみたいに1人の青年へ2人が重なっていた。
「イテテ…つ…着いたのか?」
と「ゲート」に吸い込まれている中、最初に気がついた白崎は目を開けて妖精界の風景をみる。
現実界と比べ、鉄が無く、自然で出来た物、例えばこの木々を活かしたのか、この「ゲート」は木製の扉となっていた。
そう違う世界に辿り着いたんだと白崎は感心していると、下から声が聞こえた。
「……おい、白崎早く降りてくれ、死ぬ」
と苦しそうな黒狼の声が聞こえ、白崎は下を見る。
下には黒狼とまだ気絶している響音もいて、一番下には黒狼が潰されていた。
それには白崎は驚き、「わりぃ!!」と謝って直に退いた。その時に気絶している響音も退かした。
大変な目にあったと白崎と黒狼は思い、気絶から目覚めた響音は自身のドジにやってしまったとあははと苦笑いをしていた。
そんな3人は「ゲート」の部屋から出ると、誰かが気づいて声をかける。
「あんたらが呼ばれた音響士〜?」
と姉御口調の女性が声をかけてきたので、響音達3人はその姉御口調の女性へ顔を向けた。
その女性はここの住人ではなく、狐耳を生やした和服の女性で、狐の尻尾が2本生えている。
きっと彼女は妖怪種である九尾の一族だと3人は理解した。
それだけでなく、彼女の胸に付けられているエンブレムを見て、彼女は音響士だと理解した。
そんな彼女を見ていると、彼女の後ろから中華服の女性と、たぬきの女の子が後から来て、
「増援の音響士って来た?やこちゃん?」
と中華服の女性がそう言っていた。
「心配しなくても今来てもらった所やで、ちぎりん」
と、やこと呼ばれた九尾の女性は、響音達3人の方へ視線を向けるように動いて顔合わせをする。
ただいま妖精界に出会えた3人の音響士と合流することが出来た。
「世界観紹介」
ゲート
これはある日他の世界と繋がった時に発生した黒い渦。
それを通って他の世界へと足を踏み入れる事が出来る。
ゲートは自然に発生する事もあり、ゲートが発生した場所を駅前のような「ゲート通過所」という場所を建築し、お互いの世界へと干渉し合っている。