実力至上の学校に入学しました(いいタイトルが浮かばないので仮題)   作:シュンちゃん

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なんかなぁ...って思う事が起きたので初投稿です


12話

「やあ、綾小路君」

「ああ、さっきぶりだな」

職員室前で綾小路君と合流。彼はずっと校内に居たようだ。

「呼び出されることに心当たりは?」

「ない。と言い切りたいが分からないな。知らない内にやらかした可能性もある」

「なるほど。じゃあ答え合わせに行こうか。失礼しまーす。呼び出しを受けた飛鳥と綾小路です」

「あら? サエちゃんのクラスの子? えーっとね、さっきまでサエちゃんいたんだけど」

一言二言交わし、俺達は邪魔にならないよう廊下に出て茶柱先生を待つことにした。壁際に立ち大人しくしていると、ひょっこりと先程の先生も廊下に出てくる。そして人懐っこく話しかけてくる。

「私はBクラス担任の星之宮知恵って言うの。佐枝とは、高校の時からの親友でね。サエちゃんチエちゃんって呼び合う仲なのよ〜」

知恵ちゃん?あの堅物そうな茶柱先生が?いや無いだろう。無し寄りの無しだ。イメージ出来ない。小さい頃ならともかく高校生の時なら今と変わらない性格だろうしちゃん付けで呼ぶなんて嘘だろう。嘘だと言ってよバーニィ。

「ねぇ、サエちゃんにはどういう理由で呼び出されたの? ねえねえ、どうして?」

「さあ。それは俺達にもさっぱり……」

年上であるにも関わらず身長差があるので星之宮先生は下から覗き込むように俺達を観察してくる。

「それはそうとどっちが飛鳥君?」

「俺です、飛鳥巡です、こっちは綾小路清隆です」

「どうも」

「ふむふむ、先生の見立てによると、2人共モテるでしょ?」

「どうですかね」

「俺は...どうなんだろ」

思い出すのは莉桜の顔。なんだかんだでよく一緒に訓練していたし、英会話も教えていた。他にも色々あって多分異性では莉桜が1番一緒に居たと思う。

 

なんて考えていると星之宮先生の背後にクリップボードを掲げた鬼が現れた。そしてそのまま勢い良く凶器は振り落とされ、スパンッと響きの良い音が鳴り目の前で星之宮先生の頭がしばかれた。星之宮先生がその場で蹲る。

「何やってるんだ、星之宮」

「チエちゃんって呼ばないんですか?」

「コイツらに何を言った、星之宮」

呼ばないじゃん。いや、今は仕事中だから呼ばないのであって、プライベートでは呼んでいるかもしれない。でも見た感じ怒ってるし、やっぱ嘘かな。

「いったぁい!何するの!」

「うちの生徒に絡むな。あと変なことを言うな」

「サエちゃんに会いに来たって言ったから、不在の間相手してただけじゃない」

「放っておけばいいだろ。待たせたな、飛鳥、綾小路。ここでは何だから生活指導室まで来て貰おうか」

「いえ、別に大丈夫ですけど。それより指導室って……俺達何かしました? これでも一応問題起こさないよう学校生活を送ってきたつもりなんですけど」

「とにかくついてこい」

有無を言わさず、さっさと行ってしまう。仕方ないのでついて行くことにする。星之宮先生はニコニコしながら後をついてきていた。それに気づいた茶柱先生が振り返る。

「お前はついてくるな」

「冷たいこと言わないでよ〜。聞いても減るものじゃないでしょ?」

生徒を挟んでバチバチしないで欲しい。星之宮先生はずっとニコニコしているがそれでもビリビリとした空気が伝わってきて、一触即発なことはわかった。聞こえた単語にため息を吐きたくなる。下克上か。しつこく食い下がってついてこようとする星之宮先生だったが、それも一人の女子生徒が現れたことで流れが変わる。

「星之宮先生。少しお時間よろしいでしょうか? 生徒会の件でお話があります」

「おい、お前にも客だ。さっさと行け」

朗報。美少女救世主現る。

「これ以上からかってると怒られそうだから、またね、綾小路君、飛鳥君。じゃあ職員室にでも行きましょうか、一之瀬さん」

 

星之宮先生と別れ、茶柱先生に付いて行き生活指導室にやってきた。しかし椅子に座らず給湯室に連れてこられた。

「お茶ですか?紅茶ですか?」

「余計なことはしなくていい。黙ってここに入ってろ。いいか、私が出てきて良いと言うまでここで物音を立てずに静かにしてるんだ。破ったら退学にする」

「別に退学してもいいんですけど」

「俺はしたくないから黙っててくれ...」

「冗談だって」

そのまま電気も付けずに扉を閉められる。

「嫌な予感しかしない...」

「面倒事はやだなぁ...」

 

「まあ入ってくれ。それで、私に話とは何だ? 堀北」

誰?会長?

会話に耳を澄ますとどうやら女子の様だ。会長では無い。内容はどうやらクラスの振り分けに不満があるだの、正当に評価されていないだのと、自分本位なものだった。しかし舌戦にもならない、この場合分があるのは茶柱先生の方だろう。堀北さんの話を片っ端からぶった切っていく。それでも噛み付くあたり、めっちゃ悔しいんだろうね。

「Dクラスにもいると思うがな。低いレベルのクラスに割り当てられて喜んでいる変わり者や、学校の評価など気にもとめない者が」

それはきっと高円寺だろう。彼こそまさに自由人に相応しい振る舞いだから。あれ、じゃなんで俺は呼ばれたんだ?そうこう思案している内に応答も終盤を迎え、堀北さんが怒りを携え指導室を出て行こうとする。そうだそうだ、そのまま出て行ってしまえ。そして俺達も帰してくれ。

 

「出て来い綾小路、飛鳥。出て来なければ退学だ」

「だって」

「だったらさっさと扉を開けてくれ」

すごすごと給湯室の扉を開ける。堀北さんが私たちの姿を目に留めて、当然驚き戸惑っていた。

「私の話を...聞いていたの?」

「綾小路君、何の話だった?」

「聞こえなかったな。扉に近かったのは飛鳥だろ」

「だそうです」

「そんなことはない。給湯室はこの部屋の声が良く通るぞ」

堀北さんの顔が歪んでいく。

 

「...先生、何故このようなことを?」

「必要なことと判断したからだ。さて綾小路、飛鳥。お前たちを指導室に呼んだワケを話そう」

自分の疑問が流され、堀北さんが首を軽く振って部屋を出て行こうとする。すかさず茶柱先生が声をかけた。

「まぁ待て堀北。最後まで聞いておいた方がお前のためにもなる。それがAクラスに上がるためのヒントになるかもしれないぞ」

当然堀北さんは出て行くのをやめ、もう一度椅子に座り直した。

「手短にお願いします」

「まず綾小路、お前は面白い生徒だな」

「俺いります?」

「待て飛鳥。俺を置いて帰ろうとするな。後先生オレは面白くありません、面白いのは先生の茶柱という苗字の方です」

「全国の茶柱さんに土下座してみるか? んん?」

なんて醜い争いなんだ。

「入試の結果を元に、個別の指導方法を思案していたんだが、綾小路のテスト結果を見て興味深いことに気がついたんだ」

「やっぱり俺いらなくないですか?」

「飛鳥はあとだ、少し待て」

茶柱先生が見覚えのある入試問題の解答用紙をゆっくりと並べていく。

「国語50点、数学50点、英語50点、社会50点、理科50点……おまけに今回の小テストの結果も50点。これが意味するものが分かるか?」

「偶然って怖いっスね」

 その言い訳は無理があるよ思うよ。絶対狙ってるでしょ。堀北さんが食い入るようにテスト用紙を見て、綾小路君に視線を向ける。茶柱先生はおかしそうに目を細めた。

「ほう? あくまでも偶然全ての結果が50点になったと? 意図的にやっただろ」

「偶然です。証拠がありません。そもそも試験の点数を操作してオレにどんな得があると? 高得点を取れる頭があるなら、全科目満点狙ってますよ」

「いや偶然は無理あるでしょ。2、3科目くらいなら言い訳通るかもだけど全科目ってなると流石にキツイって」

茶柱先生が呆れたようにため息をついた。どの点に関してため息をついたのかわからない。

「では次、飛鳥だが...お前のは特別に解答だけでなく回収した問題用紙も見せてやろう」

そう言って出てきたのは全教科満点の入試の答案、名前しか記入していない入試の問題用紙。そして名前の記入されていない小テストの答案。ところ狭し。

「これがなんだと言うんですか」

「堀北、何かおかしいと思わんか?」

「おかしいところ?」

「まさか満点がおかしいんですか?」

「満点自体は問題ない。毎年1人位は出ている」

まじまじと答案と問題用紙を見比べる堀北。

「おかしい、式が書かれていない」

「気づいたか、今回の入試の数学や理科系の問題には式を組み立てそれを解かないと答えを出せない問が多く採用されている。にも関わらず飛鳥は一切式を書き込まず完璧に解いている。」

「まさかカンニング?」

「入試時の監視カメラや試験官にも確認したが、そういった素振りはなく、カンニングはしていないと断言出来る。」

「この小テストも、全て解いてある。名前は書かれていないみたいだが」

「小テストについてもそうだ。名前さえ書いていれば満点だった」

「どうしてそんなことを...」

「『成績に反映しない』って言ってたし、赤点で退学とか聞かされていない時だったしテキトーでいいかなって」

綾小路君と堀北さんが俺を見る。信じられないものを見る目で。綾小路はいつも通りの表情だけど。

「テキトーで満点を取るなよ」

「しかし俺は満点合格しても最底辺のDクラスに配属された。それってつまり学力以外の必要な要素があり、それが基準に達していないからだと思う」

 

「話を綾小路に戻すが、お前は実に憎たらしい生徒のようだな。いいか? この数学の問5、この問題の正答率は学年で3%だった。が、お前はこの複雑な証明式も含め完璧に解いている」

「一方、こっちの問10は正答率76%。それを間違うか? 普通」

「世間の普通なんて知りませんよ。偶然です、偶然」

「綾小路君、どう足掻いても偶然では片付けられない事が起きてるの。諦めて認めなよ。」

「あなたは...どうしてこんなわけのわからないことをしたの?」

「そうだそうだ!」

「いや、だから偶然だっての。隠れた天才とか、そんな設定はないぞ」

「どうだかなぁ。飛鳥はともかくとしてもひょっとしたらお前よりも頭脳明晰かも知れないぞ堀北」

 

「勉強好きじゃないですし、頑張るつもりもないですし。だからこんな点なんですよ」

「この学校を選んだ生徒が言うことじゃないな。もっとも、お前の場合、高円寺や飛鳥のように、DでもAでも良いと思えるような、他の生徒とは異なる理由があるのかもしれないが」

「何ですか。その異なる理由って」

「詳しく聞きたいか?」

「俺は話してもいいですけど、隠す様なものでもないし」

綾小路君は息をついてやれやれといった素振りで

「やめておきます。聞くと突然発狂して、部屋の備品という備品や壁を破壊しそうだ」

「そうなればお前はEクラスへ降格だな」

まさにエンドのEという事か。

「飛鳥には悪いが、EクラスってのはイコールExpelled。退学ってことだ」

 降ってくる容赦のない言葉に、今ほどニヤニヤ笑いが憎らしいと思うことはないんだろう。茶柱先生、さっきからニヤニヤしてる事は多かったけど、今回のが1番ウザかった。

 「私はもう行く。そろそろ職員会議の始まる時間だ。ここは閉めるから三人とも出ろ。それと飛鳥」

「はい?まだ何か?」

「明日の放課後、もう一度職員室に来い。今回とは別に話がある」

 

とりあえず、話が終わったことに変わりはない。イベントは過ぎ去った。帰ってすぐ絵を描こう。

 

「帰るか」

「お、おう...おつかれ」

「待って」

並んで帰ろうとする俺達の背中に堀北さんの声がかかる。チラと振り返り、興味が無いのでそのまま帰ろうとする。

「さっきの点数...本当に偶然なの?」

「呼ばれてるよ綾小路君」

「偶然だ。狙ってとった訳じゃない」

「...根拠はないけれど...綾小路くん、少しわからないところがあるし。事なかれ主義って言ってるから、Aクラスにも興味なさそうだし」

どうやら堀北さんは綾小路君に協力をお願いしている様だ。当の本人は嫌がっているようだけど。

「飛鳥君、貴方はどうかしら?Aクラスに上がるために協力してくれないかしら」

お次はこちらに矛先を向けてきた。

「悪いけど俺もパスで。ポイントは自分で稼げるし、Aクラスの特権も興味無いし、でも最低限、プライベートに関わらない程度に力は貸すくらいならいいよ」

たまには息抜きしないとまた律にドヤされそうだし。

「そう言ってくれるだけでもありがたいわ。それじゃよろしく」

そう言ってさっさと去ってしまった。

「いいのか?」

「きっと避けては通れないと思ったから。無理に反対するより適当な落とし所を作った方が楽だよ」




また呼び出される飛鳥君。
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