実力至上の学校に入学しました(いいタイトルが浮かばないので仮題) 作:シュンちゃん
言いたいことだけ言うと茶柱先生はさっさと教室を出て行ってしまった。それと同時に教室内はまさに阿鼻叫喚といった様相に変わった。あえんびえん。どうやら自分が最底辺の不良品という評価に不満がある生徒以外に、ポイントを全て吐き出したことで他クラスからバカにされる事を懸念する声も上がった。まぁでも自業自得っていうんですけどね。
「ポイントよりもクラスの問題だ...ふざけんなよ。なんで俺がDクラスなんだよ...!」
どうやら彼...幸村ナントカ君はDクラス配属に不満がある生徒のようだ。まぁ確かにこの小テストでも上位に入れる程勉強は出来るみたいだ。
「そりゃあ君、勉強が出来るってだけじゃダメって事でしょ」
「なんだと...!」
「先生の話聞いてないの?言ってたじゃん、『実力で測る』ってさ。これってつまり、勉強だけじゃなくて運動や生活態度、性格とかあらゆる面で評価されてるって事じゃない?そしてここにいる俺達は基準より低いか何らかの問題があると看做されてこのDクラスに振り分けられたって事。つまり俺達はなるべくしてDクラスになったってこと」
「俺がDクラスに入れられたのは当たり前だって言いたいのか?0点のお前はともかく、あれだけ点数が取れた俺が不良品だなんて納得出来るか!」
「あんなのを参考にされてもねぇ...名前書いてないだけだし」
「どうだかな、大方問題が解けなくて誤魔化す為に名前を消したんだろう」
好き勝手言うじゃないか。ちょっとお灸を据えてやろうか。
「まぁ好きに言ってなよ。満点取れなかった癖に」
「バカにしてるのか!?」
「そうだよ。あんな簡単な問題に何故手こずるのか、理解出来ない」
「言いたい放題言いやがって...!だったら!次の中間テストで勝負しろ!」
「へぇ、俺に勉強で勝負を挑むのかい。受けてもいいけど、ハンデでもいる?」
「バカにしやがって...!俺が勝ったら二度と舐めた口を聞くなよ!」
「いいけど...じゃあ俺が勝ったら言うこと1つ聞いてね。もちろん可能な範囲でいいから」
「上等だ!後悔させてやる!」
こんな会話をしている間も混乱が続いている。ぴよぴよ。そろそろ落ち着け。
「混乱する気持ちは分かるけど、いったん落ち着こう。飛鳥君もあまり煽ってはダメだよ」
こんな混乱でも、皆を落ち着かせようと平田君が声を上げる。でもこれで落ち着くならDクラスに居ないと思う。
「落ち着くってなんだよ。お前も悔しくないのかよ、落ちこぼれだって言われて!」
「今はそう言われても、力を合わせて見返してやればいいじゃないか」
「力を合わせるって、そんなのできっこないだろ……」
もう既に諦めムードになっている者も出てきている。やる前から諦めている時点でどうしようもないな。
「やる前から諦めちゃダメだよ。今日の放課後にでもどうすればいいか話し合おう」
こんな状況でも前向きなのって最早才能だと思う。
「なぁ、さっきの、佐枝ちゃんせんせーの言葉、思い出して見たんだけどさ...飛鳥、お前佐枝ちゃんせんせーと何の話をしたんだ?」
本題が始まる前にちろっと出て来た例の話の事を言っているのだろう。
「皆には関係ない事だよ。気にしなくていい」
「でも、ポイントが貰えないの知ってる風だったよね?知ってたの?ポイントが減ること」
「貰えない、までは行かなくてもかなり減るだろうと予想していたよ。皆好き勝手しまくるんだもの。こんな奴らにポイントなんてあげたくないでしょ?」
「知ってたんなら、なんで教えてくんなかったんだよ!そうすれば」
「ポイントは減らなかった?好き放題やってた奴にそんな事言っても信じないでしょ?」
「信じるまで言えよ!」
無茶苦茶言ってんな。
「ハッキリ言って時間の無駄なんだよ。いちいちそんな事に時間を割いてられない。俺はお前らと違って忙しいんだ」
「なっ...」
きっと彼らは俺をストレスのはけ口にする事で現実逃避しようとしているのかもしれない。しかし、誰がサンドバッグなぞになってやるものか。シュッシュッ。
「はぁ...平田、悪いけど話し合いには参加できそうにないや。俺は不参加にさせてもらうね」
「そうか...残念だけど仕方ない、後で話し合いの報告させて貰うね」
『あんたに会わせたい人がいる』
そのメールを神室さんから午前中に受け取り、時間や場所のやり取りを経て放課後。部活も無く、すぐに待ち合わせのカフェに向かった。カフェに着くと既に先方は座っており、俺が来るのを待っていた。
「はじめまして、飛鳥巡さん。私は1年Aクラスの坂柳有栖と申します。今日は呼び出しに応じて頂きありがとうございます」
「予定はなかったし気にしなくていいよ。改めて、飛鳥巡です」
「まさかあの飛鳥巡さんと直接お話出来るとは思いませんでした」
「あのって何よ」
「おや、真澄さんには話していないんですね?」
「言いふらす事でもないでしょう。まぁ隠している訳でもないけど。坂柳さんは知ってるんだね?」
「ええ、あれだけのニュースにもなりましたから。今でもハッキリ覚えています」
ニュース...彼女もまた、真実を知らない他人だ。だがそれでいい。それが普通なのだ。真実を知っているのは当事者である俺達だけでいい。
「ニュース?何かあったかしら...」
「確か特集なんかも組まれていたと思いますが、見ていないのですか?」
「ニュースなんてほとんど見ないし」
「まぁ中学生じゃ中々見ないよね」
中学生なんてまだまだ遊び盛りだから、テレビなんて見ないだろう。
「で結局なんなの」
「それはですね...」
坂柳さんが神室さんに説明しようとした時。
『1年Dクラス、飛鳥巡、綾小路清隆、至急職員室に来なさい』
と呼び出しの放送が流された。
「あらあら、何かおいたでもしたのですか?」
「身に覚えないんだけど..残念だけど行ってくるね」
「今日はもう解散にしましょう。それと連絡先の交換を」
「いいよ」
連絡先に坂柳さんが追加された。
「それじゃ」
「はい、お気をつけて」
「じゃあね」
2人に別れを告げ学校に逆戻りした。タッタッタッタッ
幸村からのヘイト、クラスメイトからの疑惑、坂柳有栖との邂逅。あまりにも詰め込みすぎた。