絶   頂   賢   者   作:双子座流星群

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魔導書【グリモワール】と俺

「賢者様!どうかお力を!!」

 

なんで……

 

「賢者様、貴方様が唯一の救いなのです。」

 

どうして…………!!

 

「「「どうか世界をお救いくだされ!!!」」」

 

こんなことにイィィィィィィ!!!?

 

俺の絶叫は虚空へと木霊した。

 

 

拝啓、ろくでなしの神へ

絶対殺すから待ってろ

 

 

「やっとだ……!遂に、遂にこの時が来たんだ!」

 

俺は手に持った辞令書を何度も読み歓喜に震えていた。

 

【告  アーロイ魔法士はサンクティス学院にて禁域

図書館の書庫番に従事することを命ずる】

 

 

サンクティス学院。

俺がここで書庫番として働くことになったこの学院は、魔法の世界では名の通った場所だ。その中でも最もヤバいのが、【禁域図書館(アビサルアーカイム)】だ。

名前からしてすでに怪しい。だが、俺には他に選択肢なんてなかった。

というよりもうこの考えしか浮かばなかったのだから仕方ない。

 

俺の名前はアーロイ。サンクティス学院に勤務することになった言ってしまえば平凡な魔法士だが、ある特別な目的があってこの図書館に来た。

 

 

………実はココだけの話、俺はちょっと困った体質だった。

それは恐らくこのクソ広い大陸の中で俺だけであろう体質、むしろ俺は呪いかなんかだと思ってる。

それは……

 

ムチャクチャ早漏なのである!!!

 

 

はいそこ、笑うなよ?マジなめんなよ本当、こちとら女性に手を握られるだけですぐに限界を迎えちまうんだからな???

というよりまじでなんなのこの体は!!!神による神罰だろ!それか先祖がち〇ぽ関係でやらかしただろこれ!!!

ということで魔法の力でなんとかならないかなーーなんて思ってたわけだ。

 

いや何、当てずっぽうで来たわけじゃないんだぜ?

どうやら禁域図書館(アビサルアーカイム)には何やらやべぇー魔法書があるらしいじゃないか、んなもん見に行くしかねぇだろうがヨイ

 

俺はサンクティス学院内でも一際人気の少ないところまで歩いていく

そこには地下への入り口を守るように2人の衛兵が立っていた。

 

「申し訳ありませんが、この先にはお通し出来ま……失礼しました。新しい書庫番の方ですね、お入り下さい。」

 

衛兵に止められた俺はずずいっと書庫番の証であるペンダントを見せた。なんか禍々しい形してるけど。

そうすると衛兵は頷き合い道を開けてくれた。

 

 

「おい…アレが新しい…贄か?」

 

「…日………気を……もっていられるか」

 

後ろから何やら話し声が聞こえたが気にせず俺は下に降りた。構っていられないのだ、この先には俺の希望があるのだから!!!

 

 

最初に扉を見たときのことは今でも覚えてる。

クソほど悪趣味な模様が彫られて如何にもヤベー場所を示してたんだから。

まあ、心の中で「こんなもんだろうな」と納得して、図書館の中に足を踏み入れたんだ。

 

「ヴォエッ!!!埃っぽすぎるだろ!!!ったく…『風よ(ウィド)』」

 

俺はむせながら風の魔法を使った。これは俺が改良した顔の周りに微量の風を吹かせ塵や埃を払う魔法だ。

実用性が無さすぎるって怒られたけどあるじゃんね。

 

俺は館内の照明に照明の魔法を使い明るくして歩き回った。

ぶっちゃけ、誰もいない図書館ってのも、ちょっと気味が悪すぎる。

まあ慣れればどうってことないだろ、どうせ新しい書庫番が来るまでは俺はここに住むんだからな。

 

そんな感じで適当に周りを見渡していると祭壇のような場所に気色悪い張本がされている本を見つけた。

 

表紙は赤黒くなっており目のような模様が瞼を閉じているように見える。キモすぎる。

 

てかいかにもすぎるだろ、これだろ絶対。

もしこれが魔導書(グリモワール)じゃなくてお料理本だったとしたら世を捨てるぜ。

 

俺は手を伸ばしその本を掴もうとした。

その時だった。

 

『…お前、新入りか?』

 

「え?」

 

俺は一瞬、びっくりして止まった。何だ喋った?誰が?え?まじで誰?

 

『……まあ、いい。俺には関係ないがな。』

 

その声の主は、目の前に置かれた魔法書から発せられていた。思わず俺はその本をじっと見つめた。

 

「おい…何なんだよこれは?」

 

俺は出した手を慌てて引っ込めた。

嘘だろ???本が喋ってんだけど、え?狂っちゃった俺?

 

『お前、私が何か知らずに私に触れようとしたのか……?』

 

声の主は、やたらと冷たい感じだったが、どうやら俺が本当に何も知らないことに完全に呆れているようだった。

 

え、本にバカにされてない??俺

 

「お前って魔導書なの?そうだよね?浮いてるよね君」

 

『……君じゃない。私は『ルクシフィア』だ。』

 

「ルクシフィア……?名前なんてあるのな」

 

俺はあまりにも驚きすぎて、つい声を上げた。ルクシフィア、という名前の本――いや、ただの本じゃない、喋る本が目の前に現れるとは、予想だにしなかった。

 

『まあ、私だって一応魔導書だ。名前ぐらいある。』

 

ルクシフィアの声は、どこか鼻にかかったような、笑みを浮かべたような口調だった。

 

『それで人間よ、お前は私に何を望むのだ。』

 

ルクシフィアはふよふよと俺の周りを漂う

 

「望み……?」

 

『お前からは欲の匂いがする、その欲のために私を求めたのであろう。私は私を欲するものにしかこの姿を表せぬ』

 

欲と言えば欲だが。

えーー俺今からこの本にあのこと相談するの?明らか人格があるやつに?

しかし、ここで話さなければ水の泡だ。

 

「いやまぁ……願いと言うか欲というか。……性欲というか」

 

『……は?』

 

ルクシフィアの反応が少し遅れた。

 

『お前………魔導書である私にそれを聞いてどうしろと?』

 

「いや、だから、なんかさ、俺ってばアレなのよ。感じやすいと言うか。気持ちよくなっちゃいやすいというか」

 

『早漏ってことか?』

 

「テメェ!!!人がオブラートに包んで言ってやろうとしてるのに!!」

 

その時、ルクシフィアが笑いだした。声をあげて笑って、ページがめくれる音が響く。

 

『グハハハ……!お前、面白い奴だな。そんな理由でこの『大罪のグリモワール』を手に取るなんて。生まれて数千年だがそんな奴は初めてだぞ!!』

 

ルクシフィアは笑いながら続けた。

 

『ふー……笑わせてもらって悪いが私の中には、そんな魔法はないぞ。』

 

「嘘だろ!?なぁお前は大罪の魔導書なんだろ!?なんかあんだろ!こう、感覚を鈍くするとか!」

 

俺は絶望し笑い疲れているルクシフィアを掴み揺さぶる。

 

『ええい…!駄々こねるな!感覚に鈍くするかはわからんが感感がなくなる魔法とかはあるぞ』

 

「こえーーよ!なんでそんなヤバそうな魔法を俺の愛棒にかけないといけないんだよ!!」

 

思わず両手で愛棒を包む。恐ろしすぎるわ

 

『もし、本気で魔法で治したいなら方法がないわけではない。』

 

「別の方法?」

 

俺はその言葉を聞き逃さなかった。

 

「それどういうことだ?なんか知ってんのか!?教えろ!いや教えてくださいグリモワール様!!!」

 

『それは――』

 

ルクシフィアは静かに語り始める。

 

『この大陸の果てには、賢者の里と呼ばれる場所がある。探求の果てにすべてを捨てた者たちの隠された場所だ。そこでなら、何か見つかるかもしれないぞ。』

 

その一言が、俺のくそったれな冒険の始まりを告げるものとなった。

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