深淵転生~透き通るような世界で転生者達と青春を送る~   作:幸野司

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 手直し前にやった本編一人称での過去語りは書くのも読むのもしんどくなるくどいものになってしまったため、あらすじという形で前書きに供養します。
 重要なのは古霧坂理王というキャラがメアリー・スーレベルのチートであることと人類の大半に裏切られた結果若干の人間不信(無いも同然)になったことだけです。
 以降、要らない方は飛ばしてOK。

 異世界からの侵略者の首魁、その最後の一人が行った策により今まで守ってきた人類に裏切られた理王。
 首魁の能力によって地球上の生命は糧とされ、最後の決戦が行われる。
 数ヶ月に及ぶ戦闘の果て、理王は首魁を倒すことに成功するが、もはや地球は死の星となっていた。
 侵略者の使っていた術式を解析して人類の生きられる環境の異世界へ渡る術を編み出した理王は、地球に残っている物資を持って行くか悩む。


入学前、三の年
プロローグ


 わざわざ物資を探し回る気になれなかった俺は、結局着の身着のまま地球を後にした。

 

 

   ◆◆◆

 

 まず認識したのは乾燥した空気。次いで照り付ける太陽と宙を舞う砂塵を感じ取る。

 周囲を見渡すと、どうやらここは砂に埋もれかけの廃墟のようだ。

 

「オーダー通り人間が生きていられる環境ではあるようだが、なにやら変な感じもするし、少なくとも普通の世界ではなさそうだな」

 

 俺の使っている魔力とは違う、未知のエネルギーの残滓を感じる。

 それに、砂に埋もれて見え辛いが、そこかしこに空薬莢が散らばっている。

 

 いきなり撃たれる可能性を考えて意識を準戦闘レベルまで上げると、やや遠くから銃声が聞こえた。

 

「第一異世界人を拝むとするか――次元魔法《ディメンション》」

 

 通常の五感とは違う魔法による感覚を広げると、ヘルメットをかぶった緑尽くめの少女を赤い長髪をツインテールにした少女が追いかけているのを感じ取った。

 緑尽くめは時折サブマシンガンを撃っているが、赤髪の少女は多少の足止めを受けているものの大して意に介さずに追い続けている。時折顔をしかめているため痛覚は存在しているようではあるが、それでも元の世界基準だと驚異的な耐久力だ。

 一方赤髪の少女は武装が手にしている拳銃ひとつのようで、銃撃を受けた時のノックバックもあってあまり距離が縮まっていない。

 

 さっき感じた謎エネルギーを両者から感じるため、耐久力のタネは謎エネルギーにありそうだ。

 

 片方に加勢して情報収集するのは確定として、問題はどちらに加勢するか。

 脅威度は赤髪の少女が高いが、同時にあまり邪気を感じないのもこっち。対する緑尽くめは邪気たっぷり。悩む理由は無いか。

 

「斬り捨てごめんってな――次元魔法《ディフォルト》」

 

 重ねて、歩法――縮地。

 

 瞬時に距離を詰めた俺は、抜刀の一撃で緑尽くめの意識を断ち斬る。

 

「複合居合――疾風迅雷・茜」

 

 緑尽くめが崩れ落ちるのを横目に、パフォーマンスも込めて言いながら鞘に納め、こちらを警戒する赤髪の少女へ話しかける。

 近づいてみると、謎エネルギーが両者の頭上に展開していた。緑尽くめの法は気絶と同時に感じなくなったことから、意識とリンクしている可能性が高そうだ。

 

「聞きたいことがあるんだが、かまわないか?」

 

 言いながら太刀の柄から手を放してホールドアップするが、赤髪の少女は依然として警戒を解く気配がない。

 どうしたものかと考えていると、赤髪の少女が話しかけてきた。

 

「そいつ、殺したの?」

 

 少なくとも、日本語は通じるらしい。

 

「いや、意識を斬って気絶させただけで、数時間もすれば目を覚ますだろう。俺は誰彼構わず斬り殺すような辻斬りじゃないから、そこは安心してくれていい。こいつを斬ったのもそこそこ邪気を感じたからだしな」

 

「邪気?」

 

「簡単に言えば、悪いことを考えている奴は多くてそうじゃない奴は少ない。俺はこの世界の情報が欲しくてあんたに接触したが、それはあんたの邪気がこいつより少なかったのと無力化するのがこいつよりも面倒そうだったからだ」

 

 先んじて情報を与えて警戒を緩めるのを狙いつつ、赤髪の少女に集中する。

 

「この世界って、まるで別の世界から来たかのような言い草ね」

 

 よし、食いついた。

 

「ああ。俺は別の世界から来た人間で、先程この世界に来たばかりなんだ。言うなれば、あんたは第一異世界人ってやつだ」

 

「その世界が何と呼ばれていたかを教えてもらえる?」

 

「基本的には地球、と呼ばれていた。」

 

 俺がそう言うと赤髪の少女は考え込み始めるが、同時にその魂からどこかへとラインが繋がったのを感じる。

 少し、鎌をかけてみるとしよう。

 

「お仲間と情報共有するのは良いが、分かるやつにはバレバレだから気を付けろよ?」

 

 そう言うと、赤髪の少女は目を見開いてこちらを凝視してきた。

 食いついたようでなによりだ。

 

「あんたも同類ってことでいいのかしら?」

 

 はい確定。さっきのは他人と通信する類の何かだ。

 

「さて、どうだろうな?あんたらとは別口のようだし、解釈次第じゃないか?」

 

 元の世界で腐った政治家共相手に鍛えたペラ回しだ。この少女は直情的な性質のようだが、気づくかな?

 

「そいつの意識を斬ったのがあんたの特典ってことで良いの?」

 

 特典ね。少なくとも他者から能力か何かを与えらているらしい。今のところ有力なのは魂を繋いで通信するなにかか。

 

「是であり否、ってところだ。あれは貰ったものとは割と別枠だからな」

 

 下地にしている剣術は『記憶』から汲み上げたものだが、この境地に達したのは侵略者共との戦闘経験あってのものだからな。

 

「ブルーアーカイブって言葉に聞き覚えはある?」

 

「ブルーアーカイブ……青い記録?何かの隠語か?」

 

「知らないってことは完全に別枠なのね……」

 

 ふむ、少なくともこいつとその同類の中では共通して重要な意味を持つキーワードではあるのか。

 

「とりあえず、俺の恩神(おんじん)は一人称がワシの年齢不詳男だったが、そっちは」

 

「わたしたちは会った記憶は無いわね」

 

 ……なんというか、かなり久し振りに真っ当に親切な善人を見たな。

 柄じゃないが、少しだけお節介をするか。

 

「あんた、ちょっとは人を疑った方がいいぞ?散々情報を抜いた後で言うことでもないが、俺みたいに情報を曖昧に伝えることで情報を引っこ抜いてくるタイプもいるからな?」

 

「はあ!?ならあんた転生者じゃないの!?」

 

 いやほんと、心配になるな。お互いにあえてぼかしていた部分を言うなよ。気絶して聞こえていないとはいえそこに部外者が居るんだぞ。

 

「一応、分類上は転生者になるぞ。あんたやお仲間と違って前世の記憶はカケラも残ってないがな」

 

「じゃあどうやってこの世界に来たのよ!」

 

「生まれてから身に着けた技術で、自力で転移して来た。転移先がこの世界になったのは完全に偶然だな」

 

「っふう。恩人っていうのは神様じゃないってこと?」

 

 おっ、平静を取り戻したか。

 

「いや、本人は神と名乗っていたし、それに違和感がないくらいの超越者ではあったぞ」

 

「なんだかこんがらがってきたから、どういう経緯でこの世界に来たのか説明してくれる?」

 

「端折って言うけど、記憶が消し飛ぶくらいヤバイものに囚われた俺を助けてくれた方がその後遺症で手に入れた力の制御のために色々くれた上で元の世界に転生させてくれて、その後に俺が自力で転移して来たってのがおおよその全貌だ」

 

 転生した後を丸々省略しているが、不幸自慢をしたい訳じゃないし、わざわざ言う必要もないだろう。

 

「次はそっちのことも教えてくれないか?」

 

「まず前提として、この世界はブルーアーカイブってゲームの世界で、わたしやほかの転生者は前世でブルーアーカイブをやっていた元ユーザーよ」

 

 成程、ゲームの名前だったのか。

 

「地球という言葉に反応していたが、あんたたちの前世も地球だったってことでいいか?」

 

「ええ、偶然の一致とは思えなかったから」

 

「ちなみにそのゲームが出た年は?」

 

「確か西暦2021年だったと思うけど……」

 

「俺が来たのは2017年だ。自分で言うのも何だが、俺の居た地球では知らない奴がいないくらいには有名だったから、おそらくはよく似た別の世界だろう。続けてくれ」

 

「わたしたちに共通して与えられたのはどこにいても匿名掲示板という形で交流できる能力よ。接続も書き込みも本人の自由だから、転生者の総数は不明だけどね」

 

「なんのためにそんな力を与えられたんだ?お前たちを転生させた奴の意図が読めないんだが」

 

 とてもじゃないが、愉快犯としか思えないぞ。

 

「わたしたちという変数を加えたことで物語がどう変化するのかを観察したいらしいわ。この世界はあの性悪な神様の箱庭なのよ。時間経過も三年間で一歳年を取るって意味の分からないことになっているし」

 

「なんだそれは?誕生日とかどうなんているんだよ」

 

「毎年あるけど、一の年二の年三の年で数えて生まれた年に年齢が上がる感じよ。私の場合、二の年の3月28日生まれね」

 

 箱庭という言葉から考えて、人工知能の成長が人間よりも時間がかかるのを再現している感じか?

 

「ちなみに今は何の年の何月何日なんだ?」

 

「三の年の11月20日だけど、それが?」

 

「俺の元の世界でも、今日は11月20日だった。そっちの神に誘い込まれたと見て良さそうだ」

 

 つまりこの世界では、三の年の12月25日が俺の誕生日ってことか。

 

「あんたの寿命とかはどうなっているのかしら?さすがにこの世界に合わせられているとは思うのだけど……」

 

「あー、そこら辺は気にするな。半分以上人間辞めてるから、寿命なんてあってないようなものだ」

 

「そ、そうなの?勝手に同い年くらいに思っていたんだけど、年上だったりする?」

 

 変なとこ気にするな、こいつ。

 

「12月25日で15歳だから、だいたい一ヶ月後に誕生日だな」

 

「年下だったの!?」

 

 何やらショックを受けているが、まあいいか。

 

「そろそろ、この世界について教えてもらっていいか?」

 

「ここ、キヴォトスは数千の学校からなる学園都市よ。薄々察していると思うけど、銃撃戦が日常的に行われているわ」

 

 

   ◆◆◆

 

 

 ~説明省略~

 

 

   ◆◆◆

 

「なるほど、だいたい分かった」

 

 謎エネルギーの名称は神秘で、頭上に展開しているのはヘイロー。生徒は多種多様な種族的特徴を持っていて、大人はなぜか動物かロボットと。

 

「おおまかな世界観はわかったが、あんたらのスタンスは?」

 

 原典の存在する世界というなら、ある程度は定まっているはずだ。

 

「それを話す前に言っておかなければならないのだけど、わたしたちの記憶にはロックがかけられているわ」

 

「例の性悪な神様にか?」

 

「ええ。段階的に解かれていくらしいけど、現在わかっているのは主要生徒キャラの名前と所属学園と学年、それから主人公である『先生』が将来キヴォトスにやってくるということだけよ。そして、現在高等部にネームド生徒は確認されていないから、みんなけっこうバラバラに動いているわ」

 

「……おい、それじゃあ原作が始まるのいつだよ」

 

「有志の捜索によって中等部の三年にいることはわかっているから、少なくとも七年後じゃないかしら?」

 

「その頃にはあんた卒業しているな」

 

 大学部も無いらしいが、どうするんだろう。

 

「それなんだけど、わたしの所属しているアビドス高等学校が問題を抱えているから、卒業後も関わるつもりよ」

 

「問題?」

 

「借金があるのよ。10億くらい。おまけに高等部の生徒がわたし含めて二人しかいなくて廃校寸前」

 

「……それ、七年も持つのか?」

 

「先輩たちから託されたし、これから入学する後輩のためにも持たせるしかないわ」

 

 この人、聖人か何かか?

 

「まあなんだ、俺もできることは手伝うから、あんまり気負うなよ、パイセン」

 

 途中でおどける方向にシフトしたが、言質、取られちまったなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




古霧坂理王
学園 無所属
部活 無所属
学年 中等部三年相当
年齢 14歳
誕生日 12月25日
身長 173cm
趣味 フィクションの技の再現

備考 ご都合主義の化身
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