【完結】僕のピアノよCEに響け。逆行したニコルが絶望と悲しみの世界をやりなおします。   作:屠龍

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いやあいい話ですねえ(自画自賛)まるでこれでハッピーエンドみたいな終わり方じゃないですか。いえまあCEだからこんな幸せな世界で終わるはずもなく。とはいえ私の世界ではこの雰囲気で終わらせようかなと半分くらい思ってます。二次創作の世界くらい平和な世界でもいいと思うのですよ。どうあがいたって史実より悲惨な話、私に書けそうにないですからね。


【外伝『僕の歌姫』 第六話 親友たちの旅立ち】

 【外伝『僕の歌姫』 第六話 親友たちの旅立ち】

 

オーブ行政府は功労のあった者への勲章授与を行うのも大切な仕事だ。

この日は先日の地球連合軍によるオーブ攻撃で功績をあげた者達への勲章授与が行われていた。

居並ぶ軍人や市庁舎の主だった者、警察や消防医療従事者。団体に対して行われる勲章授与だが、いかつい軍人たちの間で緊張した面持ちで立っている少年がいた。

カズイだ。

 

彼は戦闘時危険を顧みず地下発電所の機能を回復させ、オーブ軍全てのエネルギー切れを防いだ。

さらに一般市民の避難誘導を率先して行い、復興時のボランティアにも参加した。

紛れもない大殊勲なのだがカズイは内心ぼやいていた。

 

(かんべんしてくれよお~)

 

軍服姿のカガリが壇上に上がり、静かにカズイを見据える。

その隣にはカガリの補佐官としてアスランが立っていた。

 

「カズイ・バスカーク殿」

 

名前を呼ばれるとカズイは体をビクッとさせ、ぎこちなく歩き出す。

観衆の視線が一斉に彼に集まり、額に汗が滲む。

小心者のカズイにとって、一秒でも早く逃げ出したい場所だ

 

 「彼はオーブ全軍がエネルギー切れをおこそうとしたその瞬間、危険を顧みず電力の復旧に務めました。また、市民の避難という困難な任務を全うし、多くの命を救いました」

 

 カガリの凛とした声が会場に響き渡る。

 カズイはまるで夢遊病者のように前に進み、壇上の数段を登った。

 震える膝を必死に抑えながら。

 カズイの様子に親友たちは苦笑いしている。

 

 「このような勇気ある行動は誰にでもできるものではありません。オーブ連合首長国はその功績を称え、勲章を授与します」

 

 カガリが手にした金色の勲章をカズイの胸に留めると、会場から割れんばかりの拍手が沸き起こった。

 カガリが微笑みながらカズイに敬礼をすると、彼もぎこちない敬礼を返す。

 

 「ありが……とうございます」

 

 声が震えて上手く言葉にならない。

 カズイの目には涙が浮かんでいた。

 感動の涙ではなく、場違いな場所と過剰すぎる待遇に涙目なのだ。

 

 「これからもオーブのために尽力することを期待します」

 

 カガリの言葉にカズイは小さく頷き、ようやく席に戻る。

 その後も軍人たちの表彰が続き、会場は厳かな雰囲気に包まれていた。

 式典が終了し、参加者が次々と退出していく中、カズイは勲章を大切そうに撫でながら呆然と立ち尽くしていた。

 

 「よくやったな、カズイ」

 

 振り返ると親友のサイ、フレイ、トール、ミリアリアが立っていた。

 キラは優しく微笑み、ラクスは温かい眼差しでカズイを見つめている。

 

 「いやぁ……みんながいたから……俺だけじゃ……」

 

 言葉を詰まらせるカズイに、サイが肩を叩く。

 

 「謙遜するなよ。これはお前一人の成果だ。本当にすごいぞ」

 

 「そうだよ!お前がいなかったら、オーブ軍も市民も危なかったんだから!」

 

 トールの励ましにカズイはやっと苦笑いを浮かべる。

 

 「まあ……みんなのおかげさ」

 

 「もう!そんなこと言って!」

 

 ミリアリアが軽く肘でカズイを小突く。

 

 「でも本当に大変だったわよね。あの時地下発電所は火災が起きていて、逃げ出してもおかしくなかったのに……」

 

 ミリアリアの言葉にカズイは照れくさそうに頭を掻いた。

 

 「だって……キラは戦ってたし……俺も何かしたくて……」

 

 一同はカズイの言葉に微笑む。彼の自己評価は低いが、行動は雄弁に語っていた。

 あの瞬間、カズイは間違いなく英雄だったのだ。

 

 「カズイのお陰で僕達は戦えたんだ。ありがとう」

 

 キラが満面の笑顔でカズイに言う。

 カズイは胸の内を曝け出す。

 

 「キラ。俺ホント馬鹿でさ。キラ達が必死に戦ってるのを黙ってみてる事しかできなかったんだ」

 

 「そんな事ないよ」

 

 「そんな事あるよ。俺ヘリオポリスからずっとずっとキラに守られてたの知ってる癖に逃げちまって。本当はずっと後悔してたんだ。キラは俺たちを守る為に必死になって戦ってくれたってのに」

 

 

 キラは首を横に振った。

 

 「それは違うよ。僕が守ろうとしたのはみんなだから。カズイがいなかったら僕は戦えなかったんだよ」

 

 「そっか……」

 

 「だからお礼を言うのは僕の方だ」

 

 「俺からもありがとう。オーブとみんなをまもってくれてありがとう」

 

 そう言ってカズイはキラと握手する。

 二人の様子を見てラクスは優しく微笑む。

 カズイにとってもキラにとっても戦いは終わりつつある。

 それぞれの生きる道を見つけなければならない。

 

 「そういえばカズイはこれからどうするんだ?」

 

 サイの質問にカズイは少し照れ臭そうに笑った。

 

 「俺、オーブ国立大学の受験資格貰ったんだよね」

 

 「マジで?!」

 

 トールが目を丸くする。オーブ国立大学は国内最高学府で競争率も高い。

 

 「軍のエネルギー管理部門から推薦状もらっちゃってさ。勉強は苦手だけど……せっかくの機会だし」

 

 「すごいじゃん!頑張れよ!」

 

 トールの声援にカズイは嬉しそうに頷いた。

 ちなみにカズイが望めばだが、オーブのエネルギー系企業は採用を前提とした面接を行う事に合意している。

 戦闘時に沈着冷静に危機を脱する事ができる逸材を逃すほど、オーブの企業は愚かではない。

 

 「みんなはどうするの?」

 

 カズイが聞くとサイは肩をすくめた。

 

 「俺は当分カガリ様の手伝いしながら官僚コースの勉強と経験を積むつもりさ。俺なりにオーブの為に頑張ろうって決めたんだ」

 

 「私もサイと一緒よ。外交官コースを受けるつもり」

 

 フレイはサイの腕に軽く抱きついた。二人の間に流れる空気が甘い。

 カズイは心底恋人が欲しくなった。

 そんな事、カズイが望めばすぐ叶うくらいオーブ国民から感謝されているのだが知らぬは本人だけである。

 

 「トールとミリアリアは?」

 

 「俺たちは報道局の入局試験受けるんだ。それで戦地跡を取材して回る」

 

 トールが得意げに言うと、ミリアリアも嬉しそうに頷いた。

 

 「戦争中の混乱した情報をきちんと伝える番組を作りたいの。もう二度とサイクロプスなんて使わせない為にね」

 

 トールもミリアリアもアラスカの事が忘れられないようだ。

 マスコミがこの狂った世界で何が出来るのか未知数だが、ブルーコスモスの提灯記事ばかりの世界でささやかな反抗を行うつもりだ。

 ナチュラルとコーディネイターが対等の人間であるという訴えが実を結ぶのは遥か先かもしえないが、誰かが種をまき水をやり育てなくてはならない。

 

 「報道の自由を守るって立派なことだね」

 

 キラの言葉にトールとミリアリアは笑顔を見せる。

 

 「あとさ。俺、ミリィと婚約する事にしたから」

 

 トールの突然の告白にフレイは目を丸くしサイは首を傾げる。

 だが一番驚いていたのはミリアリア本人だった。

 

 「ちょ……ちょっと!今ここで言う?!」

 

 ミリアリアの顔が真っ赤になる。

 

 「だって俺とミリィが付き合ってるってみんな知ってることだし。俺なりに責任取りたいからさ」

 

 トールが当然のように言う。

 

 「知らないわよ!婚約なんて初めて聞いたわよ!」

 

 ミリアリアが満面の笑顔を真っ赤にしてトールの頭を叩く。

 フレイは目を輝かせながらミリアリアに詰め寄った。

 

 「すごいじゃない!いつから?いつから?!」

 

 フレイの質問攻めにミリアリアは狼狽する。

 

 「えっ……あの……ほんとに今決めたところで……」

 

 「じゃあさっそく二人で写真撮ろうよ!」

 

 フレイの提案にミリアリアは抵抗する間もなく連れて行かれてしまう。

 

 「よかったなトール。ミリアリアも素直じゃないから」

 

 サイの言葉にトールはニヤリと笑う。

 婚約式は盛大に行おうと決めている。

 その前にミリアリアの両親に挨拶にいかないとだが、戦場を生き延びたトールに怖いものなどなかった。

 

 ラクスがそっとキラの手を取った。

 

 「わたくし達も……」

 

 「うん。僕達も報告しないとね」

 

 キラとラクスは互いに見つめ合い微笑む。

 

 「僕とラクスも婚約する事にしたんだ」

 

 その言葉に一同は驚きの声を上げる。

 

 「おお!おめでとう!」

 

 「ラクスさん、キラのことよろしくお願いします!」

 

 「キラも幸せになるのよ!」

 

 友人たちからの祝福の言葉を受けながら、キラとラクスは手を取り合い笑顔で応える。

 

 「みんなも自分の人生を大切にしてほしい。僕達はお互い支え合いながら生きていきたいと思っている」

 

 キラの言葉に全員が頷き、それぞれの未来への希望を胸に抱く。

 そしてそれぞれの人生へと歩み始める彼らの姿に、確かな絆を感じさせる温かな空気が流れていた。

 

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