1話
季節は夏、真っ赤な太陽が真上に登り彼と彼女がいる部屋はその日一番の暑さに襲われていた。
その部屋で彼と彼女は話し合う。
「ねぇ和人、本当にするの?」
彼女が彼に心配をしている表情を浮かべ、不安気に問う。
「何言ってるんだよ、もうその話はすんだことだろ」
「でも……私、怖い」
「大丈夫、優しくするからさ」
彼はそう自信をもった瞳を輝かせ彼女の行動をうながす。
(こんな事、8歳の私達がしたらダメなことだよね、でも、もう決めたことだし)
心を決めた彼女は彼のモノを━━挿れた。
「和人、中々入らないよ」
彼女の瞳は既に潤んでいて、今にも泣き出してしまいそうだ。
「なら無理やり入れてみるか」
と彼がつぶやきそのモノを突っ込む。
「ひゃう!やめ、て和人……壊れちゃう!」
「大丈夫、そう簡単に潰れるわけないじゃないか」
「でもッ!でも!」
彼女は長い髪を振り乱して彼の行動にあらがう。
「ちょっとは信じろよ。この━━俺たちが初めて作った剣道マシン、《お侍さん》をさ」
「でも和人、《お侍さん》が壊れたらまた作り直しだよ?また剣道の練習が遅れちゃうよ」
彼女は《お侍さん》の背中を見つめながら言った。この《お侍さん》の背中には彼が無理やり入れたデータが入ってるのだ。彼女の想像以上にデータの詰まったカードが大きかったので中々はいらなかったのである。
「大丈夫!ほら、動き出したよ」
《お侍さん》が動きだす。それを彼と彼女は一緒に見つめていた。
「お兄ちゃ〜ん、雪ちゃ〜ん、剣道の練習いこーよー」
「やっべ、もうこんな時間か!行こう、雪乃」
そして彼と彼女は彼の妹に呼ばれ、剣道の稽古をしている道場へと向かった。
・・・
2022年ある日のこと、中学二年生となった彼と彼女はとあるゲームを購入した。
そのゲームの名は《ソードアートオンライン》 世界初のVRMMOゲームである。
彼の部屋で彼と彼女が会話していた。
「ねぇ、和人、βテスト受かったんだからも、ち、ろ、ん操作の仕方、ソードスキルのやり方とか教えてくれるよね?
「勿論。俺に任せときなって。でもさ、どうせなら楽しくいこう。プレイヤーネームは言わずに、向こうの世界で頑張って俺を探してくれたら教えてやらんこともない」
「うん、望むところだよ!でも、プレイヤーネームのイニシャルだけ教えて」
「そうだな……kから始まる6文字だ」
・・・
「ただいま〜」
玄関を開けると私の弟の
「お帰り〜、おねぇちゃんまた和兄とお家デート?」
「ハァ、またあんたは私をからかったりして、私と和人はただの幼馴染みよ」
「おねぇちゃん達はカップルにしか見えないんだけどなー、毎日のように遊んでさ。お似合いだと思うけどな〜」
春人の勘違いを正すために、毅然に、冷静に、そして気高く否定しなければ。
「しょんなわけないでしょ!」
「わぁ〜、おねぇちゃん顔赤いし、噛んでるよ〜。図星だね、図星」
大事なとこで噛んでしまった。だって仕方がない、春人がそんな事を言うから和人の中性的な顔立ちが浮かんだのだ。
「あ、赤くなってないわよ!というか青いぐらいだし!」
「青いってそんなに嫌なの?和兄の事。それなら僕から和兄に言っといて上げようか?」
と春人がニヤニヤとしながら私に聞いてくる。
「べ、別に言う必要ないでしょ!嫌いじゃないし!」
まったく、本当にこまった弟だ。
・・・
その日の夕食は私が作った、自慢のハンバーグ、弟も喜んで食べていた。
我が家は少し珍しい、両親が居ない家族である。
3年程前に事故で亡くした。いまでも悲しいが、弟との2人暮らしも悪くない。
お金は親の貯金だけで生活している。私と弟が大学を出る分までの貯金はあるのでゆっくりと生活している。親権が誰の手に渡ったかは知らないが、私達は両親が天国へ行った後も変わらぬ生活をしている。
両親はお母さんの実家がある、テキサスへの飛行機での事故で死んでしまった。
その飛行機には私達姉弟は乗ってなかったのが不幸中の幸いだ。
・・・
いまは《ソードアートオンライン》のサービス前だ。初期設定は済まし、サービス開始を待っている。アバターは和風系美人にしておいた。私は日本が好きだし、美人にしておいて損はないだろう。
サービス開始まであと30秒だ、ドキドキする。もう装備する武器も決めたし、最初に振るステータスも決めた。和人のゲームの中の名前は何だろう?なんてことを考えているうちにサービス開始まであと5秒だ。
「5、4、3、2、1
リンクスタート!」
・・・
『You died』
始まりの街の生命の碑の前に
・・・
この世界に降り立った私は和人を探すことを忘れ、この世界に魅入っていた。
「すっごーーーい!」
まるで現実。その言葉に尽きた。
「んー、とりあえず何をすれば良いんだろう?和人を探さなきゃ!」
と私は周りを見渡すと周りのプレイヤーが武器を背負っていることに気づく。
当たり前である。このゲームは剣などの武器で相手を倒すゲームなのだ。
私の装備を確認する、メニューから見れる。メニューを開くのに苦労なんてしていない、していないのだ。
確か、武器の種類は片手剣、両手剣、曲刀、両手斧、片手斧、槍、
その他に投擲等もある。
その武器の力を最大限に引き出したり、自分自身を強化するためにスキルをスキルスロットにはめれば良いのらしいが、メニューが多い。探すのも面倒なので後で和人に聞くことにする。
とりあえず一人でモンスターと戦ってみようと思い、街の外へ向かう。
《始まりの街》南側でイノシシのファ○ゴ……では無く、《フレンジーボア》が出現すると聞き、南へ走る。
《フレンジーボア》を見つけた。やっぱりファ○ゴだ。
私は装備していた片手剣を鞘から抜く。剣の重みをずっしりと感じ、《フレンジーボア》と向き合う。
「せいやあぁ!」
と声を発してフレンジーボアに突撃する、先手必勝である。《お侍さん》に鍛えられた私は剣の扱いなら自信があった。《フレンジーボア》の攻撃は直進しかできない突進のみだ。私とイノシシが交差する。
『You died』
そこであっけなく負け、始まりの街の生命の碑の前に
・・・
生命の碑の前であまりの自分の弱さに落ち込む、そろそろ夜ご飯の時間だと気付きログアウトをしようとメニューを開く。
違和感に気づく、ログアウトボタンがないのだ。
「え、え!?ログアウトボタンがないなんて、変な所押してしまったのかな?」
と私は焦る。この世界が忠実に現実を再現しているのなら私の顔は真っ青だろう。
ガーン、ガーンと鐘の音のようなものが鳴り響く。
鐘の音を不思議に思った私は周りを見渡す。なぜか気付けば《始まりの街》の中央広場に立っていた。
周りには驚く程の数のプレイヤーがいて、「何かのイベント?」「ログアウトできないんだけど!」と私と同じように驚いたり、戸惑ったりしているようだ。
私が人間観察、もとい現実逃避をしていると突如警告音が鳴り響く。空は赤く染まりローブを羽織った者が宙に浮いていた。
「私の名前は茅場 昭彦この世界をコントロール出来る唯一の人間だ」
この後ローブの者は色々な事を説明していたが、要約すると。
デスゲームと化したこのゲームから脱出するには、100層ある浮遊城《アインクラッド》をクリアしなければならないらしい。
茅場昭彦からプレゼントが送られてきた。手鏡だ、それを使うと手元に手鏡が出てくる。さすがゲームと感嘆し、手鏡を覗きこむ。
鏡のなかにいたのは、さらさらと風でなびく長い金色の髪、宝石のように綺麗な瞳、そして大きな胸であった。
私のお父さんとお母さんによく似ている可愛い少女。
つまり━━私だった。
主人公さんは自分の容姿は好きです(両親と似ているから)
それと主人公が冷静すぎるのは作者が修行中だからです