球磨川のアニキにさ厨二病真っ只中の時期に会っちゃうとさもうそりゃ影響されまくるよねって話
カガスト王国オルフー城玉座の間
いつもは荘厳ながらも明るい雰囲気のあるこの空間は、今は緊張感に満たされていた
煌びやか絨毯の敷かれた床には複雑な紋様で書かれた巨大な魔法陣が展開され光を放ち
その場にいる人々はまるで何かが出てくるのを待っているかのようにその魔法陣を見つめていた
そんな人々の中のひとりであるメラニーは緊張から自身の隣にいる先輩に話しかけた
「あ、あのエミリー先輩。ほんとにあそこから勇者様が出てくるんでしょうか?」
「なんだメラニー、緊張してんのか?」
「そりゃ緊張もしますよ。だって百年に一度来る勇者様を私みたいなのがお相手するんですから」
「そんな気張るなよメラニー、お前が同年代の中で一番成績が良かったんだ。お前なら本物の勇者様相手にもうまくやれるって」
「はぁ、そうだと良いのですが」
メラニーが先輩に励まされている間にも魔法陣は輝きを増し
ついには目も開けられないほどに光り輝いた
そしてメラニーが目を開けるとそこには四人の人影が現れていた
「うおっ何だここ⁉️」
「あれ、私教室にいたはずじゃ…」
「この現象は一体…?」
現れたのは四人の統一された服を着た若い男女だった
突然の出来事に戸惑う彼らへ国王が笑顔で進み出た
「おお!待ち望んでおりましたぞ異世界の勇者様方!わたしはカガスト国王クリストフと申します
どうか皆様我らをお救いください!」
普段の姿からは考えられないほど謙虚な言動をとる国王
そしてそれを見た勇者達は自分の今の状況を理解したらしい
「えぇ!これってもしかして異世界召喚ってヤツ⁉️」
「あっ!ていうかよく見たら結衣ちゃんと小林じゃん!」
「ふむ、こんな偶然もあるんですね」
勇者の内、三人が顔見知りだったらしく三人ではしゃいでいた
そんな三人の話を遮るかのように国王が咳払いした
「おっほん、勇者の皆様。よろしいかな?」
「あっすいません。お話遮っちゃって」
「いえ構いません、では改めてまして。よくぞおいでになられました勇者の皆様!
私は国王クリストフ、このカガスト王国を治めている者です。勇者様達のお名前を聞かせてもらっても?」
国王が勇者達に名を尋ねるとまず一人の少年が答えた
「オレ、
トモヒロと名乗った少年は短髪でなにか武道でもしているのか他の勇者に比べて体格ががっしりとしていた。次に勇者の中で唯一の少女が名乗り始めた
「私の名前は
ユイと名乗った少女は小柄で可愛らしくキラキラと目を輝かせていた
そして二人目の少年が名乗った
「僕は
ユウスケと名乗った少年は知的な雰囲気をしており眼鏡をかけ手足は細く長かった
最後に四人目の勇者が名乗る番となったがその少年はなにやら手に持つ本に夢中なようで
先程から一度も本から目を離していなかった
「おい、お前の番だぜ」
トモヒロが肩を叩き話しかけるとその少年は初めて自分の状況を確認したようだ
『あれ?ここは一体…僕はコンビニでジャンプの最新号を立ち読みしていたはず』
なにやら意味のわからないことを言って少年は辺りを見回すとようやく何が起こったのかを理解したようだ
『もしやこれは…異世界召喚ってやつかな?!いやー、一度は異世界召喚されてみたいとは思ってたけどまさか実現するとは!』
少年は自分の状況を理解しても戸惑う事なくヘラヘラと笑っていた
そんな少年に国王は笑顔を崩さず話しかけた
「勇者様、私は国王クリストフと言います。あなたのお名前を聞かせてください」
『ふーん、これは王道ファンタジーって感じかな?まっいいやそれより名前だっけ』
相手が国王だとわかっても軽薄な態度をとる少年
そしてもったいぶるように言葉を切ると
『はじめまして、僕の名前は
シーン
ミソギのふざけた名乗りに誰も笑わない
『あれ?おかしいな、前やったときはみんな爆笑してたんだけどな』
そんなことをつぶやくミソギをその場の全員が白い目で見つめる
国王は気を取り直して勇者達に語りかけた
「異世界から召喚されし勇者の皆様、なぜ我々が貴方がたをここに召喚したかと言うと──」
『はいはーい、質問質問!』
国王が厳かに話し出したのも構わず口を挟むミソギ
その遠慮のない態度にイライラしていた様子だったユウスケがついにキレた
「君、もう少し言葉を慎めよ。君のせいでいちいち話が止まるのは面倒なんだよ」
「ちょっちょっと祐介君!言い過ぎだよ!」
語気を強めてミソギを非難するユウスケとそれを咎めるユイだったが
ミソギは二人を無視して質問した
『この世界に召喚したってことはあっちの世界に帰る方法もあるってことでいいかな?』
召喚されてすぐに帰ろうとするのは想定してなかったのか国王は少し面食らうが持ち直して答えた
「すまない、我々には召喚することはできるが元の世界に帰すことはできない。勇者召喚の儀式は女神様からの賜った奇跡であり、再現・改造をすることは我々の技術力では不可能なのだ」
『へえ、なんだか初恋みたいだね』
ミソギの適当な喩えを聞き流して国王は話を戻した
「それで、我々が貴方がたを呼んだ理由は我が国を脅かす魔王を打倒してほしいのです!」
国王の言葉が終わると同時に私達が前に出る
「この者達は勇者様達の道しるべとなる者たちです。詳しい事はこの者達からお聞きください。
それでは勇者様方!幾千の試練を乗り越えて魔王を討ち取ってください!」
「おっしゃあ!燃えてきた!」
「うん!頑張ろう!」
「まあ、落ち着いて行きましょう」
どうやら三人は今から行われる旅にワクワクしているようだ
『・・・』
そんななかでもミソギだけが不気味にニヤニヤと笑っていた
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「はじめまして、ミソギ様!私はミソギ様の道案内をさせていただくメラニーです!
よろしくお願いします!」
自分の担当となったミソギにできるだけ明るく挨拶する
ミソギはこちらを上から下までじっくりと眺めた後に口を開いた
『はじめましてメラニーちゃん。とりあえず二つほど質問があるんだけど良いかな?』
「ハイ!構いませんよ」
『まず、僕は具体的に何をすればいいのかな?とりあえず魔王を螺子伏せればいい感じ?』
「ね、螺子伏せる…まあそういう認識で構いません。勇者であるミソギ様には魔王を倒す旅にでてもらい、道中で困っている住民を助けながら最終的に魔王を倒していただきます』
『ふーん、なんというかテンプレ過ぎて今じゃ逆に珍しい設定だぜ。じゃあもちろん着の身のまま送り出すなんてことはないだろう?』
「はい、国王から冒険に必要な装備と資金を預かっています」
そう言ってミソギに鉄の剣と冒険者の服、500ゴールドを手渡した
『やっぱり本物はちゃんとしてるね、そもそも魔王倒すのに銅の剣と五十ゴールドしか渡さないのは死んでこいって言ってるようななもんだぜ』
ミソギは剣を手に取ったり、服を広げたりしてみた
そして少しした後、剣と服を返してきた
『やっぱりこれはいらないかな、僕にこんな装備は似合わないや』
「えっじゃあどうやって戦うんですか?」
『そうだね、僕はもっぱらこいつかな』
そう言うとミソギはどこからともなく巨大な螺子を取り出した
「そ、それはミソギ様の
『?なんだいギフトって』
「えぇ…知らずに使ってたんですか。ミソギ様、ギフトと言うのは文字どうり女神様が魔王を倒すために勇者様へお与えになった奇跡のことです。様々なギフトが今まで確認されていますがミソギ様のは螺子を出すギフトなのでしょうか?」
『…うん、どうやらそうらしいね』
ミソギはどうやら微妙に使い所のわからないギフトを授かったらしい
戦闘能力は低そうだが一応戦えるらしい
『それで最後の質問なんだけどさ今日のパンツの色を教えてもらっていい?』
「ああ、今日履いて来たのは赤色…って何言わせるんですか‼️」
まるでなんでもないことのように自然とパンツの色を聞かれつい答えてしまう
思わず手が出てしまった
『おっと、ははは メラニーちゃん意外と大胆なの履いてるんだね。地味な子が大胆な色履いてると興奮するよね』
「しません‼️まったく、あなたは我が国の希望である勇者なのですよ!そんな下品なこと聞かないでください!」
『まさかの僕が希望とは、世も末だね』
反省の色がないミソギにイライラするが自分の仕事を思い出し冷静になる
「コホン、ミソギ様。我々はこれから王都をでて北方の都市グストラへと向かいます。そこには冒険者協会の本部があります。ミソギ様の言動のせいで他の勇者様から避けられてパーティーが組めないのですから、そこで旅の仲間を雇ましょう。私達二人で魔王討伐なんて無理ですからね」
『僕としては縛りプレイでもいいけど、メラニーちゃんの言う事も一理あるね』
なにかまた意味のわからない事を言っているがどうやら行先については同意してくれたようだ
「では早速向かいましょう、今のうちに出れば日の入りまでには中間にある村へつけます」
『そうだね、思い立ったが凶日って言うし』
「あの、吉日では?縁起の悪いこと言わないでください」
まだ出発もしてないのに私は先のことを考えて少し憂鬱になった
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『う〜ん、そろそろ最初のスライムにエンカウントしてもいい頃だと思うけどな〜』
王都を出た私達は村までの平坦な道を歩いていた
周りは一面に野原が広がっていてちょっと昼寝でも出来そうなくらい平和だった
「それはありえませんよ、こんな王都の近くに魔物なんて出るわけないじゃないですか。
それにミソギ様は魔物に遭遇したらどうするんですか?」
『ん〜とりあえず逃げるかな』
「えぇ…戦うんじゃないんですか?」
『いやいや、何言ってるんだいメラニーちゃん。僕は雑魚と呼んだら魚に悪いと言われた男だぜ。
メラニーちゃんが戦ったほうがよっぽど勝率があるよ』
ミソギの冗談かどうかわからない戯言を聞き流しながら歩いていく
するとそこに一台の馬車が通りかかった
「あれ、球磨川じゃん。なにしてんの?」
その馬車にはちょうどミソギ以外の勇者とその案内人が乗っていた
『・・・』
「ちっ、なんだ無視かよ。せっかく馬車に乗せてやろうと思ったのによぉ」
「智大!そんな言い方しちゃダメだよ。ごめんね、球磨川くん」
「結衣さん、こんな男に謝る必要はありません。こんなところで話していても時間の無駄です
さっさと行きましょう」
「小林くんまで!ほんとにごめんね球磨川くん。今度会ったらなんかお詫びするから」
そうユイがそう言うと馬車はそのまま行ってしまった
結局球磨川は黙ったままだった
「よろしかったのですか?馬車に乗せてもらえる所だったのに」
『別にいいよ、僕はドラクエ4よりドラクエ3のほうが好きでさ。冒険する時は歩くって決めてんだよね。そっちこそ馬車に乗らなくて良かったのかよ』
「私はミソギ様の案内人ですから、ミソギ様に付き従いますよ」
『ふーん』
私の答えが意外だったのか、なにやら横目でこちらをみつめて来たが
興味をなくしたのかすぐに前を向いた
『そういえば結構歩いてきたけどその村にはまだつかないのかい?』
「そうですね、距離で言えばあと15kmといったところでしょうか」
距離を聞いたミソギの動きがビシリと固まる
『…それはあとどのくらい歩けばいい距離なのかな?』
「? わかりやすいように異世界の単位で言ったのですが。そうですね、あと五時間も歩けばつくでしょう」
私が言い終わらない内にミソギは膝から崩れ落ちた
『…異世界人の感覚を信じるんじゃなかった』
「ミ、ミソギ様?どうなさいました?」
心配して地に手をつくミソギに声をかける
ミソギは希望にすがるようにユルユルと顔をあげた
『メラニーちゃん…今からでも馬車に乗れないかな?』
「もう無理ですよ、それに断ったのはミソギ様じゃありませんか」
その事を思い出したのかついにミソギは地面に倒れ伏してしまった
「ミソギ様!頑張ってください!日の入りまでにつかないと野宿する羽目になってしまいますよ」
『…早速帰りたくなってきたぜ』
結局ミソギが立ち上がったのはそれから十分後だった
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「ほらっミソギ様、着きましたよ」
『・・・』
背中の物言わぬ屍、ではなく物言わぬミソギは村に着いたとわかるととたんに元気を取り戻した
『おお!やっと着いた。いやー大変だったねメラニーちゃん』
「大変だったのは私なんですが、二時間も歩かない内に倒れた誰かさんをおぶって歩いたのは私なんですが」
『まあまあ、そんなことどうでもいいじゃないか。せっかくの第一村だぜ、早く探索しに行こう』
そう言って走り出そうとするミソギの後ろ襟を掴む
「ミソギ様、もうすぐ日も落ちますし。明日にしてはいかが?」
『メラニーちゃん、その顔で言うと提案じゃなくて脅迫に聞こえるぜ』
その後駄々をこねるミソギを引っ張って宿にチェックインした
『にしても良かったのかよ、僕と同じ部屋なんて。まさか…僕の寝てる隙に18禁なことをするつもりじゃ!』
「ありません、部屋が同じなのは宿泊費を少しでも節約するためですよ。それになんで私がする側なんですか!普通される側でしょう!」
『えっメラニーちゃん受けなの?』
「違います!!」
品のないことを言うミソギに振り回されながら、私達は近くのレストランへ来ていた
「ミソギ様、節約のために頼むのはパンとスープだけですよ」
『わかってるよ』
料理を頼み、待つ間にミソギと適当なことを話す
『しかし、ほんと僕の担当が君で良かったよ』
「あ、ありがとうございます」
『ああ、君みたいな女の子じゃないと全然やる気が出てこなかったからさ』
「私の感謝を返してください!」
『ははは、メラニーちゃんあんまり怒ると何かが台無しだぜ』
「せめてそこは嘘でも美人と言ってください!」
ミソギとの会話はずっと怒ってばかりだったが今までしたことがない新鮮な体験だった
食事を終えると、明日に備えて早く寝ることにした
「明日も朝から歩くのでちゃんと寝てくださいよ」
『また歩くのか…』
「しょうがないじゃないですか、わたしたちの資金で馬車なんて借りたらすぐに無くなりますよ」
『はぁい、わかったよ。じゃあおやすみ〜』
ミソギが不満げながらもベットに入ったのを確認して明かりの火を消す
「おやすみなさい、ミソギ様。良い夢を見てください」
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月が天高くまで昇り、生き物が寝静まった深夜にメラニーはゆっくりと起き上がった
「…ミソギ様、起きていますか?」
小声で球磨川に問いかけるがもちろん返事はない
それを確認した後、メラニーは自分の荷物をあさりだした
メラニーが持っていたカバン、その底をめくるとそこには一本の鋭い短剣があった
「・・・」
それを持ち無言で球磨川の枕元に立つメラニー
「…ごめんなさい」
そう言って短剣を振りかぶり一度で球磨川の首を断ち切った
「・・・」
そのまま素早く短刀を持ち直し、心臓に思い切り突き立てる
そして球磨川が完全に死んだのを確認すると、服の端で短剣の血を拭き取りカバンへとなおした
代わりにバックから手鏡に見える物を取り出すと鏡に向かって何かを呟いた
「鏡よ鏡、あなたはだあれ?」
すると鏡が光だし鏡の向こうにメラニーと異なる顔が写った
「先輩、終わりました」
「ああ、メラニーかこっちも終わったぞ。3人ともちゃんと処理済みだ。そっちはどうだ?」
「処理はまだです。ですがすでにギフトは確認済みで蘇る心配はないと思います」
「そっか、よーしこれで私達の仕事は終わりだ。よくやったメラニー、その場から引き上げていいぞ。後は憲兵が来てやってくれる」
「はい、了解しました」
鏡の光が消え、ただの鏡に戻る
メラニーは汚れた服を着替えカバンに押し込み部屋を出ようとドアノブに手をかけたときだった
ギシッ
ベットの軋む音が聞こえた
同時に背後から感じる圧にメラニーは一歩も動けなくなる
『やっぱり、僕にしては
聞こえるはずのない声に脳が侵される
『18禁がこっち方向だったとは読者もがっかりじゃない?』
感じるはずのない気配に体が震える
それでもメラニーは素早く短刀を取り出し、背後の人物に斬りかかった
そう、
『残念でした』
気づいたときには地面に螺子伏せられていた
『今まで違和感はあったけど、こうして君に殺されて初めて気づいたんだからこれは僕の負けみたいなもんだね』
メラニーは自分を螺子伏せた
「お前は、お前はなんなんだ!!球磨川禊!」
『あれ?言ってなかったっけ』
『僕は箱庭学園生徒会執行部副会長、そしてめだかちゃんのライバルでもある』
『混沌よりも這い寄る
はい、なんかこの作品読み返して見るとある有名作品と内容が似てるんですね
というかほぼパクリみたいなもんなんですよね
その作品で学ラン男子が殺されるのを見て思いついた作品なので
反省してその作品はアニメ全部見ようと思います
感想、誤字報告、ここすき、評価、すべてが励みになりますどうかよろしくお願いします
球磨川禊:殺された人、自分が異世界転移したのは安心院さんが一枚噛んでると思ってる
メラニー・ルクヴルーク:殺した人、フルネームは多分もう出てこない