ご注文はうさぎです!Re   作:新生兎丸

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お待たせしました………


3.ひとめで尋常じゃないもふもふだとは気付けなかった

 「リゼちゃんなにやってるの~?」

 

 「ラテアートじゃね?」

 

 「良く分かったな、ジン」

 

 ラテアートとは、エスプレッソにミルクを注ぎ、カップの表面に絵柄や模様などのアートを描くことや、アートが施されたカフェラテのこと。

 

 出来る人は少ないと思う。というか、そもそも普通の絵描きとはレベルが違う。大抵はミルクを注いでる途中で形が崩れてしまって絵どころではなくなってしまうからだ。

 

 「もしかしてリゼ、ラテアート出来るのか?」

 

 「まあな。ちょっとしたのしか出来ないけど」

 

 「凄いねリゼちゃん!私もやりた~い!やり方教えて~!」

 

 「しょうがないな。特別だぞ?」

 

 そう言うとリゼは、やり方を見せてくれた。

 

 カップを上空に手放して一回転。宙を舞うカップをキャッチしてミルクを注いでいく。この一連の動作を全てノールックで行う。

 

 いや、そこまで派手にやる必要が一体どこに........?

 

 「ちょ、え?上手くない?」

 

 「全然!そんなことないけどな!」

 

 「いや......!上手いってレベルじゃないよぉ……!」

 

 謙遜するリゼだが、彼女の作ったラテアートはかなりの出来映えだった。あそこまで派手な演出を加えていながら、こんなにも繊細に作り込まれたラテアートが出来上がるとは。しかも戦車って……。

 

 この女一体何者だよ。

 

 「私もやりた~い!絵には自信があるんだ!金賞とったことあるから!」

 

 「まあいいけど……小学校低学年の部、とかはナシな」

 

 「うっ……!?ち、違うよ……?」

 

 ホントかよ。

 

 「よ、よっし!やるぞ~!」

 

 金賞の話題を無理やり反らし、意気揚々とコーヒーにミルクを注いでいくココア。

 

 完成した物を見みると、ティッピーを描いたのだろうかうさぎの絵が浮かび上がってきた。中々に上手い。しっかり形になってるし、案外可愛い仕上がりになっている。

 

 女性客の多そうなラビットハウスでは、ココアのラテアートはウケがイイかもしれない。

 

 (か、可愛い……!)

 

 リゼが顔を隠して震えている。

 

 笑ってるのか?

 

 下手だからって笑うようなヤツでもなさそうだし、別に下手って訳ではないだろ。もしかすると、可愛い物を見た女性特有の言動を押し殺してるのか?だとしたら可愛いところもあるじゃないか。拳銃持ってるけど……。 

 

 「わ、笑われてる!?......もぉ、チノちゃんも描いてみて?」

 

 「私もですか?」 

 

 その様子を見て、笑われたと思ったココアはチノにもなにか描いてみるよう促す。 

 

 「どんなのが出来るか楽しみだね~」

 

 黙々とラテアートを作るチノの後ろで、どんなのが出来上がるか想像するココア。 

 

 「出来ました」 

 

 チノが作ったラテアートが差し出される。

 

 「えーっと......」

 

 それは予想のはるか斜め上を行くラテアートだった。角度を変えれば、別の絵のようにも見えてくる。まるで有名な画家の絵に酷似したラテアートだ。それを見たココアは単純にその絵が下手だと感じたのか、チノと手を合わせて仲間だとか勘違いしている。

 

 い、良いのか……?

 コレは下手なんじゃなくてチノの感性が凡人の理解が及ばない領域にあるモノなんじゃないのか……?ココアと一緒にして良いのか……!?

 

 「ジンもやってみるか?」

 

 「俺はそもそも絵が苦手だし、最初っからラテアートを形にするなんてセンスはないよ」

 

 「じゃあ私はセンスがあるってことだね!えっへん!」

 

 「ああ。ココアはセンス良いと思うよ。絵も可愛いし」

 

 「え!?そ……そう……かな?えへへ~……」

 

 急に胸張って自慢し出したかと思えば、急に照れくさそうに顔を赤くする。感情が豊かだなコイツ。

 

 「リゼのは凄く繊細な作りだし、チノは他の誰にもない創造性豊かなモノになってて芸術的だし。俺に皆の真似は出来ないよ」

 

 「そ、そうか?全く!そんなことないと思うけどな……!」

 

 「ラテアートを父以外の人に褒められたのは初めてです……」

 

 

 皆してココアみたいに顔を赤くしている。

 

 褒められることにあまり慣れてないのか、凄い事が出来ているという事を自覚してないのか。どちらにせよ、こんな反応が帰ってくるとは思っていなかった。

 

 「まあ……だから練習はしてみようかな。皆みたいにラテアート上手くなりたいし」

 

 「そ、そうだよジンくん!ジンくんならすぐに私みたいに上手くなれるよ!教えてあげるねっ!」

 

 「褒められたからって調子に乗らないでください。ココアさん」

 

 「教えてもらうにしても、先生はリゼが良いな……ココアは感覚派っぽそうだし。教えるの向いてないっしょ」

 

 「ガーン……!!」

 

 そんな膝から崩れるほど落ち込む事かよ。

 そこまで酷いことは言ってないぞ……。

 

 「わ、私か?別に構わないけど……ビシバシ厳しく行くぞ!」

 

 「じゃあ遠慮します」

 

 「ガーン……!」

 

 いやいや!だからなんでリゼもそこまで落ち込むんだよ!膝から崩れ落ちるほど酷いことは言ってないって!言ってないよね!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「中学卒業して早々に働くとは思ってもいなかったな」

 

 「お仕事楽しくて頑張れそうだね!」

 

 店も閉めて仕事を終えた俺とココアは、着替えも済ませてラビットハウスのリビングでくつろいでいた。リゼも家に帰ったが少し寂しそうな顔をしていた。

 

 接客業というのは中々にやりにくいものだな。社会にも出てない、礼儀をろくに知らない子供の俺には少し厳しい。チノもリゼもよくやるよ。ココアもコミュ力化け物じみてるからすぐにコツを掴んでたし。正直、ココアがいてくれて助かった。

 

 「夕飯はシチューで良いですか?」

 

 髪を括り、エプロンを巻きながら夕飯の献立を提供してくれるチノ。出来ることなら支度を手伝ってやりたいが、料理なんてしたことない。かえって邪魔になるかも。

 

 「野菜切るの任せて~!」

 

 「いえ、一人で大丈夫です」

 

 ココアもああ言われてる事だし。

 

 「悪いチノ。年上の俺らが甘えちゃって」

 

 「気にしないでください。いつもしていることなので」

 

 とても家庭的な子だ。

 

 俺達より年下……だよな?なのにもうお店にも出て、晩御飯の準備もして。色々と面倒見てもらってる自分が情けなくなってきた……。

 

 「じゃじゃ~ん!みて二人とも!」

 

 急にココアが携帯で撮った写真を見せてきた。

 

 見てみると、ラテアートが4つ。これはチノとリゼとココアと……俺、かな?上手く特徴をとらえてる。やっぱりセンスあるなコイツ。というか、いつの間に作ってたんだ。

 

 「私達……」

 

 「そうだよ!さっき密かに作ってたの」

 

 「良いね、この写真」

 

 「でしょ~!」

 

 三人で写真を眺めていると、誰か部屋に入ってくる。少し生えている髭を綺麗に整えた、とてもダンディな雰囲気の人だった。

 

 「……なにもの?」

 

 たぶん初対面の人に発して良い言葉じゃない。

 

 「こちら父です」

 

 チノのお父さん!?

 

 渋くてカッコいい人だなぁ……。

 

 「ココア君とジン君だね。家も賑やかになるな。今日からよろしく」

 

 「「お、お世話になります!」」

 

 「こちらこそ。チノをよろしく頼むよ」 

 

 俺達二人に軽い挨拶を済ませるとチノのお父さんはティッピーを連れて部屋から出ていってしまう。

 

 「お父さんは一緒に食べないの?」

 

 「ラビットハウスは夜になるとバーになるんです。父はそのバーのマスターをしています」

 

 「なんか裏世界の情報人って感じがしてカッコいいね」

 

 「もしかしたら直接依頼とか請け負ってるかもよ?」

 

 「…………なんの話です?」

 

 チノは俺とココアに呆れながら溜め息を吐いていた。こういう設定カッコいいとおもうけどなぁ……。

 でもまあ、チノも料理中だし余計なことは言わずに集中させてあげよう。

 

 ココアと二人して席に着く。ココアに向かい合って座っていると、なにやら含みのある笑みを浮かべていた。

 

 「どうした?」

 

 「なんだか楽しい高校生活が始まりそうでワクワクしてきちゃった~」

 

 「呑気だね~。俺は慣れないところでやっていけるか不安でしょうがないってのに……」

 

 と、言いつつ俺も新しい生活が始まる事に少し胸を踊らせている。

 

 「大丈夫だよ!きっと楽しくてやっていけるよ~!」

 

 「ホント何事に対してもポジティブだなぁ」

 

 「えっへへ~」

 

 「褒めたつもりはないぞー」

 

 こうやって一日目にして、フラットに話せる友達も出来たし幸先は悪くない。下宿先がココアと一緒で助かったよ。チノは丁寧に仕事を教えてくれるし、リゼはすごく頼りになる。バイトの仲間にも恵まれたな。

 

 「そろそろ出来そうです」

 

 「わ~い!そろそろ出来るってよジンくん!」

 

 「みたいだな。ちょっとシチューを見てみよう」

 

 チノの一言を合図に他愛もない会話をしていたココアと俺は、席を立ってチノの隣に向かう。シチューを見てみると鍋からグツグツと煮込む音が聞こえてきて、それが一層食欲をかきたてる。

 

 具材にはブロッコリー、ニンジン、ジャガイモ、豚肉かな?とりあえずシチューに合うだろう具材が入ってる。

 

 「ジンさん、味見してもらっても良いですか?」

 

 「あ、うん。ありがとう」

 

 チノから一口のシチューが盛られた小皿を受けとる。その際に、チノが息を吹きかけ食べやすいように冷ましてくれた。

 

 た、食べて良いのか……?中学生がふーふーしたシチューを……?や、やめろジン。余計なこと考えるとそれこそ変態っぽいぞ。

 

 謎の背徳感を押し殺してシチューを口に運ぶ。

 

 「ん!おいしい!すんごいコクがあってうまい!」

 

 「良かったです。コーヒーを少し入れてみたんです」

 

 「だからこんなにコク深いのかぁ……」

 

 シチューにコーヒーを入れるという発想は全くなかった。流石だよチノ。

 

 「なんだか、こうしてると、私達三人兄妹みたいだね~」

 

 「じゃあ……ココアお姉ちゃんですね」

 

 「~~~~っ!もう一回言って!」

 

 

 チノが発したお姉ちゃんという発言が原因で、今日寝るまでココアに付きまとわれるとは思ってもいなかっただろう。

 

 

 

 




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お次は誰のlfストーリーが見てみたいですか?

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