ロモスの王子になったので錬金しまくる 作:ダンパラムーチョ(芸人)
少年が魔法の筒で勇者を捕らえる。女僧侶がキングスライムに圧し潰された。
思い出した!思い出してしまった!
「………どうやら儂の目が曇っておったようじゃ。いかに強く外見が立派でも子供を殺そうとしたり人質を取ったりする輩が勇者であるはずがない。それが見抜けなかった自分が恥ずかしいわい」
父上、シナナ王が覇者の冠を少年に向けて被せる。
この光景には見覚えがある。とても見覚えがある。
ダイの大冒険だ。この世界はダイの大冒険だ!
私の名前はカマエル、ロモス王国の第一王子だ。
そして勇者でろりんの祝賀会に参加している時の事、突如としてモンスターの大群が城を急襲してきた。
会場はパニック状態になり私も転んで頭を打ったりしたが、なんやかんやあって騒動は収まった。
まあここまではいいだろう。こんな
それで頭を打った瞬間に思い出したのだ。自分の前世を。
確か前世はドラクエが好きな普通のファンだったはずだ。ドラクエ本編はもちろんモンスターズやビルダーズ、果てはマインクラフトのドラクエMODすらやるようなドラクエオタク。それが私だ。
もちろん有名な外伝漫画である「ダイの大冒険」も履修済みだ。二次創作とかも読んじゃうくらいには好きだ
そのストーリーとしては大魔王バーン率いる魔王軍が地上破壊を目論むも、勇者ダイによって防がれるという王道の名作だ。
まあダイならば放置してれば世界を救ってくれるだろう。ロモス王の息子とかいう本編で名前すら出ないようなモブキャラに出る幕はない。王族として静かかつ優雅に過ごせばいい。というのが前世の私の意見だ。
だがロモス王国第一王子としての私の意見は違う。
我がロモスは獣王クロコダイン率いる百獣魔団に襲撃されて壊滅の危機にあう。もちろんそれはダイによって水際で防がれるわけだが………
その過程でたくさんの死人が出るだろう。恐ろしいモンスターが城と城下町に攻め込むんだ。そうならない方がおかしい。
国民が理不尽に死ぬのは王族として許せない。それを知っていて見過ごすことなんて出来ない。
故に行動を起こそうと思う。
私、カマエルによる「ロモス国防計画」を!
残り何日でクロコダインが攻め込んでくるか覚えてないが原作が始まっている以上、時間がないのは確かだ。
だがその前に………この事態の対応をしなければ。
「父上!まずは怪我人の治癒と偽勇者一行の捕縛をするべきかと!」
「そうじゃの、兵士よ!そのようにせい!」
そうして傷ついたダイに駆け寄って『ホイミ』をかけるよう部下に指示を出す。
私に魔法の才能は一切ない。だからといって剣術の才能もそれほど無いが。ヒュンケルみたいに5歳で熟練の
「あれ?お兄さんは誰?」
「私はロモス王国第一王子カマエルと言う。今後ともよろしく」
「あ、うん。よろしく」
「それでだねダイくん。ロモスからは君に勇者の証として覇者の冠を授けることになった。その代価に魔法の筒を1つくれないか?」
私は父上にバレないように小声で交渉を行う。
魔法の筒はモンスター以外にも人間や
「いいよ」
「ありがとうダイくん」
本当にいい子だ。
というわけでサンプルとして魔法の筒を1つ手に入れた。後でマジックアイテム技師に渡して量産を指示しよう。
さてと、次は………
「クソッ!そこのガキがいなければ!」
私は兵士たちに捕縛されている偽勇者でろりん一行の方を見る。
彼らも有効活用するしかないな。
というわけで父上に問いかけてみる。
「父上!そこの偽勇者にはどのような罰を与えるのでしょうか?」
「そうじゃのう………モンスターを襲ったのはいいとして、子供を殺そうとした罪は重い。1年ほど地下牢にぶち込んでおけい!」
「1年も地下牢に!?そんなぁ!」
でろりん達は絶望している。
ただ地下牢にぶち込むだけじゃ生産性がないな。どうせなら有効活用しよう。
ちょうど良い考えがある。
「ならば私めに奴らを預けてください、必ずや国の為に活かしてみせましょう。それで刑期を1か月に短縮させてください」
「あいわかった。ならばカマエルの好きにさせよう」
「カマエル様ぁ!」
でろりんが鼻水と涙をドバドバ流しながらこちらに向けて感謝してくる。まあ順当にいけばその感情もすぐに消えることになるだろうけどな。
今日はこんなもんかな。魔法の筒と自由に使える
それにダイくんにテロを起こされたり、前世の事を思い出したりと精神的に疲れた。とりあえず眠ってスッキリしてから色々と考えたい。というわけで私は寝ることにした。
そして次の日。
「父上!国防費を上げるべきかと」
「いきなりどうしたのじゃカマエル?」
ダイくんを見送って魔法の筒を技師に渡した後、私は謁見の間にて父上に直談判している。
議題は国防予算の増額だ。近いうちに百獣魔団が攻めてくることを考えたら当たり前だろう。単純な話だ、国防力が高まれば高まるほど犠牲になる国民の数も減る。
「昨日の一件は城の深くまでモンスターが入り込みました。故に城ならびに城下町の防衛力を上げるべきかと」
「じゃが今回は何もなかったからよいじゃろう」
この平和ボケ王め!
そうじゃないだろう。
「それはダイくんが善良なだけだったからです。これがハドラーのような魔王だったらその時点で国家は滅亡します!最低でも城下町を囲むような防壁が必要では?」
百獣魔団は城下町周りにある魔の森から襲撃してきた。ならば対策としてバリケードを設定すればいい。
これがロモス国防計画Ⅰ:防壁を建てようだ。魔王軍と言っても襲ってくるのは獣系や自然系のモンスターが大半だ、知能が足りない獣なので防壁を突破することは難しいだろう。
なおクロコダインの獣王痛恨撃で防壁が粉砕されることは考えないことにする。アレは他のプランでカバーだ。
「今は魔王も倒された平和な時代。そういうものを作る時代じゃないぞ、カマエル」
「何も脅威は魔王だけではありません。現に勇者アバンは門弟を育てて、ベンガーナは軍艦や戦車を作るなど軍拡を進めていますよ。平和な時代だからと何もしなければ他国から置いて行かれてしまいます」
まあ魔王は倒されてないんですけどね。それと人間の国からの侵攻なんて島国であるロモスでは警戒する必要があまり無い。正直、かなり厳しい理論だ。
さあ、これでいけるか?
「仮にオヌシの論が正しいとしよう。じゃが予算が足りないのう。国民に重税を課すわけにもいかんし」
「予算ですか」
あーね。前世の日本でもそうだが国政というのは予算との戦いだ。
流石に重税を課してまで国防を優先するとかいう悪の独裁国家みたいなマネはしたくない。そんなことやったら国民は苦しむし、クロコダインを倒せても民衆から革命を起こされて断頭台endかもしれない。
そんなのはごめんだ。
………思ったより
「じゃがカマエルの言うことにも一理ある。兵の増員や訓練に対する予算を増やそう。それでよいな?」
「わかりました」
まあここら辺が潮時だろうな。
鉄血宰相ビスマルク曰く「政治とは妥協の産物であり、可能性のアートである」だ。彼を見習ってここは妥協しよう。
それに予算を増やす案もないこともない。まあ、まだ検証しようかなっていうくらいの段階なので父上に突き出す材料にはできないが。
「それよりじゃ、3か月後にパプニカのレオナ姫がロモスに来るそうじゃ。互いに次代を担う者として人脈を繋ぐことも重要じゃろう。カマエル、お前も出席をせい」
「ほう!どういった用件で来るのです?」
「なんでもデルムリン島で儀式を行うらしい。その時に挨拶も兼ねて我がロモスに来訪するとか」
「デルムリン、ダイくんがいる島ですか………」
「そうじゃ。それでじゃな………ダイくんのことをレオナ姫に紹介しようと思う。土地勘のある人間の情報を伝えればパプニカに恩も売れるしのう」
「………ですね」
レオナ姫にデルムリン島に来る………原作でもあったイベントだな。確かバロンとかいう賢者が魔のサソリとキラーマシンでレオナ姫を暗殺しようとするがダイに防がれるとかだったはず。キラーマシンか、実に興味深い。
そして、それが起こるのは3か月後か。そしてアバンとの修行に魔の森でのゴタゴタを合わせるとリミットの最低値は3×30+数週間=100くらい。
つまり残り100日はクロコダインは襲撃してこない。裏を返せば100日後に侵攻するワニというわけでもあるが………
意外と短いな。これは
「ところで父上。勇者ダイがいるデルムリン島は我が国、固有の領土ですよね?」
「いきなりどうしたのかの?」
「固有の領土ですよね!」
「………そうじゃの」
「でしたら、それを内外に明らかにする為にレオナ姫の儀式についていってもいいですか?」
建前としてはパプニカ王国にデルムリン島を実行支配されないようにする監視とレオナ姫と一緒に船旅をして親睦を深める。
本音はキラーマシンを入手したいだ。ロンダルキアや魔界で出てくるようなマシーンを操れたら爽快だろうな。百獣魔団の魔物達を簡単に膾にできそうだ。
しかもそれがほぼタダで手に入るかもしれない、予算も痛まない最高の戦力だ。
これがロモス国防計画Ⅱ:キラーマシンを手に入れろだ。
「別にいいんじゃが、あんな僻地を領土にしても持て余すだけじゃろうに」
「持て余していいんですよ。ロモスは領土を実効支配されても何もしない国だと見られる方が危険です」
「考え過ぎじゃと思うんじゃがのう」
それはそうね。ドラクエ世界は魔王が強過ぎて人間同士で争う暇はないしね。北方領土・竹島・尖閣で争っていた
実際、私の目的はキラーマシンだからな。未来が分かっているからこそ得れる結論だ。
「では父上、私は用があるのでこれで失礼を」
こうして謁見の間から自室へと戻る。そこには私つきのメイドがいた。
「おい、例のブツは用意できたか?」
「はい、カマエル王子」
メイドは2つの物を私に差し出した。それは薬草と毒消し草だ。
そして私の名前はカマエル。そうカマエルだ。歴代シリーズを知る人間ならばピンと来るだろう。
ドラクエ9の錬金釜の名前だ。錬金大成功が出来ずに「とはいえ それが 普通なのです」と煽られて非常に腹が立った記憶が脳髄にしみ込んでいる。
それはいいとして、要するに「
これがロモス国防計画Ⅲ:錬金術で色々なものを作り出そうだ。強いアイテムを作り出して兵士の強さを底上げするも良し、高価なアイテムを作り出して売り飛ばして国庫を潤わせても良しの最高の計画だ。
今までの国防計画とは違って成功すれば比較にならないほどの武力と富をもたらすだろう。やっぱ3番目くらいが丁度いいよな。ドラクエもⅢが最高傑作と呼び声高い(俺の声)しな。
というわけで錬金だ。さて、どうやるんだろう。とりあえず「鋼の錬金術師」みたいに手をパンと合わせて掌の魔力を滾らせる。そして薬草と毒消し草を合成する。すると………
「出来たぞ!上毒消し草が」
「はぁ………」
やったぜ。私に錬金術の力があることが分かったのは大きい。錬金で大儲けして富国強兵を目指してやるぜ。
だがメイドの反応は芳しくない。まあドラクエⅢ以前の常識に生きている人間にとってはドラクエⅧ以降に出てくるアイテムの価値を知るのは難しいだろう。だがこの効果を聞けば驚くに違いない。
「これは凄いぞ!体力を回復しつつ毒まで打ち消せる。これは大きな付加価値がつく」
「薬草と毒消し草を連続で使っても結果は同じなのでは?」
「甘いな、お前はモンスターと戦ったことがないから知らないだろうけどな………」
「王子も戦ったことないでしょうが」
「ちょっと黙ってろ。これが活きるのは非常時だ。毒を受けていてダメージを負っている時にチマチマと何度も回復している暇はない。この上毒消し草は同時に効果が発生するんだ。冒険者のお供に最適だろう?これは高く売れる」
特薬草や万能薬を量産して売りまくれば予算の問題も解決するはずだ。
「なるほど、ですが本当に効果があるのですか?」
「そう言うと思ったよ。だからちょうどいいモルモットを用意している」
「モルモット?」
・・・
・・
・
「ぎゃあああ!もうやめてくれぇ!」
「おら、次はきつけ草の検証だ。このキラービーから抽出した麻痺毒を飲め。そしてちょっと痛くするぞ」
「痛くするってもんじゃないだろ!ブロンズナイフで切り付けてる!」
私は地下牢で偽勇者一行を相手に錬金で作りだした回復アイテム一式の効能を確認している。
つまりコイツらこそがモルモットだ。流石に治験とかしてないアイテムを世に流通させるわけにはいかないからな。
ちなみに作業工程としては偽勇者達を傷つけたり毒を飲ませたりする→回復アイテムで回復させるだ。理論上は人体に影響はないが傷つけられる過程で痛くするので辛いだろう。
………同族相手に人体実験ってザボエラのことが笑えないな。ザムザですら他種族を実験体にしたのにな。だけどこれも護国の為の尊い犠牲だ。優秀な錬金回復アイテムを兵士が持てば継戦能力が上がるし、なにより死者は出てない。それに偽勇者達も刑期も短くなるんだし悪くはないだろう。
「ほら次は超万能薬だ。コイツは体力の回復と状態異常の回復も出来る優れものだ。とりあえず死にかけながら各種状態異常になってもらうぞ」
「ぎえええええ!」
地下牢に悲鳴が染みこんでいく。
まあ1ヶ月頑張れ。
・・・
・・
・
※主人公(カマエル)について
名前の由来はドラクエ9のカマエル。
主人公の見た目は女神転生のカマエル(翼なしver)。
※カマエルの呪文・特技
『錬金』『?ーマのさ??』
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