プシットはフウカを倒すが、ペンダントは見つからなかった。
その時、通信機からアタリメの声が聞こえ、彼が危険に晒されている事を知った。
プシットはクマサン商会に向かい、クマサンと対面する。
クマサン商会でのアルバイトを通じて、プシットは情報を集める。
クマサンの目的は不明だが、プシットは警戒を強めるのだった。
「それじゃ、オルタナログを読んでから次のサイトに行きましょうか」
「そうだな」
解析を終えたオルタナログを、プシット達は読み進めていく。
~人類最後の日~
人類がオルタナに移り住んでから、長い年月が過ぎていった。
以前よりも良い生活ではなかったが、それでも人類は地下での生活を苦にせず、
その数を少しずつ増やしていった。
しかし人は寿命という枷からは逃れられず、科学者達は長い年月の中で年老いていく。
彼らはオルタナを自分達だけで支える事に限界を感じると、
優秀な市民にオルタナの管理を一部任せる事にした。
さらに、才能ある若者を教育し、自分達の知識と技術を教えていった。
オルタナで生まれ育った若き科学者達は優秀で好奇心が強く、
いつか液晶が映し出した偽物ではない、本物の空を見たいと思うようになった。
年老いた科学者達はそれに反対した。
地球が汚染されたのは何が原因なのか、痛いほどに理解しているからだ。
だが、地球の過去を知らない若き科学者達は、年老いた科学者達の反対を押し切り、
ロケットを建造してついに完成した。
しかし、打ち上げの最終テストでブースターの試運転を行った時、
その強力なエネルギーを浴びたオルタナ内壁の液晶に負荷がかかり、暴走した。
これにより一部の内壁が崩落し、居住区を直撃、その残骸がオルタナ内部に落ちていった。
ライフラインは復旧不可能にまで破壊され、人類は呆気なく絶滅を迎えるのだった。
「……これが、人類滅亡の理由だったのですね」
人類が徐々に増えていったにも関わらず、絶滅してしまった理由がついに判明した。
好奇心に負けた若き科学者が地上に出ようとして、オルタナそのものを破壊してしまったのだ。
「また、人類は過ちを犯したのか……」
好奇心は決して悪い事ではない。
しかし、その好奇心が災いを引き起こす事は、人類は知らなかったようだった。
「でも、もし今も人類が生きていたら、こんな事にはならなかったと思うと……」
「痛ましいだろう。だが、時が戻る事はない。過ちを繰り返さないようにするしかないんだ」
「……そう、ですね」
今はなき人類に思いを馳せながら、プシット達はサイト5に向かう。
アタリメを探すため、ペンダントを探すため、そしてオルタナとケバインクの謎を解くため。
パイプは四人のイカと一匹のコジャケを、サイト5に導いていった。
「このパイプ、何に使ってたんやろね」
「分かりません。でも、人類にはちょっと狭いです」
この太さは、人類が使うには狭い気がした。
ともかく、ここを通っていけば、次のサイトに到達する事ができる。
プシット達はオルタナの奥へ奥へと進んでいった。
「ここが五つ目のサイト……ですね」
「ふー、結構遠くまで来たね!」
プシット達はオルタナのサイト5「あすなろグリーンヒルズ」に辿り着く。
ケバインクは相変わらず各地にあるが、中央にはトマトがある温室があった。
ここで恐らく、食糧を管理していたのだろう。
パラボラアンテナや風車もあり、このサイト5が人類の生活を支えていたのだろう。
だが、人類の過ちによるオルタナの崩壊で、ここには人類は既になかった。
「ジジィの反応はなし、か……」
セピアは辺りを見渡し、アタリメを探すが、彼の姿はどこにも見当たらなかった。
このサイト5にもアタリメはいなかったので、思い当たるところと言えば1つしかなかった。
「サイト6……もし、そこにもいなかったら……」
「いや、諦めるのは早い。探索をしながら、サイト6に向かおう」
「……そうですね!」
プシットはサイト5の薬缶に入って、様々なエリアに挑戦した。
以下のエリアはプシットの動きもあって、あっさりとクリアできたので省略する。
・曲がり角の数だけ驚きあり。散歩道も、人生も。
・裏側へのこだわり。それは豊かさの象徴。
・オブソリュートビュー、飾らない景色の中で。
・屋根、それは未来の邸宅の条件。
・家屋が並ぶ、その伝統の見晴らしに恋をする。
・確かに踏みしめる。この夜景に暮らす、歓ぶを。
・霧と邸宅の、甘美なるマリアージュ。
・水と緑に充ちた、潤う日々への片道切符を。
・走る、飛ぶ。あなたと躍動するエリア。
・欲しいものはいつも、遠くにあった。
・水面にゆれる。秘密をまとった、その魅惑。
プシットが苦戦したのは、この二つの薬缶だった。
・不可逆な時の中で、この街並みを選ぶ意味。
「ここに挑むのか? では、アドバイスだ。オススメは、選ばない方がいい」
この薬缶はライドレールに乗って、全ての的をブキで撃つミッションだ。
ただ、オススメを選んではいけない、とセピアが注意したため、
プシットはラピッドブラスターを選んだ。
事実、トライストリンガーの報酬イクラが他と比べて高かったため、
難易度が高いとプシットは睨んでいた。
それでもかなり苦戦した事は間違いなく、プシットはかなり疲れていたという。
・美意識が調和する空間に、立ち入る特別を。
「そもそもイクラはどこにあるんですか」
イクラの場所が分からず何度か時間切れになったが何度目かの挑戦で何とかクリアできた。
しっかり周りを見渡す事が目的への近道だという。
「オルタナログの解析も終わった。人類が滅んだ後、どうなったのか……」
セピアはじっと、オルタナログを見やる。
人類が滅亡した後の地球で、何が起こったのかを見るためだ。
~知性の目覚め~
人類が絶滅した後、オルタナの内壁の欠片が海へ落下した。
オルタナの内壁は夢の液晶で出来ており、
海水と混ざり合ったそれはイカやタコなどの海洋生物に少しずつ浸透した。
やがて海洋生物達の中に「地上に行きたい」という感情が芽生え、急速な進化をもたらした。
肺呼吸や高度な運動機能を手に入れ、知能は著しく発達し、種によっては擬態能力までも獲得。
こうして進化した海洋生物は陸に上がり、地上へ向かう方法を探し始めた。
海洋生物は慣れない陸上での活動に苦心するも、
人類が大空洞へ下りる時に使った道を発見し、オルタナを脱出した。
「それが僕達の始まりだったんですね」
今の地球を支配する海洋生物は、滅んだ人類の思いを受け継いだものらしい。
アオリ、ホタル、ヒメ、イイダ、ウツホ、フウカ、
マンタローなどが人類のような心を持っていたのは、それが理由だったのだ。
「僕達はどこから来て、どこへ行くのか。今、『どこから来て』が分かりました。
人類がいた場所から来たんですね」
「そっか……そういう事があったんだね……」
「いなくなった人類を継ぐなんて……」
流石のアオリとホタルも、驚きを隠せなかった。
人類がなしえなかった思いを海洋生物が引き継ぐ、それを知って自分の生きた実感を思い出す。
「そして、どこへ行くのか……恐らく、地上だろう。もう、イカ達は既に地上に出ているからな」
「何だか感動するドラマでしたね。……だからこそ、クマサンを放っておくわけにはいきません」
プシットは真剣な表情で作られた空を見やる。
クマサンはアタリメを使って、大きな野望を叶えようとしているだろう。
それを阻止しなければ、今を生きるイカやタコに未来はないだろう。
セピアはプシットの曇りのない瞳を見て、頷いた。
「司令、僕は必ずクマサンを阻止します!」
「良い心意気だ。では、次のサイトに進む!」
次回は最後のサイトに突入です。