実力至上の学校に入学しました(いいタイトルが浮かばないので仮題)   作:シュンちゃん

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そういえば20話なので初投稿です。


20話

あっという間に審議の日。どうやらBクラスが以前Cクラスに嫌がらせをされたそうで、Dクラスに手を貸してくれることになっていた。なんでも掲示板を利用してCクラスの3人の過去の情報を集めたみたいで、その内の1人、石崎という男子は地元で有名なワルだったらしい。でも今は龍園君支配のもと大人しくなったらしい。だからなんだって話だ。言うこと聞いてくれるだけ可愛いもんじゃないか。こっちのヤンキー君はただの暴力小僧だぞ。しかも律に調べさせた結果、やる事やってるなってくらいやらかしている。サボりや脅迫紛いは日常茶飯事で、他校生との暴力事件でバスケ推薦を落としたなんて話も出てきた。...バカじゃん(小並感)...いやバカだったわ。

佐倉さんに関しても動きは無い。『1人で行くな』と厳命してから一度も行ってないそうだ。そもそも行くとなると俺がついて行かないといけない。佐倉さん友達って言えるの俺か神室さんくらいしかいないから...。

 

放課後、ついに審議の時。Dクラスからは加害者のヤンキー君と弁護人代わりに綾小路と堀北さん。それと被害者側の俺。Cクラスからは石崎含む被害者3人。とそれぞれの担任。生徒会も参加するようで、進行に3年の橘茜先輩と生徒会長の堀北学先輩。こういった場には滅多に出てこないらしいが、今日はたまたま予定が空いていて参加出来るとの事。

 

「それではこれより、先日起こった『暴力事件』についての審議を執り行いたいと思います。進行は生徒会書記、橘が務めさせて頂きます」

「「よろしくお願いします」」

「随分と礼儀正しいのだな」

「先輩が名乗ったら礼をするのが常識です。寧ろ自分の審議が始まるのに机に肘をついている彼の方が問題では?」

「んだとテメェ?!」

 

薄い笑みを浮かべている茶柱先生にそう返すとヤンキー君がブチ切れ、机を叩きながら立ち上がる。挨拶もせず、偉そうに肘をついてイラついているのはこいつだけだ。他の人は誰もそんな体勢になっていない。育ちの悪さがよくわかる。

 

「須藤君着席してください」

「...ちっ」

 

先輩に対する態度か?

 

「──以上のような経緯を踏まえ、双方の主張を客観的に聞き、どちらが正しいのかを見極めさせて頂きます」

 

事の詳細を一通り説明してもらい、本題に移る。

 

「小宮くんと近藤くんの二人は、同じバスケットボール部の須藤くんに呼び出され、放課後、特別棟に出向いた。そこで喧嘩を売られ、偶然近くにいた飛鳥君を巻き込み一方的に殴られたと主張しています。須藤くん、これは真実ですか?」

「そいつらの言ってることは嘘だ。俺が特別棟に呼び出されたんだよ」

「では須藤君。事実を教えて頂きますか?」

「俺はあの日、部活の練習を終えた後、小宮と近藤に呼び出されたから出向いてやったんだ。そしたら石崎も待ってて、3人でバスケ部を辞めろって脅してきやがったんだよ。そんでそれを断ったら殴りかかってきたから、やられる前にやっただけだ。こいつ...飛鳥は関係ねぇのに邪魔してきたんだ」

 

バカ丸出しだ。自分で自分の首を絞めてやがるよ。先輩の質問に対しても肘をついたままで敬語も使わないどころか口も悪い。心無しか、橘先輩しかめっ面な気がする。3年生にもここまでのバカは居ないんだろうな。

 

「須藤君はこう言っていますが小宮君と近藤君に反論はありますか?」

 

橘先輩は小宮と近藤に目を向ける。対する小宮は首を横に振る。

 

「はい。須藤君の言っている事は丸っきり嘘です。僕達が「ふざけんなよ小宮。嘘吐いてんじゃねぇよ!」……すみません須藤君。先に全て話させてください」

「っざけんな!」

特別棟で話した時と喋り方が違う?誰かに『こう話せ』って教えられたのだろうか。だとすればCクラスに頭の切れる人がいるって事か。しかし日本語とは難しい。言葉遣いでさえも心象に影響を及ぼすとは、奥が深いなぁ(小並感)。

「少し落ち着いてください須藤君。今は小宮君に話を聞いています」

「ふざけんな。嘘を吐かれて黙ってろってか?」

 

橘先輩の注意に対してヤンキー君は食ってかかるが、コイツはマジでこんなんで審議に勝てると思っているのだろうか?まぁ勝たせないが。

 

「いい加減にしろ須藤。これ以上場を乱すのなら、ここで審議を終了してお前に処分を下す事も考えないといけない」

 

堀北会長が威厳ある態度でそう言ってくる。

「...ッ!」

無言で会長を睨みつけているが、当の会長は全く気に止めていない。無意味とわかったのか、会長から目を逸らした。これで黙ってくれるといいが...果たして。

 

「では小宮君。改めて説明をお願いします」

「はい。実際は僕達が須藤君に呼び出されて特別棟に行きました。そこで喧嘩を売られたので悪口を言ったら、真っ赤になって殴りかかってきました。それを目撃した飛鳥君が間に割って入り須藤君を止めようとしましたが、彼は殴り飛ばされてそのまま僕たちもなす術なく負傷してしまいました」

「双方共に呼び出されたと主張しており食い違っています。しかし共通することもあります。飛鳥君は止めようとして来たんですね?」

「はい、4人が言い合いをしていた所に居合わせて、姿が見えないように隠れていたんですが、須藤君が腕を振り上げていたのが見えたので殴るつもりかと思い、間に入って止めようとしました。結局須藤君に殴られましたけど」

「何故飛鳥君は特別棟にいたのですか?」

「それはデッサンのモチーフを探していたからですね。僕は美術部なので、偶に校内をフラフラして、絵になりそうなものを探しているんです」

 

あの日だって佐倉さんと撮影会兼モチーフ探しをしていたので嘘では無い。

 

「もうひとつ共通するのは彼らの間に揉め事があったんですね?」

「揉め事というか...須藤君が見下してくるんです」

「見下す?」

「はい。彼は一年の中では群を抜いてバスケが上手い。もちろん僕達も必死になって練習して追い付こうとしています。けどそんな僕たちを、須藤君はバカにしてくるんです。そういう意味では揉めていたかもしれません」

 

なるほど、龍園君は暴力事件を起こした際のペナルティを測る為にこの件を利用したのか。悪知恵が働くようで。

 

「小宮の発言は全部嘘だ。こっちが練習してるときに邪魔してくんだよ」

「身に覚えがないです。僕達は須藤君に呼ばれて殴られました。これは間違いありません」

「嘘ついてんじゃねぇよ。お前らが先に仕掛けてきたんだ。正当防衛だっての」

当然両者の意見は一致することはなく、相手が悪いとしか主張しない。

 

「両方の言い分がこれでは、今ある証拠ーーー被害者であり目撃者でもある飛鳥君の意見で判断していかざるを得ません」

「先程言った通り、4人が言い合いをしていた所に居合わせて、姿が見えないように隠れていたんですが、須藤君が腕を振り上げていたのが見えたので殴るつもりかと思い、間に入って止めようとしました。これはその時の映像です」

 

俺にターンが回って来たので、証拠映像を提出する。

 

「当時一緒に居た友人に撮影してもらった事の一部始終です。どっちが呼び出したかは分かりませんが、僕が割って入って殴り飛ばされるところや3人が殴られるシーンも映っています」

「なっ...!」

 

最初に反応したのはヤンキー君だった。流された映像は何度も確認した、当時をはっきり映したものだった。仮にCクラスの嘘が見抜かれても過剰防衛で勝てる気がする程のバーサーカーっぷりだった。こんな英霊は嫌だ。

 

「以上になります。僕と友人は途中からして見てないので、どちらが先に仕掛けたのはわかりませんが、須藤君の暴力行為は明らかに過剰過ぎます。これについて会長はどう思われますか?」

「同意見だ。先に仕掛けたのはどちらかはわからないが、須藤の暴力は過剰過ぎる。しかし気になる事もある。飛鳥、これはお前の友人が撮影したと言っていたな?では何故、その友人は目撃者と名乗り出なかった?」

「その友人は同じDクラスの人ですが、その人の証言で加害者である須藤君が有利になるよう利用されるのを防ぐ為と、今回の審議の後に須藤君から逆恨みさせない為と、僕と見聞きした事は同じなので、1人が名乗り出れば問題ないと思い、友人には名乗り出ないようお願いしました」

「あくまでその友人のためか?」

「はい」

 

他にも理由はある。人前が苦手とか、ストーカーのせいで落ち着いていないとか。

 

「ま、待てよ!そいつらがグルに決まってるだろうが!フラフラしてたとか言っておきながら実際は特別棟で待機して、都合の良い箇所だけ録画したんだろうが!」

「これを見れば、そうは思えないな」

 

会長が見せたのは、直前まで撮影していた特別棟内の写真だ。その写真がヤンキー君の発言が間違いだと証明している。

 

「さっきも言ったが須藤の暴力が過剰である事、飛鳥と小宮達が一方的に殴られたのは明らかだ。よってそれを基準に答えを出すしかないだろう」

「そんなの納得いかねぇ!こいつらが雑魚だっただけだろ!」

もう黙ってくれ。頭痛がしてきそうだ。

「力の差がある相手と止めようとした相手に対して正当防衛を主張するのか?」

「なっ……んなの、向こうは3人だぞ3人っ。危ないに決まってんだろうが!」

「だが、実際に怪我をしたのはお前以外の生徒だけだ」

 

「ひゃっ!」

ひゃっ?

「ちょっ……やっ、綾小路君、んっ……!」

 

皆が呆然とする中、綾小路君は堀北さんの腰に手を当てたまま指を動かす。こんな時に何をやってんの?

 

「お前が戦わないならこのまま敗北だ」

「っ……」

 

その言葉に堀北さんはハッとした表情になって辺りを見回す。やがて会長の方を見る。

 

「……失礼しました。私からも質問、宜しいでしょうか」

「許可する。だが次からはもっと早く答えるように」

 

堀北さんは会長に黙礼してから立ち上がる。

 

「どちらが呼び出したのかはわからないですが、どうして石崎くんがこの事件に関わっていたのでしょうか。小宮くんと近藤くん二人だけならまだしもバスケ部に所属してない石崎くんが居るのは不自然だと思います」

「それは……用心のためです。須藤くんが暴力的である事は有名ですから」

「つまり須藤くんに暴力が振るわれる可能性があると想定していたのでしょうか?」

「そうです」

「なるほど。それで中学時代、喧嘩が強かったらしい石崎くんを用心棒として連れて行ったんですね」

「自分の身を守る為ですよ。しかし石崎くんを連れてきたのは頼りになる友達だからで喧嘩が強いというのは知りませんでした」

「多少ではありますが、私には武術の心得があります。だからこそ言えるのですが、複数の敵と相対した場合の戦いは乗数的に厳しく難しくなります。喧嘩慣れしている石崎くんを含めたあなたたちが一方的に傷を負ったのは腑に落ちません」

「……それは僕たちに、戦う意志がなかったからですよ」

「喧嘩が起こる要因はお互いがぶつかり合い、一線を超えた時に発生すると見ています。相手に戦う意志がない場合、3人がそこまで怪我をする確率は非常に低いはずです」

 

堀北さんは経験や根拠に基づいた客観的な意見を、小宮達は実際の証拠をぶつけて議論している。

 

「発言良いですか?」

「許可する」

「先程堀北さんは怪我をする確率は非常に低いと言いましたが、それは一般的な話で須藤君については例外と断言します。先程の動画では3対1にもかかわらず、石崎君達を圧倒して容赦なく暴力を振るっていましたし、須藤君はこの学校に入学する前から複数相手に暴力を振るって問題を起こしていたとという情報があります」

 

後半部分については曖昧にして喋る。

 

「はぁっ?!適当な嘘言ってんじゃねぇよ!」

 

須藤は真っ赤になって反論するが、声色に焦りが見える。どっちが嘘吐いてんだか...。

 

「須藤君、嘘と言ったが過去に複数相手に対して暴力を振るってないんですね?」

「当たり前だ!」

「そうですか?調べたところ、中学時代にサボりや脅迫紛いは日常茶飯事でさらにはバスケの名門校からスポーツ推薦を貰ったのに、他校の生徒複数と喧嘩をして取り消しをされたらしいですが?」

「は?」

「ほう...」

 

それを聞いて十人十色と言った感じの反応が返ってくる。当の本人は、

 

「な、なんで...知って...」

 

顔面蒼白で小声でそんな事を零した。どうやら本当の事らしい。

 

「どうやら本当のようですね。これについてはネットの掲示板なんかで取り上げられていました。つまり調べれば誰でも分かる事です。そして彼は複数人を相手に喧嘩をしていた過去がある訳ですが、その時と比べれば3人に怪我を負わせるくらいわけないでしょう。さらに彼は自分に都合が悪い事に対して平気で嘘も吐いています。どちらが嘘を吐いているか分からない現状では、彼の主張は信用に欠けるものと判断出来ます」

 

ここまで口を挟む事の無かった坂上先生がこれをチャンスと捉えたのか薄く笑いながら口を開ける。

 

「これは問題でしょう。CクラスかDクラスのどちらかが嘘を吐いているかわからない状況の中、相手の問いかけに嘘を吐くのは如何なものか...須藤君、何故嘘を吐いたのですか?」

 

答えられるわけが無い。自分にとって都合が悪いからだ。過去に暴力事件を起こしたなんて知られたら不利になると考えたからであるのは容易に想像できる。大方この学校に入る前の事だからだから嘘を吐いても大丈夫と思ったようだが、須藤について徹底的に調べ上げた俺に、小手先の小細工なんて通用しない(調べたのは律)。

 

「はぁ...動画や須藤君の証言や経歴から推察するに須藤君は複数人を同時に相手にしても問題なく勝てると思います。加えて都合の悪い事に対しても平気で嘘を吐く事から、今回の件についても嘘の証言をしている可能性があります。これについて会長はどのように思われますか?」

 

「飛鳥の主張を認める」

「くっ...」

 

堀北さんはもう切り返せる手札を使い切ってしまったようだ。

 

「他に主張が無ければ、このまま処分を決める」

 

誰も声を発さない。ようやく決着だ。




こんなに長く打ち込んだのできっとおかしい所はあります。
次回、けっかはっぴょー!
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