【完結】僕のピアノよCEに響け。逆行したニコルが絶望と悲しみの世界をやりなおします。   作:屠龍

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今回はいつも行っている喫茶店をネタに書いてみました。某喫茶店は十分食事になるほどの量が出てきて助かります。たまに気分を変えたい時とかに利用しますね。ただ喫茶店で小説を書くとかはやっぱり気になるので家で書いてますが。ここのキラはラクスの悲しみを知って史実キラより余程前向きなのでこういう話になりました。


第51話 コ〇ダ珈琲

 第51話 コ〇ダ珈琲

 

 ニコルはキラが落ち着ける場所へ行こうとモルゲンレーテ社近くの喫茶店へと入った。

 コ〇ダ珈琲という名前の喫茶店で、メニューがとてもボリュームがあってパイロットのニコルのお気に入りだ。

 ニコルは外見に似合わずよく食べる。

 パイロットという事もあるが、ピアニストは体力の消耗が激しくちゃんと食べないともたない。

 対するキラは少食だ。

 パイロットスーツがぶかぶかになるくらい痩せているので周りから心配されている。

 ニコルはたっぷりコーヒーと卵サンドと味噌カツパン。

 キラはコメチキと紅茶だけだった。

 

 店内は静かで雰囲気がよく、混む時間じゃないのでほぼ貸し切り状態。

 キラの涙は乾いていたが、まだ落ち込んでいる。

 アークエンジェルで暮らしていた時は緊張状態だったから、安全な環境に戸惑っているのだ。

 ニコルはもっとキラの事が知りたいと思っていた。

 アスランから聞いていたとおり、キラはとても魅力的でニコルと相性がいい。

 話はキラの子供時代からアスランとの思い出になり、ニコルの知ってるアスランのエピソードで和やかになる。

 

 「そういえば……」

 

 ニコルはふと思い出したようにいった。

 

 「アスランはザフトアカデミーでモテモテでしたよ」

 

 「えっ?そうなの?」

 

 「ええ。顔も家柄もよくて成績優秀で僕の面倒もいいですしね。女生徒の憧れの的でした」

 

 ニコルはちょっと自慢げだった。

 キラは興味深々だ。

 ただキラから見てもアスランはモテそうだとは思っていた。

 

 「でもアスランって僕に厳しいんだよ」

 

 「その子の事ですか?」

 

 そう言ってニコルはキラの肩に止まっている鳥を模したロボットに微笑む。

 

 「トリィの事までアスランに聞いてたの?」

 

 「ええ、課題をさぼってアスランに手伝ってもらったんですよね」

 

 そう言ってニコルとキラは楽しそうに笑う。

 この間まで殺し合いをしていたのに、今は共通の親友の話で笑いあっている。

 つくづく戦争は嫌だとニコルは思う。

 こんな事は早く終わらさなければならない。

 

 「でも最後はアスランの婚約者がラクス様だと知っているから、女生徒はみんな諦めるんですよ」

 

 「……ラクス」

 

 ラクス・クラインの話を聞いてキラの顔が曇ったのを見てニコルは変だなと思う。

 何かあったのかもしれない。

 

 「キラ。ラクスさまと何かあったの?」

 

 「僕の事を恋人だって言ってくれた」

 

 「ぶっ!?」

 

 ニコルは思わずたっぷり入ったコーヒーを吹く。

 

 「ごほっ!!ごほっ!!ナニそれどういう事!?」

 

 「僕とは前世で将来を誓い合った恋人だってラクスは言っていた」

 

 「いやだってだって、ラクス様はアスランの婚約者だよ!?」

 

 「アスランとは想いが通じ合わなかったってラクスは言っていた」

 

 いったいどういう事だろう。

 ラクス様は捉えどころのない方だけど嘘をつくような方じゃない。

 アスランの話だと天真爛漫な方のようだ。

 でも前世って。

 もしかしたら前世を知っているのは自分だけじゃないかもしれないとニコルは考えた。

 

 「キラ。ラクス様が言っていた前世ってどんな世界か聞いたんだよね?」

 

 「うん。僕も今でも半信半疑なんだ。でもラクスを見た時、初対面なのに心が通じ合った気がした。僕はラクスを幸せにするために生まれて来た気がするんだ」

 

 「絶対笑わないから話して。ラクス様が見た前世の話。とても大切な話なんだ」

 

 「ニコル?」

 

 「その後で僕も話すから」

 

 ニコルの言葉にキラは頷いて話し出す。

 ラクスはキラがアスランとの事で苦しんでいるのを知っていた。

 彼女の記憶の中のキラは苦しいのを押し殺してアスランを討った。

 そして壊れてしまったという。

 だが時代はキラを壊れたままにしてくれなかった。

 その後出撃したキラは帰って来なかった。

 キラの苦しみと悲しみをラクスは知っている。

 そしてキラを失った事でラクス自身も壊れてしまったのだ。

 最終決戦でラクスは人類滅亡の鎮魂歌を歌いながら死んだそうだ。

 あんな世界を繰り返してはならない。

 ラクスは自分がまた人生をやりなおしているのは悲劇を避ける為だと思っている。

 

 「そんな事が」

 

 「ニコルはこの話を信じるの?」

 

 「普通なら信じないけど僕は信じるよ。だって僕も前世の記憶を持っているから」

 

 ニコルは語る。

 クルーゼ隊に配属された事。

 ヘリオポリス強襲が失敗すると知っていた事。

 キラがアスランを殺すと思っていた事。

 だからアスランが殺される前にキラを殺そうとした事。

 そしてアスランを庇ってキラに殺された事。

 

 「でも色々と変わっているんだ。例えば僕はラクス様が解放された時そこにいなかった。当然キラとも会っていない。バルトフェルド隊長とも出会わず、今頃は潜水艦の中でアークエンジェルが出航するか待っている筈だった。勿論オーブに軍事顧問として赴任もしていないし、キラとお茶なんてしたことが無い」

 

 「わからなくなってきたよ」

 

 「一つだけわかる事はもう前世の記憶はあてに出来ないという事と、未来は変えられるという事」

 

 「それじゃラクスが死ななくていい可能性も!?」

 

 「無いとは言い切れない」

 

 ニコルがそう言った時、キラが天井を仰いだ。

 木造建築で作られた喫茶店を食い入るように見つめてからキラが呟く

 

 「もしかしてラクスを助けられるかもしれない?」

 

 「キラもね。キラが死んだらラクス様が壊れてしまう。ならキラも生き残らないと駄目だよ」

 

 そう言うとキラがメニューを手に取る。

 その目は真剣そのものだ。

 

 「キラ?」

 

 「僕は生きる。生きるために食べないといけない」

 

 そういってハンバーガーやサンドイッチを注文するのだが、キラはコ〇ダ珈琲を舐めていた。

 テーブルの上に乗せられたハンバーガーやサンドイッチやアイスクリームが予想より大きいのだ。

 キラは懇願するようにニコルを見つめる。

 ニコルは苦笑してキラが注文した食べ物を二人で食べ始めるのだった。

 

 「キラ、どうしてフレイがストライクのパイロットになってるの?本当はキラが操縦してるんだよね」

 

 「フレイのお父さんが大西洋連邦の偉い人で、僕がコーディネイターだから困ると言い出したんだ。だから表向きはフレイがパイロットという事にしてるんだ」

 

 「でもそんなウソすぐにばれるよ?」

 

 「ナチュラル用OSがもうすぐ完成するからそれまで隠し通せばいいんだって」

 

 そう言う事か。

 それで戦時国債の宣伝に使われているという事なのか。

 それではフレイはずっと嘘をつき続けないといけない。

 そんな綱渡りを娘にさせる父親にニコルは腹が立った。

 だが同時にフレイもかわいそうだとも思う。

 でも自分がフレイに何をしてあげられるのだろう。

 ニコルの悩みは尽きない。

 

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