【完結】僕のピアノよCEに響け。逆行したニコルが絶望と悲しみの世界をやりなおします。   作:屠龍

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ラクスの父親シーゲル・クラインとニコルの父親ユーリ・アマルフィは親しい知人だと思うのですよね。同じ穏健派でシーゲルもMS開発と生産を行ってるマイウス市の支持は得たいでしょうし。ニコルが戦死しなかったら友誼は続いていたかもしれません。ニコルはラクスと知り合いだという設定です。実は初恋の人設定とかも考えましたがアスランとの関係もあり没にしました。そして毎回の事ですがナタルさんが苦労しています。


第32話 キラの親友たち

 第32話 キラの親友たち

 

 格納庫にたどり着いたキラ、ラクス、サイ、トール、ミリアリアは手はず通りに動く。 

 サイが大きめの宇宙服を持ってキラとラクスに渡す。

 宇宙服は大人用とはいえ、ラクスのスカートを押し込むのは少し小さかった。

 

 「サイ様、少し後ろを向いていてくださいませ」

 

 サイはラクスが服を脱ぐのを察して後ろを向く。

 何故キラはいいのだろうと少し悲しくなった。

 フレイは自分にこんな姿を見せてくれるのだろうか?

 そう考えるとサイは羨ましくも悲しくなった。

 

 トールはコジロー・マードックに隠れてエールストライカーの装着手順にはいる。

 安全装置を解除していつでも装着可能なように設定する。

 アークエンジェルは常に人手不足なので、いざという時の操作は習っている。

 まさか本当に自分がやる事になるとは思っていなかったが。

 

 ミリアリアは格納庫管制室のマイクを握り周波数を合わせると同時に格納庫の退避室のロックを外した。

 作業員に何かあった時に逃げ込むための部屋で常に空気が用意されている。

 コジロー達が持ち込んだポルノ雑誌などが乱雑に置かれているのを見て最低と思うと同時に、トールもこういうのに興味があるのか問い詰めようと思った。

 

 キラはラクスと共にストライクのコクピットに乗り込んでハッチ解放を待った。

 少ししてミリアリアの声が格納庫に響く。

 

 『これからハッチ開放します。退避してください!!』

 

 いきなりの事にコジロー・マードック以下の作業員は驚くが、ストライクがエールストライカーを装備した事でキラ達が本気だと知り慌てて退避した。

 ストライクの後ろ姿にサイとトールが叫ぶ。

 

 『キラ!!俺たち便所掃除ですめばいいな!!』

 

 『早く帰って来いよ!!』

 

 ラクス逃亡を手助けする時に三人が抱いた疑念。

 キラが本当はアークエンジェルを見捨ててザフトに投降するのではないかという疑念はもう無かった。

 サイ達は、ラクスの言葉に安心したのだ。

 キラは自分たちに嘘をついたりしない。

 

 「艦長!!カタパルトハッチが開いています!!坊主たちがお嬢ちゃんを連れて出て行こうとしてやすぜ!!」

 

 格納庫にいたコジロー・マードックがインカムで叫ぶと艦橋にいた面々が慌てて格納庫に注視する。

 そこにはカタパルトから発進しようとするストライクの姿があった。

 艦橋にいたマリュー達が大慌てでカタパルトハッチを閉じようとするが間に合わない。

 ストライクはカタパルトで発艦した。

 

 キラはこの暴挙で一番難しい事を考えていた。

 ラクスを手渡した瞬間、ザフトが約束を反故にして撃ってくることだ。

 相手にアスランがいれば大丈夫だという安心感があったが先ほどからイージスの姿が無い。

 ブリッツ、バスター、デュエル、ジン。

 どのパイロットを信用していいものか。

 

 『僕は地球軍のエースパイロット、キラ・ヤマトではなくアスランの親友キラを信じている』

 

 先ほど会話したブリッツのパイロット、ニコル・アマルフィの言葉を思い出した。

 アスランの親友というなら信用してもいいかもしれない。

 

 「ラクス。ニコルってどんな人か知ってる?」

 

 「ニコル様はプラントでは有名なピアニストですわ。父と一緒に参加したパーティで彼の演奏を拝聴しました。澄んだ水のようなとても素晴らしい演奏でした。ニコル様のお父様は技術者と政治家を兼ねられた方で、父とも懇意にしています」

 

 ラクスの父親シーゲルクラインはプラントでも穏健派で、ニコルの父親であるユーリ・アマルフィも穏健派なので親しく付き合っている。

 ただ穏健派は戦争中という事もあって勢力は小さく、パトリック・ザラの過激派が穏健派の切り崩しにかかっている。

 特にユーリが市長を務めるコロニーであるマイウス市はMS開発と生産の一大拠点なので両派にとって最重要拠点といえる。

 

 「信用できると思う?」

 

 「私の知っているニコル様はとても優しく朗らかな方でしたわ。信用できるとおもいますわ」

 

 キラはラクスのニコル評に疑問を持つ。

 キラを付け狙い目の敵にしていた彼を信用していいのだろうか?

 もしラクスがいうような人なら、戦場はあそこまで人を変えてしまうのかと恐ろしく思ってしまう。

 だが全く面識のないデュエル、バスター、ジンのパイロットよりはいいと思う。

 キラはラクスの人物評と先ほど自分に言われた『アスランの親友としてのキラを信じる』という言葉にかけてみた。

 キラは全周波通信でザフトのガモフへと通信を送る。

 

 『ザフト艦聞こえますか?こちらは地球軍所属アークエンジェル、ストライクガンダムパイロット。キラ・ヤマトです。そちらの通告通り24時間以内にラクス・クライン嬢を引き渡しにきました。ただし艦を停止してブリッツのパイロット単機で来ることが条件です。この条件が受け入れられない場合、交渉は決裂と判断してラクス・クライン嬢の安全は約束できません』

 

 アークエンジェル艦橋ではマリューが含み笑いをし、ムウが呆れナタルが顔を真っ赤にして怒りに手を震わせていた。

 ナタルはインカムを握りながら怒気を露わにする。

 

 「キラ・ヤマト!!そこで何をやっている!!今すぐラクス嬢を連れて帰艦せよ!!これは重大な命令違反だぞ!!」

 

 既に細工したサイとトールとミリアリアは拘束され艦橋に連れてこられている。

 ナタルは三人を射殺すような目で睨んだ。

 その剣幕に三人とも肩を震わせる。

 このような状況でザフトが約束を守る訳がない。

 ラクス嬢を引き渡したらその時点で交戦再開だ。

 そして多大なダメージを負ったアークエンジェルに勝ち目はない。

 ナタルは含み笑いをしているマリューと呆れてるムウにも腹が立っていた。

 この船には民間人が乗っている事を忘れたのだろうか。

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