白洲アズサに愛を込めて   作:爪ワッサン

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ふふっ、今日の私は余裕があるので何と…早朝に小説を、二つも投稿しちゃいます!


後悔する覚悟

 

『大通りの迷路?』

 

『近くにある大通りの脇道には入り組んだ通路がある。貴方はそれを利用して追ってくる連中から距離を取って欲しい』

 

『地図はあるのか?』

 

『ちょっと待って。え〜と、確かこの辺に…』

 

『あった!…はい、これが地図だよ』

 

『ありがとうアズサさん』

 

『その、手書きだから見づらいかもしれない。わかりづらいところがあったら教えて。私が説明するから』

 

『………なるほど、大体わかったよ』

 

『!よかった…』

 

『…それと、俺が引きつけている間、アズサさんは通路に地雷を設置するんだろ?』

 

『うん。奴らの武器庫から持ち出した地雷を先回りで設置する…けど、やっぱり引きつけるのは私がやろう。貴方には危険すぎる』

 

『…俺にとってはどっちも危険だよ。それに、地雷は専門外なんだ。だから悪いんだけど、地雷はアズサさんに頼みたい。逃げるだけなら俺でもできるしな』

 

『…わかった。貴方にもわかりやすい様に目印をつけておこう…あと、貴方に聞きたいことがある』

 

『なんだ?』

 

『貴方の名前を教えてほしい』

 

『ああ…確かに忘れてたな。貴方じゃ呼びづらいか…』

 

『それもそう…だけど、私だけが名前を知らないのは少し、寂しい…』

 

『…そっか…それじゃ、改めて』

 

『俺の名前は罪前ショウマだ』

 

『罪前ショウマ…わかった。これからよろしく、ショウマ』

 

『こちらこそ、宜しく』

 

『うん!…後は、どうやって敵を引きつけるかだけど…』

 

『ああ、それならぴったりの方法があるぞ』

 

 

→→→→→→→→→→

 

 

「…う"お"お"お"お"お"お"お"!"!"!"!"」

 

「うるせぇぞ、なんだコイツ…!」

 

両手で持った厚めの鉄板で銃弾を防ぎ、大声で突撃する子供…俺です。拳銃はあれひとつしか持ってなかったみたいなので、そこらへんにあった物を武器にしてます。

 

「ふざけやがって…ぶっ殺してやる!」

 

犬面人の持つサブマシンガンから放たれる弾丸。当たればひとたまりもないであろう銃弾の雨…

 

「あ"あ"あ"あ"あ"あ"!"!"」

 

「なんだあの鉄板!?」

 

それ全てを鉄板で防ぐ。ありえない光景に犬面人は硬直。その隙に接近した俺は凹んだ鉄板を捨て、ガラ空きの股間へ

 

「…は!待て!?やめr」

 

「お"ら"あ"あ"あ"あ"あ"!"!"!"」

 

「ノォォォォォォ!?」

 

背中から引き抜いた鉄パイプを振り上げる…痛そー。

 

「…ぉぉぉぉぁ…てめぇ…」

 

痛みで蹲る犬面人。まだ意識があるのかよ…しゃあねぇなぁ…

 

「!?ま…まて、それを下せ!な?お前も男だろ?ならわかるよな?」

 

「………わかった」

 

俺は振り上げた鉄パイプを下ろす。

 

「!…わかってくれる、カァ!?」

 

「言われた通り振り下ろしたぞ…股間に」

 

どこに下せとは言われてない…それにしても、意外と脆いのか?とりあえず最初の難所は超えた、後は大声に気づいてくれかどうか…

 

「兄弟の悲鳴が聞こえたかと思えば…テメェ!な…なんてことをしてやがる…!」

 

「ん?」

 

ノイズ混じりの声が聞こえた俺は、泡を吹いて失神した犬面人から声のする方へ視線を向ける。そこにいたのは…

 

「あんたらは…この柴犬の仲間か?」

 

今度は機械かよ…しかもたくさんいるし。犬が二足歩行で喋るのもそうだけど、機械がリーゼントってまじかよ。

 

「そうだ…そいつはなぁ、オレ様のダチ公なんだよ…!それをテメェ…ぜってぇゆるさねぇ!」

 

アズサの情報からすると…よし、どうやら全員釣れたみたいだな…後はどうやって誘い込むか…

 

「子供を売って金を稼ぐ様なやつが友情を語るなよ、反吐が出る…!」

 

「!?なぜそれを知って………まさかお前、オレ様たちの商品だったのか!」

 

「…だったらどうする。お前もこいつと同じになりたいのか?」

 

鉄パイプを犬面人の頬に押し付けながらリーゼントを挑発する。

 

「…商品の躾もオレ様の仕事だからなぁ…お仕置きの時間だゼェ!!」

 

リーゼントが叫ぶと、周囲の機械が銃を構えた…なぜだかリーゼントと違って、他の機械からは意思が感じられない。なんでだ?髪の毛の有無か?

 

「撃てェェェ!」

 

《了解》

 

リーゼントの号令に従い、機械の軍勢が射撃を開始しようとした瞬間、

 

《射撃を開し…s!?》

 

埋めてあった地雷が作動した。幸運にも前にいたリーゼントは爆風で前屈みに転ぶだけで済んだ…その代わり後ろにいた機械の大半はスクラップになっているが。

 

「どわっしょい!?…な、なんだぁ?急に後ろが…」

 

《sssssssssssss…》

 

「…ぁぁぁぁぁああ!?オレ様の兵隊達が…!?」

 

どわっしょい…?変な奇声を上げ、壊れた機械どもに気を取られているリーゼント…可哀想。

 

「…ははっ!じゃあな、かつら野郎!」

 

「…あ!てめ逃げんじゃ…あとなんでこれがかつらだと…いや違う、かつらじゃない!」

 

いや知らないけど…わざと捨て台詞を吐き逃げ出した俺はそのまま廃屋から離れ、大通りの狭い通路へ走る…髪の毛の有無じゃないのか。

 

「あれ高かったんだぞぉぉぉぉ!!!」

 

《排除します》

 

リーゼントを先頭に、生き残った数十体の機械が追ってくる。

 

「(次は確か…右だな)」

 

「あとかつらじゃ…ッとおっ!?」

 

リーゼントの足元の地面が爆発したが、奴は爆風を回避していた…勘が鋭いな…まあ関係ないが。

 

「この程度でオレ様の足を止められると[カチッ]でも…へ?」

 

回避先に仕掛けていた地雷に爆破されたか…まあ、あいつには目印はわからないからな。さっきのはアズサがわざとわかりやすく設置した地雷だ。それで反応が間に合ったのだろう…ともかくこれで、

 

「…嘘だろ」

 

「この程度のトラァァァァプなどぉ!全・然…きかねぇぇんだよぉ!」

 

爆風を突っ切るリーゼント。犬面人と違って硬すぎないか?……ん?

 

「…頭」

 

「は?なんだ急に…そういえば妙に軽い様……な……………」

 

リーゼント本体は確かに無事だった。しかし…もう、髪が…!

 

「…決めた。てめぇは楽に殺さねぇ…オレ様のサンドバッグにしてやらぁぁぁ!!」

 

今までにないほど激昂するリーゼント…いや、元か。

 

「(次は左だな)」

 

「無視すんな!…クソ餓鬼が。お前ら、行くぞ!」

 

《了解》

 

…いやまあ、リーゼントの耐久には驚かされたが、当初の予定通り、その後ろを追従する機械共は爆発で確実に減っている。アズサの作戦通りだな。これから走る通路にも事前にアズサが地雷を仕掛けている。流石のリーゼントでも、これを繰り返していけば…!

 

「まてぇ!」

 

《追跡…e!?》

 

繰り返して…!

 

「クソ餓鬼ィ!」

 

《撲め…t!?》

 

いけば…

 

「逃げんなぁ!」

 

「いやおかしいおかしいおかしい」

 

もう仕掛けた地雷全部使ったぞ…!流石におかしいだろうが!?

 

《追…せ…kikikikikiki》

 

そこの機械壊れてるよ?!なんでお前は無事なんだよ…その耐久力、少しでも犬面人に分けてやれよ…

 

「はぁ、はぁ、はぁ…待ちやがれ、クソ餓鬼ィ…!」

 

…とはいえ、流石に限界って感じだな。

 

「…ここまで追いかけてくるとはな。大した耐久だ…しかし、ご自慢の兵隊はそこまでだった様だな」

 

「ああそうだなクソ餓鬼…!オレ様の兵隊は全滅した…だがよぉ、そんなのもう関係ねぇ、お前はこれ以上逃げられない…追い込まれてることに気づかなかったか?入っちまったなぁこの袋小路によぉぉぉ!!」

 

心底愉快だ、そんなふうに俺を嗤うリーゼント…奴の言う通り、左右は壁に挟まれていて、背後にも壁…手持ちの鉄パイプは逃げている途中で投擲した。一見すれば打つ手なし、絶体絶命だ…追い込まれたのが俺ではなくて、リーゼントってところを除けば。

 

「ハーッハッハッハァァァァァァァ……あぁ…」

 

「………」

 

「恐怖で声もでないかぁ?安心しろよ、すぐには殺さない…ボロ雑巾みてぇに使い古して、畜生の餌にしてやるよ…!」

 

リーゼントはゆっくりとこちらに歩いてくる。こちらの恐怖を煽るためだろう、一歩一歩慎重に、今までの鬱憤を晴らすかの様に…その歩みからは余裕が滲み出している。

 

「お前を捕まえたら、兄弟も喜ぶだろぉなぁ〜今から楽しみだぜぇ」

 

奴はここに俺とリーゼントの2人しかいないと思っているのだろう…だからここまできてゆっくりと時間を使っている…この後は後ろからアズサが奴に奇襲を仕掛ける手筈だ。ただその前に、こいつに聞きたいことができた。

 

「でもよぉ…先にオレ様が愉しむ時間だぁぁ!!」

 

「…なあ」

 

「…あ?なんだ急に」

 

「お前は今までもこんなふうに子供を殺したのか?」

 

俺の質問に対して、リーゼントは黙り込んだ。

 

「………俺たちは金を得るために子供を売っている。つまり、子供は大事な商品なんだよ…それを殺すだと…?」

 

「そんなもったいないこと…たっっっっくさん殺してるヨォ!!!」

 

「………」

 

「気に入らない餓鬼も、反抗する餓鬼も、オレ様達のサンドバッグにしてやった…!!」

 

「…ク、クハハハハハハハハハハハ!!!」

 

リーゼントは膝を叩きながら大声で笑っている…だから気づかない、

 

「…そうか」

 

「ハハハハ…ハ?アガァッ!?」

 

背後からの銃撃をもろにくらい、倒れるリーゼント。そのすぐ側から、白い影がこちらに来る。

 

「大丈夫だった!?怪我はしてない…?」

 

「してないよ、アズサさん」

 

アズサである。

 

「良かった…別れた後、ずっと考えてたんだ。私が逃げる側を担当したらよかったと…」

 

「さっきも言ったけど、俺に地雷の知識はないからな…アズサさんが適任だったんだよ」

 

もし俺が担当してたら焦って誤爆してゲームオーバー…なんてことになってただろう。

 

「…そうだな。その通りだ」

 

アズサはそう言ってリーゼントの横を通り抜ける。

 

「とりあえず、早くここから離れよう…」

 

「アズサさん」

 

「ん?どうしたのショウマ」

 

「拳銃、貸してくれるか?」

 

俺の問いかけにアズサが固まった…なんか変なこと言ったか?

 

「…どうして?」

 

「え?あ、いや…追いかけてきたら困るだろ?だったらここで殺しておけば、こいつらに構わなくてよくなるだろ?」

 

「………」

 

ここでこいつらを殺せば、もう同じ目に遭う子供はいなくなる。少なくともこいつらは二度と活動できないから減りはする筈だ。

 

「…ショウマ」

 

俺の言葉を聞いたアズサは、辛そうな顔をしていた。

 

「…あ!弾薬がないならそいつのを…」

 

「違うよ、ショウマ」

 

アズサは俺の目を見て話す。

 

「理由があったら殺してもいいの…?」

 

「…そいつらは、大した理由がなくても殺してるよ」

 

…そうだ。犬面人もリーゼントも、金を手に入れるために子供を売っている…その中で憂さ晴らしで殺された子供もいる。

 

「勿論、理由があっても殺人を許容してはいけないと思うし、法律的にも駄目だろう」

 

「うん…それにもし人を殺したら、ショウマはきっと後悔することになる…だから」

 

…どんな背景があろうと、殺人は駄目なのだろう。アズサのいう通り、後々後悔することになるだろうから。

 

「…けどさ、アズサさん。生かそうが殺そうが、結果的に後悔するなら」

 

そうだ。結局のところ、どちらを選んだとしても後から悔やむことには変わらないだろう。だったら俺は…

 

「俺は…人を殺す後悔を選ぶよ」

 

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