【完結】僕のピアノよCEに響け。逆行したニコルが絶望と悲しみの世界をやりなおします。   作:屠龍

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ニコルの作戦にマリューさんとナタルさんがどう対処するかの話です。ナタルさん好きなんですよね。今後も是非活躍させてあげたい。今回は物凄く悩みましたね。いかにしてアークエンジェルを沈めるか?そもそも沈めれるのかという。劇場版みたいに核持ってこないと駄目かもしれないレベルでしぶといですからね。ノイマン暗殺しておくのが一番手っ取り早い気がします。


第26話 ニコル対マリュー&ナタル

 第26話 ニコル対マリュー&ナタル

 

 地獄の業火に焼かれて破壊されていくアルテミス要塞。

 難攻不落、いや絶対不落と宣伝された要塞が業火に焼かれている。

 アルテミスの傘が破られた事が原因に見えるが、基地司令ジェラード・ガルシアと要塞内部を覆っていた怠惰が主な原因だ。

 もし要塞守備隊が規律正しく軍規に厳しければ、ここまで無様な結果にはならなかっただろう。

 これがマリュー・ラミアス艦長が敬愛する知将ハルバートン提督の指揮下であれば、Xナンバーとはいえたった二機のMSにここまで蹂躙されずに済んだだろう。

 事実未だに機関部の作動もしていない艦船がいる事がその証拠だ。

 今回の被害は明らかに後手後手になった消火活動など、ダメージコントロールの訓練不足にあるのは間違いない。

 

 「妙ね」

 

 「何がです艦長?」

 

 先ほどから緊急発進にも動じずCICで指揮をとっているナタル・バジルール少尉にマリュー・ラミアス大尉は呟いた。

 港に入ってきたのは、たった二機のXナンバーMS。

 いくらXナンバーが強力なMSとはいえ少なすぎる事に気が付いた。

 

 「ナタル。攻撃してきたのはローラシア級フリゲート艦よね?」

 

 「間違いありません。ローラシア級が一隻です」

 

 「ローラシア級のデータをこっちにまわして」

 

 「はい」

 

 ナタルが急いでデータを艦長席に送信する。

 その間もアルテミス要塞軍港は吹き飛んだ軍港施設や航行不能になった艦船が邪魔をしてアークエンジェルの緊急発進を邪魔していた。

 アーノルド・ノイマン曹長の卓越した回避行動が無ければ、航行不能の艦船の衝突で大損害を受けていただろう。

 ラミアス艦長は受け取ったデータを元に違和感を考える。

 そして違和感に気が付いた。

 

 「搭載MS数は六機なのに、二機しか突入してこない。ナタルどう思う?」

 

 「おそらく要塞表面の破壊でしょう。アルテミス要塞は巨大な小惑星をくり抜いて作られています。完全破壊なら表面の掃討が必要です」

 

 アルテミス要塞の占領なら要塞表面の破壊は必要だろう。

 常識で考えれば。

 だがここは辺境で占領しても無意味な要塞。

 ザフトが欲しがるとは思えない。

 彼らの目的がアルテミス要塞ではなくアークエンジェルだとしたら……。

 

 「ナタル。ローラシア級の主砲射程距離まであと何分?」

 

 「今の速度で6分です」

 

 「すぐにストライクを収容して!!撃ってくるわ!!」

 

 「無理です!!ストライクはブリッツとデュエルと交戦中です!!」

 

 「無理でもやるの!!敵の狙いはストライクとアークエンジェルを引き離した所で袋叩きにするつもりよ!!」

 

 マリューの命令にナタルは意図を察して要塞から出た瞬間に必要な武装を想定する。

 ローラシア級の狙撃だけでなく、MS四機の迎撃も同時にこなさないといけない。

 そのために必要な装備は……?

 考える時間も惜しい状況だ。

 ナタルはすぐに決断した。

 

 「コリントス一番から六番まで装填。イーゲルシュテルンは自動追尾。ゴットフリートはローラシア級を狙え。バリアントは要塞表面から降下してくるMSに対処、ヘルダートはストライクの援護にまわす」

 

 まずはアークエンジェルから出撃しているストライクを回収する。

 ゴットフリートでローラシア級を突破して一路月基地まで全力で退避。

 その間ストライクとムウのメビウス・ゼロだけが頼りだ。

 

 ◆◆◆

 

 その頃ストライクに乗るキラはマリューの無茶ぶりに毒づいた。

 目の前にブリッツとデュエルがいて、その状況で六分以内に帰艦せよというのだから無茶にも程がある。

 

 「キラ急いで!!あと六分しかないのよ!!」

 

 「無茶言わないでよ!!」

 

 思わずオペレーターのミリアリアに当たってしまう。

 だが、それも仕方がない事だった。

 なにしろストライクはソードストライカー装備で、破壊されるアルテミス要塞を傷つける事もできないのだ。

 デュエルもブリッツもビームライフルとビームサーベルを使いこなして挑んでくる。

 

 そのブリッツに搭乗しているニコルはアークエンジェルが主砲を準備しているのを見て、自分の作戦が読まれた事を知る。

 だがまだ優位は動かない。

 アークエンジェルはストライクを収容しなければ軍港から外へ出たくても出れないのだから。

 今頃ガモフとディアッカのバスターは長距離射撃でアークエンジェルをロックオンしている筈だ。

 ミゲルとエマとジャンヌのジンもアークエンジェルが軍港を出た瞬間上下から襲い掛かる手はずになっている。

 

 (これで終わりです)

 

 ニコルがそう思った時だった。

 アークエンジェルのカタパルトデッキからムウの搭乗するメビウスゼロが飛び出して来た。

 もう数分しかないのにストライクの救援に出撃させたのだ。

 アークエンジェルの艦長は余程の胆力を持っている。

 だがそんな事を考えている暇はなかった。

 ムウのメビウスゼロは四基のガンバレルを撃ちながらこちらに向かってきたからだ。

 どうやらアークエンジェルはまだ諦めていないらしい。

 そしてアークエンジェルのイーゲルシュテルンが火を噴きストライクを援護する。

 イーゲルシュテルンの機関砲弾は、漂流する味方艦船に命中させないように巧みにブリッツとデュエルを狙っていた。

 その弾幕を避ける為、ニコルは一瞬判断が遅れた。

 その間にムウのメビウスゼロは接近して来ていた。

 

 「させるかよ!!」

 ムウのメビウス・ゼロの援護射撃がデュエルとブリッツを狙う。   

 支援射撃を受けたストライクがアークエンジェルの表面を手で掴み、アークエンジェルに取り付いた。

 それと同時にアークエンジェルはその質量で残骸を無理やり吹き飛ばして破壊された軍港を突破していく。

 デュエルとブリッツはアークエンジェルのように質量がある訳でなく破壊された艦船や残骸を避けて追撃するしかない。

 

 「足つきが逃げるぞ!!」

 

 「あと一息で!!」

 

 イザークとニコルは無念の叫びをあげながら出航していくアークエンジェルを追撃する。

 だがそれは罠だった。

 突如、アークエンジェルから大量のヘルダートミサイルが発射され、攻撃しようとしたデュエルとブリッツに襲い掛かる。

 デュエルもブリッツも回避行動に移りつつミサイルを撃ち落としていった。

 その間にアークエンジェルは軍港の外へと脱出した。

 その瞬間アークエンジェルを狙って直上と艦底からミゲル、エマ、ジャンヌの操縦するジンから対艦ミサイルが発射される。

 

 「回避ーーっ!!」

 

 「やってます!!」

 

 ノイマン曹長の巧みな操艦で対艦ミサイルを次々に避けていくが避け切れずアークエンジェルに数発着弾し、マリューの乳房が激しく揺れた。

 

 「残念だったな」

 

 ミサイルを発射したあとミゲルとジャンヌとエマのジンが上下からMMI-M8A3 76㎜重突撃機銃を射撃しながら挟み撃ちで攻撃を行う。

 アークエンジェルに次々に着弾し、警告音が鳴り響いた。

 

 「コリントス!!イーゲルシュテルン!!撃て!!」

 

 ナタルの命令でコリントスミサイルとイーゲルシュテルンの弾幕がジンを襲い、回避運動をさせる。

 ジンは激しい反撃でアークエンジェルに近づけない。

 そのアークエンジェルはバスターとガモフの砲撃でカタパルトに被弾していた。

 

 「ゴットフリート照準!!前方ローラシア級及びバスター!!」

 

 「ゴットフリート撃て!!」

 

 満身創痍のアークエンジェルからゴットフリートが発射され、ガモフとバスターを火線が掠める。

 そしてそのまま最大船速でガモフに突入する。

 

 「まじかよ!?」

 

 ディアッカは想定外の反撃に慌てず攻撃をするが、何発くらってもアークエンジェルは止まらない。

 満身創痍のアークエンジェルは必殺の陽電子破城砲「ローエングリン」をこちらに向けていた。

 艦橋でマリューがシートベルトを締めながら叫ぶ。

 

 「操舵そのまま!!ぶつける気でいきなさい!!」

 

 「本当に当てますからね!?」

 

 「向こうが避けなければ当てなさい!!」

 

 CICではナタルが艦内放送でシートベルトや手すりに捕まって衝撃に備えるよう警告している。

 避難していた民間人が悲鳴を上げてベッドや手すりにしがみついた。

 

 「ローエングリン発射と同時に最大船速!!突っ切って!!」

 

 「ローエングリン撃て!!」

 

 ナタルの命令でローエングリンが発射され、ガモフは電子のエネルギーを避けた。

 そしてノイマン曹長がガモフに体当たりしようとする。

 ガモフ艦長ゼルマンは回避行動を取るしか無かった。

 そして最大船速で退避するアークエンジェルを追撃していたデュエル、ブリッツ、バスター、ジンの電源が切れる。

 類まれな操艦と適切な防御、ハリネズミのような武装と装甲。

 そしてマリュー・ラミアス艦長の胆力とナタル・バジルール少尉の戦闘指揮がもたらした勝利だった。

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